イタリアってどんなところ?
イタリアの基本情報
イタリア共和国は南ヨーロッパに位置する、ブーツ状の国土を持つ国です。非常に古くから栄えた歴史を持ち、紀元前からローマ帝国が栄えていました。467年に西ローマ帝国が滅びた後は、法王領や小さな都市国家が連立する状態が続いていましたが、1861年にイタリア王国として統一されました。1946年からは現在の共和制へと移行しています。
イタリアへは、日本から直行便の飛行機で約12時間〜13時間で行くことができます。時差はマイナス8時間(サマータイムはマイナス7時間)で、イタリア国内では時差はありません。使用されている通貨はEU単一通貨であるユーロです。EU加盟国間を移動するツアーでは、その度に通貨を両替する必要が無いため、便利です。
イタリアを含め、ヨーロッパ各国ではサマータイム(夏時間)が導入されています。3月末から10月末にかけて、太陽が長く出ている時期に標準時を1時間早める制度です。ヨーロッパの他にも緯度が高く、夏の日照時間が長い地域で用いられています。
観光目的でかつ90日以内の滞在であれば、ビザを取得する必要はありません。
北と南で異なる文化
イタリアは北・南の2つに分けられる場合と北・中央・南の3つに分けられる場合があります。それぞれ、北イタリアにはミラノ・トリノ・ヴェネツィア、中央イタリアにはローマ・フィレンツェ、南イタリアにはナポリ・シチリアと個性や特徴が様々な都市が位置しています。
北と南は文化や食生活、人々の性格も大きく異なっています。北方の人はドイツ語圏に近いことも影響して堅実で緊張感のある人柄が多いのに対し、南方の人は陽気で楽天的な人柄が多く、身内や家族を大切にします。
また、日本人が「イタリアン」と思い浮かべるトマトやレモン、オリーブオイルなどは実はどれも南イタリアのものです。北イタリア料理は、バターや生クリームを使ったこってりとした濃厚な味わいが特徴で、寒さから身を守るための煮込み料理やジビエが発達しています。
言語はイタリア語が公用語になっており、9割以上のイタリア国民はイタリア語を話します。しかし、元々多数の小国に分かれていた歴史を持つため、各地に強い特徴を持つ方言が存在します。主な観光地であるローマ、フィレンツェ、ナポリ、ヴェネツィア、ミラノなどを観光する上では、英語も多く使用されています。
イタリア旅行の見どころ
貴重な芸術が目の前に!美術館巡り
フィレンツェにあるウフィツィ美術館やカピトリーノ美術館を始め、ルネサンス発祥の地であるイタリアには各地に名だたる巨匠の作品が残っています。誰もが知っている有名な作品を間近に見ることができるのは、イタリアならではの醍醐味です。今回は3つの素晴らしい美術館をご紹介します。
ヴァチカン美術館
ローマ内ヴァチカン市国にあるヴァチカン美術館は、イタリアの中でも圧倒的な美術品の保存数を誇ります。古代ローマの彫刻群やルネサンス時代の絵画を見たい方は絶対に行っていただきたい美術館です。新旧様々な美術館や宮殿内のギャラリー、広間を総称してヴァチカン美術館と呼ばれます。
システィーナ礼拝堂には、ミケランジェロの最高傑作と言われる「最後の審判」や時間を忘れて眺めたくなる天井画が描かれています。壁や天井に直接描かれているものが多いため、直接足を運ばなければ決して鑑賞することができない貴重な美術品に出会える美術館です。
ナポリ国立考古学博物館
ナポリで美術品を見たいという方におすすめしたいのが、ナポリ国立考古学博物館です。世界的に見ても貴重な、ギリシア・ローマ時代の大理石彫刻や、エジプトの美術品、ポンペイ・エルコラーノ遺跡からの発掘品などが展示されています。考古学が好きな方は外せないスポットです。
アカデミア美術館
ヴェネツィアにも同じ名前の美術館がありますが、今回紹介するのはフィレンツェにある美術館です。フィレンツェのアカデミア美術館を訪れた際には、ミケランジェロの作品の中でも有名な「ダヴィデ像」は必見です。ミケランジェロの特徴である筋肉を見事に表現したこの作品は3年もの歳月をかけて作り上げられました。台座を含めると高さ5mを超える巨大な大理石の彫刻は、圧倒される美しさです。
各地の絶品グルメを堪能
イタリアには各地に絶品グルメが揃っています。北南に長い国土を持っているため、イタリア国内でも様々な名物料理に出会うことができます。ピッツァひとつをとっても、クリスピーな薄めの生地からモチモチとした弾力が魅力の生地まで様々。各地でよく採れる食材を使用しているので、本場の味は格別です。
北イタリアはバターやジビエ、南イタリアはトマトやオリーブオイルなど、それぞれの土地の魅力を料理からも感じ取ってみてはいかがでしょうか。ツアーで旅行をする場合には、各地の名物料理を人気のレストランで食べられるプランが多くあります。
記念にブランド物もショッピング
おしゃれの国イタリアに旅行をした記念に、憧れのブランド商品を購入してみてはいかがでしょうか。イタリアには数々の有名ブランドの本店があります。メイド・イン・イタリーの工芸品や革製品のクオリティは非常に高く、お土産にもおすすめです。
ミラノ
イタリアきってのファッションの街・ミラノには、日本人であっても誰もが知る有名ブランドが数多く本店を構えています。プラダ(PRADA)やジョルジオ・アルマーニ(GIORGIO ARMANI)、ミュウ・ミュウ(MIU MIU)、ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)、ヴェルサーチ(VERSACE)など昔から現在まで人気であり続けるブランドから、2010年に発表されてから人気を博しているヌメロ・ヴェントゥーノ(N°21)などの最新ブランドが揃います。
新たな流行とデザインを発信し続ける街であるミラノには、有名ブランドだけでなく、若手デザイナーのブティックにも注目です。是非ファッションに興味がある方はミラノを観光先にプラスしてください。
ローマ
観光客も非常に多いローマには洗練されたブランドの本店が数多くあるので、観光の合間に立ち寄りやすいブランドの本店をご紹介します。人気観光地スペイン広場にはヴァレンティノ(VALENTINO)の本店があります。ブルガリ(BVLGARI)の本店は、スペイン広場のすぐ近くのコンドッティ通りに位置します。またそのコンドッティ通りとコルソ通りがぶつかるカルロ・ゴルドーニ広場には、フェンディ(FENDI)の本店があります。
フィレンツェ
フィレンツェのブランドには、グッチ(GUCCI)や、サルヴァトーレ・フェラガモ(Salvatore Ferragamo)などが挙げられます。この2つのブランドはどちらも、トルナブォーニ通りに本店を構えています。
フェラガモの本店は、1289年に建てられたスピーニ・フェローニ宮殿を改装したもので、館内の地下には約一万点の靴が飾られたフェラガモミュージアムがあります。フェラガモ直筆のデザイン画やマリリン・モンローなどスターの靴型などはファッション好き必見です。
映画のロケ地を巡る
イタリアを舞台にした映画作品は非常に多く、また絶景を求めて数々の名作映画がイタリアで撮影されてきました。しかも、作品のロケ地や建築が現在もそのまま残っている場合が多いので、ロケ地巡りに最適です。今回はイタリアをロケ地に使用した人気映画とそのロケ地をいくつかご紹介します。
ローマの休日
ローマを舞台にした映画作品として多くの人が思い浮かべる『ローマの休日』。当時無名だったオードリー・ヘップバーンが演じるアン王女の美しさは、60年以上経った現在も色あせることがありません。真実の口に手を入れるシーンやスペイン坂でジェラートを食べるといった定番スポットでのシーンは、多くの観光客が今まで再現しに訪れています。現在は保全のためにスペイン坂でジェラートを食べることは禁止されています。
その他にもアン王女とジョーが出会ったフォロ・ロマーノや、アン王女が入った美容室の近くにあるトレヴィの泉、アン王女が記者会見を行うシーンで使用された豪華絢爛なコロンナ宮殿など、ローマの有名スポットが多く登場するため、ローマを訪れる前に『ローマの休日』を観ておくと、楽しみ方が変わります。
天使と悪魔
ダン・ブラウンの人気小説を映画化した『ダ・ヴィンチ・コード』の続編、『天使と悪魔』はイタリアが舞台となりました。物語の始まりに使われたサンタ・マリア・デル・ポポロ教会や重要な彫刻が飾られるサンタ・マリア・デラ・ヴィットリア教会は物語を知っているとワクワクするような場所です。
また、イルミナティのアジトとなっていたサンタンジェロ城、パンテオン、ナヴォーナ広場も物語の中で重要な役割を果たしていました。バチカン市国ではロケの許可が下りなかったようですが、サン・ピエトロ大聖堂とその広場には物語の鍵を握るベルニーニの彫刻が数多くあります。
ロミオとジュリエット
映画のロケ地とは少し異なりますが、シェイクスピアの戯曲『ヴェローナの二紳士』と『ロミオとジュリエット』の舞台として知られているのが世界遺産にも登録されている、ヴェローナです。現在もロミオとジュリエットの悲恋は人々の心をうち、同名の映画も数多く作られています。
観光客の多くが訪れるのは「ジュリエッタの家」です。ジュリエッタの家の中庭には「ああ、ロミオ、ロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」という台詞でも有名なシーンに登場するバルコニーとブロンズのジュリエット像があります。このブロンズのジュリエット像の右胸に触れながら恋の願い事をすると、その願いが叶うというジンクスもあり、周辺はいつも賑わっています。
長い歴史の遺跡を感じる
ローマには、古代ローマ時代の遺跡が数多く残されています。日本人にも有名なコロッセオの入場券を使えば、フォロ・ロマーノとパラティーノの丘にも入ることができます。破壊された後も、美しさや当時の様子を残すフォロ・ロマーノとそれを一望できるパラティーノの丘は是非古代にタイムスリップした気分で散策していただきたいスポットです。今もなお綺麗な形で残されているフォロ・トライアーノや完全な形で残るパンテオンにもあわせて注目です。
カラカラ浴場はカラカラ帝が治めていた時代に造営された公衆浴場の跡地です。漫画「テルマエ・ロマエ」にも登場するように当時の古代ローマの人々は、お風呂を娯楽として非常に重要視していました。現在、夏のオペラシーズンにはカラカラ浴場で野外オペラが行われます。夜のカラカラ浴場に照明を灯して催されるバレエやオペラは時代を超えた感覚を味わうことができるのでおすすめです。
ローマ
初めて訪れるイタリアで、欠かせないのが永遠の都とも呼ばれる首都、ローマでしょう。何日あったとしても観光し終えることのない、2500年ものの歴史と貴重な芸術品の数々には、ただただ圧倒されます。古代まで遡るローマの歴史に魅せられて再訪することを望む人々がコインを投げるために訪れ、トレヴィの泉では常に人が溢れかえっています。
また、ローマの中に位置するバチカン市国にはローマ教皇が住んでいることから、カトリック教会の中枢としてもローマは重要な位置付けにあります。グルメや映画、アート、歴史など、ローマには多くの人が夢中になれる要素が詰まっています。
トレヴィの泉
願い事が叶うと言われているローマでも有数の観光スポットです。これはバロック時代に作られた人工の泉で、クイリナーレ宮殿のすぐそばにあるトレヴィ広場に位置します。
元々トレヴィの泉は、古代ローマ時代に皇帝アウグストゥスが作らせたものです。現在の泉は教皇クレメンス12世の命によって、ローマの建築家ニコラ・サルヴィの設計を元にピエトロ・ブラッチが制作しました。2014年から2015年にかけて大規模な修復工事が行われ、現在も美しい様子を残しています。
ポーリ宮殿の壁と一体となる形でデザインされ、左から順に豊饒の女神ケレース(デーメーテール)、水を司るネプトゥーヌス(ポセイドーン)、健康の女神サルース(ヒュギエイア)という三体の神が配置されています。
このトレヴィの泉には、後ろ向きにコインを泉へ投げ入れると願いが叶うという言い伝えがあります。コイン1枚では再びローマに来ることができ、2枚で大切な人と永遠に一緒にいることができ、3枚になると恋人や夫・妻と別れることができると言われています。コインを投げ入れる際には、叶えたい願い事に合わせてコインの枚数を選んでみてください。
真実の口
イタリアの中でも人気の高い都市、ローマを旅する時に思い浮かべる方も多いのがこの真実の口です。これはイタリア語では「ボッカ・デッラ・ヴェリタ」と呼ばれ、元々古代ローマ時代のマンホールのふただったものです。
真実の口に刻まれている顔は、海神オーケアノスであると言われています。古代ローマ時代には、マンホールのふたには「雨水を飲み込む」という意味から水にまつわる神が彫られていました。
中世から「怪人面」とも呼ばれてきた真実の口には、ある伝説が残されています。それは、「手を口に入れると、偽りの心がある者は、手を抜く時にその手首を切り落とされる、手を噛み切られる、あるいは手が抜けなくなる」というものです。
映画『ローマの休日』では、グレゴリー・ペックが扮するジョーの手が抜けないという演技をオードリー・ヘップバーンが演じるアン王女が真に受け、叫んで泣いてしまいました。現在は手を入れることが出来なくなっていますが、真実の口の前で記念写真を撮る観光客は今もなお大勢います。
コロッセオ
ローマを代表する観光スポットであるコロッセオは、フォロ・ロマーノなどの古代ローマ時代の建造物と共に世界遺産に登録されている、ローマ帝政期に造られた円形闘技場です。コロシアムの語源になっており、正式名称を「フラウィウス円形闘技場」と言います。
ウェスパシアヌス帝の時代に市民のための娯楽施設として建設が開始され、ティトゥス帝の時代に完成しました。コロッセオの構造は、4階建てでありながらアーチは各層で様式が変えられており、1階はドリス式、2階はイオニア式、3階はコリント式になっています。また80箇所もの入口のアーチには番号が付けられ、当時の観客たちが混乱せずに入場できるように工夫されていました。
内部に入って、当時の客席や地下空間を見ると2,000年前の建築技術に驚かされるばかりです。オーディオガイドの貸し出しがあり、日本語版もあるので、より詳しく歴史や技術を知りたい方は活用してみてはいかがでしょうか。チケット売り場は、非常に混雑するので予めインターネットで購入するか、ツアーで観光することをおすすめします。
フォロ・ロマーノ
ローマ時代の市民の生活していた様子が想像できる遺跡です。神殿やバジリカ、演壇などが当時の形を残しています。日差しを遮るものがないため、夏場は十分な熱中症対策が必要です。
チケットはパラティーノの丘とセットになっているので、続けて見学するとお得です。非常に広いため、フォロ・ロマーノだけで最低でも2時間、パラティーノの丘と合わせてみると半日が見学に必要となります。
パンテオン
現存する中で最も完全なローマ建築の遺構であり、ミケランジェロもかつて「天使の設計」と称賛したと言われる建物です。紀元前27〜25年にかけて創建されたものを118年にハドリアヌス帝が再建しました。
中には、ラファエロやエマヌエーレ2世、ウンベルト1世の墓とともに、美しい彫刻やフレスコ画が飾られています。クーポラの天窓からの光が差し込み、荘厳な雰囲気に圧倒されるでしょう。
ナヴォーナ広場
ローマの広場の中でも一際華やかなナヴォーナ広場。広場には、「ネプチューンの噴水」「四大河の噴水」「ムーア人の噴水」という3つの噴水があり、その周囲には教会など美しい建物が揃います。車が侵入することができない広場なので、ゆったりと散歩することができます。
また、12月の初めから1月6日まで、クリスマスやエピファニアの祭りのために、屋台が広場いっぱいに立ち並びます。中世以来の伝統行事が今もなお賑やかに続いている様子は圧巻です。
スペイン広場
映画『ローマの休日』に登場することでも有名なスペイン広場はいつも多くの観光客で賑わいます。階段の前にはベルニーニの父が製作した『舟の噴水』があり、フォトスポットとして利用されています。映画では、スペイン階段でジェラートを食べていましたが、現在は階段での飲食と座り込みが禁止されているのでご注意ください。
スペイン大使館に面していることからスペイン広場と名付けられました。かつてはワーグナーや、スタンダール、バルザック、リストのような芸術家たちがこの周辺に住んでいて、現在もキーツの家はキーツ・シェリー記念館として原稿や手紙が展示されています。
サン・ピエトロ大聖堂
イタリアにいる時で無ければ観光できない国に行ってみましょう。ローマの中にある世界最小の国、バチカン市国にはカトリック教会の総本山であるサン・ピエトロ大聖堂があります。コンスタンティヌス1世の指示で4世紀にイエス・キリストの弟子であった聖ペトロの墓の上へ大聖堂が建てられました。
円屋根であるクーポラの天辺からは、144体もの聖人像があるサン・ピエトロ広場とバチカン市国内部、その先にあるサンタンジェロ城の絶景を眺めることが出来ます。階段は非常に長いので、途中まではエレベーターで上がることをおすすめします。
現在のサン・ピエトロ大聖堂は1626年に完成した2代目のものです。ルネサンス期の巨匠ブラマンテやラファエロ、ミケランジェロなど著名な芸術家たちによって改築され、ミケランジェロによる「ピエタ像」など素晴らしい芸術作品を見ることが出来ます。
豪華絢爛な装飾が魅力の地図のギャラリーがあるバチカン美術館や「最後の審判」や「天地創造」などミケランジェロの傑作が飾られているシスティーナ礼拝堂など、隣接する施設にもバチカン市国に来たからには見ておきたい素晴らしい美術品が揃います。
サンタンジェロ城
バチカン市国に近く、あわせて観光するのにおすすめなのが、テヴェレ川右岸にある城塞、サンタンジェロ城です。元々は135年にハドリアヌス帝が自らの霊廟として建造したもので、その後ローマの歴代皇帝の墓となりました。中世以降は法王の住まいとして、また牢獄として様々に使われてきましたが、国立博物館となった現在もオリジナルの部分が残っています。
城の上部にあるテラスからは、ローマ市街やバチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂を見渡す絶景が眺められます。歌劇『トスカ』や、映画『天使と悪魔』の舞台になった魅力的なスポットです。
バルベリーニ宮殿(国立古典絵画館)
ベルニーニによるトリトーネの泉があるバルベリーニ広場には、バロック建築の代表とも言えるバルベリーニ宮殿があります。宮殿の2階にある国立古典絵画館では、ルネッサンスの絵画を中心とした名画が展示されています。
大サロンの天井画であるコルトーナの『神の摂理の勝利』は、時間をかけてみていたい、華やかな作品です。この天井画はバルベリーニ家の栄光が描かれています。フィレンツェやヴェネツィアには行かないけれども、ルネッサンスの美術品を鑑賞したいという方におすすめです。
ミラノ
ファッション、アートと圧倒的なセンスで人々を惹きつける都市、ミラノ。誰もが知るレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』や、ゴシック建築の最高傑作といわれるミラノのドゥオーモを見ることができます。
また「ミラノ・ファッション」といわれるように、世界最先端のファッションブランドが数多くミラノで誕生し、世界中に影響を与え続けています。素材もデザインもクオリティが高いため、値段は張るものの長く使えるファッションアイテムが購入できます。街行く人々のファッションにも目を配りながら散策したい都市です。
ミラノのドゥオーモ
イタリアのドゥオーモとして特に有名なのが、ミラノのドゥオーモ広場に位置する世界最大級のゴシック建築です。1386年から建設が始められ、戦争による中止を幾度も繰り返しながら、1813年にナポレオン・ボナパルトの命によってフランスの資金で完成させられました。
135本ある尖塔の天辺にはひとつひとつに聖人が立っており、一番高い主尖塔には黄金のマリア像が飾られています。ガレリアを抜けて現れるドゥオーモの外観にも圧倒されますが、内部も必見です。5世紀もの長い歳月をかけて様々な芸術家によって作られた完成度の高さを感じます。絵画のように緻密なデザインが施されたステンドグラスは、キリストやマリアを題材にされています。
天気が良い日には、屋上に上がることをおすすめします。ミラノ市内が一望できる眺めと共に、尖塔や黄金のマリア像を間近で見ることができ、貴重な体験になること間違いなしです。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガレリア
ドゥオーモと並んで、ミラノを象徴するスポットとして数えられるのがヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガレリアです。アーチ型をしたガラス天井のアーケードがドゥオーモとスカラ広場を繋ぎます。
このガレリアは1877年に完成してから現在まで、道の両側にカフェやレストラン、高級ブランド店が並ぶ人気スポットとしていつも賑わいをみせています。天井付近にある絵画や、モザイク模様の美しい道などガレリア全体が美しい芸術品として楽しめます。
スカラ座
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガレリアを抜けていくと、イタリアオペラ界の最高峰として数々の著名なオペラの初演が行われてきたスカラ座があります。
隣接して内部にはスカラ座博物館があり、公演をしていない時間帯にはボックス席からの劇場の内部や、使われてきた衣装、楽譜、ポスターなどをみることができます。時間とタイミングが合えば、オペラ公演を鑑賞するのも忘れられない思い出になりそうです。
ブレラ絵画館
北イタリアのルネッサンス絵画が好きな方に是非訪れていただきたい美術館は、15世紀〜18世紀のロンバルディア派やヴェネツィア派を中心にイタリア絵画の名作が揃う、ミラノを代表するブレラ絵画館です。
ラファエロの『マリアの結婚』や、ジョヴァンニ・ベッリーニの『ピエタ』など、絶対に見ておきたい絵画が多く展示されています。毎月第一日曜日は無料になるので、機会が合えばお得に鑑賞してみてください。
スフォルツァ城
スフォルツァ城は、ルネッサンス期におけるミラノ最大の建物です。スフォルツェスコ城とも呼ばれています。ヴィスコンティ家の居城をフランチェスコ・スフォルツァ侯爵が1450年に改築し、城塞として使われました。
現在は市立博物館として利用され、ミケランジェロの最後の作品である『ロンダニーニのピエタ』などが展示されています。城門から入ると、美しい緑が広がる「武器の中庭」と宮殿をみることができます。
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会
美術品に詳しくない方でも知っているであろう、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』を鑑賞することができるのは、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の修道院の食堂です。サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会と修道院、『最後の晩餐』をまとめて世界文化遺産にも登録されています。
人気の観光スポットでありながら、入ることができる人数が限られているため、予約なしで入館するのには非常に時間がかかります。ネットや電話で予約することができるので、日本で事前に予約しておくことをおすすめします。
ヴェネツィア
イタリアの中でも「水の都」としてユニークな魅力を発揮しているヴェネツィア。車が侵入することを許されていない町の中では、狭い路道をゆったりと歩いていく散策の楽しさを感じられるでしょう。また、お土産や旅の記念に人気の高い、美しいヴェネツィアン・グラスやレースの織物からは、東西貿易の中心地として栄えてきた歴史が伺えます。
ゴンドラに乗って運河から町並みを眺めるもよし、周辺に浮かぶ数々の島まで足を伸ばすもよしと、観光の魅力は行った回数分見つけられ、季節を変えて何度行っても飽きることがない都市です。
サン・マルコ広場
ヴェネツィアを観光する上で、迷ったら目印にしたい基点に最適な美しい広場です。ナポレオンが「世界一美しい広場」だと称賛した広場は回廊のある建物に囲まれながら歴史を感じさせるカフェもあり、居心地が良いスポットとなっています。
イタリア語で満潮を意味するアクア・アルタという現象の影響を特に強く受けるのがヴェネツィアです。アクア・アルタはシロッコという季節風が吹き付ける秋から春にかけて、10月から3月にかけて発生することが多いです。
アクア・アルタの影響によって水浸しの期間は歩行者のために、ギャングウェイという鉄の支柱と木製の厚板で作られた歩道のネットワークがサン・マルコ広場にも作られます。これは通常の歩道よりも120cm程高く設置されますが、時には150cmを超える水位を観測する場合もあるので、注意が必要です。
サン・マルコ寺院
町の守護聖人である聖マルコを祀る、9世紀にエジプトから運ばれた聖マルコの遺体を収めるために建てられた寺院です。現在のサン・マルコ寺院は976年頃から建てられたビザンティン建築で、複数回に渡って補修が行われています。
中央祭壇の後ろには、金色の背障である「パラ・ドーロ」が飾られています。ビザンティン美術の中でも素晴らしい作品とされており、サン・マルコ寺院の中にありながら別料金になっています。
1204年第四回十字軍の略奪品と、1102年にヴェネツィアで作られた琺瑯(ほうろう)を、1343年に結合して作られました。およそ1927個もの宝石が散りばめられた豪華さは、当時の信者たちも現在の私たちも驚かせます。
鐘楼
サン・マルコ広場の建物の中でも一際目を引く、高さ96.8mの鐘楼。シンプルでありながら、美しさが印象的な赤レンガ造りの建築です。
鐘楼内部にはエレベーターがあり、鐘がある高さまで上がることができます。そこからは、サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会やサン・マルコ寺院、運河を含めたヴェネツィアの街全体から、リド島やムラーノ島まで見渡すことができます。
ドゥカーレ宮殿
ベネツィア共和国総督邸兼政庁であったドゥカーレ宮殿は、もともと9世紀に建てられましたが、何度かの火災被害を受けて、15世紀の建物が現在残されています。ヴェネツィア・ゴシック様式の代表的な建築で、内部も「黄金の階段」や、世界最大の油絵と言われるティントレットの『天国』など当時の総督の権力やヴェネツィアの強さを感じさせるつくりです。
また、シークレットツアーに参加すると、牢獄や執務室、溜息の橋を渡ることができます。人気スポットなので、ツアーを予約すると効率よく回ることができるでしょう。
溜息の橋
溜息の橋は、ドゥカーレ宮殿の尋問室と古い牢獄を結んでいる橋で、白の大理石で造られています。現在、ドゥカーレ宮殿の見学の中で内部の階段を下りた際や、パリア橋の上から見ることができます。
かつて、牢獄が使われていた時代、この橋からの眺めは囚人が投獄される前に最後に見ることができる景色でした。ここで囚人たちがため息をついていたことにちなんで、この名前が付けられています。牢獄を見学する際には、囚人たちの気分になって橋から景色を覗いてみてください。
リアルト橋
ヴェネツィアでサン・マルコ広場と並んで賑わいを見せるのが、大運河であるカナル・グランデにかかるリアルト橋です。この周辺はアクア・アルタの被害が少ないため、商業の中心地として古くから人が集まっていました。元々は木製でしたが、安全面の観点から16世紀末に石造りの橋に変えられました。
橋から眺める運河の様子は日中も日が沈んでからも美しく、橋の両側には市場街が広がっています。ヴェネツィアらしさを感じるために一度は訪れておきたいスポットです。
ムラーノ島
ムラーノ島はヴェネツィアングラスで有名な場所です。13世紀当時、東西貿易の中心地として栄えていたヴェネツィアでは貴重なガラス製品を自国で製造しようという考えから、ガラス職人やその家族、ガラス工芸品の販売者をムラーノ島に強制移住させて閉じ込めました。その結果独自のガラス工芸技術が発達し、ヴェネツィアが栄えたと言われています。
どこを撮っても絵になるカラフルな島なので、歩いているだけでもワクワクできるでしょう。ガラス博物館など芸術的な見どころも多くあります。
フィレンツェ
「花の都」と呼ばれてきた華やかなフィレンツェには、現在もルネッサンスの栄光が伝えられる美しい建築や絵画、街並みが残されています。残された街並みの美しさと文化的価値から、市街中心部は「フィレンツェ歴史地区」として、世界遺産に指定されています。
街の至るところで見かける百合の花と丸薬をかたどった紋章は、フィレンツェとルネッサンス芸術の発展を支えてきたメディチ家のものです。美術館巡りや教会巡りが好きな方にとって必見の都市となっています。
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂
フィレンツェで見ておきたい観光スポットといえば、「花の聖母マリア」を意味する、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂です。緻密なデザインと「クーポラ」という大きなドームが特徴的で、晩期ゴシック建築と初期ルネサンス建築を代表するものとして現在もフィレンツェのシンボルとなっています。
白の大理石を基調として、緑やピンクの大理石で幾何学的なデザインが施されている壁面は、間近で鑑賞すると想像以上の美しさに圧倒されるでしょう。至る所に彫刻が施されているので、じっくりと時間をかけて鑑賞していただきたいスポットです。
建設は1296年に始まり、140年以上かかったとされています。建築自体が完成した後も、大聖堂西側のファサードは未完のままで、1800年代後半にようやく現在の様子で完成しました。13世紀から19世紀にかけて作り上げられた貴重な建築です。
大聖堂の中へはいつでも無料で入ることができます。クーポラに上がるためには料金がかかるのでご注意ください。宗教施設のため、露出の多い服装やサンダルでは入場を断られる場合もあります。
ジョットの鐘楼
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のすぐそばに建設されているのが、高さ約85mのジョットの鐘楼です。大聖堂と同様に、白・緑・ピンクの大理石でデザインが施されたゴシック様式の建築となっています。
ジョット・ディ・ボンドーネが設計し、ジョットが亡くなった後も弟子が引き継ぐことで完成させました。デザインや色彩の美しさ、繊細さは今も色あせることなく残っています。414段もの階段で、塔の屋根部分にあるテラスまで上がることもできます。
ウフィツィ美術館
フィレンツェにあるウフィツィ美術館には、フィレンツェにて絶大な権力を握っていたメディチ家歴代の美術コレクションが収蔵されています。レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』や、ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』、『プリマヴェーラ』といった、誰もが知っている有名な作品を間近でじっくりと鑑賞することができます。
イタリアルネサンス絵画を始めとした展示物は2,500点以上で、古代ギリシア、古代ローマ時代の彫刻から、ボッティチェッリ、レオナルド、ミケランジェロ、ラッファエッロなどの巨匠の絵画、それ以前のゴシック時代、以後のバロック、ロココなどの絵画が展示されています。
ウフィツィ美術館の建物は16世紀に建てられた当初、行政機関の事務所として使われていました。当時治めていた初代トスカーナ大公のコジモ1世は、住まいのピッティ宮殿から直接通えるように約1kmもの回廊を造らせました。この回廊にも肖像画コレクションを始めとする700点以上の絵画が飾られています。
ヴェッキオ宮殿
今もなお行政の中心であるシニョーリア広場の周りにある、ヴェッキオ宮殿はかつてのフィレンツェ共和国政庁舎です。現在はフィレンツェ市庁舎として使われながら一部は開放されおり、宮殿内部を見学することができます。
目印になるのは、高さおよそ94mの塔。会議場であった「五百人広間」などには、ミケランジェロの彫刻やヴァザーリ派の絵画が飾られ、美術品を鑑賞する目的で訪れる人も多いスポットです。
ピッティ宮殿
フィレンツェのルネッサンスを代表する宮殿で、トスカーナ大公が住まう宮殿として使われました。商人ピッティが建設に着工したことが名前の由来となっています。しかし、宮殿が完成する前にピッティは亡くなり、約100年後にメディチ家のコジモ1世が買い取ったことで完成されました。
コジモ1世によって造られた「ヴァザーリの回廊」は、現在もウフィツィ美術館まで続いています。宮殿の内部には、ラファエロの作品が収められているパラティーナ美術館や、銀器博物館、近代美術館、衣装博物館、陶磁器博物館などがあり、まとめてピッティ美術館と呼ばれています。
ヴェッキオ橋
ウフィツィ美術館と合わせて立ち寄りたいのが、イタリア語で「古い橋」という意味の名前の通りフィレンツェ最古の橋「ヴェッキオ橋」です。ピッティ宮殿からウフィツィ美術館へ約1km続く「ヴァザーリの回廊」はヴェッキオ橋の上を通っています。
橋としてアルノ川にかかっていますが、日本人が知っている一般的な橋とは少し異なり、橋の上には宝飾店がずらりと並んでいます。賑やかな空間の中で、職人による手作りの金細工や宝石を見て回ることができます。16世紀頃から貴金属の店が立ち並び続けてきたというから驚きです。
少し遠くから見てみると橋の上のアパートが黄色やピンクなどカラフルに彩られていることが分かります。昔から続く歴史と伝統、また現在の観光地としての賑わいを同時に楽しむことができるスポットです。
メディチ家礼拝堂
「新聖具室」と「君主の礼拝堂」の二棟をあわせてメディチ家礼拝堂と呼ばれます。サン・ロレンツォ教会に付属するものとして、16世紀から17世紀にかけて建設されました。
「新聖具室」は、ミケランジェロが設計したもので、彼による『曙』『黄昏』『昼』『夜』の四体の彫刻像が飾られています。建築と彫刻をあわせてミケランジェロの最高傑作の一つに数えられる芸術的なスポットです。
また「君主の礼拝堂」は、政治権力を失っていたメディチ家が富を誇示するために建てた礼拝堂で、歴代トスカーナ大公の墓所となっています。多くの大理石と貴石を使って造られた細工は当時のメディチ家の人々の想いを今に伝えます。
アカデミア美術館
シニョーリア広場やミケランジェロ広場に置かれているダヴィデ像のオリジナルは、アカデミア美術館に収められています。ミケランジェロの彫刻やフィレンツェ派絵画が収められているスポットとして有名で、ダヴィデ像の他にも未完の彫刻である『奴隷』を始め、ミケランジェロの作品が多く展示されています。
ハイシーズンは、インターネットでの予約もすぐに埋まってしまうため、早めに予定を立てておくことをおすすめします。
サンタ・クローチェ聖堂
フランシスコ会の重要な教会として、フィレンツェ最古の広場であるサンタ・クローチェ広場に面して建てられているのがサンタ・クローチェ聖堂です。
教会の内部には、ミケランジェロやマキャヴェリ、ロッシーニ、ガリレオ・ガリレイなど街を代表する有名な人々を祀る墓廟(ぼびょう)があります。さらにドナテッロによる『受胎告知』や、ジョットのフレスコ画『聖フランチェスコ伝』など素晴らしい美術品も多く、広い内部の隅々まで鑑賞しがいのあるものとなっています。
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会
14世紀にドメニコ派の説教の場として造られた、美しい幾何学模様のデザインのファサードが魅力の教会です。フィレンツェで初めてゴシック様式が用いられた建築で、後のフィレンツェ・ゴシック様式に大きな影響を与えました。
奥行きは100m程と非常に広く、マザッチョの『三位一体』や、洗礼盤、スペイン礼拝堂など見どころも多く用意されています。
ナポリ
南イタリアを代表する人気観光エリアのナポリでは、海や青空の美しさ、太陽と人々の明るさにイタリアらしさを強く感じることができます。古代ギリシア時代からイタリア統一まで、様々なヨーロッパの地域の人々に支配されてきたナポリには積み重ねられてきた歴史と伝統が感じられる古城や博物館が揃います。
また、ナポリではスパッカ・ナポリという下町で、ピッツァやクロケッタなどのグルメを味わうのも忘れてはいけないでしょう。「ナポリを見て死ね」という名言があるほどに、景色も人々も魅力的です。
国立考古学博物館
ギリシア・ローマ美術に興味がある方にとって必見の博物館は、古代文明の美術品を多く収める国立考古学博物館です。紀元前の作品であることを考えると、当時の美術レベルの高さに圧倒されます。
紀元前4世紀の模刻『ファルネーゼのヘラクレス』や、メノウの細工が施された紀元前2世紀の『ファルネーゼの皿』、ポンペイで発掘された大モザイク画『アレクサンドロ大王の戦い』など、ポンペイやエルコラーノの古代の歴史をより深く知ることができる作品が展示されています。
国立カポディモンテ美術館
18世紀に建てられた宮殿を利用した美術館です。2階にはマザッチョの『磔刑図』などをはじめとしたルネッサンス絵画や陶磁器のコレクション、3階にはカラヴァッジョなどナポリ派の名作、4階には近・現代の作品が展示されています。
緑が美しい庭園は、ベルサイユのトリアノン庭園がモデルとなっています。丘から見下ろすナポリの街並みも素敵です。
王宮
12世紀にナポリ王国を建国したノルマンのルッジェーロ王からヴィットリオ・エマヌエーレ2世まで、8人のナポリ王の立像が並んでいます。現在残る建物はスペイン治政下の17世紀に造られ、18世紀頃からはナポリ王が住んでいました。
建物の内部は王宮歴史的住居博物館になっていて、かつてのナポリ宮廷の様子を伝える絢爛豪華な空間に、肖像画やフレスコ画といった絵画や調度品が展示されています。
ヌオーヴォ城
ヌオーヴォ城は中世の13世紀に建てられた、ルネッサンス建築の城です。フランス王国のアンジュー地方を統治した貴族である、アンジュー家の城として建てられたため、フランスのアンジェ城がモデルになっています。
現在に残っているのは、15世紀にアラゴン家によって再建されたものです。5つの円筒状の塔と高い城壁からは強い重厚感を与えられます。城内は市立美術館になっており、ナポリ派の彫刻や絵画、城の凱旋門にある青銅扉のオリジナルが展示されています。
卵城
美しい海岸で歌にもうたわれているサンタ・ルチア地区にある、12世紀の古城がカステル・デル・オーヴォという卵城です。城と聞いてイメージする見た目とは少し異なる、要塞のような重厚な佇まいが特徴です。
卵城の屋上から眺めるナポリ湾とヴェスーヴィオ火山はまさに絶景。無料で入れるため、ナポリの人々のデートスポットとしても人気があります。
ナポリのドゥオーモ
旧市街の中でも必ずチェックしていただきたいのが、ナポリの守護聖人であるサン・ジェンナーロが祀られている教会です。ナポリの人々の信仰が最も集まるところとなっています。
このドゥオーモが有名なのは、年に二回開催される祭りの日に起こる奇跡が理由となっています。その奇跡というのは、毎年5月の第一土曜日と9月19日には、小さな壺に入った聖ジェンナーロの血が、液状化するというものです。祭りの日は盛大な行事が行われ、街全体が祭りの喜びにあふれます。
国立サン・マルティーノ美術館
教会や回廊、中世ナポリでの人々の暮らしを感じられる貴重な資料が展示されている美術館です。中に位置する教会は、ナポリ・バロック様式の中でも最高傑作の一つに数えられるもので、金・銀に装飾された天井や緻密なフレスコ画は見るものを圧倒させます。
元々は14世紀に建てられた旧修道院でしたが、16世紀の改築でバロック建築を代表するものとなりました。奥に位置する庭園からは王宮からメルジェリーナ港までの絶景を望むことができます。
その他
イタリアには5大都市以外にも、魅力的で人気の高い観光名所・エリアが存在します。美しい自然と陽気な人々に癒される南イタリアの絶景から、フィレンツェと同じくトスカーナ州に位置する斜塔が有名なピサまで、一度の観光ではなかなか回りきることができないかもしれません。何度でもイタリアを訪れたくなる魅力的なスポットをいくつかご紹介します。
ピサの斜塔@ピサ
トスカーナ州ピサ市にあるイタリア屈指の観光名所です。「ピサのドゥオモ広場」の一部として世界遺産にも登録されています。1173年から作られ、1372年まで3度に渡って建設されてきたロマネスク建築の塔です。しかしながら、地盤の土質が非常に不均質であったために最初の工事が終わった時に既に傾いており、そこから傾斜が修正できないまま塔の南側が大きく沈んだ形で完成しました。
斜塔の高さは地上55.86m、階段は296段あります。元は5.5度傾いていましたが、安全上の問題から1990年から2001年にかけて工事が行われ、現在は約3.99度の傾きとなっています。少し遠くから斜塔を支えるような構図で写真を撮るのが定番です。
ジュリエッタの家@ヴェローナ
誰もが知るシェイクスピアの悲劇『ロミオとジュリエット』の舞台になったヴェローナには、ジュリエッタの家があります。建物内部も見学可能で、映画で使用されたベッドや映画の写真が展示されています。
また、ジュリエッタの家の中庭には「ああ、ロミオ、ロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」という台詞でも有名なシーンに登場するバルコニーとブロンズのジュリエット像があります。このブロンズのジュリエット像の右胸に触れながら恋の願い事をすると、その願いが叶うというジンクスもあり、周辺はいつも賑わっています。
プッブリコ宮@シエナ
フィレンツェと並んでトスカーナを代表する古都シエナの町の中心は「カンポ広場」という美しい扇状の広場です。このカンポ広場に面して、市庁舎として用いられてきたプッブリコ宮が建っています。
14世紀の彫像も一部残っているルネッサンス様式の建物に繋がる形で、マンジャの塔と広場の礼拝堂があります。現在宮殿内の2階は私立美術館となっており、シモーネ・マルティーノをはじめとするシエナ派のコレクションが展示されています。
青の洞窟@カプリ島
日本人にも有名なカプリ島は、透明度の高い海水に反射する光とコバルトブルーの景色が美しく、神秘的な魅力を感じることができます。天気や波の高さによって洞窟内に入ることが出来ない場合も多いので、ご注意ください。太陽光の関係で、午前中に行く方が美しい景色を楽しめると言われています。
マリーナ・グランデ港から船またはバスで向かい、そこから手漕ぎボートに乗り換えて洞窟に入ります。波しぶきを浴びる可能性があるので、濡れても良い服装で訪れることをおすすめします。
アマルフィ海岸@アマルフィ
世界一美しい海岸と言われるアマルフィ海岸は、世界遺産にも登録されています。ローマ帝国の時代から人々に愛されている温暖な気候と日差し、そして青い海は、南イタリアらしさを強く感じるでしょう。
アマルフィ海岸と一言にいっても範囲は広く、ナポリ湾に面するソレントからサレルノまで、約50kmの海岸線が続きます。アマルフィを中心にポジターノやソレント、ラヴェッロなど、それぞれ地域によって異なる町並みをゆったりと楽しんでみてはいかがでしょうか。
トゥルッリの町並み@アルベロベッロ
高い円錐形の屋根と真っ白に塗られた壁が特徴的な、トゥルッリが立ち並ぶ町並みは散策にぴったりな観光地です。「アルベロベッロのトゥルッリ」として、世界文化遺産にも登録されています。
静かに観光したい場合はアイア・ピッコラ地区、観光地としての賑わいを楽しむのであればトゥルッロ・ソヴラーゾ周辺がおすすめです。
神殿の谷@アグリジェント
ギリシアの遺跡が残る町、アグリジェントは考古学地域が世界文化遺産に登録されています。町の中心から3km程離れたところに位置する神殿の谷には、なだらかな斜面に古代ギリシアの遺跡が残ります。
アグリジェントのシンボルであるシチリア最大の神殿、コンコルディア神殿をはじめ、紀元前5世紀頃の建築物を見ることができます。エルコレ(ヘラクレス)神殿やディオスクロイ(カストール・ポルックス)神殿など、一度は地震や敵軍の攻撃で崩れてしまったものも復元されて残る、当時を伝える貴重なスポットです。
イタリア各地のご当地グルメ
ミラノ
ミラノ風カツレツ
ミラノ風カツレツはイタリア語でコトレッタ・アラ・ミラネーゼという名前を付けられ、子牛肉を叩き伸ばしたものに小麦粉、溶き卵、パン粉をつけ、たっぷりのバターもしくはオリーブオイルで揚げ焼きしたもののことを言います。トマトソースなどはかけずに、レモンでバターの香りを引き立てるのがミラノのカツレツです。
ミラノ風リゾット
リゾットは牛や豚からとった出汁をたっぷりと使ったサフランライスです。イタリア全土で食べられているトマトが入ったスープ、ミネストローネも各地でそれぞれの味わいが比較できる料理ですが、お米をよく消費するミラノでは、ミネストローネにもセロリやいんげん、玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、キャベツなどの野菜と共にお米を入れて作られます。
フィレンツェ
フィレンツェ風Tボーンステーキ
フィレンツェの名物料理にはビステッカ・アッラ・フィオレンティーナというフィレンツェ風Tボーンステーキがあります。ビステッカは基本1枚1kg〜1.5kgほどあるので、シェアして食べるのが前提です。炭火やグリルで調理され、柔らかさと旨みが最も感じられるレア(アル・サングエ)で提供されます。
他にも名物料理としては、リボッリータなど豆と野菜を使った田舎料理が挙げられます。農業が盛んなトスカーナ州では、素材の美味しさを存分に活かした料理が多く食べられます。
トリッパ
伝統的な料理として、牛の胃袋(ハチノス)のトマト煮込みであるトリッパがフィレンツェではよく食べられています。モツの概念が変わるほどにクセがなく、食べやすいのが特徴です。赤ワインとの相性もバッチリですよ。パニーニに挟んで食べる「パニーニスタイル」と、そのまま食べる「バスケッタスタイル」があります。気軽に味わえる屋台ではパニーニスタイルが多く見受けられます。
ローマ
パスタ
カルボナーラやアマトリチャーナはローマのパスタです。本場のカルボナーラは日本でよく食べられているものと異なり、生クリームは使用せずに、卵、チーズ、グアンチャーレ(豚ほほのベーコン)のみで作られます。ぜひ本場ならではの濃厚な味わいを堪能してみてください。
ピッツァ
ローマで食べられているピッツァは、パリパリ、サクサクのクリスピータイプです。薪と窯を使って焼かれたピッツァには、鮮度が重要なモッツァレラチーズがたっぷりと載せられます。
ローマのピッツァは元々軽い夕食として食べられてきたものですが、現在では昼間に営業するピッツェリアも多くあります。立ち食いの店から高級店まで、値段も形式も様々です。
ジェラート
イタリアの各地で食べられるジェラートですが、美味しいジェラート店が揃っているのはやはり首都ローマです。フルーツのフレーバーや、日本ではなかなか味わうことの出来ないフレーバーがショーケースにズラッと揃います。
イタリアならではの味の例としては、ヘーゼルナッツのノッチョラや、チェリー味のアマレナ、ティラミス、ピスタチオのピスタキオなどが挙げられます。カップに山盛りにのせてくれるため、サイズを欲張りすぎないようにご注意ください。
ナポリ
ピッツァ・マルゲリータ
モチモチとした厚めの生地がナポリのピッツァの特徴です。ナポリのご当地グルメでは、イタリアンのイメージ通り、トマトやモッツァレッラチーズをたっぷりと使った料理が多く登場します。
ナポリで一番人気のピッツァはマルゲリータです。トマトソースにモッツァレラチーズとバジリコをのせた日本人にも馴染みのある味なので、メニューに迷ったらマルゲリータを選んでみてください。ピッツェリアが集中しているのは、スペイン人地区やスパッカ・ナポリです。どの店にも薪を燃やす窯が用意されています。
ヴェネツィア
イカスミパスタ
スパゲッティ・ネーロという名前でも知られているイカスミのパスタは、ヴェネツィアが発祥の名物料理です。ヴェネツィアのレストランの多くで味わうことができます。オリーブオイルや唐辛子、ニンニク、トマトを使ったイカスミソースを太めの麺に絡ませる絶品料理です。
水の都であるヴェネツィアはやはり魚介料理、タラのパテ、そしてヴェネツィア風レバー煮込みなどが名物です。またバーカロという立食形式の居酒屋に立ち寄って、チケッティと呼ばれる一口サイズのおつまみとワインを注文すれば、すぐにヴェネツィアらしさを満喫する事ができますよ。
ティラミス
「私を元気づけて!」という意味を持つ"Tirami su!" が語源の幸せになるデザートは、北イタリア発祥とされています。エスプレッソを染み込ませたビスコッティ・サヴォイアルディを敷き詰め、「ザバイオーネ」というカスタードソースとマスカルポーネクリームとを合わせたものと層にします。
ヴェネツィアのレストランのデザートにも多く用意されていますが、おしゃれなカフェテラスも多いので、カフェタイムに大人のおやつとして頂くのもおすすめです。
イタリアへのアクセス・所要時間
- 成田〜ローマ
約12時間15分〜13時間
毎日運行 - 成田〜ミラノ
約12時間10分〜12時間45分
夏季は毎日、冬季は週に5便の運行
いずれも直行便の場合です。
イタリアの空港紹介
イタリアへの直行便が就航しているのは、ローマ・フィウミチーノ空港(レオナルド・ダ・ヴィンチ空港)と、ミラノ・マルペンサ空港です。今回はこの二つの空港から市内へのアクセスや所要時間をまとめてご紹介します。
ローマ・フィウミチーノ空港(レオナルド・ダ・ヴィンチ空港)
イタリア最大規模の空港はローマ郊外のフィウミチーノ空港市にあります。別名レオナルド・ダ・ヴィンチ空港とも呼ばれています。成田とローマ・フィウミチーノ空港はアリタリア航空の直行便だと約12時間15分〜13時間、モスクワ経由の便では約15〜16時間の所要時間です。
フィウミチーノ空港からローマの市内へは、鉄道やタクシー、バスで移動することができます。鉄道はfs線のフィウミチーノ駅が空港出口から標識に従って進むとあります。タクシーはフィウミチーノ空港から市内まで、人数や荷物、多少の距離に関係なく、定額で運んでくれる定額制が導入されています。事前にタクシーの車体に表示されている料金を確認してください。
ミラノ・マルペンサ空港
所要時間は成田からの直行便で約12時間10分〜12時間45分です。夏季は毎日、冬季は週に5便の運行となっています。ターミナルは2つあり、国際線を含むLCC以外の航空会社はターミナル1が使われます。
マルペンサ空港から市内へは、バスや列車が運行しています。ミラノの中央駅へはシャトルバスが便利です。また他の町へ移動する場合は、列車のマルペンサ・エクスプレスをおすすめします。空港駅はターミナル1の地下にあります。
イタリアの年間イベント情報
1月
エピファニアの祝日
毎年1月6日に開催される年初めの宗教行事「エピファニア」は、日本では公現祭と呼ばれています。イタリアでは、エピファニアの日に子どもたちはおもちゃのプレゼントを貰います。これは東方の三博士がイエスに贈り物をもってきたという聖書の記述に基づいたものです。
5日から6日にかけての夜中に、べファーナという魔法使いがほうきに乗って、子どもたちの靴下にプレゼントを届けます。良い子にはお菓子やキャンディ、悪い子には石炭が入るという言い伝えがあります。クリスマスはエピファニアとは別で、サンタクロースがクリスマスツリーの下にプレゼントを置いていきます。またこの翌日からクリスマスの飾り物が片付けられる、イベントの終わりを告げる日でもあります。
2月
ヴェネツィアのカーニバル
ヴェネツィアの伝統的なイベントであるカーニバルには、仮面と衣装を身にまとった人々が参加します。毎年この時期には約300万人もの人が訪れていると言われる一大イベントです。きっかけは1162年にアクイレイアの総主教との抗争でヴェネツィアが勝利したことでした。18世紀頃に一時衰退してしまったカーニバルを1979年に復活させ、現在も続いています。
サン・マルコ広場には色とりどりの仮面や衣装を身につけた人で賑わいます。顔にペイントを施したり、衣装を身にまとって写真撮影をしてみてはいかがでしょうか。イベント期間で最も注目されるのが、最終日のコンテストです。このコンテストでは最も素敵な衣装とマスクをした人が選ばれます。
聖ヴァレンティーノの祭り
ウンブリア州テルニには、バレンタインデーの元である聖バレンタイン教会があります。3世紀頃のキリスト教の聖職者であるウァレンティヌスは、キリスト教の信仰を捨てずに2月14日に殉教したとされています。
そのため、毎年2月14日は休日となり、守護聖人であるウァレンティヌスを祝うために、聖バレンタイン教会には朝から晩まで聖人の棺に参拝客が行列を作り、ミサが行われます。また、当日は教会の横に出張郵便局ができ、毎年異なるデザインの聖バレンタインの切手とスタンプで愛しい人にカードを送ることができるという特別なイベントも行われます。
アーモンドの花祭り
まるで桜のような花をつけているのは、春の訪れを告げるアーモンドの花です。毎年2月頃から暖かいシチリアで花をつけます。アグリジェントに残る古代ギリシャ神殿遺跡が立ち並ぶ、世界遺産の「神殿の谷」でもアーモンドの花が遺跡の周りを彩ります。
アーモンドの花が咲く時期に世界平和を祈念するフォークロアをテーマとして開催されるアーモンドの花祭りでは、世界各地からフォークロアグループが集まり、10日間ほどかけて盛り上がりを見せます。
4月
ヴィニタリー
イタリアワイン好き必見の国際ワイン&スピリッツ見本市が、毎年ヴェローナで開催されます。このイベントは元々、1933年にトスカーナ州シエナで開催された、イタリア初の全国ワインの展示会「モストラ・メルカート ヴィーニ・ティピチ・ディタリア」を起源とするものです。1967年からはシェイクスピアのロミオとジュリエットの舞台でもあるヴェローナに場所を移して「ヴィニタリー」という名前で50年以上続いています。
年々イタリアワインもフランスワインに負けない程にクオリティーが上がっていると評判です。イタリアの全州でワインを作っているため、ブドウの品種やその年の出来具合を含めてバラエティーに富んでいるのがこのワイン展の魅力となっています。4,000社以上のワインが揃うため、開催される4日間全てかけても回りきることは出来ません。事前に予習をして、是非お目当のワインを試飲してみてください。
復活祭
パスクアと呼ばれる復活祭は、太陽暦に基づく「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に日付が定められます。本番は日曜日に行われますが、その前の日曜日から一週間かけて「聖週間」と呼ばれる期間を過ごします。聖金曜日からは肉を食べないで、または断食をしてキリストの復活を祈る期間です。復活祭当日は子羊をメインに豪華な食事で祝います。
イタリアの復活祭にもイースター・エッグが登場します。卵の形をしたチョコレートで、中にはプレゼントが入っています。また復活祭の翌日の月曜日は、パスクエッタという祝日で、戸外でピクニックをする日です。復活祭の時期の観光はお店やレストラン、教会が休業している場合も多いため注意が必要です。
5月
カレンディ・マッジョ
ウンブリア州アッシジにて、毎年5月の第一木・金・土曜日に開催される市民のための春祭りです。期間中は中世の衣装に身を包んだ人々で、町中が賑わいます。アッシジの祭りの中で最も大きなイベントであり、市民は1年間かけて祭りの準備をします。
15時から18時までコムーネ広場を中心に開催され、中世の時代に上部と下部に二分されていたアッシジの対立する党をそれぞれ赤と青のシンボルカラーで表し、踊りや劇で闘争の様子を再現します。21時半からは夜のパレードが町をさらに盛り上げます。中世のイタリアにタイムスリップすることができる貴重なイベントです。
フィレンツェ5月音楽祭
フィレンツェでは、「マッジョ・ムジカーレ・フィオレンティーノ」という世界でも有数の音楽祭が開催されます。1933年に指揮者のヴィットリオ・グイによって創設され、1937年からは第二次世界大戦中を除いて毎年開催されるようになりました。当初は現代オペラや忘れられてしまったオペラを多くの人々に鑑賞してもらうことを目的に始められたと言います。
現在4月から7月にかけて、オペラやバレエなど非常に多くのプログラムが上演されます。オペラは主に市立劇場であるコムナーレ劇場と、小規模オペラ向けのコムナーレ小劇場、伝統的なペルゴーラ劇場で上演されます。
6月
インフィオラータ
インフィオラータは、聖体行列が進む参道を花で浄めるという800年近く前からの習慣が現在もイベントとして根付いている、花を敷き詰めるイベントです。キリスト聖体祭当日の日曜日にイタリアの各地で行われ、街中の道、約200mが花びらの絨毯に覆われます。イベントの前日の午後からチョークで下絵描きが始まり、当日の朝に花びらが一気に敷かれます。聖体の行列が通ったあとはすぐに子どもたちによって蹴散らされるため、一瞬の美しさを逃してはいけません。
このインフィオラータの元祖と言われているのが、ジェンツァーノで行われる花祭りです。ローマから近いので海外の観光客も前日から当日にかけて多く訪れます。聖堂へと続くイタロ・ベラルディ通りが花のカーペットで鮮やかに彩られる様子は圧巻です。
野外オペラ(アレーナ・ディ・ヴェローナ オペラ祭)
ヴェローナの夏の風物詩とも言えるイベント「アレーナ ディ ヴェローナ」は、1世紀初頭に建設された古代ローマ円形競技場をそのまま劇場として使う野外オペラです。上部が崩れてしまった現在も、約2万人を収容する大規模な劇場です。
オペラが始まると客席にあるキャンドルに火を灯して、星空の下で鑑賞します。大きな舞台を利用して、6月下旬から8月末まで、毎年約40~45公演が催されます。演目はアイーダやカルメンなど、国内外を問わず誰もが知るオペラからオーケストラコンサート、バレエ公演まで様々です。
7月
パリオ
トスカーナ州のシエナにて、毎年7月2日と8月16日に開催されて約4万人を動員する世界的な伝統行事です。シエナの中心街にあるカンポ広場で催されます。夕方からはきらびやかな中世装束を身にまとったパレードが始まり、その後にイベントのメインである競馬のレースが行われます。
元々パリオの起源は聖母マリアの被昇天を讃えるもので、12世紀まで遡ります。17つの地区に分かれたコントラーダごとに団結して、競馬で競い合います。広場で見物する分にはチケット不要ですが、3時間前から入場不可となるため、早めに場所取りをする必要があります。
8月
ヴェネツィア国際映画祭
カンヌ国際映画祭・ベルリン国際映画祭と並んで、世界三大映画祭に数えられるイベントであり、また中断期間を含めると世界最古の映画祭です。1932年のヴェネツィア・ビエンナーレという国際美術展で、映画部門が開始されました。
現在も毎年8月から9月にかけてヴェネチアのリード島で開催され、注目を集めています。カンヌと比べて招待状が要らず、カジュアルに参加することができます。注目作品は事前にチケットを購入する必要がありますが、当日券も多く販売されているため、気軽に訪れてみてはいかがでしょうか。
9月
ルミナーラ
ルミナーラ・デ・サンタ・クローチェとは、トスカーナ州ルッカで毎年9月13日に行われる光のお祭りです。ルッカの街の守護聖人であるサンタ・クローチェの祭日の前夜祭として開催されます。城壁が守る街中では、普段使用している電気を全て消され、一つ一つ手作業で取り付けられたキャンドルによって照らされた街を人々がロウソクを手に歩きます。
このルミナーラで、サン・マルティーノ大聖堂に祭られている「聖なる御顔」のキリスト像が、サン・フレディアーノ教会からサン・マルティーノ大聖堂まで行進します。日本では決して体感することのできない幻想的な夜を求めて、時期が合えばルッカまで足を運んでみてください。
10月
トリュフ国際見本市@ピエモンテ
ピエモンテ州アルバでは、1928年以来毎年、白トリュフの国際見本市が開催されます。期間中は毎週土曜日と日曜日に大規模なトリュフマーケットが開かれ、最高級のトリュフや様々な種類のトリュフが販売されます。ピエモンテ州アルバで採れる白トリュフは希少価値が高く、価格も黒トリュフの4~6倍もするのでなかなか日本では味わうことができない貴重なものです。
ユーロチョコレート@ペルージャ
中世の街・ペルージャにて、25年以上続くヨーロッパ最大級のチョコレートのイベントです。イタリア国内のショコラティエだけでなく、ヨーロッパ各地の人気チョコレートが集結し、期間中の10日間は街全体がチョコレートの甘い香りに包まれます。チョコの量り売りからチョコやドーナッツ、チョコレートファウンテンなど歩いてみて回るだけでも楽しめるイベントとなっています。
12月
クリスマスマーケット
毎年11月末から12月にかけて北イタリアを中心に各地でクリスマスマーケットが行われます。イタリアのクリスマス「ナターレ」では、キリスト生誕をモチーフとしたプレゼーピオという人形を飾ってお祝いします。このプレゼーピオをはじめとするオーナメントや、パネットーネなどのお菓子、子ども用のおもちゃがマーケットでは並んでいます。マーケットでホットワインを片手に食べ歩きを楽しむのもおすすめです。
12月25日のクリスマス当日は家族が集まって、クリスマスランチを楽しむのがイタリアの伝統です。そのため、街は閑散としてレストランが閉まっている、また公共機関も早めに運行終了する場合も多いため、観光で訪れている場合は注意が必要です。
イタリア観光の移動手段
各都市間の移動は、ツアーの多くはバスでの移動になりますが、それ以外は飛行機や特急電車を利用します。
特急電車にはユーロスター・イタリアやインターシティなどが挙げられます。ユーロスター・イタリアは、ローマやフィレンツェ、ミラノ、ベネチア、ナポリなどの主要都市を結んでイタリアの国内を横断する高速列車です。普通運賃と特急料金が必要となる全席指定席で、主に一等車と二等車と分かれたグレードが存在します。インターシティは、ユーロスター・イタリアよりも停車駅が多い分、料金が安い特急電車です。こちらも普通運賃と特急料金が必要となります。
また、ローマの市内を移動する場合には、市内全域を網羅しているバスや周辺部を走るトラム、2路線ある地下鉄が便利です。地下鉄、バス、トラムの切符は共通で利用することができます。水の都 ベネチアは自動車は全て入ることができないため、特殊な交通事情となっています。ヴァポレットという水上バスや水上タクシーを使って運河を移動します。ヴァポレットはサンタ・ルチア中央駅やローマ広場、マルコ=ポーロ空港などに繋がっています。
日本とイタリアを直行便で移動するためには、ローマ郊外にあるフィウミチーノ空港(レオナルド・ダ・ヴィンチ空港)と、北部にあるミラノのマルペンサ空港の二つの空港を利用します。ローマやミラノ以外から向かう場合には、乗り継ぎ便もしくはローマかミラノに一度直行便で向かって経由する必要があります。
現在日本とイタリアを直行便で繋いでいる路線はアリタリア航空のローマ行き・ミラノ行きの2路線のみです。ヴェネツィア、フィレンツェ、ナポリ、シチリア島、サルデニア島などイタリアの各地に空港があるため、エリア間での移動にも空路を使う場合が多くあります。直行便は乗り継ぎ便よりも所要時間が短く済みますが、料金が高くなる傾向にあるため、求める要素に合わせて選択することが必要です。
お得なフリーチケット
ユーレイル
鉄道を使って移動する方におすすめなフリーチケットです。オンラインで事前に購入することができます。種類としては、国外も利用できるユーレイル・グローバルパスと国内に限定したユーレイル・イタリアパスの2種類があります。
ヨーロッパの様々な国を鉄道で旅したいという方向けのグローバルパスだと、加盟している28ヵ国の国鉄や代表的な鉄道が乗り放題になります。また、イタリアパスはトレニタリア(fs線)の列車を利用することができます。27歳以下はよりお得なユース割引価格で購入できるので上手く活用してみてください。
ローマパス
3日間ローマ市内のバスや地下鉄といった公共交通機関が乗り放題になるほか、多くの博物館や美術館を無料または割引で利用することができる、お得なパスです。切符を購入する手間や、切符売り場の列に並ぶ必要が無いという便利さもおすすめする理由となっています。
コロッセオや人気の美術館は、ローマパスを利用する際に予約必須なので、事前に確認してからご利用ください。
フィレンツェカード
5箇所以上の美術館を巡る旅であれば、フィレンツェカードが便利です。72ヶ所もの美術館・博物館が3日間自由に入館できるようになります。切符売り場の混雑を避けることができるのが嬉しいポイントです。
フィレンツェカード自体は72ユーロですが、さらに5ユーロを追加すると市内のバスなどの交通機関が乗り放題になります。
イタリアのおすすめホテル10選
アリストンホテル(Ariston hotel)
基本情報
【住所】Via Filippo Turati, 2-64, 00185 Roma RM, イタリア
【Wi-Fi】全室使用可
【子供連れ】0歳から可能
【ペット】可能
フォー ポインツ バイ シェラトン ミラノ センター(Four Points Sheraton Milan Center)
基本情報
【住所】Via Gerolamo Cardano, 1, 20124 Milano MI, イタリア
【Wi-Fi】全室使用可
【子供連れ】0歳から可能
【ペット】可能
ホテル モルガナ(Hotel Morgana)
基本情報
【住所】Via Filippo Turati, 33-37, 00185 Roma RM, イタリア
【Wi-Fi】全室使用可
【子供連れ】0歳から可能
【ペット】可能
MH フローレンス ホテル & スパ(MH Florence Hotel & Spa)
基本情報
【住所】37, Via Luigi Alamanni, 50123 Firenze FI, イタリア
【Wi-Fi】全室使用可
【子供連れ】0歳から可能
【ペット】可能
C ホテルズ ディプロマット(C-HOTELS DIPLOMAT)
基本情報
【住所】Via Luigi Alamanni, 9, 50123 Firenze FI, イタリア
【Wi-Fi】全室使用可
【子供連れ】0歳から可能
【ペット】可能
ホテル アマデウス(Hotel Amadeus)
基本情報
【住所】Rio Terà Lista di Spagna, 227, 30121 Venezia VE, イタリア
【Wi-Fi】全室使用可
【子供連れ】0歳から可能
【ペット】可能
リバー パレス ホテル(River Palace Hotel)
基本情報
【住所】Via Flaminia, 33, 00196 Roma RM, イタリア
【Wi-Fi】全室使用可
【子供連れ】0歳から可能
【ペット】可能
スターホテルズ アンダーソン(Starhotels Anderson)
基本情報
【住所】Piazza Luigi di Savoia, 20, 20124 Milano MI, イタリア
【Wi-Fi】全室使用可
【子供連れ】0歳から可能
【ペット】可能
ホテル ルナ コンヴェント(Hotel Luna Convento)
基本情報
【住所】Via Pantaleone Comite, 33, 84011 Amalfi SA, イタリア
【Wi-Fi】全室使用可
【子供連れ】0歳から可能
【ペット】可能
ホテル ミケランジェロ(Hotel Michelangelo)
基本情報
【住所】Piazza Luigi di Savoia, 6, 20124 Milano MI, イタリア
【Wi-Fi】全室使用可
【子供連れ】0歳から可能
【ペット】可能
イタリアのおすすめ旅行プラン10選
よくある質問Q&A
飛行機でどのくらいかかりますか?
日本から飛行機で直行便の場合、所要時間は約12時間〜13時間ほどかかります。しかし、乗り継ぎ便だとさらに時間を要します。時差はマイナス8時間(サマータイムはマイナス7時間)です。
イタリアの気候はどうですか?
イタリアは温暖で雨の少ない地中海性気候に属されています。雨は比較的冬に降りやすくなります。気温の変化や四季の変化は日本とよく似ており、ローマやミラノに行く場合は、日本に合わせた服装でちょうど良いです。しかし朝と夕方での寒暖差が激しく、また細長い形をしたイタリア半島は、南北で気候に差があります。温度調節しやすい服装で行くことをおすすめします。
何泊くらいが最も楽しめるでしょうか?
イタリアは周囲の国を含めて時間と予定の調整が行いやすいので、目的に合わせた泊数を選ぶことをおすすめします。定番の3・4都市程度を巡るのであれば、5泊(5泊7日)が望ましいです。しかし、1都市に絞って観光するのであれば、2泊(2泊5日)の短い旅行でも楽しむことが出来ます。
また、長期滞在できる場合には、主要な都市が集まる中央イタリアだけでなく、南イタリアまで足を伸ばして観光する7泊(7泊9日)の旅行をおすすめします。
美術館巡りをするのに適した時期はいつごろなのでしょうか?
美術館巡りに絞った旅行をするのであれば、サマータイムが実施されていない11月から3月にかけてのオフシーズンをおすすめします。基本的にイタリアを含めてヨーロッパに旅行される際には、観光の時間を長く取れるサマータイムが実施されている3月末~10月末の期間中をおすすめしていますが、美術館を含めてどの観光スポットも非常に混雑します。その点において、オフシーズンですとオンシーズンに対して観光客が少ないため、著名な作品も人混みを気にせずに時間をかけて鑑賞することができます。
夏はどのように楽しむのがおすすめですか?
夏のイタリアは、日没が遅いため、夜遅くまでたっぷりとアクティビティを楽しむことができます。フィレンツェで開催される音楽祭や、ヴェローナ、カラカラ浴場などで行われる野外オペラは、夏のカラッとした過ごしやすい気候と美しい星空と合わせて貴重な鑑賞になるでしょう。
秋はどのように楽しむのがおすすめですか?
イタリアも秋は食欲の季節です。ポルチーニやブドウ、オリーブ、栗、白トリュフなど日本で馴染みのあるものから、今まであまり食べたことがないものまで、秋に旬を迎える味覚はたくさんあります。美味しいグルメを求めて、マーケットを訪れたり、美味しいレストランに足を運ぶことをおすすめします。