岩手ってどんなところ?
本州の北東部に位置し、南北に長くだ円形のような形をした岩手県は、北海道に次いで日本で2番目に広い県です。それぞれのエリアによって気候や風土にも変化があります。平泉町の世界遺産を巡れば、かつて栄華を極めた宗教都市の文化に触れることができます。各地に点在する自然豊かで風光明媚な温泉、バラエティー豊かなグルメも見逃せません。
また、宮沢賢治や石川啄木をはじめとする多くの文人・偉人を世に送り出しました。盛岡には2人のゆかりのスポットも点在。賢治の故郷・花巻では彼が作り出した独特な世界観のルーツを知ることができるでしょう。数々の民話が残る遠野では日本の原風景が広がり、ゆったりとした時間が流れています。
三陸海岸には、自然が生み出した数々の絶景スポットが待っています。東日本大震災で大きな被害を受けた地域ですが、三陸鉄道リアス線も開通するなど復興も進み、新たな魅力も加わっています。
岩手旅行の見どころ
平泉の世界遺産で、かつての華やかな文化に触れる
岩手県南部に位置する平泉町は世界遺産の町。平安時代後期、奥州藤原氏がこの土地を治めていた頃、平泉はその中心都市として栄華を極めました。そして、三代(清衡・基衡・秀衡)にわたって、この地に仏教の平和思想に基づく理想世界「仏国土」を表現するため、「中尊寺」「毛越寺(もうつうじ)」をはじめとする大規模寺院を建造したという歴史があります。
仏教思想を表現したという世界的にも珍しいこれらの仏教建築や遺構が、平泉町にまとまって残されたことによって、2011(平成23)年6月、平泉の5つのスポットが世界文化遺産として登録されました。
金箔を贅沢に使い豪華な「中尊寺金色堂」は、創建当時のままの姿を今に伝えています。「毛越寺」の緑に囲まれた広大な池が美しい浄土庭園では、仏国土つまり浄土の世界が目の前に。平泉の世界遺産をめぐり、奥州藤原氏の時代の華やかな文化に触れ、その世界観を感じてください。
岩手県の豊かな温泉で癒される
岩手県には自然に囲まれた場所に温泉地が数多くあります。湖を見下ろせる「つなぎ温泉」や川沿いにある「鶯宿温泉」などは、盛岡の奥座敷とも称され、盛岡市街地からもほど近く、気軽に足を伸ばせます。
かつての火山活動が作り出した美しい景色が広がる高原「八幡平」にも温泉が数多くあります。東日本でも最も標高が高い場所にある「藤七温泉」は大自然の中の露天風呂が魅力。四季折々の八幡平の景色はもちろん、ご来光や雲海がみられることもある絶景温泉です。
花巻市郊外の渓谷にある「花巻温泉郷」の1つである「花巻温泉」は温泉リゾート。宮沢賢治ゆかりの地でもあります。ゆっくりとホテルステイをしながら温泉を満喫して、周辺の観光を楽しんでもいいでしょう。
三陸海岸のダイナミックな絶景を楽しむ
三陸海岸沿いには、数億年、数万年前もの地球の活動が造り出した地形が海水の浸食などによって長い時間をかけて変化してできたダイナミックな絶景がたくさん。おだやかな湾に囲まれ白い岩肌が見られる「浄土ヶ浜」はその名の通り、まるで極楽浄土のような美しい景色です。近くには青い海の世界が広がる幻想的な「青の洞窟」も。
高さ200mもの断崖が続く「北山崎」では三陸海岸随一ともいわれる迫力満点の景色が待っています。「龍泉洞」は「日本三大鍾乳洞」にも数えられ、多彩な鍾乳石群と「ドラゴンブルー」とも称される美しい青さの地底湖が作り出す造形美に圧倒されます。
東日本大震災復興のシンボルとしてたびたびマスコミでも話題となってきた「三陸鉄道」も、2019年3月にリアス線全線開通となりました。海岸沿いを走る鉄道を足に、三陸海岸の絶景をめぐる旅を楽しむのもいいですね。
花巻・遠野を訪れ、童話や民話の世界を体感する
花巻は詩人で童話作家、そして教師・科学者・宗教家と多彩な顔を持っていた宮沢賢治の故郷です。彼が理想郷とした「イーハトーブ」とは、岩手県の美しい風景や豊かな自然などから心に描いたものです。故郷・花巻に数多くある賢治ゆかりのスポットを巡れば、その作品世界の魅力を知ることができるでしょう。
遠野には古くから語り継がれてきた民話が今も息づいています。今にもカッパが現れそうな小川が流れ、日本の原風景ともいえる自然が身近にあり、遠野の昔の人の暮らしぶりが知れる伝統的な民家や小さな祠が残されています。ゆったりとした時間が流れる町を散策して、民話の世界を体感してください。
美味しい岩手グルメを堪能
岩手旅行ではおいしい岩手のグルメもはずせません。キムチの辛さと強いコシの麺、冷たいスープの「盛岡冷麺」、特製肉みそと平打ちの麺、野菜をからめて味わう「じゃじゃ麺」は、本場の味を日本人好みに合わせて岩手の地で独自に進化をとげました。
「わんこそば」はユニークな食べ方が特徴。こちらも岩手を訪れたら、ぜひとも体験したいご当地グルメでしょう。3つの麺の食べ比べを楽しむ旅のプランを立てるのもいいですね。
畜産王国でもある岩手には各地でブランド牛肉が。とろけるような柔らかさの最高級ブランド牛肉「前沢牛」は、その代表です。贅沢なグルメを堪能して、旅の思い出を作りましょう。
盛岡市周辺エリア
岩手県の県庁所在地である盛岡市は、かつて南部家が治めた盛岡藩の城下町として発展しました。岩手山を間近に眺められ、市街地には中津川・北上川・雫石川が流れる自然豊かな街です。
その歴史は、「盛岡城跡公園(岩手公園)」にある古い石垣や、明治時代に旧盛岡銀行本店として建てられた「岩手銀行赤れんが館」に見ることができます。
また、盛岡の地は多くの偉人や文化人を輩出しました。明治時代の歌人・石川啄木もその一人。故郷の渋民(しぶたみ)村には「石川啄木記念館」が建てられています。花巻出身の宮沢賢治の生前唯一の童話集は市内にある「光原社」が出版しました。盛岡市近郊の雫石(しずくいし)町にある「小岩井農場」も多くの賢治作品の舞台となり、ゆかりの地の1つとなっています。
「つなぎ温泉」や「鶯宿(おうしゅく)温泉」といった温泉郷も、市街地からほど近い距離にあります。湖畔や川沿いの自然豊かな温泉で、ゆっくりリラックスするのもいいですね。
岩手銀行赤レンガ館
盛岡市街地の中心部に位置し、赤レンガの壁と緑のドームが特徴的な「岩手銀行赤レンガ館」は、1911(明治44)年に旧盛岡銀行本店本館として開業した建物です。設計は「東京駅」でも有名な辰野金吾・葛西萬司建築事務所によるもので、辰野氏の設計した建築としては東北地方では唯一現存する貴重なものです。国の重要文化財にも指定されています。
2012(平成24)年に銀行としての役目を終え、約3年半の保存修理の後、2016(平成27)年から一般公開されています。建物内は、中央が吹き抜けとなった解放的な空間で、人々が気軽に立ち寄ってくつろげるスペースや、イベントなども開催できる多目的ホールとして利用されています。
また、開業した当時の応接室や重役室、会議室などを復元、当時の資料や解体時に発見された資料などが展示されていて、有料で見学することができます。また、バーチャルシアターでも設計者や建物について紹介しています。レトロな内装を鑑賞しながら、その歴史を学んでみてはいかがでしょう。
盛岡城跡公園(岩手公園)
南部28代藩主・重直が慶長年間に築城し、1633(寛永10)年に完成した「盛岡城」は、中津川、雫石川、北上川を自然の濠としていた平城で、「不来方(こずかた)城」とも呼ばれていました。
明治維新によって隅櫓(すみやぐら)は取り払われましたが、石垣は美しく残り、当時の面影を今に伝えています。福島県の「会津若松城」「白河小峰城」とともに「東北三名城」の1つにも数えられています。
そして、現在は「盛岡城跡公園」として整備されていて、石垣や池とともに梅や桜、藤、バラ、アジサイといった季節の花々や新緑、紅葉、雪景色と、四季折々の景色を楽しむことができます。市民にも親しまれるスポットとなっていて、「日本の都市公園100選」にも選ばれています。
石割桜
盛岡地方裁判所の前には、樹齢360年ともいわれる、高さ10m、根回り4.3mのエドヒガンザクラの大木があります。周囲21mもの巨大な花崗岩を割って伸びていることから「石割桜」と呼ばれていて、1923(大正12)年には国の天然記念物にも指定されました。
毎年4月中旬ごろになると花を咲かせ、街を行き交う人の目を楽しませてくれます。日中はもちろんですが、夜桜もまた風情のある美しさです。
光原社(こうげんしゃ)
「光原社」は、1924(大正13)年、生前の宮沢賢治が唯一刊行した童話集「注文の多い料理店」を出版した会社で、その社名も賢治によって名付けられました。現在は、オリジナルの漆製品、日本全国そして世界の民芸品などが店内に並ぶ、クラフトショップとなっています。
落ち着いた雰囲気の中庭には、賢治の記念碑や童話「烏の北斗七星」の一節を刻んだ石柱が建っています。中庭に面してクラシックな雰囲気の喫茶室「可否館」や、「注文の多い料理店」初版本をはじめ直筆原稿といった宮沢賢治ゆかりの資料などを展示する「マヂエル館」もあります。
また、光原社がある材木町のメインストリートは「いーはとーぶアベニュー材木町」と呼ばれ、宮沢賢治と作品にまつわる6つのモニュメントが並びます。ファンタジックな宮沢賢治の世界を感じながら、賢治ゆかりの地を散策してみてはいかがでしょう。
つなぎ温泉
盛岡市の西に位置し、雫石川をせき止めて作ったダム湖の「御所湖(ごしょこ)」を見下ろすように、近代的なホテルや和風旅館が建ち並ぶ「つなぎ温泉」は、そのロケーションも素晴らしく、「盛岡の奥座敷」として親しまれている温泉地です。
平安時代末期、源義家(みなもとのよしいえ)が奥州の安倍貞任(あべのさだとう)を攻めた際、本陣を置いたこの地に温泉が湧くことを発見したといわれています。そして、愛馬の傷を癒し、義家自身も愛馬を石につないで入浴したと伝えられていて、温泉の名前の由来となったそうです。
毎分約2,000リットルもの豊富なお湯が湧出し、6つある源泉は、いづれも湯温が高いことから岩手の寒い冬でも露天風呂が楽しめます。泉質はアルカリ性の単純硫黄泉で、天然の美肌成分とも呼ばれている「メタケイ酸」も含まれていることから、美肌の湯としても人気です。
小岩井農場
盛岡市に近い雫石町の岩手山を望む大自然に囲まれた広大な敷地にある「小岩井農場」。1891(明治24)年、荒野に1本の木を植えることから始まった歴史ある農場で、「小岩井」とは、創始者であった日本鉄道副社長「小野義眞」、三菱社長「岩崎彌之助」、鉄道庁長官「井上勝」の名前の頭⽂字から付けられました。
観光農場エリアの「まきば園」では、乗馬体験やポニーとのふれあい、羊飼いと牧羊犬が羊の群れを追う様子が見られるショー、アーチェリーなど、様々な体験型アクティビティが楽しめます。
日本の畜産、酪農の歴史そのものとも言える小岩井農場には、その発祥の地である「上丸牛舎」を中心に歴史的にも貴重な建物が残されていて、今もその多くが現役として使用されています。2017年には、21棟の農場建造物が国の重要文化財にも指定されました。
通常は非公開ですが、見学ツアーが設定されていて、ガイドの案内で由緒ある建物を巡ることができます。今も現役の牛舎で暮らす乳牛や子牛を間近に眺めることができるのも魅力です。また、宮沢賢治も農場の風景をこよなく愛し、多くの作品の舞台となりました。
グルメも充実しています。農場産の新鮮な牛乳や卵から作られた乳製品を使ったピザや洋食、ソフトクリーム、ジェラートをはじめ、焼き肉やジンギスカンといった農場ならではのメニューが味わえます。チーズやヨーグルトといった乳製品、オリジナルのお菓子やグッズなど、小岩井農場ならではのお土産もたくさんです。
春には雪を溶かして花を咲かせるという珍しい「ザゼンソウ」が農場の森で見られます。また、ミズバショウ、菜の花、アジサイ、コスモスといった季節の花々が咲き、農場の景色とともに楽しむことができます。冬になると雪におおわれますが、東北最大級といわれるイルミネーションが農場内を彩ります。
特に、ゴールデンウィークの頃に農場を訪れたら、農場の奥にある「一本桜」は見逃せません。雪が残る岩手山をバックに緑の大地に一本咲き誇るエドヒガンザクラの大木は、100年ほど前は放牧地だったこの場所に、夏の強い日差しから牛を守るための「日陰樹」として植えられたもの。映画やテレビのロケ地ともなった絶景スポットです。開花情報は、ホームページで確認できます。
道の駅 雫石あねっこ
盛岡と秋田を結ぶ国道46号線沿いの、秋田県にもほど近い山あいにある「道の駅 雫石あねっこ」では、新鮮な朝採り野菜、山菜、キノコなどの産直品や雫石のおいしい水とお米で仕込んだオリジナルの日本酒、様々な加工品、岩手のグルメやお菓子などが並びます。
地元の特産品である雫石牛やワサビを使ったメニューを味わえるお食事処や軽食コーナー、そば処もあり、ここでしか味わえないグルメが待っています。
また、日帰り温泉施設「橋場温泉 新はしばの湯」も併設。美肌効果があるといわれるアルカリ性単純泉は源泉かけ流しで、内湯のほか、川のせせらぎを聞きながら入浴できる露天風呂、無料休憩室も備えています。
ハーブ園やオートキャンプ場、川遊びも楽しめる公園もあって、お土産探しにショッピング、温泉、グルメはもちろんレジャーまで、幅広く楽しめる道の駅です。
鶯宿(おうしゅく)温泉
雫石町にあって、御所湖に注ぐ川の1つである鶯宿川の上流に位置する「鶯宿温泉」は、鶯(うぐいす)が傷ついた足をお湯に浸して治していたのを、加賀国(現在の石川県)からこの地に移り住んだきこりが見て、温泉を発見したという逸話からその名が付きました。
開湯450年を誇り、藩主やその一族も湯治に訪れたといわれる名湯です。川沿いに約2km続く自然豊かな温泉街には、旅館やホテル、民宿が立ち並びます。日帰り入浴もできますが、宿泊しておいしい食事を味わい、ゆっくりと温泉につかり、旅の疲れを癒すのもいいですね。
フラワー&ガーデン森の風
鶯宿温泉にある「ホテル森の風鶯宿」に併設された「フラワー&ガーデン森の風」は、世界的なランドスケープアーティストである石原和幸氏が手がけた、日本最大級の本格的ガーデニング公園です。
水辺の風景とともに訪れる小鳥や蝶の姿を目にすることもでき、山野草、芝桜、ネモフィラ、宿根草など、300種類以上の植物が季節とともに移り変わる美しい景観を、園内散策しながら楽しむことができます。
毎年4月下旬から11月上旬までは通常営業、その後1月にかけては夜間のイルミネーション営業となります(1月中旬〜4月中旬は冬季休園)。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をテーマに34万球ものイルミネーションがガーデンを彩り、毎週土曜日には花火も打ち上げられます。フォトスポットもたくさんなので、旅の思い出をぜひ写真におさめてください。
石川啄木記念館
明治時代に活躍した、近代日本を代表する歌人・石川啄木は、盛岡市街地の北に位置する渋民(しぶたみ)が故郷です。その地に1970年に開館した「石川啄木記念館」では、渋民から盛岡、そして北海道、東京へと移り住んだ啄木の生涯を、直筆書簡やノート、日誌、遺品のほか、写真パネルや映像などで紹介しています。
現在の白い洋館風の建物は、啄木が理想の家として詩にしたものをイメージしていて、1986年、生誕100年を記念して建てられたものです。敷地内には啄木の母校であり、代用教員として教壇にも立った「旧渋民尋常小学校」や、一家が間借りしていた「旧齋藤家」が移築・保存されています。
八幡平・安比(あっぴ)高原エリア
岩手県の北西に位置するこのエリア。「八幡平」は岩手県と秋田県にまたがる台地状火山が作り出した「八幡沼」をはじめとする数多くの沼や湿原、「藤七温泉」といった秘湯など、独特な自然の絶景が広がる高原です。冬季は雪に閉ざされますが、毎年4月中旬の道路開通とともに訪れることができます。
八幡平を縦断する「八幡平アスピーテライン」の道路の両側に高さ数mの残雪の壁が立つ「雪の回廊」は、八幡平の春の風物詩です。
安比高原では、リゾート気分を満喫しましょう。夏はトレッキングやゴルフ、冬はスキーやスノボと、思う存分、季節のスポーツが楽しめます。また高原に広がるブナの林を散策すれば、澄んだ空気で心も体もリフレッシュできること間違いなしです。
八幡平アスピーテライン
岩手県八幡平御在所地区から秋田県トロコ温泉を結ぶ「八幡平アスピーテライン」は、八幡平を横断する全長約27kmの道路で、絶好のドライブコースです。車窓から、そして途中にある展望台から、八幡平のダイナミックな景観を楽しみましょう。
通行可能期間は、通常4月中旬から11月上旬です。4月中旬の通行禁止解除の時期には、道路の両側に数mの高さで雪が残る「雪の回廊」となり、訪れる人々の目を楽しませてくれます。
八幡平山頂レストハウス
「八幡平アスピーテライン」沿いにある「八幡平山頂レストハウス」は、八幡平に観光やトレッキングで訪れた際に、便利な休憩スポットです。地上1階、地下2階の建物内には、うどんやカレーなどの食事や飲み物を提供している「軽食コーナー」や地元の物産を販売している売店があります。
また、八幡平の散策路マップや高山植物の紹介、観光情報なども展示しています。1階の休憩コーナーからは八幡平を見下ろす景色も楽しめます。
八幡沼
八幡平に数多くある沼や池の中で一番大きい「八幡沼」は、日本で唯一のアスピーテ火山の加工沼です。標高1,613mの八幡平山頂にある展望台から眼下に見渡せます。アオモリトドマツの原始林と湿原に囲まれた沼の周りには木道が整備され、約1時間ほどで1周できます。
周辺では夏から初秋にかけて、ニッコウキスゲ、コバイケイソウ、ワタスゲといった高山植物の可憐な花々が見られます。また、沼の西側には赤い屋根の「陵雲荘」があります。トイレ休憩のほか、荒天時の避難小屋としても利用できます。
藤七(とうしち)温泉 彩雲荘
火山が集まる八幡平周辺は、岩手県内でも特に多くの温泉地が点在しています。標高1,400mと東日本でも最も高い場所にある「藤七温泉」の一軒宿が「藤七温泉 彩雲荘」です。湯量が豊富で源泉掛け流しのお湯が楽しめます。自慢の露天風呂は湯床から乳白色のお湯がプクプク湧いていて、開放感も眺めも抜群です。
毎年4月下旬〜11月上旬の営業となっていて、営業開始すぐの春には露天風呂近くで雪渓も見られ、夏の夜には満点の星空も眺められます。そして秋には八幡平の燃えるような紅葉も一望できます。立ち寄り湯でも楽しめますが、宿泊して翌朝早起きすれば、気象条件が合う日にはご来光や雲海の絶景を楽しむこともできます。
安比(あっぴ)高原
安比岳の東に位置する約3,500haの安比高原は、本場ヨーロッパの名だたるスキー場とも肩を並べるスケールの「安比高原スキー場」を中心に、おしゃれなホテルやペンションが建ち並び、牧場や温泉もある、北東北を代表するリゾートエリアです。
雪のないグリーンシーズンには、ゴルフやトレッキングなどのアクティビティが楽しめます。安比高原に広がる「ブナの二次林」は「日本の森林浴百選」にも選ばれていて、散策道も整備されています。
花巻・遠野エリア
岩手県のほぼ中央に位置する花巻・遠野エリア。東北新幹線が停車する「新花巻駅」や「いわて花巻空港」もあり、県外からのアクセスも便利なエリアです。
花巻は、詩人・童話作家の宮沢賢治の故郷で、ゆかりのスポットがたくさんあります。ゆかりの地での1つである「胡四王山(こしおうざん)」周辺には、賢治の多彩な才能を学べる「宮沢賢治記念館」や童話の世界を体感できる「宮沢賢治童話村」、そして童話「注文の多い料理店」にちなんだレストラン「山猫軒」など、賢治ワールドを感じられる施設が集まっています。
郊外の「花巻温泉」でも、彼が設計したという日時計花壇や作品に登場する「釜淵(かまぶち)の滝」を見ることができます。また、JR釜石線も童話「銀河鉄道の夜」のモチーフとなったと言われ、途中にある「めがね橋」も、イーハトーブの世界を彷彿とさせる風景です。
そして、花巻に隣接する遠野は「遠野物語」に描かれた民話が今も息づく場所です。小川の流れる景色や古民家、古い祠など、民話の世界を感じられるスポットをめぐり、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょう。
宮沢賢治記念館
花巻市の「宮沢賢治記念館」は、賢治が手帳に「経埋ムベキ山」と記し、法華経を埋納しようとした「胡四王山(こしおうざん)」の中腹に建っています。宮沢賢治の多彩な作品から感じられる深い思想や世界観を、科学・芸術・宇宙・宗教・農の5つの分野の関係資料やスクリーン映像で表現し、紹介しています。
花巻を訪れたらこちらにも足を運んで、賢治が理想郷と思い描いた「イーハトーブ」の世界に触れてみてください。
山猫軒
宮沢賢治の童話「注文の多い料理店」がモチーフの「山猫軒」は、「宮沢賢治記念館」の駐車場内の教会風の建物です。地元の豊かな食材を使った「イーハトーブ定食」や「山猫すいとんセット」などがおすすめ。
また、店内には宮沢賢治をモチーフにしたグッズや山猫軒オリジナルの商品などが並び、お土産選びを楽しむこともできます。
宮沢賢治童話村
「宮沢賢治記念館」の麓にある「宮沢賢治童話村」は、今にも童話の人物が出てきそうなファンタジックな世界を楽しく遊んで体感できる施設です。入口の「銀河ステーション」をくぐると「銀河ステーション広場」が広がります。
そのまままっすぐ行くとメインの「賢治の学校」です。いくつもの「賢治の椅子」が置かれた「ファンタジックホール」では、映像や効果音で賢治の描いたイーハトーブの世界へといざないます。
そのほか、きらめく宇宙をイメージした「宇宙の部屋」、風になって空を飛んでいるような感覚になれる「天空の部屋」、アリくらいの小さな生き物になったような気分が味わえる「大地の部屋」、『クラムボンはわらったよ』の一節でもおなじみの童話「やまなし」の水の底の世界が体感できる「水の部屋」の全部で5つのゾーンに分かれています。
ログハウス展示施設「賢治の学校」は、「植物」「動物」「星」「鳥」「石」といった童話に登場するものに関する展示のほか、作品グッズや花巻の名産品を取りそろえたショップ「森の店っこや」もあります。
屋外には「妖精の小径」「天空の広場」「山野草園」があります。童話に因んだオブジェも点在しているので、探しながら散策を楽しみましょう。
花巻温泉
花巻市郊外の緑に囲まれた渓谷沿いに温泉が点在する県内最大級の「花巻温泉郷」。その一つ、台川沿いにある「花巻温泉」は、1923(大正12)年に、近くの台温泉から引湯して開発された温泉地で、北東北の温泉リゾートとして人気です。新幹線が停まる「新花巻駅」や「いわて花巻空港」からもほど近く、アクセスも便利です。
4つの旅館・ホテルがあり、それぞれに趣向を凝らした露天風呂も完備しています。観光と一緒に日帰り入浴を楽しんでも、宿泊してゆっくり過ごしてもいいですね。
花巻温泉内の広さ約5,000坪の「花巻温泉バラ園」には、オリジナル品種を含む約6,000株のバラが植えられていて、春と秋の開花の時期は圧巻の美しさです。そして園内には、宮沢賢治が設計した日時計花壇があります。また、台川にある美しい「釜淵の滝」も、賢治作品に登場する景勝地で散策が楽しめます。
めがね橋
花巻駅と釜石駅を結ぶJR釜石線の途中、遠野市の宮守駅近くに架かる「宮守川橋りょう」は、5連のアーチがレトロな雰囲気の鉄道橋で、通称「めがね橋」と呼ばれています。JR釜石線の前身だった「岩手軽便鉄道」は宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」のモチーフとなったといわれていて、現在、童話の世界をイメージした観光列車「SL銀河」も運行しています。
めがね橋の上を走るSLの姿を見れば、タイムスリップしたような気分に。また、夜間はライトアップが行われていて、列車が通過すると、まさに銀河鉄道の夜を連想させる幻想的な景色が広がります。2009(平成21)年には「恋人の聖地」にも認定されたロマンティックスポットです。
カッパ淵
遠野には古くから語り継がれている民話がたくさんあります。土淵町にある常賢寺の裏を流れる小川の淵は、「カッパ淵」と呼ばれています。うっそうとした茂みに覆われている澄んだ水の流れからは、今にもカッパが姿を現しそうな雰囲気です。
岸辺にはカッパ神をまつった小さな祠も。子持ちの女性には母乳が出るようになる願掛けスポットともいわれています。
伝承園
「カッパ淵」から歩いて5分ほどの場所に位置する「伝承園」は、遠野地方のかつての農家の生活様式を再現し、歴史・文化体験ができる施設です。
1850年頃に建てられた農家の納屋だった「乗込長屋」を移築した玄関口を抜けると右手にあるのは、民俗学者・柳田國男が「遠野物語」を編さんする際、その話者となった佐々木喜善(きぜん)にまつわる資料が展示されている「佐々木喜善記念館」です。
施設の奥には、1750年ごろの建築といわれる最も古い時期の南部曲り家が建っています。人と馬が密接に関わって生活していた遠野の文化をうかがい知ることができる建物で、国の重要文化財にも指定されています。当時の農家の民具や調度品が展示されているほか、囲炉裏のある部屋で語り部を囲んで遠野の昔話を聞くこともできます(要予約、1回30分程度)。
曲り家の奥、細くて薄暗い廊下を抜けると六畳ほどの広さのお堂に千体の「オシラサマ」が飾られた「御蚕神堂(オシラ堂)」があります。娘と馬の恋物語伝説で知られる「オシラサマ」は、農業・養蚕・馬の神様として、また、「お知らせ」の神様としても信仰されています。
曲り家の向かいにある「工芸館」では、地元のおばあちゃんと一緒に「遠野馬っこ」を作る「わら細工体験」や「お手玉つくり体験」などが楽しめます(有料・要予約)。ほかにも季節ごとに遠野の伝承行事などが行われます。また、ご当地グルメの「ひっつみ」や「けいらん」などが味わえるお食事処やお土産コーナーもあります。
卯子酉様(うねどりさま)
JR遠野駅から歩いて20分ほど、車では5分ほど、綾織町にある小さな祠が「卯子酉様」で、恋愛の神様と言われていてカップルに人気のスポットです。祠の前で無人販売されている赤い布を左手だけで木に結ぶことができれば、片思いが成就するというご利益もあるそうなので、遠野を訪れるなら、こちらの縁結びスポットも観光プランに加えてみてはいかがでしょう。
一関・平泉エリア
岩手県南部に位置するこのエリア。一関市には市街地の東には舟下りを楽しみながら迫力ある岩壁の渓谷「猊鼻渓(げいびけい)」、そして西には散策しながら奇岩や滝など急流が作り出した変化のある「厳美渓(げんびけい)」、2つの異なる絶景スポットが待っています。
一関の北東に位置する平泉町は、平安時代後期、奥州藤原氏がその栄華を極めた中心都市。初代清衡(きよひら)公が信仰した法華経に説かれる平和な理想郷「仏国土」を表現したという、「中尊寺」「毛越寺(もうつうじ)」といった宗教建築とその遺構は世界文化遺産にも登録されていて、見逃せないスポットです。
猊鼻渓(げいびけい)
一関市の東部を流れる北上川の支流である砂鉄川が、石灰岩を削ってできた高さ50mもの断崖が約2kmに渡って続く渓谷が「猊鼻渓」で、日本百景の1つにも数えられています。1925(大正14)年には、岩手県で初めての史跡名勝天然記念物に指定されました。
猊鼻渓を訪れたら名物の「舟下り」を楽しみましょう。船頭が竿一本で巧みに操る「ひらた舟」に乗って、川面からの四季折々変化に富んだ景色を眺めることができます。5月下旬~6月上旬ごろ、断崖に藤の紫の花が咲きほこる様子は、特に美しく見ごたえがあります。
船下りは往復約90分ほどの所要時間です。折り返し地点の三好ヶ丘でいったん船を降りて歩いていくと最奥の「猊鼻岩」がそびえています。「猊」とは「獅子」のことで、近くには渓谷の名前の由来となった岸壁にそそり出た「獅子ヶ鼻」があります。
雪が舞う冬(12月~2月末)には「こたつ舟」が運行されます。鶏肉や大根、ニンジン、ゴボウなどを刻んで味噌で煮た郷土料理「木流し鍋」をこたつに入って味わいながら、雪景色を楽しんでください。
厳美渓(げんびけい)
岩手・秋田・宮城の三県にまたがり、一関市の西に位置する栗駒山を源に流れる磐井川の中流にある「厳美渓」。巨岩が数万年にわたって侵食されてできた奇岩や滝、おう穴などが作り出す、変化に富んだダイナミックな渓谷美が約2kmに渡って続く絶景スポットです。国の史跡名勝天然記念物にも指定されています。
遊歩道が整備されていて散策することができます。途中にあるつり橋からは、水しぶきを荒々しい上流と、一変しておだやかな流れとなる下流の対比が楽しめます。毎年4月下旬から5月上旬にかけては桜が咲き誇ります。
夏には緑に囲まれて清涼な空気を、そして秋には色づく紅葉、そして冬になると雪景色と奇岩が織りなす水墨画のような世界と、年間を通して様々な景色を見ることができます。
郭公屋(かっこうや)
1907(明治40)年創業の「郭公屋」は、「郭公だんご」のお店です。東屋から川の上に張られたロープに吊り下げられたカゴの中に代金を入れて木づちで板をたたくと、カゴは引き上げられて渓流を挟んだ対岸にあるお店へ。そしてだんごとお茶が入って東屋へと降りてきます。その様子から「空飛ぶだんご」とも呼ばれ、厳美渓名物として人気です。
味は黒ごま、あんこ、しょうゆの3種類で、これに緑茶のついた「だんご3本セット」が定番です。厳美渓の絶景を眺めながら、ぜひ味わってみてください(※12月〜3月上旬は冬季休業)。
中尊寺
「中尊寺」は850年、比叡山延暦寺の高僧・慈覚大師(じかくだいし)によって開山された、天台宗の東北大本山です。その後、12世紀のはじめ、奥州藤原氏の初代清衡(きよひら)公が、長い戦乱によってなくなったすべての人々の慰霊と、辺境とされた東北のこの地に仏国土(仏の教えによる平和な理想社会)を建設しようとの思いから、多くの堂塔を造営しました。
1337年の火災で堂塔はほぼ消失しましたが、「金色堂(こんじきどう)」のみ1124年の創建当時のまま残っています。堂の内も外も金箔で覆われた「皆金色」の阿弥陀堂で、その装飾も絢爛豪華。堂内には藤原三代(清衡・基衡(もとひら)・秀衡(ひでひら))の遺体と四代泰衡(やすひら)公の首級が安置されています。
「讃衡蔵(さんこうぞう)」には、平安期の仏像や経典、奥州藤原氏の遺体の副葬品など、国宝や重要文化財を含む3,000点あまりの宝物が収蔵されています。金色堂とともに奥州藤原氏の往時の繁栄をうかがわせます。
参道の「月見坂」をはじめ境内は老杉が並び、自然に囲まれています。春には桜、秋には紅葉が色づき、冬には雪に覆われます。季節によってそれぞれのお堂も違う雰囲気に見えます。お堂を巡りながら、周りの景色も楽しみましょう。
また、毎年7月中旬から8月中旬には境内の池で「中尊寺ハス」が見ごろを迎えます。1950(昭和25)年に四代泰衡公の首級から見つかった種子から発芽、開花に成功したという古代ハスで、この時期に訪れたら必見です。
毛越寺(もうつうじ)
天台宗の別格本山「毛越寺」は、「中尊寺」と同じく850年に慈覚大師によって開かれました。平安時代後期、奥州藤原氏二代基衡公から三代秀衡公の時代に金堂円隆寺、嘉祥寺など壮大な伽藍(がらん)が造営され、その規模と華麗さは「中尊寺」をしのぐほどだったと言われています。
二代基衡公は父清衡公が中尊寺に表した「仏国土」建設の遺志を引き継ぎ、この毛越寺でさらに発展させていきました。藤原氏が滅亡した後、度重なる災禍によって伽藍はすべて消失しましたが、広大な「大泉が池」を配した美しい「浄土庭園」と平安時代の伽藍の遺構は、ほぼ完全な形で残されており、修復整備されました。国の特別史跡、特別名勝に指定されています。
1989(平成元)年に平安様式の建築で再建された「本堂」には、平安時代作の本尊「薬師如来」が安置されています。また「宝物館」では、毛越寺に伝わる平安期の仏像や工芸品、発掘された遺品や調査資料などが展示されています。
池の周囲にある花菖蒲園では、6月中旬から7月中旬には300種3万株の花菖蒲の紫・白・黄色の大輪の花が咲き誇り、浄土庭園に彩りを添えます。この時期には「毛越寺あやめまつり」も開催されます。
山門側にある「松風庵」はお休み処。広大な境内を散策した後に、団子やかき氷、白玉ぜんざいといった甘味や、こだわりの蕎麦を味わいながら一休みしてはいかがでしょう。お土産にもぴったりの酒粕入りの蒸し饅頭「延年まんじゅう」も販売されています。
達谷窟毘沙門堂(たっこくのいわやびしゃもんどう)
およそ1,200年前、桓武天皇が蝦夷(えぞ)を征伐するため、坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)を征夷大将軍に任命し、派兵しました。そして平定した際、戦の神様である「毘沙門天」のご加護に感謝して、京都の清水寺を模して、窟に毘沙門堂を建て、108体の毘沙門天を祀ったのが「達谷窟毘沙門堂」の始まりといわれています。
毘沙門堂は2度にわたって焼失しましたが、1961(昭和36)年に再建されました。国の史跡にも指定されています。また、近くにそびえる岩壁には、身の丈およそ16mほどもある巨大な磨崖仏が彫られていて必見です。
三陸海岸エリア
岩手県沿岸部のこのエリアでは、三陸海岸沿いに太古の昔の火山活動によってできた入り組んだ地形や断崖、奇岩や洞穴、鍾乳洞などの圧倒的なスケールの絶景を楽しめるスポットがたくさんです。
東日本大震災によって大きな被害を受けた地域ですが、2019年3月には海岸線を走る「三陸鉄道リアス線」も開通し、復興も進んでいます。三陸鉄道「恋し浜駅」や「釜石大観音」といった恋愛パワースポットもあるので、カップルや女子旅で訪れるのもいいですね。
浄土ヶ浜
JR宮古駅から車で約15分、青森・岩手・宮城の三県にまたがる三陸復興国立公園・三陸ジオパークのほぼ中心に位置する「浄土ヶ浜」は、青く澄んだ海と鋭くとがった白い岩、松の緑が美しい、宮古を代表する景勝地です。
今から約300年ほど前、宮古山常安寺七世の霊鏡竜湖(れいきょうりゅうこ)和尚が「さながら極楽浄土のごとし」と形容したことから、その名が付けられたそうです。白い岩肌は、5,200万年前のマグマの活動によってできた流紋岩という火山岩で、太古の昔の地球の活動と波の浸食によって美しい景観が生まれました。
夏にはおだやかな波と美しい海は、海水浴客でにぎわいます。そして、冬の雪景色もまた格別です。太平洋に登る美しい日の出も眺められるスポットとなっていて、元日には初日の出を見ようと多くの人が訪れます。
青の洞窟
浄土ヶ浜にある「八戸穴(はちのへあな)」は、その昔、この穴に入った犬が数年後、青森県八戸市で見つかったことから、八戸まで続いている穴ということでその名が付けられたそうです。入り口から差し込む光によって海水の青さが際立ち幻想的な美しい光景が見られることから、近年は「青の洞窟」と呼ばれるようになり、人気の観光スポットとなっています。
「浄土ヶ浜マリンハウス」から出発するさっぱ船(小型船)遊覧で洞窟内に入ることができます。遊覧では青の洞窟のほか、浄土ヶ浜内湾にある名所を巡り、海上から間近に眺められます。
龍泉洞(りゅうせんどう)
岩泉町にある「龍泉洞」は、「ドラゴンブルー」とも呼ばれる澄みきった青い水をたたえる複数の地底湖と、様々な形の鍾乳石が点在し、その美しく幻想的な造形美から、山口県の「秋芳洞」、高知県の「龍河洞」とならび、日本三大鍾乳洞の1つと言われています。
今なお調査が続いていて、未知の部分も多い洞内。総延長は分かっている部分だけで4,088m、そして地底湖は8つですが、そのうちの700m、3つの地底湖が観光コースとして一般公開されています。
夏でも涼しい洞内を進むと、龍が通って細長い道となったという伝説もある断層の裂け目にできた「百間廊下」、無数にある鍾乳石が月の世界を連想させる「月宮殿」といった、たくさんの見どころが待っています。
そして、一番奥に3つの地底湖があります。特に第3地底湖は水深が最も深い98mで、その水は世界有数の透明度です。第1地底湖は階段を登ったところにある展望台から見下ろすこともできます。ここでは見下ろすのはもちろんですが、天井にあるつらら石などの鍾乳石を見上げてみてください。
北山崎
三陸鉄道田野畑駅から車で20分ほどに位置する、高さ約200mもの断崖と様々な奇岩や海蝕洞窟が約8kmに渡って続く「北山崎」は、荒々しい波が作り出した三陸海岸の美しい風景の中でも、特に迫力のある海岸美がみられるスポットです。
今から約1億年ほど前、前期白亜紀の大規模な地球の活動による地層からできていて、その断層や割れ目から浸食されて現在の風景ができあがりました。断崖の上には海にせり出すように展望台も作られていて、そこからの眺めは息をのむ素晴らしさです。展望台からは海面ぎわに降りることができる736段の階段が。下から間近に見上げる断崖もまた絶景です。
恋し浜駅
大船渡市三陸町の「恋し浜駅」は、三陸鉄道リアス線の駅の1つ。2009年に「小石浜駅」から「恋し浜駅」に改称され、恋愛成就のパワースポットとして人気となっています。
駅を訪れたら旅の記念に地元で採れる「恋し浜ホタテ」の貝がらの絵馬に願いを書いて待合室に飾りましょう。そして、ホームには「幸せの鐘」が設置されているので、こちらもぜひ鳴らしてみてください。
釜石大観音
釜石市大平町の鎌崎半島に釜石湾を見守るように立つ白亜の「釜石大観音」は、1970(昭和45)年、大只越町(おおただこえちょう)にある曹洞宗の明峰山石応禅寺の雲汀晴朗(うんていせいろう)大和尚の発願によって建立されたものです。
その手に魚を抱いた「魚籃(ぎょらん)観音」の姿で、高さ48.5m、その内部は13階建となっています。安置された三十三観音像や七福神にお参りしながら上に登って行くと、11〜12階はちょうど観音様の抱く魚の上に出る「魚藍展望台」で、海抜120mの高さから太平洋を大パノラマで一望することができます。
また、観音様の足元近くには、ハートとカモメをあしらった鐘のモニュメント「願いの鐘」が。2016年には「恋人の聖地」にも選ばれ、恋愛成就のパワースポットとしてたくさんの人が訪れています。
かもめテラス
大船渡市にある「三陸菓匠さいとう総本店」の「かもめの玉子」は、しっとりとした黄身あんをカステラ生地で包み、ホワイトチョコでコーティングした卵形のお菓子で、岩手のお土産としても人気の逸品です。
「かもめテラス」は、菓子工房に併設されたショップで、製造している和洋菓子販売のほか、製造工程の見学、かもめの玉子のデコレーション体験などができます。また、かもめテラスにあるオーブンを使った焼きたてパン工房、「みたらし焼き団子」やかもめの玉子をイメージした「かもめソフト」など、ここでしか味わえないスイーツが楽しめるカフェもあります。
奇跡の一本松
陸前高田市気仙町の砂浜沿いには風光明媚な「高田松原」がありました。約350年前から先人たちが植樹して育ててきた松林で、度重なる津波からも町を守ってきましたが、東日本大震災によって約7万本あった松は、ほぼ流されてしまいました。
そんな中、奇跡的に唯一残ったのが「奇跡の一本松」です。震災の翌年に枯死が確認されましたが、復興のシンボルとして、また災害の記憶を後世に伝えるためのモニュメントとして保存されることになりました。周辺が「高田松原津波復興祈念公園」として整備されたことから、現在は公園の一角に立ち続けています。
岩手のご当地グルメ
盛岡冷麺
日本に移住した朝鮮半島出身者が故郷・平壌(ピョンヤン)の冷麺に思いをはせて作ったのが「盛岡冷麺」のはじまりで、今では盛岡を代表するご当地グルメとなっています。
小麦粉とデンプンで作った強いコシと透きとおった麺が特徴で、牛骨などでとった冷たいスープは旨味が凝縮されコクがあります。トッピングのキムチは、ほとんどのお店で辛さの段階が選べます。自分で辛さを調節したい方、辛いのが苦手な方は、キムチが違うお皿で付いてくる「別辛」がおすすめ。
他にもゆで卵や牛すじ肉、りんご、梨などのトッピングで味の変化を楽しめます。それぞれのお店が、こだわりの麺やスープ、キムチを合わせた冷麺を提供していますので、食べ比べてみてもいいですね。
じゃじゃ麺
小麦粉で作ったモチモチとした暖かい平麺の上に、刻んだキュウリやネギ、そして特製の肉味噌をトッピングした「じゃじゃ麺」。全体をよく混ぜてから、酢、ラー油、おろしニンニク、おろししょうがなどを少量づつ加えて、自分好みの味にして堪能してください。
今や岩手各地でも食べられるご当地グルメとなっていますが、盛岡市にある「白龍(ぱいろん)」がその元祖。創業者の高階貫勝(たかしなかんしょう)氏が、戦前に中国東北部(旧満州)で食べていた「炸醤麺(じゃーじゃーめん)」という麺料理を、盛岡の味に合わせてアレンジした「じゃじゃ麺」を屋台で提供したのが始まりです。
最後は麺を少し残しておいて、皿に生卵を割り入れて混ぜたら、ゆで汁と肉味噌、ネギを加えてもらいましょう。おいしい卵スープ「鶏蛋湯(ちーたんたん)」としてシメでいただきます。
わんこそば
ゆでたてのそばをおいしい状態で食べてもらいたいとの、おもてなしの心から生まれた南部地方に伝わる「そば振る舞い」がルーツと言われる「わんこそば」。お椀が空になると次のそばが入れられ、食べ終わったお椀が積み重なっていきます。お腹いっぱいになったら、次のそばが入れられる前にお椀のフタをサッと閉めるのが作法。その食べ方がユニークなことからも、岩手を訪れたらぜひ体験したいグルメでしょう。
各地域によって少しづつ食べ方が違います。一口分づつ小分けにされたそばを給仕さんが「ハイ、じゃんじゃん」「ハイ、どんどん」といった掛け声とともにリズミカルに入れてくれるスタイルは、盛岡ならでは。花巻では、掛け声はありません。一関では、一口分のおそばが入ったお椀がたくさん載ったお盆で提供され、給仕さんがつかないので自分のペースでゆっくりと食べることができます。
わんこそば10〜15杯が普通のおそば1杯分だそう。それを目安に、何杯食べられるか挑戦してみるのも楽しいですね。
ひっつみ
水でこねた小麦粉を手で薄く伸ばしてちぎったものを、鶏肉などでとったダシにごぼう、にんじん、キノコなどを加えた醤油ベースの汁に入れて煮込んだ、岩手の伝統料理です。手で引きちぎることを岩手の方言で「ひっつむ」ということからその名が付いたといわれています。
ダシのとり方や汁に入れる具は、それぞれの家庭や地域、季節によって様々。県内の飲食店や観光スポットにあるレストランなどでも食べることができるご当地グルメです。
前沢牛
畜産が盛んな岩手では、県内各地にそれぞれのブランド牛肉があります。「前沢牛」はその代表ともいえる最高級ブランド。奥州市前沢地域で育てられた黒毛和種で、その飼育管理や肥育期間、肉質、販売まで厳しい条件をクリアした牛肉だけが前沢牛として認められます。
上質できめ細やかな霜降りが入り、しっとりとした肉質で、口に入れるととろけるような柔らかさです。どんな料理でも美味しく味わえますが、ステーキや前沢牛のにぎりなど、シンプルな調理法で食べると素材そのものの風味が堪能できます。
南部せんべい
「南部せんべい」は、今から約600年前の南北朝時代、長慶天皇が陸奥国を行幸の際、お供の者が農家から手に入れたそば粉、ゴマ、塩を使って、鉄かぶとで焼いてせんべいを作り、差し上げたのがはじまりともいわれています。そして盛岡市などの南部地域に伝わりました。
この地域は、かつて飢饉などが多かったことから、保存食の1つとなっていました。また以前は、たいていの家でも手作りされていたそう。
盛岡市紺屋町にある「白沢せんべい店」は、1936(昭和11)年創業の老舗です。伝統的な「ゴマせんべい」のほか、ピーナツ、くるみ、ココアなど、味のバラエティーも豊かな南部せんべいを製造販売しています。パッケージもかわいらしく、お土産にもぴったりです。
岩手への主要エリアからのアクセス・所要時間
飛行機で行く
全国各地からいわて花巻空港までの所要時間
- 新千歳空港から:約1時間35分(1日3便)(JAL)
- 名古屋・小牧空港から:約1時間10分(1日4便)(FDA)
- 大阪・伊丹空港から:約1時間25分(1日4便)(JAL)
- 福岡空港から:約1時間50分(1日1便)(JAL)
※便数は時期により変動あり
いわて花巻空港から岩手県内各地までの所要時間
- 盛岡駅まで:約45分(特急バス)
- 安比高原まで:約1時間20分(安比エアポートライナー)
新幹線で行く
盛岡駅までの所要時間
- 東京駅から:約2時間15分(東北新幹線はやぶさ)
- 新函館北斗駅から:約2時間5分(北海道・東北新幹線はやぶさ、はやて)
- 秋田駅から:約1時間40分(秋田新幹線こまち)
新花巻駅までの所要時間
- 東京駅から:約3時間5分(東北新幹線やまびこ)
※時間帯によっては、はやぶさも停車します
一ノ関駅までの所要時間
- 東京駅から:約3時間5分(東北新幹線やまびこ)
※時間帯によっては、はやぶさも停車します
高速バス(夜行)で行く
- 東京駅(八重洲南口)から盛岡駅(東口)までの所要時間:約7時間25分(ドリーム盛岡)
- 池袋駅(西口)から平泉駅前までの所要時間:約6時間35分(イーハトーブ号)
- 池袋駅(西口)から花巻駅前までの所要時間:約8時間15分(イーハトーブ号)
- 池袋駅(西口)から釜石駅前までの所要時間:約9時間(けせんライナー)
いわて花巻空港・新幹線の停車駅盛岡駅を紹介
いわて花巻空港
花巻市にある「いわて花巻空港」は、岩手県の空の玄関口です。札幌(新千歳)、名古屋(小牧)、大阪(伊丹)、福岡からの国内定期便のほか、台北、上海(浦東)からの国際定期便が就航しています。
3階建てのターミナルビルは、1階には到着ロビーとチェックインカウンター、2階には出発ロビーのほか、岩手の食材を使ったメニューや盛岡冷麺などが味わえるレストランや岩手のお土産が並ぶ売店もあります。3階の送迎デッキからは、飛行機の発着を間近にみることができます。
盛岡駅
東北新幹線、秋田新幹線とJR在来線の東北本線(東京〜盛岡)、田沢湖線(盛岡〜小岩井〜雫石〜秋田県・大曲)、花輪線(盛岡〜八幡平〜秋田県・十和田南)、山田線(盛岡〜宮古)が発着する「盛岡駅」。駅ビルの3階が新幹線コンコース、1階が在来線コンコース、2階が改札となっていて、新幹線から各地へと向かう在来線との乗り換えもスムーズです。
盛岡駅と青森県・目時(めとき)駅とを結ぶIGR(いわて銀河鉄道)も直結しています。駅ビル「フェザン」は複合商業施設で、ファッション、雑貨のお店のほか、盛岡冷麺やじゃじゃ麺などのご当地グルメも味わえる飲食店、岩手のお土産店などがそろいます。ショッピングや旅の終わりにお土産選びも楽しめます。
路線バスや高速バスのほか、盛岡市街地を走る循環バス「でんでんむし」も発着していて、岩手県内、そして盛岡観光の起点として便利です。
岩手の年間イベント情報
1月
毛越寺二十日夜祭
平泉の「毛越寺」では、新年1月14日から20日まで常行堂(じょうぎょうどう)の「摩多羅神(またらじん)祭」が行われます。常行堂の摩多羅神は33年に一度しか見られない秘仏で、五穀豊穣をもたらす農作物の神様として古くから信仰されてきました。
なかでも最終日の20日は「二十夜祭」と呼ばれ、法要の後、堂内では国の重要無形文化財にもなっている「延年の舞」が、夜遅くまで奉納されます。厄年を迎えた老若男女がたいまつの明かりと共にお堂まで練り歩き、供物を捧げる「献膳上り行列」も行われます。
行列には厄年の人しか参加できませんが、二十夜祭当日には、特別な御朱印が枚数限定で参拝者に授与されますので、そちらもチェックしてみてください。
黒石寺蘇民祭
奥州市水沢にある「妙見山黒石寺」で、毎年旧暦1月7日(1月下旬〜2月上旬で、旧暦のため毎年変動)の夜から翌朝にかけて行われる「黒石寺蘇民祭」は、「裸の男と炎のまつり」と称される、日本でも有数の奇祭で、1,000年以上の歴史を持つ伝統行事です。
午後10時頃、境内のお堂をめぐって厄を払い五穀豊穣を願う「裸参り」から祭りがはじまります。そして、本堂前で組まれた井桁の下に3m以上もの高さの生松の割木を積み重ねて火を焚き、その上に登った裸の男たちが火の粉を浴びながら「山内節」を歌い祈願する「柴燈木登(ひたきのぼり)」へと続き、夜を徹して行われていきます。
そして、クライマックスが「蘇民袋争奪戦」です。裸の若者たちが蘇民袋を目がけて極寒の中、もみ合いながらの激しい争奪戦を繰り広げます。夜が開けるころ、袋を手にしたものは五穀豊穣の願いが叶うといわれています。
5月
春の藤原まつり
奥州藤原氏の栄華をしのんで、平泉町で毎年春と秋(11月頃)に開催される「藤原まつり」。5月1〜 5日に行われる「春の藤原まつり」は特に華やかです。稚児行列や郷土芸能の披露など様々な行事が行われますが、3日の「源義経東下り行列」は壮麗で見ものです。
兄の源頼朝に追われた義経一行が平泉にたどり着き、藤原秀衡に迎えられた様子を再現しています。義経や北の方、山伏姿の弁慶、侍女などに扮した行列が毛越寺から中尊寺まで町内を練り歩きます。
6月
チャグチャグ馬コ(うまっこ)
毎年6月第2土曜日に開催される「チャグチャグ馬コ」では、色あざやかな衣装をつけた100頭近くの馬が、滝沢市の「鬼越蒼前神社(おにこしそうぜんじんじゃ)」から盛岡市の「盛岡八幡宮」までの約13kmを行進します。馬のつけた衣装に飾られた鈴が「チャグチャグ」と音を鳴らしながら、人と馬が一緒に歩く姿は、南部盛岡の初夏の風景を華やかに彩ります。
古くから馬の産地として有名で、南部曲り家に暮らし、馬を家族の一員として大切にしてきた、この地域ならではのお祭りです。
8月
盛岡さんさ踊り
毎年8月1日からの4日間、盛岡市の中央通りを中心に開催される「盛岡さんさ踊り」は、東北五大祭りにも数えられる、藩政時代から伝わる盆踊りです。その昔、「三ツ石神社」の神様に盛岡南部城下で暴れる悪鬼の退散を祈願したところ、それが叶い、喜んだ住民たちが境内にある巨大な三ツ石の周りを「さんささんさ」と踊ったというのが、その由来と言われています。
太鼓や笛の音色、歌に合わせて通りを踊りながらパレードします。パレードの後は、会場内の各所で誰でも参加することができる「輪踊り」が行われます。浴衣を着ていなくても大丈夫。踊り方も教えてもらえるので、見かけたら気軽に参加してみてください。
イーハトーブフェスティバル
毎年8月下旬、花巻市では「宮沢賢治童話村」を会場に「イーハトーブフェスティバル」が開催されます。音楽や映像、文学など各界の一線で活躍するゲストを迎え、スペシャルトークやライブ、映像などを通じて、宮沢賢治の多面的な作品世界にアプローチするイベントです。
9月
日本のふるさと遠野まつり
毎年9月の2日間、遠野駅など遠野市街地や遠野郷八幡宮で開催される「日本のふるさと遠野まつり」では、みこしと共に「神楽」「田植え踊り」「さんさ踊り」「虎舞」「しし踊り」「南部ばやし」などの郷土芸能のパレードが行われます。それぞれの踊りの違いを楽しみながら見物してください。また、遠野郷八幡宮の馬場では勇壮な「遠野南部流鏑馬」が披露されます。
11月
小岩井ウインターイルミネーション
雫石町の「小岩井農場」では、毎年11月下旬から1月上旬にかけて、東北最大級の「小岩井ウィンターイルミネーション」が開催されます。全長20mのウェルカムトンネルや巨大なクリスマスツリーも出現。満点の星空と積もる雪、そしてカラフルなイルミネーションが冬の夜の農場を彩ります。
毎週土曜日には花火も打ち上げられます。冬の夜空に上がる花火はまた格別です。写真映えスポットもたくさんなのでぜひ撮ってSNSなどにアップしてください。農場内のグルメスポットでは、この期間中のみの限定メニューも楽しめます。
岩手観光の移動手段
鉄道
岩手県は県のほぼ中央を南北に東北新幹線が走っています。盛岡駅からは雫石、秋田方面へ向かう秋田新幹線もあります。また、新幹線の停車駅と連絡しているJR在来線も多く、いくつかのエリアを旅行する場合などは、鉄道での移動は比較的便利です。
また、盛岡と青森・目時とを結ぶ「いわて銀河鉄道」や三陸海岸沿いを走る「三陸鉄道リアス線」といった私鉄もあります。移動手段としての鉄道だけでなく、乗車することを目的とした旅のプランを立ててもいいでしょう。
バス
岩手県内の駅でも盛岡駅、花巻駅、一ノ関駅は、路線バスへの乗り継ぎが便利な駅です。盛岡駅からは近隣のつなぎ温泉、鶯宿温泉、小岩井農場、そして、いわて花巻空港、八幡平方面、宮古方面へと向かうバスが発着しています。花巻駅からは花巻温泉郷方面、一関駅からは平泉、厳美渓、猊鼻渓そして大船渡方面へ向かうバスがあります。
また、盛岡市内を観光する場合は、市街地を循環するバスの「でんでんむし」が便利。運賃は乗車区間に関係なく1回100円なので、うまく使えばお得に移動できます。便数は地域によっても違いますが、鉄道よりバスでの移動が便数が多く利用しやすい場合もありますので、時刻表などでチェックしてください。
車(マイカー・レンタカー)
岩手の広い範囲をめぐる旅や少人数でのグループ旅行であれば、時間や乗り継ぎ方法などを気にせず、また周りに気を使わなくてもいい、車での移動もいいでしょう。岩手県のほぼ中央を南北に東北自動車道が縦断しています。東京方面から盛岡へ車で向かう場合は、東北自動車道の起点である埼玉・川口JCTから高速道路を使って、約5時間30分ほどかかります。
また、主要な駅にはレンタカー店も隣接しています。利用する際は事前にインターネットなどでの予約がおすすめです。運転免許証を忘れず携帯して旅に出ましょう。JRとレンタカー利用でお得なセットプランなどもあるので、チェックしてみてください。
タクシー
運転ができない、小さいお子さん連れ、荷物が多い、といった理由で他の移動手段が難しい場合、また近距離での移動の際などは、タクシーを利用しても。主な観光スポットを巡ってくれる観光タクシープランなどもあって、少人数のグループで観光地を巡るのに便利です。観光タクシー利用の際は、事前予約しておきましょう。
お得なフリーチケット
JR東日本 岩手ホリデーパス
岩手県内を走るJR東日本の普通列車、BRT(バス高速輸送システム)、東日本交通バスで結ぶフリーエリア内で、土曜日・休日の1日間、乗り降り自由なきっぷです。
【料金】
大人 2,500円
小児 1,250円
【有効期間】
1日間
【利用期間】
土曜日・休日
ただし4月29日 〜 5月5日、7月20日 〜 8月31日、12月23日 〜 1月7日は利用可
【発売場所】
フリーエリア内の主な駅の指定席券売機、JR東日本のみどりの窓口・びゅうプラザおよび主な旅行会社
【公式サイト】
https://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?GoodsCd=2479
IGR(いわて銀河鉄道)ホリデーフリーきっぷ
岩手県・盛岡駅から北上し、青森県を走る「青い森鉄道」が乗り入れる目時駅とを結ぶ、いわて銀河鉄道の全線で、土曜日・休日の1日間、利用開始日当日に限り、乗り降り自由なきっぷです。
【料金】
大人 3,000円(中学生含む)
小学生 1,500円
【有効期間】
発行日から1ヵ月以内で、利用開始日当日に限り有効
【利用期間】
土曜日・休日
※8月1日 〜 4日、12月30日 〜 1月3日は利用可
【発売場所】
IGR各駅窓口(小繋(こつなぎ)駅・斗米(とまい)駅を除く)
※発駅が窓口営業時間外または無人駅の場合は、そのまま乗車して着駅での購入可能。ただし着駅が有人駅で、その窓口の営業時間内のみ購入できます。
【公式サイト】
https://igr.jp/ticket/holiday
三陸鉄道 全線フリー乗車券
三陸鉄道リアス線(盛(さかり)駅~釜石駅~宮古駅~久慈駅)の全ての区間で、土曜日または休日(日・祝日)利用開始であれば、2日間乗り放題となります。2019年3月にリアス線運行開始となった、三陸鉄道での旅を思う存分楽しむことができるきっぷです。
【料金】
6,100円
【利用日と有効期間】
土曜日・休日2日間有効で利用可。また、休日からの利用開始の場合は、翌日が平日でも利用可。
例えば、4/5(日)に購入し利用する場合、4/5(日)、4/6(月)の2日間の利用可となります。
【発売場所】
リアス線のすべての有人駅
【公式サイト】
https://www.sanrikutetsudou.com/?p=12457
岩手のおすすめ旅行プラン10選
よくある質問Q&A
岩手まで新幹線・飛行機でどのくらいかかりますか?
東京駅から盛岡駅までは東北新幹線はやぶさで約2時間15分かかります。飛行機なら、いわて花巻空港まで、新千歳空港から約1時間35分、名古屋・小牧空港から約1時間10分、大阪・伊丹空港から約1時間25分、福岡空港から約1時間50分の所要時間です。
岩手の気候はどうですか?
岩手は東北の太平洋側に位置しますが、西の秋田県との県境には奥羽山脈、東側に北上高地があり、海岸部と内陸部では気候が違ってきます。
標高の高い高原では夏も涼しく比較的過ごしやすいですが、内陸部は夏の暑さ、冬の寒さが厳しくなります。積雪もあって、冬には観光が難しいスポットもあります。海岸沿いは冬の降雪は少ないですが、夏は北からの偏西風である「ヤマセ」の影響から東京と比べると気温は低くなります。
何泊くらいが最も楽しめるでしょうか?
1つのエリアを集中して観光するのであれば、1泊2日でも十分に楽しめます。いくつかのエリアを訪れるのであれば、余裕を持って2泊3日の旅行プランを立てましょう。