金沢ってどんなところ?
北陸・石川県にある金沢は、加賀藩の藩祖である前田利家公が金沢城に入城したのち、お城を中心に城下町として整備されていった街です。
今もなお、風情ある古い町並みや建物が数多く残っています。また、伝統工芸やお茶・能楽といった伝統文化や食文化など、たくさんの魅力が訪れる人を待っています。日本らしい雰囲気を感じさせる金沢は、海外からの観光客も多く訪れる人気の観光地です。
北陸新幹線が開通していることから、首都圏からのアクセスも良く、東京、名古屋、大阪のいずれの都市からも鉄道で2時間半ほどと、気軽に行くことができるのも魅力となっています。
金沢旅行の見どころ
金沢の3つの風情ある茶屋街をめぐる
金沢には、加賀藩城下町の名残りとして、2階建ての出格子の美しいお茶屋建築が軒を連ねる古い町並みが保存されています。金沢市東山に広がる「ひがし茶屋街」は、金沢でも特に人気の観光スポットで、お茶屋建築を利用したおしゃれなカフェやショップなどが多くあり、ショッピングやグルメが楽しめます。
「ひがし茶屋街」から近い「主計町(かずえまち)茶屋街」は、金沢出身の文豪・泉鏡花ゆかりの地で、昔ながらの町並みや入り組んだ小路など写真映えするスポットが点在します。そして、犀川(さいがわ)を渡った場所にある「にし茶屋街」は、今もなお、芸妓さんが活躍している茶屋街で、お茶屋の雰囲気が色濃く感じられます。周辺にはお寺も数多く建っています。
兼六園で日本庭園の美しさを知る
金沢といえば、やはり「兼六園」ではないでしょうか。加賀藩主前田家の庭園は、日本三名園としても有名で、国の特別名勝にも指定されています。春の桜や、初夏のホタル、秋の紅葉、そして冬の雪景色と四季おりおりの風景を眺めながら名園をめぐり、日本の美を感じることができます。
雪深い北陸金沢の冬の風物詩ともなっている「雪吊り」を施された木々が雪をかぶる景色は、特に美しく幻想的です。
着物に着替えて古い町並みを歩く
城下町の古い町並みには、やはり日本の着物が似合います。金沢市内には、着物レンタル店が数多くあります。手ぶらででかければ、プロの着付け師さんやお店のスタッフが小物選びまでコーディネートや着付けをしてくれます。
どのお店も着物の品揃えが豊富なので、好みのタイプの着物が見つけられます。レトロな着物や金沢の伝統工芸品である「加賀友禅」を着て出かけることもできます。金沢を訪れたら、着物を着て、歴史を感じながら散策したり、風情あるフォトスポットでの記念撮影を楽しんでください。
海の幸からB級グルメにスイーツまで!グルメを堪能する
金沢は日本海が近く、冬の味覚である「加能がに」や「香箱がに」をはじめとする新鮮で豊富な海の幸が堪能できます。「近江町市場」では、冬になるとかにが並ぶ光景が見られます。また、豪華な海鮮丼やお寿司も堪能できます。
金沢の伝統野菜の「加賀野菜」や伝統工芸の金箔を贅沢にのせたソフトクリームなども金沢ならではの味です。また、独特の進化を遂げた「金沢カレー」や「ハントンライス」といった金沢B級グルメや、金沢のお茶文化に触れることのできる抹茶や季節の和菓子など、幅広いジャンルのグルメが楽しめます。
金沢21世紀美術館で現代アートを体感する
「金沢21世紀美術館」は、体感できる現代アートが展示されていて、全国的にも有名な現代アート美術館です。ガラスを多用した円形の建物は、歴史ある街並みや建物が数多く残されている城下町金沢の中でも、特にモダンで近代的な雰囲気です。見どころは、レアンドロ・エルリッヒ作の「スイミング・プール」で、プルーサイドとプールの中から水面を見ることができる、不思議で面白い体験ができるアート作品です。
敷地内には他にも斬新な現代アート作品がおかれ、また展覧会も随時開催されています。レストランやショップも充実しているので、アートに触れて、体感しながらゆったりとした時間を過ごしてください。
金沢駅周辺〜近江町市場エリア
北陸新幹線の停車する金沢駅は、観光地・金沢の玄関口です。バスターミナルも隣接していて、旅の起点にも最適です。兼六園口に立つ巨大な「鼓門」は、古都金沢の和の雰囲気を感じさせます。また、金沢駅から車で5分ほど移動すれば、狭い路地に約180ものお店がひしめく「近江町市場」があります。
地元で採れた新鮮な海の幸や野菜、果物などが豊富にそろっていて、「市民の台所」として地元の人たちに親しまれています。また、日本海の旬の魚介をふんだんに使った海鮮丼や寿司、名物コロッケなど、市場ならではのグルメも堪能できることから、観光客にも人気のエリアです。
石川県立音楽堂
JR金沢駅の兼六園口(東口)から歩いて1分の「石川県立音楽堂」は、3つのホールがある全国でも珍しい音楽文化施設です。荘厳な響きが素晴らしいドイツ製のパイプオルガンを備えたクラシック音楽専用の「コンサートホール」は、音響の良さで評判が高く、迫力ある臨場感を味わえるよう、客席規模は室内管弦楽を鑑賞するのにちょうどよいとされる1,560席となっています。
石川県で活躍しているオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の本拠地で、このホールで録音された音源で70枚を越えるメジャーレーベルから発売されているほか、年数回の定期演奏会も開催されています。
邦楽の発表・鑑賞や、歌舞伎や文楽などの日本の伝統芸能専用の「邦楽ホール」は、舞台上に回り舞台やセリなど、ダイナミックな舞台演出に配慮した多くの機構を備えています。そして、様々なイベントに使える「交流ホール」や、音楽資料室、7つの練習室など多方面で利用できます。
山さん寿司本店
JR金沢駅東口から歩いて10分程度の近江町市場内にある創業60年の老舗「山さん寿司本店」は、北陸・日本海でとれた旬の魚介類を使った丼やにぎり、地元のお酒まで堪能できるお店です。にぎり寿司は一貫から職人さんが丁寧に握ってくれます。お米や醤油も地元産にこだわり、海苔は最高級の有明産です。
18種類ものネタがのった豪華な海鮮丼はお店でも特に人気があります。開店は早朝7時半からで、ネタとシャリが終わり次第、その日の営業は終了です。予約や夜の営業は行っていませんので、早い時間に訪れることをおすすめします。
近江町コロッケ
近江町市場内にあって、旬の魚介類や地物野菜・果物や世界各国の珍しい調味料・酒類を数多く品揃えしている食料品店「世界の食品ダイヤモンド」の一角にある「近江町コロッケ」では、店頭で手作りした揚げたてのコロッケを楽しめます。
厳選素材を使っていて、「野菜コロッケ」「肉コロッケ」「昔風コロッケ」「コーンコロッケ」「スパゲティーコロッケ」「枝豆コロッケ」や海鮮を使った「甘えびコロッケ」「たこコロッケ」など、種類も豊富です。連日行列ができるほどの人気で、近江市場の名物となっています。
もりもり寿し近江町店
「もりもり寿司」は、本場北陸の海の幸が楽しめる回転寿司チェーン店です。「近江町店」は近江市場内の立地であることからその鮮度は保障済みです。純和風の店内は、家族や仲間と一緒にゆったり楽しめるテーブル席と、職人さんがお寿司を握る様子を間近で見られるカウンター席があります。
三種類のネタを一貫づつ食べられる「三点盛」を数多く提供していて、その中でも「ジャンボぼたんえび」「生うに」「本まぐろ大とろ」の「もりもり三点盛」が人気です。その日入荷されたネタのセレクト盛り「近江町三点盛」は、こちらの店舗限定ですのでぜひ堪能してみてください。
香屋
近江町市場から歩いて約3分の場所にある「香屋」は、お香と絵ろーそくの専門店です。さわやかな金沢の香りをイメージした「鏡花」シリーズや、古き良き和の香りの「月ヶ瀬」シリーズをはじめ、様々なシリーズのお香の中からお好みの香りを選べます。お香立ての「香皿」や加賀友禅の模様が描かれたオリジナルの和ろーそくもあります。
予約をすれば、天然香料や香木を自分で調合しての匂い袋作りや、お茶とお菓子付きでお香の香りを楽しむ「聞香(もんこう)」体験もできます。
着物レンタル あかり
近江町市場にある「着物レンタル あかり」は、1921年創業の老舗呉服店「丸年」が運営している着物レンタルショップです。200着以上の着物は、留袖や振袖といった晴れ着から小紋、袴まで幅広く、かわいいものから大人っぽいシックなものまでデザインも豊富です。着物はもちろん、帯や小物まで上質なものが準備されているのも呉服店ならではですね。
講師レベルのプロスタッフが着付けをしてくれるほか足袋やカバンなどの和小物もプランに含まれているので、手ぶらで出かけても安心です。また、美容師によるヘアセットも人気です。プロのカメラマンに撮影してもらえたり、観光タクシーや観光人力車付きのコースもあります。
古い日本家屋をリノベーションしたお店は美しい中庭もあって、店内のフォトスタジオや庭に出ての記念撮影もできます。着物返却は通常当日の17時30分までですが、延長や宿泊するホテルでの返却にも対応してくれます。
ひがし茶屋街エリア
「ひがし茶屋街」は、1820年に加賀藩が浅野川界隈に点在していたお茶屋を集めた場所です。格子戸と大戸を備えた二階建ての日本建築が並ぶ町並みは、江戸時代の面影を今に残していて、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選ばれています。
お茶屋での遊びとは、琴、や三味線、舞、謡曲、茶道、和歌や俳句など幅広い分野に渡っていて、高い技能と広い教養が必要なものです。これが「芸どころ金沢」と呼ばれる土台をつくりました。
情緒あふれる古い町並みは、金沢らしい和の雰囲気で写真撮影ができるフォトジェニックなスポットとして人気です。お茶屋さんはもちろん、おしゃれな町家カフェやこだわりのセレクトショップ、格式高い割烹料理店などが軒を連ねていて、グルメやショッピングも楽しめます。
懐華樓
ひがし茶屋街の中ほどにある「懐華樓(かいかろう)」は、金沢市の保存建築物にも指定されている金沢で一番大きなお茶屋建築です。日中は一般公開されていて、夜になると、今もなじみ客からの紹介がないと入れない「一見(いちげん)さんお断り」のお座敷となります。
そして、年に数回だけ、加賀料理とともにお茶屋遊び体験ができる「艶遊会」(要予約)という催しを開いています。
室内は、独特のお茶屋建築で、朱塗りの壁や輪島塗の朱階段、加賀友禅の花嫁のれん、調度品など、どれも豪華で目を引きます。併設のカフェでは金箔をあしらったくずきりをはじめ、ぜんざいやカキ氷などの贅沢な和スイーツが楽しめます。
建物の奥にある売店「蔵」では、金沢の様々なお土産や工芸品、金箔を使った化粧品などが販売されています。カフェで抹茶と一緒に提供している和菓子「金澤の華」も購入できます。北海道十勝産の高級小豆を使っていて職人さんが昔ながらの手法で作るオリジナルの逸品です。
志摩(重要文化財)
ひがし茶屋街が整備された1820年に建てられた「志摩」は、当時のまま手を加えることなく保存されていて、学術的にも貴重な文化遺産です。国の重要文化財にも指定されています。二階を客間としていて、押し入れや物入れ等もない、遊興を主体とした造りで、紅色の床の間を背にして座ると、正面が舞や遊芸が披露される「ひかえの間」となっています。
1階の奥にある茶室「寒村庵」では、灯ろうが並ぶ典型的なお茶屋の庭を眺めながら、お抹茶と金沢の美味しいお菓子を味わえます。
金沢市立安江金箔工芸館
「金沢市立安江金箔工芸館」は、金箔職人であった安江孝明(こうめい)氏が、1974(昭和49)年に北安江に建設した「金箔工芸館」が前身となっています。安江氏は私財を投じて金箔にちなんだ美術品や道具類を数多く収集し、展示しました。その後、より多くの方に楽しんでほしいとの願いから、2010(平成22)年10月5日に現在の東山に移転したのです。
現在、国内生産の金箔はほぼ全て金沢のものです。町屋の蔵をイメージした館内には、金箔を使っている所もいくつかあり、ホールの天井にあるドームにも金箔を貼られています。施設内では、金沢で金箔生産が盛んになった背景や歴史、厚さ10,000分の1ミリメートルという驚異の薄さを誇る金箔を作り続けてきた、職人たちの情熱を感じることができます。
また、展示されている美術工芸品は、金びょうぶをはじめとする絵画や加賀蒔絵、加賀象嵌(ぞうがん)に代表される金沢の伝統工芸品、金糸を用いた織物、陶磁器、彫刻など多岐にわたっています。
ひがし茶屋休憩館
ひがし茶屋街の入り口近くにある「ひがし茶屋休憩館」は、江戸時代に建てられた町家を復元した建物で、無料で休憩できる便利なスポットです。施設内には、観光案内のパンフレットなどが置かれています。また、観光ボランティア「まいどさん」が常駐していて、ひがし茶屋街の界隈を無料でガイドしてくれるサービスも行なっています。
江戸時代当時の人々の暮らしが感じながら、ゆっくり休憩したり、情報収集したり、ガイドさんの説明を聞きながら一緒に街歩きしたりと、ひがし茶屋町界隈を観光する際の起点としてはいかがでしょう。
加賀落雁さぼん 水野増吉商店
ひがし茶屋街入り口の大通り沿いにある赤い大きな提灯が目印の「加賀落雁さぼん 水野増吉商店」は、金沢の伝統的なお茶菓子「落雁(らくがん)」をイメージしたせっけん「加賀落雁さぼん」が人気のお店です。
落雁の伝統的な5つの形と金沢をイメージした5つの色と香りを組み合わせた25種類の「落雁さぼん」は、どれもカラフルで可愛らしい形です。また金沢の純金箔を合わせた「落雁さぼん 金ながし」は、白檀の香りで贅沢な逸品です。
店内の大きな手洗い場では、せっけんの使い心地を試すこともできます。実際に使ってみて、お土産や贈り物として選ぶのもいいですね。
かなざわ 美かざりあさの
「かなざわ 美かざりあさの」は、金沢の金箔の魅力を伝える「箔一」がプロデュースするセレクトショップです。石川県には36もの伝統工芸があります。格子をモチーフとした和の雰囲気の店内には「金沢箔」のほか、「九谷焼」「加賀友禅」「加賀繍(ぬい)」「桐工芸」など数々の伝統工芸品の中からセレクトされた、日常でも使えるかわいいものやステキなものが並んでいます。
作家さんもベテランの方から新進気鋭の方までと幅広く、新しい作品をいち早く手に入れることもできます。買いやすいアクセサリーや雑貨などもあるので、伝統工芸品を気軽に身につけたり、お土産に選んだりしてみてはいかがでしょう。
お店の二階では、自分だけのオリジナル工芸品を作る金箔貼り体験もできます。スタッフの丁寧な説明を受けながらの体験なので、子どもから大人まで、初めてでも安心して楽しむことができます。メニューも予算やお好みに合わせて色々選べます。
フラッフィー(fluffy)
ひがし茶屋街のすこし外れた小道沿いにある「fluffy(フラッフィー)」は、昔、実際にお茶屋として使われていた町家を改装したパンケーキカフェです。お茶屋の雰囲気を楽しみながら広々とした2階席でゆっくり過ごすことができます。
地元産の新鮮な卵をはじめ、こだわりの厳選素材を使ったパンケーキは、スイーツ系とディッシュ系があります。黒糖で炊いた金時豆を添えた、加賀棒茶を使っている「ほうじ茶パンケーキ」は、金沢ならではの味です。
また、お皿やコーヒーカップなど店内で使われている器は、オーナー自身が制作したものや、オーナーの陶芸仲間の方たちが制作した作品だそうです。ぜひ、お食事と器の雰囲気を一緒に楽しんでみてください。
茶ゆ
「茶ゆ」は、江戸時代からひがし茶屋街で営業していた銭湯「東湯」の資材置き場を改装したお店です。1階ではオリジナルジェラートアイスを、2階では色々な甘味を楽しめます。甘味処は、お座敷になっていて金沢東山の老舗茶店の抹茶やオリジナル上生菓子、クリームあんみつやパフェなど色々なメニューを、落ち着いた和の空間で楽しめます。
ジェラートアイスは、石川県内産の厳選生乳とお茶や甘酒、しょうゆ、味噌といった東山の老舗銘店の食材、奥能登の自然素材を使っていて、常時12種類のフレーバーが味わえます。竹炭入りの黒いもなかやどら焼きではさんで食べるのがお店オススメの食べ方です。
金澤着楽々 ひがし茶屋街本店
レンタル着物店「金澤着楽々(きらら) ひがし茶屋街本店」は、ひがし茶屋街のすぐそばにあって、観光にも便利です。着物や半巾帯はもちろん、帯締、帯揚、髪飾り、バッグ、ぞうり、足袋、肌着、長じゅばん、着付け用小物まで、着物を着るのに必要なものは全てセットになっているので、初めての着物でも安心です。
手ぶらで訪れて、着付もコーディネートもスタッフがお手伝いしてくれます。オプションでヘアセットしてもらったり、人力車で城下町をめぐるプラン、散策しながらプロのカメラマンに写真撮影してもらえるプランもあります。女性用はもちろんですが、男性用、子ども用、夏のゆかたなど、様々なプランがあるので、家族で、カップルで、色々楽しめます。
主計町(かずえまち)茶屋街・尾張町周辺エリア
金沢市内を流れる浅野川沿いにある「主計町(かずえまち)茶屋街」は、ひがし、にしと並ぶ金沢を代表する茶屋街です。
今も、昔ながらの風情ある料理屋やお茶屋が軒を連ねるこの界隈には、かつて旦那衆が茶屋街に出かける際、人目を避けるために通ったという石段が続く「暗がり坂」や作家の五木寛之氏によって命名された趣のある「あかり坂」など、風情を感じられるスポットも数多くあります。
地元出身の文豪である泉鏡花の作品にも登場していて、観光スポットとしても人気です。そして、尾張町は、昔から商人の町として栄えてきた場所で、今も風情の残る建物が点在しています。
泉鏡花記念館
明治時代の半ばから昭和にかけて、「高野聖」「婦系図」「天守物語」をはじめとする300編あまりもの作品を生み出してきた金沢出身の文豪・泉鏡花が、幼少期を過ごした生家の跡地に建つのが「泉鏡花記念館」です。
館内では作品をはじめ、その生涯や独特の美意識に触れることのできる展示を楽しめます。また、泉鏡花関連の約2,000点の資料などを所蔵しています。所蔵品の中には、その外装の美しさから『鏡花本』と称された初版本も含まれています。
文学や演劇、映画、更には現代アートやサブカルチャーなど、文学というジャンルを超えて今もなお広がる泉鏡花の世界観をテーマにした、様々な企画展も開催されています。
金沢蓄音器館
尾張町にある「金沢蓄音器館」は、蓄音器を約600台を収蔵し、常時150台を展示している施設です。初代館長は、金沢市内でレコードとオーディオ機器販売・卸・小売店を経営していた八日市屋典之(ようかいちや のりゆき)氏でした。
八日市屋氏が昭和50年代から集めて修理してきた蓄音器540台、SPレコード2万枚もの膨大な「山畜(ヤマチク)コレクション」を、その後、金沢市が譲り受けて2001年に開館しました。明治、大正、昭和に活躍してきた数々の蓄音器は、時代を追って展示されています。
解説付きの実演では、エジソンの発明した蓄音器から技術改良されたタイプの異なる蓄音器との聴き比べが楽しめます。貴重なSPレコードを使っての実演は必聴です。
ほかにも月に数回、テーマに沿ったSP盤鑑賞会や、ミニコンサートなどを開催しています。ミュージアムショップでは、オリジナルグッズのほか、音楽関連グッズを販売しているので来館記念やお土産を選んでみてはいかがでしょう。
寺島蔵人邸
「寺島蔵人(くらんど)邸」は、加賀藩の中級武士の家柄だった寺島氏の第11代蔵人の邸宅跡です。藩士でありながら文人でもあった蔵人が描いた書画をはじめ、蔵人の娘である秀の作品や蔵人と交流のあった「浦上玉堂」の書画、蔵人の遺愛品を所蔵展示しています。
建物は、建築年代が18世紀後半の中ごろと推測されるもので、その時代の加賀藩の中級武家屋敷の様子を今に伝える貴重なものです。
屋敷の北側と東側に広がる池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)庭園も見事です。池には水がないことから、庭園は「乾泉」と名付けられています。春のドウダンツツジ、初夏の新緑、秋には紅葉、そして冬の雪景色と、庭内に植えられた200本以上もの木々とともに四季の移り変わりを眺めることができます。特に、ドウダンツツジは樹齢300年以上で、春に開花する様子は圧巻です。
久保市乙剣宮
尾張町にある「久保市乙剣宮(くぼいちおとつるぎぐう)」は、金沢の市場発祥の地といわれている由緒ある神社です。境内を抜けて主計町茶屋街へと通じる石段の坂道は、昼間でも暗いことから「暗がり坂」と呼ばれていて、風情のあるフォトスポットとしても有名です。
御祭神は素戔嗚命(すさのおのみこと)で、一家繁栄や家内安全、交通安全、商売繁盛の神様として、地元の人たちに広く信仰されています。金沢出身の文豪・泉鏡花の生家のすぐ近くで、幼い頃によく遊んだ場所だともいわれています。境内には彼が詠んだ句碑が建てられています。
不室屋本店
江戸時代の1865(慶応元)年に尾張町で創業した「不室屋(ふむろや)」は、金沢の名産品「加賀麩」を作り続けてきた老舗です。創業当時からの伝統の製法や味、技を継承しつつ、新しいお麩作りにも挑戦しています。
お麩にお湯を注ぐと中から具が出てきてすまし汁として味わえる「宝の麩」や、小花や手毬の形をした小さくてカラフルな「金沢彩り麩」などは、お土産にも最適です。
また、蔵を改装した麩料理専門の「茶寮不室屋」も併設されています。加賀産の山海の幸と麩を使った数々の麩料理や、生麩まんじゅうやパフェ、あんみつなど麩を使ったスイーツが味わえます。
森八 本店
江戸時代の1625(寛永2)年に和菓子屋として創業した「森八」は、加賀藩御用達の菓子司で、1924(大正13)年には宮内省にもお菓子を納めたことのある老舗です。伝統銘菓の落雁「長生殿(ちょうせいでん)」をはじめ、季節の上生菓子や干菓子を製造販売しています。
大手町にある本店は、金沢の伝統的な商家の雰囲気を感じさせる広い店内にお菓子が並びます。2階には茶菓を味わいながらくつろげる「森八茶寮」や、江戸時代から使われてきた落雁の菓子木型や菓子作りの道具など千数百点を展示している「金沢菓子木型美術館」も併設しています。
また、お店では落雁の手作り体験もできます。出来上がった落雁は抹茶と一緒に味わえます。そして作った残りは、お土産として持ち帰ることもできます。
金沢城公園・兼六園周辺エリア
金沢市の中心部に位置するこのエリアは、加賀百万石の歴史と文化を今に伝える、広大な「兼六園」と「金沢城公園」をはじめ、加賀藩藩主であった前田家ゆかりのスポットが数多く集まっています。
兼六園と金沢城公園は、市街地とは思えないほど豊かな自然で、その広い敷地内だけでも数々の見どころがあります。このエリアを巡れば、加賀藩前田家の当時の繁栄の様子を知ることができます。
金沢城公園
「金沢城公園」は、加賀藩前田家の居城跡に作られた広大な公園です。金沢城は、1583(天正11)年に前田利家が入城した後、本格的な城造りが始められました。以降、14代に渡って前田家の居城となりました。
たびたび火災によって焼失を繰り返してきました。現在の菱櫓(ひしやぐら)、五十間長屋(ごじっけんながや)、橋爪門続櫓(はしづめもんつづきやぐら)は、2001(平成13)年に復元されたものです。江戸時代後期の安政頃の景観を再現していて公園内の見どころの1つです。
金沢城公園は、植物と動物の宝庫でもあります。植物の種類は500種を超え、園内の森の中には樹齢300年に達すると思われる巨木も見られます。ソメイヨシノも多く植えられていて、春には桜が見事です。
本丸の森にはタヌキやアカネズミが巣を造り、野鳥や昆虫などもたくさん生息しています。現在、1,500種類以上の動物がいると推定されていて、都会の中に豊かな自然を保っています。
そして、城の外回りや庭園など、その場所に応じて様々な種類の石垣が見られます。また、石垣作りの秘伝書などの歴史資料もあり、石を切り出した城から8キロメートルの場所にある戸室山周辺には石切り場や石引き道が残っています。金沢城の歴史を感じながら、石垣を巡ってみるのもいいですね。
玉泉院丸庭園
金沢城公園の一角にある「玉泉院丸庭園」は、池とデザイン性の石垣群が特徴の、高低差のある立体的な庭園です。二代藩主前田利長の正室玉泉院(永姫)がこの場所に屋敷を構えたことから名付けられました。
独特の景観を眺めながら、ゆったりと庭園散策が楽しめるほか、「玉泉庵」では抹茶と季節ごとの生菓子をいただくこともできます。
兼六園
国の特別名勝にも指定されていて、日本三名園としても有名な「兼六園」は、広大な園内に築山、池、茶屋などが点在していて、四季おりおりの景観を楽しみながら廻遊できる庭園です。金沢城公園に隣接していて、加賀藩の代々の藩主によって様々な使い方をされてきましたが、明治以降は、市民に解放されて、現在、金沢を代表する観光スポットとなっています。
中心部に位置する「霞ヶ池(かすみがいけ)」は、園内で最も大きな池で兼六園のシンボルです。面積は約5,800平方メートル、深さは最も深いところで1.5メートルもあります。池の周辺には様々な名勝が配置されています。
年数回行われる夜のライトアップでは、日中とはまた違う幻想的な庭園の景色を眺められます。そして、冬になると雪の重みから木の枝を守るための「雪吊り」が園内の木々に施されます。金沢の冬の風物詩ともなっている美しい景色は一見の価値ありです。
三芳庵
1875(明治8)年創業の「三芳庵(みよしあん)」は兼六園にあって、前田家の茶室だった「夕顔亭」の隣に建つ老舗料亭です。皇族の方々をはじめ多くの著名人、地元の方たち、旅行客にも愛され、親しまれています。
瓢池のほとりで、四季折々の美しい兼六園の景色を眺めながら、お昼には、加賀料理のお弁当をお手ごろな価格で味わうことができます。また、抹茶と季節の生菓子も楽しめます。
成巽閣
兼六園から歩いてすぐの「成巽閣(せいそんかく)」は、13代藩主前田斉泰(なりやす)公が母・真龍院のために建てた御殿です。建物内には、愛らしい植物や小鳥の絵などが見られ、女性らしい優美な空間作りのための細やかな心配りが感じられます。
色鮮やかな欄間(らんま)のある「謁見の間」や、鮮やかな群青色の色壁で囲まれた「群青の間」など色彩豊かな空間は印象的で、成巽閣の見所となっています。建物は国の重要文化財、そして手入れの行き届いた素晴らしい庭園は、国の名勝に指定されています。
金澤神社
「金澤神社」は、加賀藩11代藩主前田治脩(はるなが)が1794(寛政6)年に、学問の神様で前田家の祖先でもある菅原道真公をまつるために創建されました。そして天神様・菅原道真とともに、災難除けや金運、商売繁盛にご利益があるとされる「白蛇龍神」もまつられています。
通称「白蛇さん」とも呼ばれていて、多くの人たちに信仰されています。雌雄一対のご神体は、戦前までは金澤神社と城中と分けて納められていましたが、戦後になって二体一緒に神社本殿にまつられました。毎月1日に「白蛇さんの日」としてご神体を開帳しています。
また、金沢の名前の由来になったと伝わる、金運アップのパワースポットとしても人気の湧き水「金城霊澤」や、頭をなでると夢を叶えてくれると伝わる「夢牛」、いぼをこすると取れるといわれる御神石「いぼとり石」、朱色の鳥居が並ぶ「奉納稲荷鳥居」などが敷地内にありますので、ぜひめぐってご利益を授かってください。
尾山神社
加賀藩祖である前田利家とその奥方おまつの方をご祭神としている「尾山神社」は、戦国武将だった利家公にちなんで文武両道・必勝のご利益と、夫婦でまつられていることから夫婦円満・子宝安産もそのご利益とされています。金沢市民の心の故郷として、広く親しまれている神社です。
正門となる「神門」は、和洋折衷のデザインが特徴的な三層の門です。1層目には3つのアーチがあり、2層目、3層目は緑色の銅板で外壁がおおわれています。そして3層めの大きな窓には色ガラスが入っています。
尾山神社の建つ場所は、元々は藩主の別邸の「金谷御殿」でした。そのため神社の庭園は、江戸時代の金谷御殿の名残をとどめた美しい池泉回遊式庭園となっています。池に浮かぶ島や橋などは雅楽にちなんだ名前がつけられていることから、別名「楽器の庭」とも呼ばれています。
石川県観光物産館
兼六園のそばにある「石川県観光物産館」は、石川県・金沢の伝統工芸や和菓子、地酒、海産物などの物産を一同に集めた商業施設です。老舗名店の商品をまとめて買い物ができるほか、起き上がりこぼしの「加賀八幡起上り」手描き体験や砂彫りガラスや金箔貼り、和菓子の手作り体験など様々な体験が楽しめます。
加賀友禅会館
「加賀友禅会館」では、金沢を代表する伝統的工芸品の一つである「加賀友禅」の魅力を様々な形で紹介しています。新作加賀友禅の展示をはじめ、加賀友禅にまつわる色々なイベントを開催しているほか、実際に加賀友禅の着物やゆかたを着用できる体験も行っています。手ぶらで訪れて、加賀友禅を着付けしてもらった後は、観光地散策もできます。
また館内では、職人による手描き実演を見学したり、加賀友禅染め体験もできます。自分で染めたハンカチやトートバッグを旅の記念に持ち帰ってはいかがでしょう。友禅小物の販売もしているので、お土産として選んでもいいですね。
長町武家屋敷跡エリア
藩政時代の武家屋敷が立ち並び、昔ながらの土塀や入りくんだ石畳の小路が残る長町武家屋敷跡エリアは、伝統環境保存区域および景観地区に指定されています。「大野庄用水」と「鞍月用水」に挟まれた静かな地域は、金沢屈指の繁華街「香林坊」のすぐ裏手にあるとは思えないほどです。
冬になると町並みの土塀には「こも掛け」が行われます。これは雪深い金沢の冬の風物詩となっています。風情あふれるこのエリアに更に趣を与え、多くの観光客が訪れます。
長町武家屋敷休憩館
「長町武家屋敷跡」に建つ「長町武家屋敷休憩館」は、散策の途中に気軽に立ち寄れる観光施設です。観光パンフレットや展示コーナーもあって、観光の情報収集にも便利です。休憩室やトイレもあります。
そして観光ボランティアガイドの「まいどさん」が常駐しています。長町界隈を歴史や文化などの説明をしながら親切に案内してくれます。しかもガイド料金は無料です。まいどさんの手が空いていて、少人数であれば、予約なしでもガイドを頼めるので、ぜひ気軽にお願いしてみてください。
武家屋敷跡 野村家
「武家屋敷跡 野村家」は、加賀藩主前田家に11代に渡って重役として仕えてきた「野村家」の屋敷跡です。武家屋敷の格式を感じさせる建物と素晴らしい庭園は、2009年の「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で二つ星を獲得しています。
総ひのきづくりの格天井(ごうてんじょう)の「上段の間」は、かつて藩主を招いた部屋で、加賀藩のお抱え絵師によるふすま絵が見られます。展示資料館「鬼川文庫」では、野村家伝来の刀剣や甲冑、書状などを展示しています。
庭園には金沢最古の用水で近くを流れている「大野庄用水」から水を引き入れ、北陸では生育しているのが珍しい樹齢400年ものヤマモモや椎の古木、名石や奇石を配置していて、風情があります。
金沢市足軽資料館
「金沢市足軽資料館」では、加賀藩に仕えた足軽の職務やその家族の日常生活に関する資料、パネルを展示しています。貴重な足軽屋敷2棟を長町武家屋敷跡エリアに移築再現した建物で、屋根は昔ながらの石を置いたものです。
見学しながら高級武家屋敷とはまた違った、藩を支えた足軽の生活を体感できます。無料で見学できるので、気軽に立ち寄ってみてください。
香林坊・片町〜金沢21世紀美術館周辺エリア
香林坊から片町にかけての界隈は、百貨店や飲食店、おしゃれなお店が数多くある金沢でも一番の繁華街です。また、香林坊や兼六園にも近い「金沢21世紀美術館」は、全国的にも有名な現代アート美術館で、金沢を訪れたら、ぜひとも時間を取って足を運びたいスポットです。
サンニコラ 香林坊店
「鞍月用水」の流れる「せせらぎ通り」沿いにあるシックな雰囲気の青い扉のお店が「サンニコラ 香林坊店」で、チョコレートの本場ベルギーで修行したパティシエでショコラティエでもあるオーナーが開いたチョコレート専門店です。
1粒1粒こだわって作られたチョコレートは、まるで宝石のようで、とろけるような口どけが楽しめます。金澤紅茶や加賀棒茶、能登塩、能登栗、石川県産の清酒と行った地元の素材を使ったチョコレートも魅力的です。イートインメニューもありますので、金沢観光の途中の休憩やお土産選びにも最適です。
金沢21世紀美術館
金沢の中心地、兼六園のすぐそばにある「金沢21世紀美術館」は、2004年の開館以来、現代アートを見て・触れて、と体感できると話題を集めている、全国的にも有名な人気の観光スポットです。「まちに開かれた公園のような美術館」がコンセプトの建物は、その敷地内にどこからでも立ち寄れるよう円形のデザインで、ガラスを多く使っていて開放感があります。
年間を通じて様々な現代アートの展覧会も開かれているほか、恒久展示の作品も敷地内に数多く点在しています。
アルゼンチンのアーティスト、レアンドロ・エルリッヒ作の「スイミング・プール」は、プルーサイドから波立つプールを見下ろすと深さがあるように見えますが、実はプールの中から水上を見上げられるという面白い体験ができるアート作品で、館内の見どころの1つです。
また、東口(本多通り口)近くの屋外にある、デンマークのオラファー・エリアソン作の「カラー・アクティヴィティ・ハウス」は、シアン・マゼンタ・イエローの色ガラスの壁が、一点を中心に渦巻き状に配置されていて、見る場所や見る人の動きによってガラス越しの景色が変わります。中央には光源があって夜間になると色のついた灯台のように光ります。
また、カフェレストラン「Fusion(フュージョン)21」では、ガラス張りの開放的な空間で、加賀野菜をはじめとする地元食材を取り入れたランチやディナー、スイーツが堪能できます。ミュージアムショップでは、オリジナルグッズやカタログ販売のほか、期間ごとに多彩なフェアを開催しています。
金沢能楽美術館
加賀藩の歴代藩主は能を愛好し、庶民にも推奨したことから、金沢は能の盛んな町となりました。そして、現在も金沢市無形文化財である「加賀宝生」にその伝統が受け継がれています。「金沢能楽美術館」は、「加賀宝生」に伝わる貴重な美術品や文化を広く紹介している施設です。
能楽初心者でも分かりやすく楽しんで学べるよう、展示には様々な工夫がされています。加賀宝生の歴史や金沢の伝統芸能などの映像を楽しめるコーナーや、親子でくつろいで能や狂言の絵本を楽しめるスペースもあります。
また、本物の能面と能装束を実際に着用する体験ができます。ここでは観光ボランティアガイド「まいどさん」がお手伝いしてくれるので、体験と一緒に金沢の歴史や観光の見どころも聞くことができます。無料で体験できますし、記念撮影もOKです。
つぼみ
金沢21世紀美術館の近く「柿木畠(かきのきばたけ)通り」沿いの知事公舎前にある「つぼみ」は、国内産の稀少な本葛(くず)粉や本蕨(わらび)粉など素材にこだわった和スイーツのお店です。そして、スイーツやお冷、お茶には全て山からの湧き水を使用しています。
香りきな粉や黒みつをかけて食べる「本蕨もち」や「本葛もち」「「葛きり」は、加賀棒茶と一緒に味わえます。ほかにも「特製抹茶パフェ」やあんみつ、夏のかき氷や冬のぜんざいなど季節の味も楽しめます。
にし茶屋街周辺エリア
立ち並ぶ2階建てのお茶屋建築の出格子が美しい「にし茶屋街」は、現在でも華やかな芸妓さんが活躍していて、昔ながらの茶屋街の雰囲気を色濃く残しています。日が暮れる頃には、着飾った芸妓さんたちが街を歩く姿を目にしたり、三味線の音色を聞くこともできます。
老舗の割烹や和菓子店が軒を連ね、周辺には忍者寺の別名を持つ「妙立寺」などお寺も数多く建っています。
金沢市西茶屋資料館
「金沢市西茶屋資料館」は、お茶屋「吉米楼」の跡地に、当時のお茶屋建築を再現した建物です。大正時代の作家・島田清次郎が過ごした場所として知られていて、1階には、島田清次郎ゆかりの貴重な資料などを展示しています。
そして、2階は、金びょうぶや漆塗りの装飾品などが置かれ、お茶屋の華やかな雰囲気を感じられます。こちらにも金沢の観光ボランティアガイド「まいどさん」が常駐していて、にし茶屋町周辺を無料でガイド案内してもらえます。
香林寺
江戸時代の1651年に開山した「香林寺」は、願掛け寺としても有名な曹洞宗のお寺です。1833年作の不動明王像は「開運霊薬不動尊」といい、昔から病気や悩みに苦しむ人々を救ってきたそうです。
「願掛け十二支の庭」にある「幸福の道」を歩きながら安置されている十二支像と羅漢像、可愛らしいお地蔵様を見て歩きましょう。そして3周目に、自分や家族の干支の像に願い事を書いたタスキをかけて願掛けをすると願いが叶うといわれています。
境内には、触れると美肌になれるという女性にうれしい「白不動様」や出世と金運の運試しができる「出世達磨」など、願掛けスポットがたくさんです。
また、毎年4月下旬~5月上旬にかけては境内にある峨山(がさん)霧島ツツジが深紅の花を咲かせ、9月下旬~10月上旬のお彼岸の時期には、白い彼岸花の群生が見られることでも有名です。願掛けはもちろんですが、この時期には花を愛でる人たちも多く訪れます。
妙立寺
1643年に加賀藩三代藩主前田利常公の命で城内にあった祈願所を移して創建されたのが「妙立寺」です。落とし穴となる賽銭箱や隠し階段、金沢城への抜け道があったとされる井戸など、様々な仕掛けがあちこちに見られることから、「忍者寺」とも呼ばれています。
外観からは2階建てに見えますが実際は7層で、23部屋と29もの階段があるともいわれていて、迷路のような内部となっています。拝観は、基本的に事前予約が必要で、平日は1時間ごと、土日祝日は30分ごとにガイドさんが案内してくれます。
室生犀星記念館
「ふるさとは遠きにありて思ふもの」の詩で知られる、大正期に活躍した金沢出身の文豪・室生犀星(むろうさいせい)の生家跡に建つのが「室生犀星記念館」です。館内には、犀星の全著書の表紙パネルを年代順に並べたコーナーや、自筆原稿や書簡、遺品などが展示されています。
記念館周辺には犀星が育った「雨宝院」や犀星が愛したという犀川(さいがわ)、詩碑のある「犀星のみち」などもあって、犀星文学の原点ともいえるスポットをめぐることができます。
甘納豆かわむら
「甘納豆かわむら」は、店舗が、にし茶屋街にある本店のみの甘納豆専門店です。季節ごとの甘納豆はパッケージも可愛く、お土産や贈り物にもぴったりです。石川県の「九谷焼」や岐阜県の「美濃焼」の壺に入った甘納豆もあります。
夏限定のかわむら特製「まめみつ」を使ったかき氷や、季節の果物などを使った賞味期限6分という手作りモナカやオリジナルドリンクなどを販売しているテイクアウトのお店「ノマノマ」が併設されています。
落雁諸江屋 西茶屋菓寮
「落雁諸江屋」は、江戸時代末期の1849(嘉永2)年に創業した和菓子の老舗です。加賀名菓・落雁を昔ながらの製法にこだわりながらも、現代のニーズに合わせて作っています。様々な種類の落雁のほか、能登塩を使った「塩どら焼き」や「加賀麩焼煎餅」などの和菓子も製造販売しています。
にし茶屋街の入り口にある「落雁諸江屋 西茶屋菓寮」は、諸江屋の落雁や和菓子を販売するほか、店内奥には菓寮「味和以(あじわい)」も併設されています。落ち着いた店内で小さな庭を眺めながら、季節の上生菓子や干菓子などの甘味を味わえます。自分で焼いたお餅を入れるのが人気の冬季メニュー「ぜんざい」や「おしるこ」、夏季メニューの「かき氷」もあります。
金沢のご当地グルメ
加能がに・香箱がに
「加能がに」は、石川県で水揚げされたオスのズワイガニのことです。「加賀」と「能登」の最初の一文字を組み合わせた「ブランドがに」で、水揚げした漁港の名が記された水色のタグがその証としてつけられています。
そのメスは「香箱がに」とよばれ、加能がにより小さいものの、卵や身の甘さから、オスとは違う美味しさが人気です。これらのカニは資源保護のため、毎年11月6日から3月20日(香箱がには1月10日)までと漁期が限られています。
解禁時にはメディアでもで取り上げられる冬の風物詩で、水揚げされる金沢港をはじめとする加賀・能登の漁港は一段と活気付きます。この時期には、充実の品揃えの「近江町市場」はもちろん、市内のスーパーでも目にすることができます。また、金沢市内の飲食店や料亭などでも新鮮なカニを味わうことができます。
加賀野菜
「加賀野菜」は、金沢市で1945(昭和20)年以前から栽培されていて、現在も金沢で栽培・流通している伝統野菜ブランドです。その種類の多さや質の高さから「京野菜」と並び称されるほどの人気となっています。
現在、「加賀野菜」として認定されているものは、さつまいも(五郎島金時など)・加賀れんこん・たけのこ・加賀太きゅうり・金時草(きんじそう)・加賀つるまめ・ヘタ紫なす・源助だいこん・せり・打木(うつぎ)赤皮甘栗かぼちゃ・金沢一本太ねぎ・二塚(ふたつか)からしな・赤ずいき・くわい・金沢春菊の15品目です。金沢ならではの伝統野菜をぜひご当地で味わいましょう。市場などで手に入れて、持ち帰るのもいいですね。
金箔ソフトクリーム
金沢といえば、金箔を使った工芸品が有名ですが、金箔が乗った「金箔ソフトクリーム」は、メディアで話題となり、今や金沢を代表するご当地グルメとなっています。写真に撮れば、SNS映え間違いなしのスイーツです。
ひがし茶屋街にある金箔専門店「箔一東山店」は、そんな金箔ソフトクリームの発祥店で、北陸新幹線開通記念に限定販売を開始しました。金箔を贅沢にそのまま1枚乗せた豪華なソフトクリームです。
金沢カレー
食文化が豊かな金沢の「金沢カレー」は地元でも愛され続けているご当地グルメの1つです。濃厚でドロッとしたカレールーの上にカツが載っていて、その上にはソースがかかっています。そして、ステンレスのお皿に付け合わせのキャベツの千切りと一緒にもられているのが特徴です。また、食べるときはフォークか先割れスプーンで食べるのが定番の食べ方です。
「ターバンカレー」は、1971(昭和46年)創業の金沢でも代表的な金沢カレー専門店で、現在は、石川県はもちろん、富山県、長野県、京都府にチェーン店もあります。金沢市の繁華街の香林坊にあるのがその本店です。濃厚な黒い中辛のこってりとしたコクが特徴の秘伝のカレーは、20種類以上のスパイスと地元の食材をふんだんに使って毎日丁寧に仕込んでいて、旨味とコクを凝縮させたこだわりの味です。
お店の一番人気メニューは、ロースカツ、ウィンナー、ハンバーグが載った「Lセット」で、ロースカツはお好みでチキンカツへの変更もできます。どのメニューも注文を受けてから作るので、あつあつ揚げたてが楽しめます。季節限定の素揚げ茄子の載った「茄子カレー」や広島県産の大粒のカキを使った「カキフライカレー」などもあります。
ハントンライス
「ハントンライス」は、1968年ごろ片町のレストランの料理長が、東京で食べた料理をヒントに創作した人気のご当地グルメです。ケチャップライスを、フライが埋まった薄焼き卵でくるんで、その上にタルタルソースとケチャップをかけたもので、一見するとオムライスのようです。
お店によってそれぞれ少しずつ違いがありますので、食べ比べてみても。フライは、白身魚とエビが一般的ですがトンカツを使うお店や、ライスはケチャップライス以外にもチキンライスや洋風焼き飯のベーキライス、白ごはんといったお店もあります。
金沢駅の近くにある「ダイニングノーサイド」のハントンライスは、フライは白身やカキ、エビのフライやとんかつ、鶏の唐揚げからお好みで選べます。この道30年以上のシェフがシンプルな味付けでどこか懐かしい料理を提供してくれるお店です。
金沢への主要エリアからのアクセス・所要時間
移動手段は予算とスケジュールに合わせて最適なものを選びましょう。飛行機の場合、小松空港から金沢駅までは小松空港リムジンバスで約40分です。
北海道から
飛行機
新千歳空港→小松空港:約1時間35分
仙台から
飛行機
仙台空港→小松空港:約1時間5分
新幹線(東北新幹線+北陸新幹線)
仙台→金沢:約3時間半(大宮駅経由)
高速バス
仙台→金沢駅:9時間〜9時間20分
東京から
飛行機
- 羽田空港→小松空港:約1時間
- 成田空港→小松空港:約1時間15分
新幹線
東京→金沢:約2時間半
高速バス
東京→金沢駅:7時間半〜8時間
車
練馬IC→藤岡JCT→上越JCT→金沢森本IC:約5時間15分
名古屋から
鉄道(東海道新幹線ひかり+特急しらさぎ)
名古屋→金沢:約2時間半(米原駅経由)
高速バス
名古屋→金沢駅:約4時間
夜行バス
名古屋→金沢駅:約7時間50分
車
一宮IC→米原JCT→金沢西IC:約2時間半
大阪から
鉄道(特急「サンダーバード」)
大阪→金沢:約2時間半
高速バス
大阪→金沢駅:4時間半~5時間半
夜行バス
大阪→金沢駅前:7時間40分
車
吹田IC→米原JCT→金沢西IC:約3時間20分
福岡から
飛行機
福岡→小松空港:約1時間15分
小松空港・新幹線の停車駅金沢駅を紹介
小松空港
石川県小松市にある「小松空港」は、金沢の最寄り空港です。2019年4月現在、国内線が羽田・成田・新千歳・福岡・仙台・那覇の6路線、国際線がソウル・上海・台北の3路線で定期運航されています。小松空港からJR金沢駅までは小松空港リムジンバスで約40分です。
小松産トマトをたっぷり使ったトマトカレーが食べられる「空カフェ」や地元産の野菜や魚を中心としたメニューの「レストラン エア・ポート」などのグルメスポットもあります。また、旅の終わりに空港でまとめて金沢のお土産を買うこともできます。
JR金沢駅
北陸新幹線の停車する「JR金沢駅」は、金沢の玄関口です。駅構内にはショッピングモールの「金沢百番街」もあります。お土産・飲食エリア「あんと」、ファッションエリア「Rinto」、生鮮食品スーパーやドラックストアと飲食店のエリア「あんと西」という3つのエリアに分かれています。旅行の行き帰りに立ち寄ってお土産選びやショッピングが楽しめます。
兼六園口(東口)に向かうと、幾何学模様のガラスの天井がある「もてなしドーム」がお出迎えしてくれます。金沢は雨や雪が多いことから、駅を利用する人に傘を差し出すおもてなしの心を表して建てられたそうです。
もてなしドームの先には、金沢の伝統芸能の能楽で使われる和楽器「鼓(つづみ)」をイメージした「鼓門」がそびえます。高さ13.7メートルもの2本の太い柱で支えられている大きな門は、迫力があります。その荘厳な様子もあいまって、金沢駅は世界で最も美しい駅14駅の1つにも選ばれています。フォトスポットとしても人気ですので、金沢を訪れたら、ぜひここで写真撮影しましょう。
鼓門は夜になると、日没から午前0時までライトアップされます。正時(毎時0分)ごとの2分間には、色の変化も楽しめます。加賀をイメージしたえんじ・藍・草・黄土・古代紫の5色が曜日ごとに変わるのも見どころです。
金沢の年間イベント情報
1月
金沢市消防出初式
金沢市内の消防団が集まって、金沢城公園で行われる金沢のお正月の恒例行事です。40本以上のはしごを立てた歴史ある「加賀鳶梯子(かがとびはしご)登り」や一斉放水は、勇壮で見ごたえがあります。
6月
金沢百万石まつり
金沢最大のイベントで、加賀藩の初代藩主前田利家の金沢城入城を記念して毎年6月に開催されています。金沢駅の「鼓門」から石川門を通って金沢城に入城する約4時間のパレード「百万石行列」は、その絢爛豪華な様子が観光客にも人気です。
前田利家公とお松の方には、毎年有名俳優が扮するのも見どころの1つです。また、文化財にも指定されている「加賀獅子」行列や武者行列、加賀鳶(とび)行列など様々な行列も見ることができます。
7月
北國花火金沢大会
北國花火大会は、光と音の共演が楽しめる花火大会で、石川県各地で毎年夏に開催されます。金沢大会では、大豆田本町の犀川(さいがわ)緑地周辺を打ち上げ会場に、12,000発の花火が1,000連発で打ち上がります。
8月
金沢アカペラ・タウン
「すべての人にアカペラを」をテーマに毎年8月の2日間に渡って開催されるイベントです。全国からアカペラグループを募集して、金沢市内の各所でアカペラストリートライブが開催されるほか、ゲストグループによるライブもあります。
4〜10月
金沢ナイトミュージアム
金沢に点在する17の文化施設で、20時までの夜間開館と合わせて様々なイベントを期間中の週末に開催しています。日程や詳細は下記HPにてご確認ください。
金沢ナイトミュージアムHP
年数回
兼六園夜間無料開放&ライトアップ
春の観桜期やゴールデンウィーク、初夏の金沢百万石まつりの開催期間中、夏休みの時期、紅葉の季節、冬の雪景色の時期など、それぞれの時期に合わせて、兼六園の夜間無料解放や兼六園・金沢城公園・玉泉院丸庭園(玉泉院丸庭園は冬季は除く)のライトアップが開催されています。
また、ホタルの時期や中秋の名月には兼六園は夜間無料解放が行われ、街中でのホタル鑑賞やお月見が楽しめます。
金沢観光の移動手段
バス
金沢市内では、北陸鉄道の運行する様々なバスが走っています。約15分間隔で運行していて主要な観光地を走るループバスの「城下まち金沢周遊バス」、金沢駅と兼六園・金沢城を20分間隔の運行で結ぶ「兼六園シャトル」、毎週土曜日と特定日に金沢市内の主要なライトアップスポット16ヵ所を15分間隔で循環運行する「金沢ライトアップバス」など、目的に合わせて選べます。
バスガイドの案内で金沢の主要観光スポットをコースで巡る「定期観光バス」もあります。こちらは、事前予約がおすすめです。
北陸鉄道HP
公共レンタサイクル まちのり
まちなかに設置されている21ヵ所の「サイクルポート」や「まちのり事務局」なら、どこでも自転車の貸出・返却が可能な、みんなでシェアする公共レンタサイクルです。主要な観光スポット付近にはポートがあります。
また、ポートに返却する必要のない「1dayパス自転車」(事前予約可)もまちのり事務局で取り扱っています。
まちのりHP
タクシー
各タクシー会社で、観光スポットを巡り案内してくれる観光タクシーや貸切タクシーなどもあります。数人での観光にも便利です。
お得なフリーチケット
北鉄バス1日フリー乗車券
金沢市内の主要観光地をほぼカバーしている「城下まち金沢周遊バス」や北陸鉄道バスの路線バス(金沢市内中心部の指定エリア内)にも乗車できる1日フリー乗車券で、金沢市内観光にとても便利です。また、1日フリー乗車券を提示すると指定の観光施設が当日限り入場料が割引されます。
【料金】
- 大人500円(中学生以上)
- 子ども250円(小学生)
【発売場所】
北鉄駅前センター(金沢駅東口バスターミナル1番のりば近く)
ほか、北鉄グループ案内所をはじめ、市内各所に取扱施設があります。
※ バス車内での販売はされていません
【有効期限】
利用日1日
【公式サイト】
http://www.hokutetsu.co.jp/tourism-bus/oneday
金沢のおすすめ旅行プラン10選
よくある質問Q&A
鉄道でどのくらいかかりますか?
東京、大阪、名古屋から、いづれも約2時間半で金沢駅に到着です。
金沢の気候はどうですか?
年間を通じて、降水量が多い気候なので雨具は携帯しましょう。特に冬に降水量が多く気温が低くなることから、雪やぐずつく日が多いですので、雪への対策が必要です。
何泊くらいが最も楽しめるでしょうか?
観光スポットが集中しているので、1泊2日あれば充分楽しめます。ただ、金沢に到着する時間によっては宿泊日数を伸ばすなどして、旅行を楽しみましょう。