雨に濡れずに寺を楽しむ
源光庵
近年改めて注目されているのが、丸い「悟りの窓」と四角い「迷いの窓」が印象的な源光庵です。はるか昔に作られたとは思えないほどにモダンなデザインのこの二つの窓は、込められた仏意と共に多くの人を惹きつけます。室内からこの二つの窓をじっくりと眺めるのがこの源光庵の醍醐味なので、雨の日でも気にせずに訪れることができます。
四角い「迷いの窓」は「人間の生涯」を表し、自分の人生を見つめるきっかけを与えてくれるものです。そして隣りにある丸い「悟りの窓」は「禅と円通」の心と「大宇宙」を表しているので眺めていると新たな気づきや悟りが得られると言われています。
本堂の血天井は伏見城の遺構と言われていて、徳川家の家臣たちが自刃した歴史を今に残しているものです。くっきりと残る足跡も見つけることができます。窓越しの景色だけでなく、北山を借景とした美しい枯山水の「鶴亀の庭」を縁側からゆったりと眺めることもできるので、時間に捉われることなく京都らしい自然と伝統の融合を楽しむことができる魅力たっぷりのスポットです。
龍安寺
侘び寂びといった日本の風流をしみじみと感じるのであれば、龍安寺を訪れてみてはいかがでしょうか。世界遺産にも登録されている龍安寺には枯山水の石庭を見に、多くの観光客が訪れています。この龍安寺はイギリスのエリザベス2世が京都を訪れた際に龍安寺の石庭を絶賛したことから世界的にも有名となりました。
その有名な石庭は「虎の子渡しの庭」「七五三の庭」とも呼ばれる大小合わせて15個の石を全て同時に見ることはできない不完全さや石庭の作り手の意図が明確ではない点においてミステリアスな魅力を感じさせます。方丈からじっくりと眺めていると、哲学的なことまで考え込んでしまいそうです。
また桃山時代に朝鮮から持ち込まれ、千利休などの茶人たちに愛された「侘助椿」の日本最古のものが龍安寺にはあります。秀吉も賞賛したという龍安寺の侘助椿は、銭の形をした蹲踞などと合わせて方丈から覗いてみてください。
等持院
足利将軍家に縁のあるお寺です。嵐山にある天龍寺派の寺院であることから、庭園の造りも天龍寺のようだと人気があります。この等持院の庭園は雨の日であっても、室内からしっとりと楽しむのに最適です。
境内の庭園には心字池と芙蓉池という二つの池があり、それぞれの違いを感じながら穏やかに眺めることができるスポットとなっています。心字池は池そのものや池に映ってより幻想的となった自然の美しさを感じることができます。また衣笠山を借景とした芙蓉池は、茶室である清漣亭とあわせて穏やかな魅力を伝えています。
書院で腰を下ろして、雨音を聞きながら芙蓉池を眺めると心を落ち着かせることができます。さらにこの書院では庭園を眺めながらお抹茶や茶菓子を味わうこともできます。京都ならではの時間の流れを感じながらいただく香り豊かなお抹茶は格別です。
京文化を満喫する
船岡温泉
文化庁の登録有形文化財にも指定されている船岡温泉は、何と言っても外観、内観どちらもの豪華さが見どころとなっています。訪れてまず目に入るのが、風格のある唐破風造の立派な外観です。
そして、脱衣所では上海事変をモチーフにした透かし彫りの欄間に、鞍馬天狗と牛若丸が鮮やかな天井、緑の色合いが明治時代に伝わった西洋文化を思わせるマジョリカタイルの壁など芸術的な空間が広がり、非日常感を味わうことができます。大正12年から続くこの船岡温泉で、いまではなかなか触れることのできない昔ながらの銭湯文化を楽しんでみてください。
老松 北野店
北野天満宮の東側に位置する京都で最も古い花街とされている上七軒に店を構える老舗の和菓子店です。上七軒は通りを歩いているだけでも風情があるので、雨の日でもついつい足を運びたくなります。
老松名物の「夏柑糖」は、日本原産である夏みかんの甘酸っぱさが口いっぱいに広がる寒天のお菓子です。毎年4月から販売されるこの夏柑糖を求めて老松を訪れる人も多い、人気商品となっています。雨の日の気分を晴れやかにしてくれる爽やかな京菓子はぜひ店頭で購入して味わってみてください。また、北野天満宮の梅林の梅の実で造られた梅酒羹や代表銘菓の一つでもある御所車など老松ならではの商品も数多く並びます。
さらに、老松の北野店と嵐山店では京菓子づくり体験をすることができます。京菓子の歴史や背景を学びながら、季節感のある生菓子をつくり、そのうちの一つはその場で美味しいお茶とともに味わうことができるので京都の思い出作りにはおすすめです。雨の日でも京都ならではの特別な時間が過ごせるでしょう。
鶴屋吉信 本店
町家の様式を活かした建築で優雅なひと時を過ごすことができる鶴屋吉信の本店は日本の美が感じられる和みの空間です。1階のショーケースには本店でしか購入することのできない限定品や季節の品々も多く並びます。
鶴屋吉信本店の2階には菓遊茶屋とお休み処があります。お休み処は、テーブル席から茶室や茶庭を眺めることができるゆったりとした空間の中で、生菓子やぜんざい、葛風味、かき氷など季節によって変わるこだわりの甘味を味わうことができるスペースです。
カウンター式となっている菓遊茶屋では、熟練の職人が目の前で季節の生菓子をつくりあげる生菓子の実演を楽しむことができます。職人の技術には日本で生まれ育ってきた人であっても圧倒されるでしょう。できあがった生菓子は美味しいお抹茶とともに味わいながら贅沢な時間を過ごせるので、ほかとは違った特別な京都の甘味体験をしたい方におすすめです。
藤森寮(手作店)
もともと学生寮として使われていた築90年ほどの町家を利用したこの藤森寮には「ものづくり」をするアーティストたちによるアトリエや教室、ギャラリーが集まっています。ガラス細工、フェルト作品、竹細工や器といった手作りの作品や、ガラス工房での体験教室など、こじんまりとしたこの建物の中には様々なワクワクが詰まっています。
北棟と南棟の間には緑に心癒される小さな中庭もあり、建物の中にあるタイル張りの流し台や昔ながらの急な階段などタイムスリップしたかのような雰囲気を感じさせてくれます。趣のある西陣の町家で、職人たちの手仕事に触れる体験は天気を忘れるほどに楽しむことができるでしょう。
ツアーやレンタカー・宿を探す
雨も忘れる雰囲気の良いカフェ
さらさ西陣
アンティーク感のある和製マジョリカタイルがおしゃれな築80年の銭湯「旧藤の森温泉」をリノベーションしたカフェです。
唐破風の門構えが特徴的な外観や、高い天井の店内も銭湯をそのまま活かしながら、開放感のある居心地の良いお店に仕上げられています。こちらのお店は、京都を舞台とした映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」で主人公たちがデートをするシーンのロケ地にも使われました。
ボリューム満点の週替わりランチセットや自家製のケーキなど豊富にメニューも揃うのでお腹が空いている時でも、雨宿りのついでのお茶としても利用しやすいカフェとなっています。また、銭湯だからこその音響で楽しめる音楽ライブやアートイベントも定期的に開催されています。
Cafe Rhinebeck
Cafe Rhinebeckは、モーニングが人気の松之助のオーナーが受け継いだこだわりのレシピのパンケーキが味わえるパンケーキ専門店です。ホットケーキのようにふんわりとした厚みのあるパンケーキは注文を受けてから一枚ずつ丁寧に焼き上げているこだわりの一品となっています。シンプルなパンケーキでありながらも、そのふんわりと素材を生かした味わいと自家製のメイプルシロップの絶妙な組み合わせを求めて行列ができることもある人気店です。
人気のリコッタチーズの他にも、定番のキャラメルバナナや甘酸っぱいフルーツがたくさん載せられたパンケーキなど様々なトッピングのメニューが揃います。さらには甘いものが得意ではない方でも食べやすい、ソーセージやベーコンエッグを合わせたモーニングにぴったりな食事系パンケーキもあるので、気分に合わせて選んでみてください。
古書と茶房 ことばのはおと
「古書と茶房 ことばのはおと」は、ねこ好きにはたまらない「にゃんこパフェ」を提供しているブックカフェです。2017年に移転した今の店舗も、前までと同じく町家の造りで安心感があります。玄関で靴を脱いでから店内へ進むと、本棚やジオラマが店内に置かれ、誰か友人の家に遊びに来たような感覚を受けます。
ランチで一番人気があるのは、お肉や旬の野菜をたっぷりと使用した「プレートごはん」です。メインがお肉であることに加えてボリューム満点で食べ応えがあるので、お腹が空いている時でも十分に満足できるメニューとなっています。
暖簾をはじめとして店内の至る所に描かれているネコのデコレーションが愛らしい「にゃんこパフェ」だけでなく、京都ならではの「お抹茶パフェ」など他のスイーツメニューにも手を入れているので、お茶としての利用にもおすすめです。
思い出に残るお土産選び
洛叉庵
こじんまりとした隠れ家のような店構えでありながら、口コミによってその美味しさが広まった人気店の洛叉庵。こちらのお店で販売されているのは「四季わらび餅」です。注文を受けてから10分ほど丁寧に練り上げることによって作られる出来立てのわらび餅は、今まで食べてきたわらび餅とは異なるほどに滑らかな口当たりが魅力となっています。
わらび粉と砂糖、風味づけの一保堂茶舗の抹茶だけというシンプルな材料であるために、より一層わらび餅本来の美味しさが際立つ商品です。完全予約制で、1日に販売される数も決まっているために訪れる際には早めに予約をしておくのがおすすめです。
嘯月
グルメ漫画として知られる「美味しんぼ」でも日本最高峰だと紹介されている上生菓子屋「嘯月」。来店時間までも指定する完全予約制で、一つ500円ほどとお高めなお店となっています。そういったお店側の考えも、一度こちらの上生菓子を味わえば納得できるはずです。今まで食べてきた上生菓子の概念が変わってしまうほどの特別な味わいが広がります。
京都らしい季節感のある美しい見た目の生菓子はまさに芸術品。予約客の来店時間に合わせて用意された作りたての和菓子は、他では味わうことの出来ない繊細な魅力が詰まっています。
季節ごと・月ごと・日ごとによって作るものが変わるので個数だけ指定するお任せの注文がおすすめですが、ほぼ毎日販売している名物の「きんとん」は指定してオーダーしてみるのも良いでしょう。
ル・プチメック今出川店
パン好きな方であれば、京都でもいくつかあるル・プチメックの中でも、外観や内装の色合いから「赤メック」と呼ばれて多くの方に愛されている一号店の今出川店はぜひ訪れておきたいところです。金・土・日と祝日を除けば週3日しか営業しないお店で、アクセスが良いとは言えないにも関わらず、営業日には利用客の絶えない人気店となっています。
ハード系のパンやタルトなどが店内には多く並び、まるでフランスのビストロを訪れたかのような内装に心を躍らせながら京都が誇るとっておきのパンを選ぶことができます。
お土産の購入だけでなく、雨宿りとしてイートインを利用するのもおすすめです。赤のギンガムチェックのテーブルクロスが可愛らしいイートインスペースで味わうのにぴったりなのが、「クロワッサン・ア・ラ・クレーム」です。人気のクロワッサンでカスタードとホイップを贅沢に挟んだこのメニューはパンでありながらもデザートとして楽しめます。