イタリアってどんなところ?
イタリアの基本情報
イタリア共和国は南ヨーロッパに位置する、ブーツ状の国土を持つ国です。非常に古くから栄えた歴史を持ち、紀元前からローマ帝国が栄えていました。467年に西ローマ帝国が滅びた後は、法王領や小さな都市国家が連立する状態が続いていましたが、1861年にイタリア王国として統一されました。1946年からは現在の共和制へと移行しています。
イタリアへは、日本から直行便の飛行機で約12時間〜13時間で行くことができます。時差はマイナス8時間(サマータイムはマイナス7時間)で、イタリア国内では時差はありません。使用されている通貨はEU単一通貨であるユーロです。EU加盟国間を移動するツアーでは、その度に通貨を両替する必要が無いため便利です。
イタリアを含め、ヨーロッパ各国ではサマータイム(夏時間)が導入されています。3月末から10月末にかけて、太陽が長く出ている時期に標準時を1時間早める制度です。ヨーロッパの他にも緯度が高く、夏の日照時間が長い地域で用いられています。
観光目的でかつ90日以内の滞在であれば、ビザを取得する必要はありません。
北と南で異なる文化
イタリアは北・南の2つに分けられる場合と北・中央・南の3つに分けられる場合があります。それぞれ、北イタリアにはミラノ・トリノ・ヴェネツィア、中央イタリアにはローマ・フィレンツェ、南イタリアにはナポリ・シチリアと個性や特徴が様々な都市が位置しています。
北と南は文化や食生活、人々の性格も大きく異なっています。北方の人はドイツ語圏に近いことも影響して堅実で緊張感のある人柄が多いのに対し、南方の人は陽気で楽天的な人柄が多く、身内や家族を大切にします。また、日本人が「イタリアン」と思い浮かべるトマトやレモン、オリーブオイルなどは実はどれも南イタリアのものです。北イタリア料理は、バターや生クリームを使ったこってりとした濃厚な味わいが特徴で、寒さから身を守るための煮込み料理やジビエが発達しています。
言語はイタリア語が公用語になっており、9割以上のイタリア国民はイタリア語を話します。しかし、元々多数の小国に分かれていた歴史を持つため、各地に強い特徴を持つ方言が存在します。主な観光地であるローマ、フィレンツェ、ナポリ、ヴェネツィア、ミラノなどを観光する上では、英語も多く使用されています。
思い出を形にするフォトスポット10選
スペイン広場@ローマ
映画『ローマの休日』に登場することでも有名なスペイン広場はいつも多くの観光客で賑わいます。階段の前にはベルニーニの父が製作した『舟の噴水』があり、フォトスポットとして利用されています。映画では、スペイン階段でジェラートを食べていましたが、現在は階段での飲食と座り込みが禁止されているのでご注意ください。
スペイン大使館に面していることからスペイン広場と名付けられました。かつてはワーグナーや、スタンダール、バルザック、リストのような芸術家たちがこの周辺に住んでいて、現在もキーツの家はキーツ・シェリー記念館として原稿や手紙が展示されています。
トレヴィの泉@ローマ
願い事が叶うと言われているローマでも有数の観光スポットです。これはバロック時代に作られた人工の泉で、クイリナーレ宮殿のすぐそばにあるトレヴィ広場に位置します。
元々トレヴィの泉は、古代ローマ時代に皇帝アウグストゥスが作らせたものです。現在の泉は教皇クレメンス12世の命によって、ローマの建築家ニコラ・サルヴィの設計を元にピエトロ・ブラッチが制作しました。2014年から2015年にかけて大規模な修復工事が行われ、現在も美しい様子を残しています。
ポーリ宮殿の壁と一体となる形でデザインされ、左から順に豊饒の女神ケレース(デーメーテール)、水を司るネプトゥーヌス(ポセイドーン)、健康の女神サルース(ヒュギエイア)という三体の神が配置されています。
このトレヴィの泉には、後ろ向きにコインを泉へ投げ入れると願いが叶うという言い伝えがあります。コイン1枚では再びローマに来ることができ、2枚で大切な人と永遠に一緒にいることができ、3枚になると恋人や夫・妻と別れることができると言われています。コインを投げ入れる際には、叶えたい願い事に合わせてコインの枚数を選んでみてください。
真実の口@ローマ
イタリアの中でも人気の高い都市、ローマを旅する時に思い浮かべる方も多いのがこの真実の口です。これはイタリア語では「ボッカ・デッラ・ヴェリタ」と呼ばれ、元々古代ローマ時代のマンホールのふただったものです。
真実の口に刻まれている顔は、海神オーケアノスであると言われています。古代ローマ時代には、マンホールのふたには「雨水を飲み込む」という意味から水にまつわる神が彫られていました。
中世から「怪人面」とも呼ばれてきた真実の口には、ある伝説が残されています。それは、「手を口に入れると、偽りの心がある者は、手を抜く時にその手首を切り落とされる、手を噛み切られる、あるいは手が抜けなくなる」というものです。
映画『ローマの休日』では、グレゴリー・ペックが扮するジョーの手が抜けないという演技をオードリー・ヘップバーンが演じるアン王女が真に受け、叫んで泣いてしまいました。現在は手を入れることが出来なくなっていますが、真実の口の前で記念写真を撮る観光客は今もなお大勢います。
ミラノのドゥオーモ@ミラノ
イタリアのドゥオーモとして特に有名なのが、ミラノのドゥオーモ広場に位置する世界最大級のゴシック建築です。1386年から建設が始められ、戦争による中止を幾度も繰り返しながら、1813年にナポレオン・ボナパルトの命によってフランスの資金で完成させられました。
135本ある尖塔の天辺にはひとつひとつに聖人が立っており、一番高い主尖塔には黄金のマリア像が飾られています。ガレリアを抜けて現れるドゥオーモの外観にも圧倒されますが、内部も必見です。5世紀もの長い歳月をかけて様々な芸術家によって作られた完成度の高さを感じます。絵画のように緻密なデザインが施されたステンドグラスは、キリストやマリアを題材にされています。
天気が良い日には、屋上に上がることをおすすめします。ミラノ市内が一望できる眺めと共に、尖塔や黄金のマリア像を間近で見ることができ、貴重な体験になること間違いなしです。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガレリア@ミラノ
ドゥオーモと並んで、ミラノを象徴するスポットとして数えられるのがヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガレリアです。アーチ型をしたガラス天井のアーケードがドゥオーモとスカラ広場を繋ぎます。
このガレリアは1877年に完成してから現在まで、道の両側にカフェやレストラン、高級ブランド店が並ぶ人気スポットとしていつも賑わいをみせています。天井付近にある絵画や、モザイク模様の美しい道などガレリア全体が美しい芸術品として楽しめます。
サン・マルコ広場@ヴェネツィア
ヴェネツィアを観光する上で、迷ったら目印にしたい基点に最適な美しい広場です。ナポレオンが「世界一美しい広場」だと称賛した広場は回廊のある建物に囲まれながら歴史を感じさせるカフェもあり、居心地が良いスポットとなっています。
イタリア語で満潮を意味するアクア・アルタという現象の影響を特に強く受けるのがヴェネツィアです。アクア・アルタはシロッコという季節風が吹き付ける秋から春にかけて、10月から3月にかけて発生することが多いです。
アクア・アルタの影響によって水浸しの期間は歩行者のために、ギャングウェイという鉄の支柱と木製の厚板で作られた歩道のネットワークがサン・マルコ広場にも作られます。これは通常の歩道よりも120cm程高く設置されますが、時には150cmを超える水位を観測する場合もあるので、注意が必要です。
リアルト橋@ヴェネツィア
ヴェネツィアでサン・マルコ広場と並んで賑わいを見せるのが、大運河であるカナル・グランデにかかるリアルト橋です。この周辺はアクア・アルタの被害が少ないため、商業の中心地として古くから人が集まっていました。元々は木製でしたが、安全面の観点から16世紀末に石造りの橋に変えられました。
橋から眺める運河の様子は日中も日が沈んでからも美しく、橋の両側には市場街が広がっています。ヴェネツィアらしさを感じるために一度は訪れておきたいスポットです。
ムラーノ島 @ヴェネツィア
ムラーノ島はヴェネツィアングラスで有名な場所です。13世紀当時、東西貿易の中心地として栄えていたヴェネツィアでは貴重なガラス製品を自国で製造しようという考えから、ガラス職人やその家族、ガラス工芸品の販売者をムラーノ島に強制移住させて閉じ込めました。その結果独自のガラス工芸技術が発達し、ヴェネツィアが栄えたと言われています。
どこを撮っても絵になるカラフルな島なので、歩いているだけでもワクワクできるでしょう。ガラス博物館など芸術的な見どころも多くあります。
ピサの斜塔@ピサ
トスカーナ州ピサ市にあるイタリア屈指の観光名所です。「ピサのドゥオモ広場」の一部として世界遺産にも登録されています。1173年から作られ、1372年まで3度に渡って建設されてきたロマネスク建築の塔です。しかしながら、地盤の土質が非常に不均質であったために最初の工事が終わった時に既に傾いており、そこから傾斜が修正できないまま塔の南側が大きく沈んだ形で完成しました。
斜塔の高さは地上55.86m、階段は296段あります。元は5.5度傾いていましたが、安全上の問題から1990年から2001年にかけて工事が行われ、現在は約3.99度の傾きとなっています。少し遠くから斜塔を支えるような構図で写真を撮るのが定番です。
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂@フィレンツェ
フィレンツェで見ておきたい観光スポットといえば、「花の聖母マリア」を意味する、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂です。緻密なデザインと「クーポラ」という大きなドームが特徴的で、晩期ゴシック建築と初期ルネサンス建築を代表するものとして現在もフィレンツェのシンボルとなっています。
白の大理石を基調として、緑やピンクの大理石で幾何学的なデザインが施されている壁面は、間近で鑑賞すると想像以上の美しさに圧倒されるでしょう。至る所に彫刻が施されているので、じっくりと時間をかけて鑑賞していただきたいスポットです。
建設は1296年に始まり、140年以上かかったとされています。建築自体が完成した後も、大聖堂西側のファサードは未完のままで、1800年代後半にようやく現在の様子で完成しました。13世紀から19世紀にかけて作り上げられた貴重な建築です。
大聖堂の中へはいつでも無料で入ることができます。クーポラに上がるためには料金がかかるのでご注意ください。宗教施設のため、露出の多い服装やサンダルでは入場を断られる場合もあります。
本物が目の前に!アートスポット15選
バルベリーニ宮殿(国立古典絵画館)@ローマ
ベルニーニによるトリトーネの泉があるバルベリーニ広場には、バロック建築の代表とも言えるバルベリーニ宮殿があります。宮殿の2階にある国立古典絵画館では、ルネッサンスの絵画を中心とした名画が展示されています。
大サロンの天井画であるコルトーナの『神の摂理の勝利』は、時間をかけてみていたい、華やかな作品です。この天井画はバルベリーニ家の栄光が描かれています。フィレンツェやヴェネツィアには行かないけれども、ルネッサンスの美術品を鑑賞したいという方におすすめです。
サン・ピエトロ大聖堂@ローマ
イタリアにいる時で無ければ観光できない国に行ってみましょう。ローマの中にある世界最小の国、バチカン市国にはカトリック教会の総本山であるサン・ピエトロ大聖堂があります。コンスタンティヌス1世の指示で4世紀にイエス・キリストの弟子であった聖ペトロの墓の上へ大聖堂が建てられました。
円屋根であるクーポラの天辺からは、144体もの聖人像があるサン・ピエトロ広場とバチカン市国内部、その先にあるサンタンジェロ城の絶景を眺めることが出来ます。階段は非常に長いので、途中まではエレベーターで上がることをおすすめします。
現在のサン・ピエトロ大聖堂は1626年に完成した2代目のものです。ルネサンス期の巨匠ブラマンテやラファエロ、ミケランジェロなど著名な芸術家たちによって改築され、ミケランジェロによる「ピエタ像」など素晴らしい芸術作品を見ることが出来ます。豪華絢爛な装飾が魅力の地図のギャラリーがあるバチカン美術館や「最後の審判」や「天地創造」などミケランジェロの傑作が飾られているシスティーナ礼拝堂など、隣接する施設にもバチカン市国に来たからには見ておきたい素晴らしい美術品が揃います。
サンタンジェロ城@ローマ
バチカン市国に近く、あわせて観光するのにおすすめなのが、テヴェレ川右岸にある城塞、サンタンジェロ城です。元々は135年にハドリアヌス帝が自らの霊廟として建造したもので、その後ローマの歴代皇帝の墓となりました。中世以降は法王の住まいとして、また牢獄として様々に使われてきましたが、国立博物館となった現在もオリジナルの部分が残っています。
城の上部にあるテラスからは、ローマ市街やバチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂を見渡す絶景が眺められます。歌劇『トスカ』や、映画『天使と悪魔』の舞台になった魅力的なスポットです。
スカラ座@ミラノ
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガレリアを抜けていくと、イタリアオペラ界の最高峰として数々の著名なオペラの初演が行われてきたスカラ座があります。
隣接して内部にはスカラ座博物館があり、公演をしていない時間帯にはボックス席からの劇場の内部や、使われてきた衣装、楽譜、ポスターなどをみることができます。時間とタイミングが合えば、オペラ公演を鑑賞するのも忘れられない思い出になりそうです。
スフォルツァ城@ミラノ
スフォルツァ城は、ルネッサンス期におけるミラノ最大の建物です。スフォルツェスコ城とも呼ばれています。ヴィスコンティ家の居城をフランチェスコ・スフォルツァ侯爵が1450年に改築し、城塞として使われました。
現在は市立博物館として利用され、ミケランジェロの最後の作品である『ロンダニーニのピエタ』などが展示されています。城門から入ると、美しい緑が広がる「武器の中庭」と宮殿をみることができます。
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会@ミラノ
美術品に詳しくない方でも知っているであろう、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』を鑑賞することができるのは、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の修道院の食堂です。サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会と修道院、『最後の晩餐』をまとめて世界文化遺産にも登録されています。
人気の観光スポットでありながら、入ることができる人数が限られているため、予約なしで入館するのには非常に時間がかかります。ネットや電話で予約することができるので、日本で事前に予約しておくことをおすすめします。
ブレラ絵画館@ミラノ
北イタリアのルネッサンス絵画が好きな方に是非訪れていただきたい美術館は、15世紀〜18世紀のロンバルディア派やヴェネツィア派を中心にイタリア絵画の名作が揃う、ミラノを代表するブレラ絵画館です。
ラファエロの『マリアの結婚』や、ジョヴァンニ・ベッリーニの『ピエタ』など、絶対に見ておきたい絵画が多く展示されています。毎月第一日曜日は無料になるので、機会が合えばお得に鑑賞してみてください。
ウフィツィ美術館@フィレンツェ
フィレンツェにあるウフィツィ美術館には、フィレンツェにて絶大な権力を握っていたメディチ家歴代の美術コレクションが収蔵されています。レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』や、ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』、『プリマヴェーラ』といった、誰もが知っている有名な作品を間近でじっくりと鑑賞することができます。
イタリアルネサンス絵画を始めとした展示物は2,500点以上で、古代ギリシア、古代ローマ時代の彫刻から、ボッティチェッリ、レオナルド、ミケランジェロ、ラッファエッロなどの巨匠の絵画、それ以前のゴシック時代、以後のバロック、ロココなどの絵画が展示されています。
ウフィツィ美術館の建物は16世紀に建てられた当初、行政機関の事務所として使われていました。当時治めていた初代トスカーナ大公のコジモ1世は、住まいのピッティ宮殿から直接通えるように約1kmもの回廊を造らせました。この回廊にも肖像画コレクションを始めとする700点以上の絵画が飾られています。
アカデミア美術館@フィレンツェ
シニョーリア広場やミケランジェロ広場に置かれているダヴィデ像のオリジナルは、アカデミア美術館に収められています。ミケランジェロの彫刻やフィレンツェ派絵画が収められているスポットとして有名で、ダヴィデ像の他にも未完の彫刻である『奴隷』を始め、ミケランジェロの作品が多く展示されています。
ハイシーズンは、インターネットでの予約もすぐに埋まってしまうため、早めに予定を立てておくことをおすすめします。
メディチ家礼拝堂@フィレンツェ
「新聖具室」と「君主の礼拝堂」の二棟をあわせてメディチ家礼拝堂と呼ばれます。サン・ロレンツォ教会に付属するものとして、16世紀から17世紀にかけて建設されました。
「新聖具室」は、ミケランジェロが設計したもので、彼による『曙』『黄昏』『昼』『夜』の四体の彫刻像が飾られています。建築と彫刻をあわせてミケランジェロの最高傑作の一つに数えられる芸術的なスポットです。
また「君主の礼拝堂」は、政治権力を失っていたメディチ家が富を誇示するために建てた礼拝堂で、歴代トスカーナ大公の墓所となっています。多くの大理石と貴石を使って造られた細工は当時のメディチ家の人々の想いを今に伝えます。
ヴェッキオ宮殿@フィレンツェ
今もなお行政の中心であるシニョーリア広場の周りにある、ヴェッキオ宮殿はかつてのフィレンツェ共和国政庁舎です。現在はフィレンツェ市庁舎として使われながら一部は開放されおり、宮殿内部を見学することができます。
目印になるのは、高さおよそ94mの塔。会議場であった「五百人広間」などには、ミケランジェロの彫刻やヴァザーリ派の絵画が飾られ、美術品を鑑賞する目的で訪れる人も多いスポットです。
サンタ・クローチェ聖堂@フィレンツェ
フランシスコ会の重要な教会として、フィレンツェ最古の広場であるサンタ・クローチェ広場に面して建てられているのがサンタ・クローチェ聖堂です。
教会の内部には、ミケランジェロやマキャヴェリ、ロッシーニ、ガリレオ・ガリレイなど街を代表する有名な人々を祀る墓廟があります。さらにドナテッロによる『受胎告知』や、ジョットのフレスコ画『聖フランチェスコ伝』など素晴らしい美術品も多く、広い内部の隅々まで鑑賞しがいのあるものとなっています。
国立考古学博物館@ナポリ
ギリシア・ローマ美術に興味がある方にとって必見の博物館は、古代文明の美術品を多く収める国立考古学博物館です。紀元前の作品であることを考えると、当時の美術レベルの高さに圧倒されます。
紀元前4世紀の模刻『ファルネーゼのヘラクレス』や、メノウの細工が施された紀元前2世紀の『ファルネーゼの皿』、ポンペイで発掘された大モザイク画『アレクサンドロ大王の戦い』など、ポンペイやエルコラーノの古代の歴史をより深く知ることができる作品が展示されています。
国立カポディモンテ美術館@ナポリ
18世紀に建てられた宮殿を利用した美術館です。2階にはマザッチョの『磔刑図』などをはじめとしたルネッサンス絵画や陶磁器のコレクション、3階にはカラヴァッジョなどナポリ派の名作、4階には近・現代の作品が展示されています。
緑が美しい庭園は、ベルサイユのトリアノン庭園がモデルとなっています。丘から見下ろすナポリの街並みも素敵です。
国立サン・マルティーノ美術館@ナポリ
教会や回廊、中世ナポリでの人々の暮らしを感じられる貴重な資料が展示されている美術館です。中に位置する教会は、ナポリ・バロック様式の中でも最高傑作の一つに数えられるもので、金・銀に装飾された天井や緻密なフレスコ画は見るものを圧倒させます。
元々は14世紀に建てられた旧修道院でしたが、16世紀の改築でバロック建築を代表するものとなりました。奥に位置する庭園からは王宮からメルジェリーナ港までの絶景を望むことができます。
歴史を感じる自然・遺跡スポット7選
コロッセオ@ローマ
ローマを代表する観光スポットであるコロッセオは、フォロ・ロマーノなどの古代ローマ時代の建造物と共に世界遺産に登録されている、ローマ帝政期に造られた円形闘技場です。コロシアムの語源になっており、正式名称を「フラウィウス円形闘技場」と言います。
ウェスパシアヌス帝の時代に市民のための娯楽施設として建設が開始され、ティトゥス帝の時代に完成しました。コロッセオの構造は、4階建てでありながらアーチは各層で様式が変えられており、1階はドリス式、2階はイオニア式、3階はコリント式になっています。また80箇所もの入口のアーチには番号が付けられ、当時の観客たちが混乱せずに入場できるように工夫されていました。
内部に入って、当時の客席や地下空間を見ると2,000年前の建築技術に驚かされるばかりです。オーディオガイドの貸し出しがあり、日本語版もあるので、より詳しく歴史や技術を知りたい方は活用してみてはいかがでしょうか。チケット売り場は、非常に混雑するので予めインターネットで購入するか、ツアーで観光することをおすすめします。
パンテオン@ローマ
現存する中で最も完全なローマ建築の遺構であり、ミケランジェロもかつて「天使の設計」と称賛したと言われる建物です。紀元前27〜25年にかけて創建されたものを118年にハドリアヌス帝が再建しました。
中には、ラファエロやエマヌエーレ2世、ウンベルト1世の墓とともに、美しい彫刻やフレスコ画が飾られています。クーポラの天窓からの光が差し込み、荘厳な雰囲気に圧倒されるでしょう。
フォロ・ロマーノ@ローマ
ローマ時代の市民の生活していた様子が想像できる遺跡です。神殿やバジリカ、演壇などが当時の形を残しています。日差しを遮るものがないため、夏場は十分な熱中症対策が必要です。
チケットはパラティーノの丘とセットになっているので、続けて見学するとお得です。非常に広いため、フォロ・ロマーノだけで最低でも2時間、パラティーノの丘と合わせてみると半日が見学に必要となります。
青の洞窟@カプリ島
カプリ島を訪れる人の多くが観光するのが、日本人にも有名なカプリ島です。透明度の高い海水に反射する光とコバルトブルーの景色は神秘的な魅力を感じます。天気や波の高さによって洞窟内に入ることが出来ない場合も多いので、ご注意ください。太陽光の関係で、午前中に行く方が美しい景色を楽しめると言われています。
マリーナ・グランデ港から船またはバスで向かい、そこから手漕ぎボートに乗り換えて洞窟に入ります。波しぶきを浴びる可能性があるので、濡れても良い服装で訪れることをおすすめします。
神殿の谷@アグリジェント
ギリシアの遺跡が残る町、アグリジェントは考古学地域が世界文化遺産に登録されています。町の中心から3km程離れたところに位置する神殿の谷には、なだらかな斜面に古代ギリシアの遺跡が残ります。
アグリジェントのシンボルであるシチリア最大の神殿、コンコルディア神殿をはじめ、紀元前5世紀頃の建築物を見ることができます。エルコレ(ヘラクレス)神殿やディオスクロイ(カストール・ポルックス)神殿など、一度は地震や敵軍の攻撃で崩れてしまったものも復元されて残る、当時を伝える貴重なスポットです。
トゥルッリの町並み@アルベロベッロ
高い円錐形の屋根と真っ白に塗られた壁が特徴的な、トゥルッリが立ち並ぶ町並みは散策にぴったりな観光地です。「アルベロベッロのトゥルッリ」として、世界文化遺産にも登録されています。
静かに観光したい場合はアイア・ピッコラ地区、観光地としての賑わいを楽しむのであればトゥルッロ・ソヴラーゾ周辺がおすすめです。
アマルフィ海岸@アマルフィ
世界一美しい海岸と言われるアマルフィ海岸は、世界遺産にも登録されています。ローマ帝国の時代から人々に愛されている温暖な気候と日差し、そして青い海は、南イタリアらしさを強く感じるでしょう。
アマルフィ海岸と一言にいっても範囲は広く、ナポリ湾に面するソレントからサレルノまで、約50kmの海岸線が続きます。アマルフィを中心にポジターノやソレント、ラヴェッロなど、それぞれ地域によって異なる町並みをゆったりと楽しんでみてはいかがでしょうか。
失敗なしのイタリア定番お土産10選
Baciのチョコレート
イタリア語で「キス」を表すBaciは、イタリアを代表する人気チョコレートです。イタリアでは空港やその他のお土産ショップで簡単に手に入ります。このチョコレートの特徴は何と言ってもイタリアらしいロマンチックな仕掛けです。
チョコレートとともに包み紙の中に入っている薄い紙には、「愛の格言」が記されています。格言の内容は、恋に悩む人を後押しするものであったり、著名な人の愛に関する名言であったりと様々。占いやおみくじのように、何が書かれているか毎回周りの人と一緒に楽しめる、お土産にぴったりなお菓子です。
リモンチェッロ
南イタリアを訪れたお土産としておすすめするのは、レモンを使った甘いリキュール「リモンチェッロ 」です。ナポリ湾周辺のカプリ島、ソレント半島、アマルフィ海岸で主に作られていますが、元々はソレントを中心に各家庭ごとに庭で育ったレモンで作られて、愛飲されてきた食後酒でした。甘く飲みやすいですが、アルコール度数は30%を超えるので、アルコールが苦手な方へのお土産は、よりアルコール度数が低く、乳成分が入ったクレーマ・ディ・リモンチェッロがいいでしょう。
大瓶に入ったたっぷりと飲むことができるものだけでなく、可愛らしい瓶に入ったものも多いため、女性へのお土産に最適です。免税の範囲内で持ち帰ることができるアルコールは、一人当たり760mlが3本までと定められているので、ご注意ください。
ヴェネチアン・グラス
ヴェネチアン・グラスの特徴は、鉛を含んでいないソーダ石灰を使っていることで、モザイク柄などの細かなデザインが人気です。ヴェネツィアン・グラスの本場であるムラーノ島では、職人が一点ずつ手作りした本格的なものもありますが、手軽に購入することができるものも多くの雑貨ショップで販売されています。グラスや花瓶、また時計などのアクセサリーや万年筆といった値段も様々な商品があり、知り合いにも自分用にも購入しやすいお土産です。
また、ヴェネツィアではレースもお土産として人気があります。全てハンドメイドで作られているので、値段は張りますが、とっておきの思い出になるでしょう。
サンタ・マリア・ノヴェッラのオーデコロン
世界最古の薬局としても知られている、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会は、現在も本店としてソープやバスソルト、ボディミルクなどの製品を販売しています。ここで有名なのが、パッケージや瓶がお洒落なオーデコロンです。天然の香料をベースにした約40種もの香りが揃います。
オーデコロンのの中でも特に人気が高いのは、カテリーナ・ディ・メディチがフランス王アンリ2世に嫁ぐ際、1533年にドミニコ修道士たちに発注した最も古い香りである「サンタ・マリア・ノヴェッラ」です。現在まで「王妃の水」と呼ばれて、多くの人々に愛されてきました。自分用にもプレゼントにもついつい多めに購入したくなるお土産です。
KIKOミラノのコスメ
KIKOミラノは、ミラノ発祥・日本未上陸の人気プチプラコスメです。全てイタリア国内で作られており、デザインやクオリティーはどの商品もしっかり保証されています。日本では購入することができないため、女子に喜ばれること間違いなし。
パッケージが非常に可愛らしく、リップやグロス、チークなどのカラーバリエーションが豊富なため、女子旅のお土産におすすめです。選ぶ時間も楽しくて、ついつい長居してしまいそうなブランドになっています。
LAVAZZAのコーヒー豆
イタリアのコーヒー文化を支えている人気ブランドがLAVAZZA(ラバッツァ)です。LAVAZZAは1895年にトリノではじまり、現在はイタリア各地のホテルやバー、レストランでも多く取り扱われています。イタリアではスーパーマーケットでもコーヒー豆を購入することができるので、コーヒー好きな人へのお土産としてぴったりです。
革製品
ハイセンスなイタリアの中でも、革製品を買うのにおすすめなのはトスカーナ州フィレンツェ。世界でも有数の革の産地と言われています。街を歩いていると至るところに革製品を売るショップがあります。安く購入するなら露店も手ですが、せっかくならばセレクトショップや革工房でお気に入りの商品を購入しましょう。
革製品の主なカテゴリーとしては、バッグやベルト、手袋などのファッションアイテム、また財布などの小物類が挙げられます。大切な人や自分用のお土産として長く使える良いものを見つけ出してみてはいかがでしょうか。
MARVIS(マービス)の歯磨き粉
日本でも人気のあるMARVISの歯磨き粉は、イタリアのフィレンツェで誕生しました。現在もイタリアの多くの人々に愛されています。その人気の秘密は、バラエティー豊かなフレーバーとシンプルでありながらファッショナブルなパッケージです。
フレーバーごとに色の異なるカラフルなパッケージは、バスルームに置いてもオシャレなインテリアのように楽しめます。日本でも購入することができますが、イタリアで購入すると値段が3分の1以下になるので、イタリアで購入しておきたい商品となっています。
パスタ
イタリア料理の代表であるパスタは、持ち帰りやすいお土産にぴったりなグルメです。イタリアではパスタを手作りする家庭も多いですが、市販の乾麺も多く用いられます。市販のものの中では、世界ナンバーワンのシェアを誇るBarilla(バリラ)のパスタが人気。
日本でもメジャーなスパゲッティをはじめ、楕円形のリングイネ、平たいフェットチーネ、サラダなどにも用いられるショートパスタのマカロニのように種類は非常に多く、蝶やリボンの形をしたファルファッレや、螺旋状のフジッリなど可愛らしいショートパスタを、瓶詰めや乾燥タイプのパスタソースとセットにしてプレゼントするのがおすすめです。
オリーブオイル
良質なオリーブオイルがイタリアでは、日本よりもずっと安く購入することができます。サラダやパスタ、肉・魚料理に使用したり、パンにつけて食べたりする用にたっぷりと使うことができるのでおすすめです。
知り合いにあげるのにもぴったりな小瓶タイプには、フレーバーが付けられている白トリュフオイル、黒トリュフオイルなどもあります。瓶は多く買うと重くなってしまうので、帰りのキャリーバッグの空き容量と相談しながら購入してください。
イタリアへのアクセス・所要時間
成田〜ローマ
約12時間15分〜13時間
毎日運行
成田〜ミラノ
約12時間10分〜12時間45分
夏季は毎日、冬季は週に5便の運行
※全て直行便
就航している航空会社
日本とイタリアを直行便で移動するためには、ローマ郊外にあるフィウミチーノ空港(レオナルド・ダ・ヴィンチ空港)と、北部にあるミラノのマルペンサ空港の二つの空港を利用します。ローマやミラノ以外から向かう場合には、乗り継ぎ便もしくはローマかミラノに一度直行便で向かって経由する必要があります。
現在日本とイタリアを直行便で繋いでいる路線はアリタリア航空のローマ行き・ミラノ行きの2路線のみです。ヴェネツィア、フィレンツェ、ナポリ、シチリア島、サルデニア島などイタリアの各地に空港があるため、エリア間での移動にも空路を使う場合が多くあります。直行便は乗り継ぎ便よりも所要時間が短く済みますが、料金が高くなる傾向にあるため、求める要素に合わせて選択することが必要です。
直行便
アリタリア航空(成田〜ローマ)と(成田〜ミラノ)のみ
乗り継ぎ便
- カタール航空(ドーハで乗り継ぎ)
- KLMオランダ航空(アムステルダムで乗り継ぎ)
他にもJALやANAなどの日本の航空会社をはじめ、多様な乗り継ぎ便があります。
イタリア観光の移動手段
各都市間の移動はツアーの多くはバスでの移動になりますが、それ以外は飛行機や特急電車を利用します。
特急電車にはユーロスター・イタリアやインターシティなどが挙げられます。ユーロスター・イタリアは、ローマやフィレンツェ、ミラノ、ベネチア、ナポリなどの主要都市を結んでイタリアの国内を横断する高速列車です。普通運賃と特急料金が必要となる全席指定席で、主に一等車と二等車と分かれたグレードが存在します。インターシティは、ユーロスター・イタリアよりも停車駅が多い分、料金が安い特急電車です。こちらも普通運賃と特急料金が必要となります。
また、ローマの市内を移動する場合には、市内全域を網羅しているバスや周辺部を走るトラム、2路線ある地下鉄が便利です。地下鉄、バス、トラムの切符は共通で利用することができます。水の都 ベネチアは自動車は全て入ることができないため、特殊な交通事情となっています。ヴァポレットという水上バスや水上タクシーを使って運河を移動します。ヴァポレットはサンタ・ルチア中央駅やローマ広場、マルコ=ポーロ空港などに繋がっています。
日本とイタリアを直行便で移動するためには、ローマ郊外にあるフィウミチーノ空港(レオナルド・ダ・ヴィンチ空港)と、北部にあるミラノのマルペンサ空港の二つの空港を利用します。ローマやミラノ以外から向かう場合には、乗り継ぎ便もしくはローマかミラノに一度直行便で向かって経由する必要があります。
現在日本とイタリアを直行便で繋いでいる路線はアリタリア航空のローマ行き・ミラノ行きの2路線のみです。ヴェネツィア、フィレンツェ、ナポリ、シチリア島、サルデニア島などイタリアの各地に空港があるため、エリア間での移動にも空路を使う場合が多くあります。直行便は乗り継ぎ便よりも所要時間が短く済みますが、料金が高くなる傾向にあるため、求める要素に合わせて選択することが必要です。
イタリアのお得なフリーチケット
ユーレイル
鉄道を使って移動する方におすすめなフリーチケットです。オンラインで事前に購入することができます。種類としては、国外も利用できるユーレイル・グローバルパスと国内に限定したユーレイル・イタリアパスの2種類があります。
ヨーロッパの様々な国を鉄道で旅したいという方向けのグローバルパスだと、加盟している28ヵ国の国鉄や代表的な鉄道が乗り放題になります。また、イタリアパスはトレニタリア(fs線)の列車を利用することができます。27歳以下はよりお得なユース割引価格で購入できるので上手く活用してみてください。
ローマパス
3日間ローマ市内のバスや地下鉄といった公共交通機関が乗り放題になるほか、多くの博物館や美術館を無料または割引で利用することができる、お得なパスです。切符を購入する手間や、切符売り場の列に並ぶ必要が無いという便利さもおすすめする理由となっています。
コロッセオや人気の美術館は、ローマパスを利用する際に予約必須なので、事前に確認してからご利用ください。
フィレンツェカード
5箇所以上の美術館を巡る旅であれば、フィレンツェカードが便利です。72ヵ所もの美術館・博物館が3日間自由に入館できるようになります。切符売り場の混雑を避けることができるのが嬉しいポイントです。
フィレンツェカード自体は72ユーロですが、さらに5ユーロを追加すると市内のバスなどの交通機関が乗り放題になります。
イタリアの年間イベント情報
1月
エピファニアの祝日
毎年1月6日に開催される年初めの宗教行事「エピファニア」は、日本では公現祭と呼ばれています。イタリアでは、エピファニアの日に子どもたちはおもちゃのプレゼントを貰います。これは東方の三博士がイエスに贈り物をもってきたという聖書の記述に基づいたものです。
5日から6日にかけての夜中に、べファーナという魔法使いがほうきに乗って、子どもたちの靴下にプレゼントを届けます。良い子にはお菓子やキャンディ、悪い子には石炭が入るという言い伝えがあります。クリスマスはエピファニアとは別で、サンタクロースがクリスマスツリーの下にプレゼントを置いていきます。またこの翌日からクリスマスの飾り物が片付けられる、イベントの終わりを告げる日でもあります。
2月
ヴェネツィアのカーニバル
ヴェネツィアの伝統的なイベントであるカーニバルには、仮面と衣装を身にまとった人々が参加します。毎年この時期には約300万人もの人が訪れていると言われる一大イベントです。きっかけは1162年にアクイレイアの総主教との抗争でヴェネツィアが勝利したことでした。18世紀頃に一時衰退してしまったカーニバルを1979年に復活させ、現在も続いています。
サン・マルコ広場には色とりどりの仮面や衣装を身につけた人で賑わいます。顔にペイントを施したり、衣装を身にまとって写真撮影をしてみてはいかがでしょうか。イベント期間で最も注目されるのが、最終日のコンテストです。このコンテストでは最も素敵な衣装とマスクをした人が選ばれます。
聖ヴァレンティーノの祭り
ウンブリア州テルニには、バレンタインデーの元である聖バレンタイン教会があります。3世紀頃のキリスト教の聖職者であるウァレンティヌスは、キリスト教の信仰を捨てずに2月14日に殉教したとされています。
そのため、毎年2月14日は休日となり、守護聖人であるウァレンティヌスを祝うために、聖バレンタイン教会には朝から晩まで聖人の棺に参拝客が行列を作り、ミサが行われます。また、当日は教会の横に出張郵便局ができ、毎年異なるデザインの聖バレンタインの切手とスタンプで愛しい人にカードを送ることができるという特別なイベントも行われます。
アーモンドの花祭り
まるで桜のような花をつけているのは、春の訪れを告げるアーモンドの花です。毎年2月頃から暖かいシチリアで花をつけます。アグリジェントに残る古代ギリシャ神殿遺跡が立ち並ぶ、世界遺産の「神殿の谷」でもアーモンドの花が遺跡の周りを彩ります。
アーモンドの花が咲く時期に世界平和を祈念するフォークロアをテーマとして開催されるアーモンドの花祭りでは、世界各地からフォークロアグループが集まり、10日間ほどかけて盛り上がりを見せます。
4月
ヴィニタリー
イタリアワイン好き必見の国際ワイン&スピリッツ見本市が、毎年ヴェローナで開催されます。このイベントは元々、1933年にトスカーナ州シエナで開催された、イタリア初の全国ワインの展示会「モストラ・メルカート ヴィーニ・ティピチ・ディタリア」を起源とするものです。1967年からはシェイクスピアのロミオとジュリエットの舞台でもあるヴェローナに場所を移して「ヴィニタリー」という名前で50年以上続いています。
年々イタリアワインもフランスワインに負けない程にクオリティーが上がっていると評判です。イタリアの全州でワインを作っているため、ブドウの品種やその年の出来具合を含めてバラエティーに富んでいるのがこのワイン展の魅力となっています。4,000社以上のワインが揃うため、開催される4日間全てかけても回りきることは出来ません。事前に予習をして、是非お目当のワインを試飲してみてください。
復活祭
パスクアと呼ばれる復活祭は、太陽暦に基づく「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に日付が定められます。本番は日曜日に行われますが、その前の日曜日から一週間かけて「聖週間」と呼ばれる期間を過ごします。聖金曜日からは肉を食べないで、または断食をしてキリストの復活を祈る期間です。復活祭当日は子羊をメインに豪華な食事で祝います。
イタリアの復活祭にもイースター・エッグが登場します。卵の形をしたチョコレートで、中にはプレゼントが入っています。また復活祭の翌日の月曜日は、パスクエッタという祝日で、戸外でピクニックをする日です。復活祭の時期の観光はお店やレストラン、教会が休業している場合も多いため注意が必要です。
5月
カレンディ・マッジョ
ウンブリア州アッシジにて、毎年5月の第一木・金・土曜日に開催される市民のための春祭りです。期間中は中世の衣装に身を包んだ人々で、町中が賑わいます。アッシジの祭りの中で最も大きなイベントであり、市民は1年間かけて祭りの準備をします。
15時から18時までコムーネ広場を中心に開催され、中世の時代に上部と下部に二分されていたアッシジの対立する党をそれぞれ赤と青のシンボルカラーで表し、踊りや劇で闘争の様子を再現します。21時半からは夜のパレードが町をさらに盛り上げます。中世のイタリアにタイムスリップすることができる貴重なイベントです。
フィレンツェ5月音楽祭
フィレンツェでは、「マッジョ・ムジカーレ・フィオレンティーノ」という世界でも有数の音楽祭が開催されます。1933年に指揮者のヴィットリオ・グイによって創設され、1937年からは第二次世界大戦中を除いて毎年開催されるようになりました。当初は現代オペラや忘れられてしまったオペラを多くの人々に鑑賞してもらうことを目的に始められたと言います。
現在4月から7月にかけて、オペラやバレエなど非常に多くのプログラムが上演されます。オペラは主に市立劇場であるコムナーレ劇場と、小規模オペラ向けのコムナーレ小劇場、伝統的なペルゴーラ劇場で上演されます。
6月
インフィオラータ
インフィオラータは、聖体行列が進む参道を花で浄めるという800年近く前からの習慣が現在もイベントとして根付いている、花を敷き詰めるイベントです。キリスト聖体祭当日の日曜日にイタリアの各地で行われ、街中の道、約200mが花びらの絨毯に覆われます。イベントの前日の午後からチョークで下絵描きが始まり、当日の朝に花びらが一気に敷かれます。聖体の行列が通ったあとはすぐに子どもたちによって蹴散らされるため、一瞬の美しさを逃してはいけません。
このインフィオラータの元祖と言われているのが、ジェンツァーノで行われる花祭りです。ローマから近いので海外の観光客も前日から当日にかけて多く訪れます。聖堂へと続くイタロ・ベラルディ通りが花のカーペットで鮮やかに彩られる様子は圧巻です。
野外オペラ(アレーナ・ディ・ヴェローナ オペラ祭)
ヴェローナの夏の風物詩とも言えるイベント「アレーナ ディ ヴェローナ」は、1世紀初頭に建設された古代ローマ円形競技場をそのまま劇場として使う野外オペラです。上部が崩れてしまった現在も、約2万人を収容する大規模な劇場です。
オペラが始まると客席にあるキャンドルに火を灯して、星空の下で鑑賞します。大きな舞台を利用して、6月下旬から8月末まで、毎年約40~45公演が催されます。演目はアイーダやカルメンなど、国内外を問わず誰もが知るオペラからオーケストラコンサート、バレエ公演まで様々です。
7月
パリオ
トスカーナ州のシエナにて、毎年7月2日と8月16日に開催されて約4万人を動員する世界的な伝統行事です。シエナの中心街にあるカンポ広場で催されます。夕方からはきらびやかな中世装束を身にまとったパレードが始まり、その後にイベントのメインである競馬のレースが行われます。
元々パリオの起源は聖母マリアの被昇天を讃えるもので、12世紀まで遡ります。17つの地区に分かれたコントラーダごとに団結して、競馬で競い合います。広場で見物する分にはチケット不要ですが、3時間前から入場不可となるため、早めに場所取りをする必要があります。
8月
ヴェネツィア国際映画祭
カンヌ国際映画祭・ベルリン国際映画祭と並んで、世界三大映画祭に数えられるイベントであり、また中断期間を含めると世界最古の映画祭です。1932年のヴェネツィア・ビエンナーレという国際美術展で、映画部門が開始されました。
現在も毎年8月から9月にかけてヴェネチアのリード島で開催され、注目を集めています。カンヌと比べて招待状が要らず、カジュアルに参加することができます。注目作品は事前にチケットを購入する必要がありますが、当日券も多く販売されているため、気軽に訪れてみてはいかがでしょうか。
9月
ルミナーラ
ルミナーラ・デ・サンタ・クローチェとは、トスカーナ州ルッカで毎年9月13日に行われる光のお祭りです。ルッカの街の守護聖人であるサンタ・クローチェの祭日の前夜祭として開催されます。城壁が守る街中では、普段使用している電気を全て消され、一つ一つ手作業で取り付けられたキャンドルによって照らされた街を人々がロウソクを手に歩きます。
このルミナーラで、サン・マルティーノ大聖堂に祭られている「聖なる御顔」のキリスト像が、サン・フレディアーノ教会からサン・マルティーノ大聖堂まで行進します。日本では決して体感することのできない幻想的な夜を求めて、時期が合えばルッカまで足を運んでみてください。
10月
トリュフ国際見本市@ピエモンテ
ピエモンテ州アルバでは、1928年以来毎年、白トリュフの国際見本市が開催されます。期間中は毎週土曜日と日曜日に大規模なトリュフマーケットが開かれ、最高級のトリュフや様々な種類のトリュフが販売されます。ピエモンテ州アルバで採れる白トリュフは希少価値が高く、価格も黒トリュフの4~6倍もするのでなかなか日本では味わうことができない貴重なものです。
ユーロチョコレート@ペルージャ
中世の街・ペルージャにて、25年以上続くヨーロッパ最大級のチョコレートのイベントです。イタリア国内のショコラティエだけでなく、ヨーロッパ各地の人気チョコレートが集結し、期間中の10日間は街全体がチョコレートの甘い香りに包まれます。チョコの量り売りからチョコやドーナッツ、チョコレートファウンテンなど歩いてみて回るだけでも楽しめるイベントとなっています。
12月
クリスマスマーケット
毎年11月末から12月にかけて北イタリアを中心に各地でクリスマスマーケットが行われます。イタリアのクリスマス「ナターレ」では、キリスト生誕をモチーフとしたプレゼーピオという人形を飾ってお祝いします。このプレゼーピオをはじめとするオーナメントや、パネットーネなどのお菓子、子ども用のおもちゃがマーケットでは並んでいます。マーケットでホットワインを片手に食べ歩きを楽しむのもおすすめです。
12月25日のクリスマス当日は家族が集まって、クリスマスランチを楽しむのがイタリアの伝統です。そのため、街は閑散としてレストランが閉まっている、また公共機関も早めに運行終了する場合も多いため、観光で訪れている場合は注意が必要です。