クロアチアってどんなところ?
クロアチアの基本情報
クロアチアは東ヨーロッパのバルカン半島に位置する中世の街並みと自然が美しい国で、正式名称はクロアチア共和国、首都は国土北部に位置するザグレブ(Zagreb)です。
国土面積は九州の約1.5倍程と小さく、その人口は2018年発表の外務省基礎データによると409.6万人と、大阪府の人口(881.9万人)の2分の1以下となっています。
日本との時差はマイナス8時間で、サマータイム期間中は通常よりも1時間進んでマイナス7時間となります。実施期間は毎年異なりますが、3月下旬〜10月下旬に適用されるのが一般的です。
この国の人口を構成している主要民族はクロアチア人で全体の約89.6%、セルビア人が4.5%、その他スロヴェニアやイタリアなどの周辺国の民族が挙げられます。公用語はクロアチア語ですが、英語やドイツ語などといった外国語が広く通用します。
宗教はローマ・カトリックが約88%を占め、その他セルビア正教およびイスラム教などが信仰されていますが非常に少数派です。治安が比較的良好で、その他ヨーロッパ諸国からのアクセスも非常に便利なので、毎年多くの観光客が訪れる人気観光地となっています。
クロアチアの歴史
紀元前のクロアチア
クロアチアの歴史は、現在からさかのぼること約1,600年ほどの紀元前4世紀頃から始まったと言われています。しかしながらクロアチアの地ではイリュア人と呼ばれる、現在のクロアチア人とは異なる民族が既に生活していたとされています。
紀元前4世紀頃になると、この地にケルト人とギリシャ人が進出して国の一部は徐々に変化していきました。異民族の流入も束の間、そのすぐ2世紀後にあたる紀元前2世紀には、クロアチアの地はローマ人により征服され、ローマの属州へと変化しました。
現在のクロアチアを訪れても未だ、この頃に造られたローマ建築は各所で確認することが出来ます。代表的な遺跡は、スプリットのディオクレティアヌス帝の宮殿やプーラの円形劇場などが挙げられます。
紀元前のクロアチアは、いくつかの民族が暮らしていた地域をローマ帝国が支配したと考えていただくと分かりやすいでしょう。
紀元以降のクロアチア
クロアチアが王国としての歴史を正式に歩みはじめたのは、6世紀以降のこと。南スラヴ人がこの地へ移住してきたことがきっかけでした。後に、南スラヴ人はいくつかの民族に分裂し、現在の様なセルビア人、クロアチア人、モンテネグロ人などそれぞれのバルカン半島民族を形成する形となりました。
9世紀になるとビザンツ帝国はクロアチアの地にキリスト教を布教する為に、宣教師を派遣しました。現在のクロアチアでは、大変多くのキリスト教による宗教建築を訪れていただくことが可能です。この地に深く根ずいている宗教や文化は、今から11世紀も前の出来事がきっかけだったんですね。
10世紀初頭には、クロアチア王国が独立国家として誕生しました。王国としての歴史上最初の王はトミスラヴという人物が務めました。しかしながら1102年になると、クロアチア国王はハンガリー国王の妹を王妃に迎えたことをきっかけに殺されてしまい王権はハンガリー王へと移ってしまいました。
その後クロアチアの王権はハンガリーからオーストリアのハプスブルク家へ移行され、オスマン帝国との対立を強いられることとなりましたがオスマン帝国の撤退により、この国の歴史は第一次世界対戦をきっかけにオーストリア・ハンガリー帝国が崩壊するまで続くこととなりました。
クロアチア共和国としての歴史
崩壊以降の1918年には、現在のセルビア、スロベニアなどと共にユーゴスラヴィア王国を建国しましたが、1941年の第二次世界対戦中にはナチス・ドイツの統制のもと独立。それからすぐ4年後である1945年には、ナチス・ドイツの降伏を理由にユーゴスラヴィアは社会主義国家へと変化しました。
これまでの歴史のなかで、様々な民族と共存しいくつかの国からの支配を余儀なくされてしまったクロアチアですが、1991年6月に独立宣言を発表し、1992年1月15日(水)に正式に独立が認められました。
この独立には、当時クロアチアに住んでいた多くのセルビア住民の反対もあり大変な内戦へと発展しましたが、多くの困難を乗り越えた末に今日のクロアチア共和国が成り立っています。
クロアチアの通貨および両替事情
通貨について
クロアチアの基本通貨はクロアチア・クーナ(HRK)で、一般的にクーナ(Kn)と呼ばれています。2020年1月2日(木)現在、1クーナ(Kn)あたりの両替レートは約16.38円です。
紙幣は10Kn,20Kn,50Kn,100Kn,200Kn,500Kn,1000Knの7種類、硬貨は主に1Kn,2Kn,5Kn,25Knの4種類が存在します。また、クロアチア国内で流通している硬貨は以上の4種類の他にも、リーパ(Lipa)と呼ばれる大変少額なものも存在しますので注意が必要です。
リーパ(Lipa)は1Lipa,2Lipa,5Lipa,10Lipa,20Lipa,50Lipaの6種類存在し、100リーパ(Lipa)=1クーナ(Kn)なので参考までに覚えておきましょう。
両替について
両替は空港、市内の銀行、ホテルおよび外国人観光客が多く集まる観光地の両替所などで行うことが出来ますが、両替場所によってレートや手数料が異なるので、色々な両替場所を巡って最終的に手元に残る金額を確認しておくと、よりオトクに両替することが出来るでしょう。
また、クロアチアでは円よりもユーロからクーナ(Kn)に両替する方がレートが良いので、日本を出国する際は一度日本円からユーロに両替するのをオススメします。
クロアチアの気候と服装
気候について
クロアチアの気候は日本と同じく四季が存在し、春は3〜6月、夏は7〜9月、秋は9〜10月頃、そして冬は11月〜2月下旬頃がそれに当て嵌まります。
しかしながらクロアチアの国土は、アドリア海に面している沿岸部とハンガリーおよびセルビア方面へ広がる大陸側の大きく2つに分かれているため、一年を通した気温の変化も異なるのが特徴です。
沿岸部は春〜秋にかけて温暖な気候が広がり非常に過ごしやすいですが、ザグレブを含む内陸部では、特に秋の終わりから冬にかけて非常に厳しい寒さとなるので注意が必要です。
服装について
クロアチアを訪れる場合の服装は、日本の四季に合わせた服装をイメージしていただければ分かりやすいと思います。
春から夏にかけて旅行する場合は、薄手のカーディガンなど軽く羽織れるものを持っていくと便利でしょう。また、クロアチアの夏は日本のように湿度の高いジメジメとした暑さは無く過ごしやすいのですが、特に沿岸部を中心に紫外線が強めなので帽子やサングラス、そして日焼け止めなどの紫外線対策はしっかりと行うようにしましょう。
秋に旅行する場合は、日没以降は沿岸部でも少し肌寒く感じてしまうことがありますので、薄手のコートやジャケットを持っていくことをオススメします。冬の季節は内陸部を中心に本格的な冬の寒さが到来します。最高気温および最低気温は共に、日本の本格的な冬と変わらない気温になりますので、暖かい服装でお出掛けしましょう。
クロアチアの文化
かつては交易の拠点であり、他民族からの様々な影響を受けた歴史を持つクロアチア。実際に訪れてみると、東欧に位置しながら、どことなく西欧文化に似ている側面を持ち合わせていることに気付くでしょう。
クロアチアは複雑な歴史的背景を持ち、様々な国からの支配を強いられてきたため、訪れる地方や都市によって建築様式や街の雰囲気そのものが異なります。訪れる際はその違いに着目してみるとクロアチア観光をより楽しむことが出来るでしょう。
そしてクロアチアにも日本でいう「着物」のような民族衣装が存在します。その種類は10種類以上ともいわれておりますが、現在はイベントやお祭りなどの特別な日、もしくはお土産屋さんなどで目にすることが可能です。
女性の民族衣装は、細かな刺繍が施された可愛らしいエプロンで白いワンピースと一緒に着用し、男性の民族衣装は美しい装飾が特徴のベストやジャケットを着用します。またクロアチアはネクタイ発祥の地であり、その豊かなファッション性は必見と言えるでしょう。
クロアチアの治安
クロアチアの治安はヨーロッパ諸国の中でもかなり良好であると言えます。しかしながらドゥブロヴニクやスプリットをはじめとする人気観光地では、観光客を狙ったスリやひったくりなどの軽犯罪の被害が多く報告されています。
これらの他にもキャッシュカードおよびクレジットカードのスキミングや、ニセ警官による詐欺といった犯罪も確認されていますので、外出される際は注意が必要です。
犯罪の被害に遭わないよう注意すべき点を以下に紹介しておきます。
- カバンは必ず斜め掛けにして前に持つ
- カバンのチャックは閉める
- 食事の際(特にテラス席)、貴重品をテーブルの上に置かない
- カフェやレストランで席に座る際は、イスの背もたれに荷物を掛けない
- 携帯や財布などの貴重品をポケットに入れて持ち歩かない
- 夜間の外出はなるべく控える
- 警官を装った人が現れたら、相手の身分証を見せてもらってから近くの交番で話を聞くと伝える
- 多額の現金は持ち歩かない
- スキミング被害に遭わない為にも路上の銀行ATMはなるべく利用しない
人気観光都市
クロアチアには9つの世界遺産登録地区があり、それらを中心に以下の観光地が人気です。
【人気観光地一覧】
- 新市街と旧市街がうまく調和するクロアチアの首都ザグレブ
- 大小16の湖の92ヵ所にも及ぶ美しい滝が注ぎ、鮮やかな緑に覆われたプリトゥヴィツェ湖群国立公園
- 城壁に囲まれ中世の歴史が色濃く残るクロアチアが誇る世界遺産の街ドゥブロヴニク
- 首都ザグレブに次いで同国第二の都市として知られるアドリア海に面した街スプリット
- アドリア海東岸で最も古く、歴史ある教会が多く点在する港町シベニク
- 紀元前にギリシャの植民都市として築かれた要塞の島トゥロギール
- 古代ローマ帝国が築いた数々の遺跡が残るイストゥラ半島最大の街プーラ
- ロマンチックな街並みが広がる港町ロヴィニュ
定番スポット10選
聖母被昇天大聖堂(首都ザグレブ)
聖母被昇天大聖堂は、首都ザグレブのシンボルともいえる特徴的な塔を2つ有する宗教建築物です。1094年に着工されてから17世紀に完成に至るまで、建築様式の変更やオスマントルコおよびタタール人をはじめとする、異民族の侵攻を理由に中断を余儀なくされた「ザグレブの歴史を見届けてきた重要な建物」でもあります。
オスマン軍から守る目的でつくられた白い塀で囲まれており、訪れた者は誰もが思わず見上げてしまう2つの塔の高さは、それぞれ約100mであると言われています。内部はルネッサンスとバロック様式を取り入れた構造となっていますが、実際に訪れて見ると意外とシンプルであることに驚かれるのではないかと思います。
また、現在の姿は1880年に市街地で起きた地震の後に再建されたものです。
聖マルコ教会(首都ザグレブ)
特徴的なモザイク模様をした屋根が可愛らしい聖マルコ教会は、13世紀からの歴史を持つ首都ザグレブの定番観光スポットです。教会自体の歴史は13世紀からと古いのですが、屋根に施されたタイル模様は意外と新しく、1880年に教会の改築工事を行った際に加えられたものだそうです。
屋根の模様は2つの紋章を意味し、向かって右側のものがザグレブ市の紋章、左側がクロアチア王国、ダルマチア地方、そしてスラヴォニ地方の紋章を合わせてつくられたものです。
残念ながら内部の見学は不可能ですが、外観を見るだけでも十分楽しむことが出来るので是非足を運んでみて下さい。
城壁(ドゥブロヴニク)
ドゥブロヴニクはクロアチア南部に位置する世界遺産の街です。城壁に囲まれた旧市街は、オレンジ色の屋根が美しい中世の街並みと、アドリア海特有の鮮やかな青とのコントラストが素晴らしく、クロアチア有数の人気観光地となっています。
今や頑丈な城壁で囲まれているドゥブロヴニクの街ですが、実際に城壁で囲まれたのは街が誕生して間もない8世紀頃であったと言われています。現在私たちが訪れることが出来る城壁の姿は15〜16世紀に行われた大改築によるもので全長1,940m、高さは最高25mにもおよびます。
途中には要塞や見張り塔などが存在し、城壁を一周しても所要時間は2時間程度なので、ドゥブロヴニクでの滞在時間に余裕のある方は是非外壁を訪れてみましょう。ドゥブロヴニクの旧市街の街並みはどこを歩いてもフォトジェニックで嬉しいですが、そんな素敵な街並みを少し上から眺めるのも見え方がまた違って面白いですよ。
城壁の開放時間は夏季と冬季で異なるので、訪れるシーズンによって事前に確認しておくことをオススメします。
入り口は以下の3ヵ所です。
- ピレの門の脇
- 聖イヴァン要塞
- 聖ルカ要塞
聖ヤコブ大聖堂(シベニク)
聖ヤコブ大聖堂は、アドリア海沿岸に位置する教会の町「シベニク」最大の見どころといえる世界遺産です。聖堂は1431年から100年以上をかけて建築され、1535年に完成しました。
建築は完成までに長い年月を要した為、多くの建築家が携わったそうです。その為、時代の流れと共に最初はゴシック様式で建築が行われていた大聖堂も、完成時には見事なルネッサンス様式の建物へと変化しました。
主な見どころは洗礼室、身廊、ドアなど至るところまで施された細やかな彫刻の数々です。この教会の最大の特徴は建設に全て石材を用いていることです。特に教会建物の周囲には71もの人間の頭部の彫刻が施されており、それらは当時シベニクで暮らしていた市民の有力者を模してつくられたと言われています。
プリトゥヴィツェ湖群国立公園
プリトゥヴィツェ湖群国立公園は、首都ザグレブから南に110km離れた場所に位置する、湖と滝が美しい世界自然遺産です。緑豊かな国立公園の敷地内には大小16のエメラルドグリーンに輝く湖と、そこに注ぎ込む約100ヵ所にも及ぶ滝をはじめとした見どころが多数存在しています。
この雄大な自然が誕生したのは数百万年前にあたる氷河時代であったとされ、現在の上湖群に白川と黒川が流れ込んだことをきっかけに、途方に暮れるほど長い歳月をかけて石灰華が堆積し続けた結果、現在見られるような特徴的な地形が形成されたと言われています。
園内および周辺では川や湖の他、カワウソやヨーロッパコマドリをはじめとする野生動物や、季節の草花も観察することができるので可能な限り時間をかけてゆっくりと観光するのが良いでしょう。広大な敷地内には、いくつかのハイキングコースが整備されていますので、滞在可能時間と体力に合わせて決めるのをオススメします。
また、敷地内は徒歩以外にも、遊覧船および国立公園専用バスを利用して移動することも可能なので、ハイキングコースの一部をこれらの移動手段を活用して移動するのも良いでしょう。
ザグレブやザダルといった都市から日帰りで訪れることが可能なので、クロアチアの大自然を気軽に楽しみたいという方には是非オススメの観光スポットです。
大聖堂(スプリット)
スプリットの大聖堂はディオクレティアヌス宮殿の敷地内に位置するカトリックの教会です。祭られているのはスプリットの守護聖人である聖ドウニウス。その為、この大聖堂は「聖ドムニウス大聖堂」という名前も持ちます。
本来はディオクレティアヌス帝の霊廟として利用することを目的に築かれたのですが8世紀頃に改築されて以降、キリスト教の大聖堂として機能しています。
かつて大聖堂の中央部には、ディオクレティアヌス帝の石棺が置かれていましたが、ある日破壊されて以降石棺や安置されていたはずの遺体は姿を消してしまいました。聖堂内部には貴重な宗教関連品や美術品など、多数の見どころがありますので下記に挙げます。
また聖堂横には60mの高さがある鐘楼があり、上からはスプリットの素晴らしい景色を360度眺めることが出来るので是非足を運んでみて下さいね。
【主な見どころ】
- 13〜14世紀に造られたロマネスクの説教壇
- 18世紀前半に造られたバロック様式の聖ドムニウスの祭壇
- 1427年に造られたゴシック様式の聖ドムニウスの祭壇
- 1214年に造られた受胎告知からキリストの昇天まで新約聖書に登場する28の場面が彫り込まれた入口扉
ロヴィニュ
ロヴィニュはクロアチア北東部に位置する、三角形の地方であるイストゥラ半島で最も賑わうリゾートの一つです。この地域は地理的にもイタリアと大変近く、かつてヴェネツィアに約600年もの間支配されていた歴史を持つため、旧市街の街並みはイタリアとよく似ているのが特徴です。
ロヴィニュの旧市街は丘状になっており、頂上部分には高さ60mの尖塔を持つ聖エウフェミヤ教会が鎮座しています。この教会は1736年に建設されたバロック式の建物でカラフルな街並みはこれを中心に広がっています。
また、周辺には美しいフィヨルドをはじめハーブ園など自然を楽しめるスポットがいくつか存在しますので併せて訪れてみましょう。
円形劇場(プーラ)
プーラはイストゥラ半島の南端に位置し、ローマ帝国時代から貿易の中継地として栄えた歴史を持つ、古代都市であり港町です。
この街にはいくつかのローマ遺跡が残っていますが、円形劇場は現在も利用し続けられている大変保存状態の良いローマ遺跡として、世界中から多くの観光客が訪れるイストゥラ半島の定番観光スポットです。
プーラの円形劇場は今から約1,900年前にあたる1世紀に築かれたもので、長径130mの楕円形で最盛期には2万5000人もの人々を収容できたと言われています。
当時は闘技場として使用されていましたが、現在でもオペラやコンサートをはじめ様々なイベントが催されています。古代ローマの人々が熱狂し歓声をあげた円形劇場で音楽などの芸術を楽しめるだなんて贅沢ですよね。
聖ロヴロ大聖堂(トゥロギール)
聖ロヴロ大聖堂はギリシア時代までさかのぼる長い歴史を持ち、街全体が世界遺産の街トゥロギールで最も重要な建造物です。
この大聖堂は3世紀に殉教した聖ローレンスに捧げる目的で初期キリスト教の教会があった場所に、13世紀初頭から17世紀までの約400年以上もの歳月をかけて建てられました。
見どころは非常に多く、正面入口に施された細やかな彫刻、巨大な十字架が際立つゴシック様式の身廊、13世紀につくられた主祭壇、12使徒に囲まれた聖イヴァン礼拝堂など様々です。
中でもクロアチア中世美術の傑作とも称される門の彫刻は、13世紀に活躍したダルマチア地方出身の彫刻家マスター・ラドヴァンによって1240年頃に施されたもので、繊細に彫られた聖書の物語は必見の美しさです。
また、聖堂には3層構造を持つ高さ47mの鐘楼があり、各階の建築様式がそれぞれ異なっています。1階はゴシック建築、2階はヴェネツィアン・ゴシック建築、そして3階は後期ルネッサンスのマニエリスムの影響が見られる特徴的な建築です。これはヴェネツィアから受けた攻撃によって発生したダメージを、少しずつ修復するために手が加えられた為だそうです。
トゥロギールはスプリットから西へ約20km程の場所に位置しているので、日帰りで訪れるのがオススメです。
エウフラシウス聖堂(ポレチュ)
ポレチュは今から2,000年以上昔の、紀元前2〜1世紀に古代ローマの都市として築かれた歴史のある港町。現在はアドリア海屈指のリゾート地として高い人気を誇っている観光地として知られていますが、実はローマ時代からイストゥラ半島の政治の中心として栄えた歴史を持ちます。
そんなポレチュ最大の見どころと言えるのが、4世紀から6世紀初頭に建設されたエウフラシウス聖堂です。現在私たちが訪れることの出来る建物は15世紀に完成したものですが、ビザンツ様式の建築は非常に美しく、内部に所蔵されている「キリストと12使徒」や「受胎告知」のモザイク画をはじめとする、文化的価値が非常に高い作品の数々は必見です。
聖堂の隣にはこれまでのキリスト教の歴史に関する様々な資料が展示されているほか、現在の聖堂が建てられる前にあった教会の跡が、古いモザイクと共に保存されています。展示品はどれも古代から中世にかけてのキリスト教の歴史をたどるのに、重要な手がかりとなるものばかりです。
また、聖堂横にそびえる鐘楼は今から約200年前である18世紀に付け足されたと言われていて、それほど古くない為か実際に登ることが可能となっています。上から眺めるポレチュの街並みはとても素敵です。
弾丸旅行でも行けるから嬉しい!首都ザグレブを楽しむ充実の観光スポット 7選
イェラチッチ総督広場
「ザグレブ発祥の地」として知られるイェラチッチ総督広場。モダンな雰囲気が広がる同広場ですが、その歴史は意外と古く17世紀までさかのぼります。現在広場周辺に建ち並ぶヨーロッパ調の建物のほとんどは19世紀以降に建てられたもので、1階部分には多くのレストランやカフェ、お土産屋さんなどがテナントとして入っています。
広場中心には19世紀にクロアチア独立の為奮闘したイェラチッチ総督の像が置かれていて、観光の目印にもなっています。昼夜問わず多くの人で賑わうイェラチッチ総督広場は、ザグレブを訪れる際は必ず足を運んでいただきたい必見の観光スポットです。
青果市場
ザグレブ大聖堂横には、多くの市民で賑わう広場があります。ここは肉や魚、そして野菜など市民の食料生活に欠かせないものを多く取り扱っている市場で現在ザグレブに残っている市場の中で最も歴史のあるものであると言われています。
この青果市場は数ある市場のなかでも、「ドラツ青果市場」と呼ばれ長きにわたって多くの市民から愛され続けています。その歴史は1926年まで遡りますが、現在は雑貨や簡単なお土産なども販売されているので、外国人観光客でも訪れやすいように整備されています。
地元の方々の生活の様子を見学したいという方には最高な観光スポットでしょう。
ウスピニャチャ
首都ザグレブで訪れておきたい観光スポットといえば、世界一短いケーブルカーとして知られる「ウスピニャチャ」です。その長さはなんとたったの66mで旧市街から新市街までの標高差約30mの長さを55秒で結んでいます。
このケーブルカーが稼働しはじめたのは今から100年以上も昔である、1890年のことでしたが現在も稼働し続けているのは大変嬉しいですね。片道あたりの利用料金は4Knなので、旅行の思い出作りや話のネタとして乗車してみるのも良いでしょう。
失恋博物館
失恋や別れに伴う思い出の品々を、それぞれのエピソードと共に展示している世界的にも珍しい博物館です。人間関係というものは、人によって様々なものがありその壊れ方の違いを、若干自虐的なエピソードを交えて紹介しているのが観光客に人気です。
世界中から寄贈された思い出の品々には、そえぞれ日本語に訳されたエピソードも用意されているので、ユニークなスポットに訪れてみたいという方は楽しめるでしょう。博物館は小さめではあるものの、一つ一つのエピソードの内容が濃く非常に見応えのあるスポットです。
エピソードを読み進めるスピードにもよりますが平均滞在時間は1時間30分〜2時間程度が目安です。
石の門
聖マルコ教会のすぐ西に位置するグラデツ地区の入り口である「石の門」。この地区はかつてハンガリー王の自治のもと発展した自由都市で、この門は当時のグラデツの面影を残す数少ないスポットの一つです。
現在こそ頑丈な石で固められた姿を持つ「石の門」ですが、建築当初は木造であったといわれています。内部には1731年に起こった火災でも無傷で残った聖母マリアの「イコン」が祀られた礼拝堂があり、訪れる人にとっての主な見どころとなっています。
イリツァ通り
イリツァ通りはイェラチッチ総督広場から西に伸びる全長6kmほどのメイン通りです。通りにはオシャレなカフェやレストラン、およびお店などが多く建ち並びとても賑やかです。
ロトゥルシュチャク塔
ロトゥルシュチャク塔は首都ザグレブのケーブルカー「ウスピニャチャ」のすぐ横に位置する、13世紀に築かれた見張り塔です。この見張り塔はかつてグラデツ地区を囲んでいた城壁の一部だったのですが、現在はこの辺りに現存している唯一の要塞として知られています。
この塔は、1877年以降正午になると毎日巨大な空砲を打ち鳴らしているので、訪れる際には正午あたりを狙って行くことをオススメします。
クロアチア文化を楽しむ観光スポット 4選
モトヴン
イストゥラ半島の人気観光都市であるポレチュ、およびロヴィニュから程近い「モトヴン」は豊かな自然に囲まれた、のどかな雰囲気漂う小さな町です。一体この町ではどんなことが楽しめるのでしょうか?
実はこの町には、ローマ時代から続く長い歴史を持つ「イストゥラ温泉」という温泉があります。日本人の生活には欠かせない「お風呂」、海外旅行ではなかなかお湯に浸かれずに、肉体的疲労を溜めてしまう方も少なくないと思います。そんな方は是非モトヴンを訪れて、旅先で疲れた身体を癒しましょう。
またここから少しだけスロヴェニア国境の方まで足を延ばせばカボラ(Kabola)と呼ばれる有名ワイナリーがあり、そこで100年以上の歴史を持つワイナリーや、緑が美しいぶどう畑を訪れることが可能です。
また、モトヴン周辺は良質なトリュフが採れることでも有名なので、クロアチアの国有林から許可をいただいて、トリュフ狩りを楽しむのも良いでしょう。自分で採ったトリュフで楽しむ料理は格別の美味しさです。
カルロヴァツ
首都ザグレブとイストゥラ半島およびダルマチア半島へ向かう途中に位置する小さな町「カルロヴァツ」。途中と言ってもザグレブから南西に56kmしか離れていないので、アクセスする場合はザグレブもしくはリエカからが便利です。
この町は1579年にオーストリア・ハンガリー帝国が、オスマン帝国に対する防御拠点を置くために造られたのがその歴史のはじまりでした。そのため旧市街の中心部には星型の要塞があり、その中心部にはイェラチッチ総督広場、そしてその周辺には市立博物館やフランシスコ修道院などの見どころがあります。
また、この町はクロアチアを代表するビールの生産地としてもよく知られています。毎年8〜9月には「カルロヴァツビール祭り」という地元の祭りが約10日間の期間を設けて開催されています。ビール好きにとっては堪らない観光地でしょう。
リエカ
クロアチア語で「川」という意味を持つ港町「リエカ」。ここはアドリア海最北に位置し、同国最大の貿易港を持つ文化的重要都市です。町は半日もあれば全て観光できるほど小さいですが、その見どころはなんといっても毎年1〜2月に開催される「リエカ・カーニバル」。
このカーニバルイベントは中世から続いているもので、同国では最大規模、そして世界と比べても3番目に大きい国際カーニバルとして知られています。カーニバルの開催期間中には周辺の宿泊施設の予約が難しくなりますので、この時期にリエカを訪れる予定の方は早めにホテルの予約を行いましょう。
【主な見どころ】
- 聖ヴィード大聖堂
- トゥルサット城
- トゥルサット聖母教会
- 海洋歴史博物館
フヴァール
スプリットから船で所要約1時間弱でアクセス可能な、クロアチア南部の人気リゾートアイランド「フヴァール島」。この島は「世界で最も美しい島の一つ」と呼ばれるクロアチア有数のリゾート地で、夏の時期を中心に世界中から多くの人々が休暇を過ごしに訪れます。
この島でフェリーが発着するのはスターリ・グラードとフヴァル・タウンの2ヵ所で、それぞれが異なる景観と歴史を持ちます。
現在は、島の至るところにリゾートホテルが建ち並んでいますが、島自体の歴史は紀元前3世紀頃までさかのぼり、その歴史を辿るとギリシャ人が入植し、ファロスと呼ばれる都市国家を築いて以降、スラヴ系民族、ヴェネツィア、ローマ帝国そしてオスマン帝国と様々な民族の支配下に置かれてきたことがわかります。
そんなフヴァール島では美しい海はもちろんのこと、歴史的に重要な場所を訪れることも非常に楽しいです。見どころは2つのエリアで異なっていますので、以下でぞれぞれ紹介したいと思います。
【スターリ・グラード】
紀元前3世紀頃にギリシャ人が入植して以降、最初の都市国家である「ファロス」が築かれたこの島の歴史の原点と呼べるエリアです。ぶどうやオリーブの栽培が盛んに行われ、地中海貿易の発展に大いに貢献した土地を持ちます。
緑がとても豊かで、のどかな雰囲気がどこか落ち着きます。2008年にはユネスコにより世界遺産としても登録されました。
- スターリ・グラード平原
- ドミニコ会修道院
- ヘクトロヴィッチの要塞
- スターリ・グラード博物館
【フヴァール・タウン】
大理石や石灰岩を用いて16〜17世紀に築かれたアドリア海とヴェネツィア建築の調和が美しい「ザ・リゾート」と言えるエリア。この島で最も多くの観光客で賑わう場所でもあります。
- 聖ステパノ大聖堂
- アルセナル
- フランシスコ会修道院
- ベネディクト会修道院
フランシスコ会修道院(ドゥブロヴニク)
1391年に開業したクロアチア最古であり、世界で3番目に古い薬局があるといわれる「フランシスコ会修道院」。はじめは現在とは異なる場所に14〜15世紀に建てられたものの、外敵からの防衛目的で現在の場所に移されました。
現在私たちが訪れることの出来る建物は、1667年に起こった大地震の後に建て直されたものですが、中庭は建造当初の美しさを保ったままで柱に施された細やかな彫刻など当時を思わせるような建築を至る所で確認出来る造りとなっています。
驚くことに600年以上昔に創業した薬局「リェカルナ・マラ・ブラチャ」は、現在も営業し続けています。そこで売られているハーブティーやコスメはお土産にも良さそうな素敵なものばかり。
いつもと少し変わったお土産を買いたい方は是非訪れてみてください。
クロアチアの自然を満喫するスポット 5選
ヴィス
クロアチア第二の都市スプリットから、船を利用して約2時間20分で訪れることが出来る「ヴィス島」。この島は、クロアチアにあるその他の人気観光都市とは異なり、特に訪れるべき歴史的建造物などは無いものの、ゆったりとした雰囲気が好きな方にはピッタリな旅行先と言えるでしょう。
そんなヴィス島では青の洞窟、緑の洞窟を探検するツアー、そしてシュノーケリングやダイビングなどを楽しむ現地ツアーが人気です。この島から催行されている青の洞窟ツアーの多くは大体午前8〜9時頃に出港し、その他色々な見どころを回って夕方17時頃に戻るというスケジュールで動きます。
しかしながら、この島を訪れる人全員が島での滞在時間に余裕があるという訳ではありませんよね。
そんな方には、午前中に出港し正午までに戻ってくる半日ツアーも用意されていますので、参加を希望される方は、ツアーの催行に関し現地の観光インフォメーション、または滞在予定のホテルなどに前もって確認しておくとスムーズでしょう。
マカルスカ
「マカルスカ」は、アドリア海沿岸部有数のリゾート地です。海岸沿いには、白壁にオレンジ色の屋根といういかにも地中海ヨーロッパという雰囲気が漂う建物が多く建ち並び、そのすぐ後ろには、アドリア海沿岸部で最高峰のビオコヴォ山(1,762m)が位置しています。
マカルスカの海は、もともと海が美しいクロアチアでも有数の透明度を誇り、ドゥブロヴニクやスプリットといった人気観光都市からも、日帰りでアクセスすることが可能なので、特に夏の時期を中心に多くの観光客で賑わいます。
クルカ国立公園
「クルカ国立公園」は、シベニクやスプリットから日帰りで訪れることが出来る、自然が美しい景勝地です。カルスト地形が生み出した、自然豊かな公園の敷地内にはいくつもの美しい滝が連なり、夏は水遊びやハイキングを楽しむ人々でいっぱいです。
同国立公園は自然の見どころのほか、湖に浮かぶ修道院などを遊覧船を利用して見学することも出来るので、充実した観光を楽しむことが出来るのが特徴です。遊覧船は冬季の間運行されないので注意してください。
スターリ・グラード平原
「スターリ・グラード平原」は、古代ギリシャ人により紀元前4世紀頃、フヴァール島中央部に築かれた農地です。この場所を上空から眺めると1区画あたりの大きさが180m×900mずつ正確に整理されていることがわかります。
農地の分割が行われたのは紀元前4世紀なのにも関わらず、保存状態および農業景観が大変優れていることから、2008年にユネスコの世界遺産として登録されました。
スルジ山
「スルジ山」は、ドゥブロヴニクの旧市街北に位置する標高412mの山で、麓と山頂を繋ぐケーブルカーを利用すれば約3分で頂上へ行くことが可能です。頂上からは、旧市街にひしめく中世の建物のオレンジ色の屋根と、その向こう側に広がるアドリア海の絶景を一望することが出来ます。
ケーブルカーの利用料金は片道70Kn、往復120Knですが、麓からは遊歩道が整備されているので、体力に自信のある方はケーブルカーを利用しなくても頂上へアクセスすることが出来ます。
山頂にはナポレオンが寄贈したといわれる白い十字架と、フォトジェニックなカフェレストランがあります。山頂に着いたら絶景を眺めながらコーヒーで一息ついてみてはいかがでしょうか?
失敗なしのクロアチア定番お土産
お酒
ラキヤ
「ラキヤ」はクロアチアを含むバルカン半島の国々で良く飲まれている蒸留酒です。そのアルコール度数は、かなり高めの40度。度数だけ耳にすると、「とてもじゃないけど飲めない」と腰が引けてしまう人は少なくないかと思いますが、実際に飲んでみると意外と美味しくクセになるお味です。
バルカン半島では自家製ラキヤを漬けている家庭も少なくないほど、現地の生活や文化に密着しているお酒です。お店では小さいサイズのボトルから販売されていますので、お酒好きのお友達にはきっと喜ばれるお土産だと思います。
クロアチア産ワイン
クロアチア人にとってワインは日常生活に欠かせない存在です。現にその歴史は紀元前5世紀ほどまでさかのぼり、製法は国内にいくつか造られたギリシャ植民都市から伝わったといわれています。
その栽培は現在も国内の各地方で行われており、歴史のある美味しいワインが楽しめることから、ワイン好きの間で密かな人気を集めています。クロアチアを訪れた際は、是非お土産に一本いかがですか?
はちみつ製品
養蜂はクロアチア全土で非常に盛んに行われている産業の一つです。日本では割とお値段が張るイメージのはちみつですが、クロアチアなら比較的安価かつ高品質なものが購入できます。
トリュフ製品
世界三大珍味の一つとして知られるトリュフ。私たち日本人が国内でよく消費するトリュフの産地は、イタリアやフランスなど西ヨーロッパに位置する国々がお馴染みですが、実はクロアチア北部のイストゥラ半島でも盛んに栽培されています。
国内では、地元の市場やスーパー、そしてお土産屋さんなどで色々なトリュフ製品が販売されていますので、好きな方はショッピングを楽しみながら日本でなかなか手に入らないような物は現地で絶対にゲットしておきたいですね。
ハーブティー
クロアチアが誇る美しいリゾート地の一つ「フヴァール島」ではハーブ作りが盛んに行われています。その数は、なんと400種類以上といわれ国内で様々なハーブ製品が消費されています。
なかでもハーブティーはとても軽いため帰国便の荷物もさほど重くならず、特に女性を中心に喜ばれるお土産でおすすめです。いろんな種類がある中から、時間をかけて好みのものを探すのも楽しいでしょう。
ネクタイ
ネクタイ発祥の地と呼ばれるクロアチア。その紀元は諸説あるものの、13世紀にクロアチアの兵士が首に巻いていたスカーフが後にネクタイへと変化したという説は、この国を訪れたら必ず一度は耳にするのではないでしょうか?
そんな「ネクタイの故郷」である国を訪れたら、家族や大切な人のためにお土産として選ぶのもおすすめです。きっと良い話のネタだったり、旅の思い出を振り返るきっかけとなるでしょう。
ナチュラルコスメ
ハーブやオリーブなど、美容に良いものが国内で盛んに栽培されているクロアチア。また、国土の西側はアドリア海に面しているので、そのミネラル豊富な海水を利用して伝統的な塩作りも行われています。
そのため、この国ではそれらを材料として使って作られたナチュラルコスメもお土産として人気です。
ハンドメイドの絵皿
ヨーロッパで絶対に見逃せないのが可愛い雑貨の数々。観光客が多く集まる市場やお土産屋さんなどでは、クロアチアの伝統工芸に関連した可愛い雑貨が数多く並んでいます。
なかでも特にオススメしたいのが、食器としても利用できるハンドメイドの絵皿です。ハンドメイドだから世界にたった一つしか無いというのも、とても魅力ですよね。訪れるお店によって置かれている商品のジャンルが全く異なるので、見つけたら街歩きのついでに立ち寄っておきたいところです。
クロアチアへのアクセス
2019年12月現在、日本ークロアチア間の直行便は就航されていません。
その為クロアチアへ向かう場合は第三国を経由してアクセスすることになりますが、主な乗り換え地としてヨーロッパの主要都市が挙げられます。
経由地での乗り換え時間の長さにもよりますが、乗り換え時間を含めても往路で必要とされる最短所要時間は約14時間前後、復路では約13時間前後となっています。
また、周辺国からは電車や長距離バスが運行しているほか、ヨーロッパ各都市からはライアンエアやイージージェットをはじめとするLCCも運航されていますので、ヨーロッパのその他都市へ旅行するついでにクロアチアへも足を延ばしたいという方は、安価でアクセスすることが可能でオススメです。
クロアチア観光の移動手段
クロアチア国内を観光で移動する為の主な移動手段は鉄道、バス、フェリーそして飛行機の国内線です。
鉄道
クロアチア国内を鉄道で移動する場合、多くの主要都市に路線が広がるクロアチア鉄道の利用が便利です。
また国内路線の他、首都ザグレブからは隣国のスロベニアやハンガリーなどの隣国を結ぶ国際路線も運行されているので、周辺の国からアクセスする場合に利用するのも便利でしょう。
国内で運行されている列車の種類は、特急列車「インターシティ」、急行列車「エクスプレスニ」、快速列車「ブルズィ」、普通列車「プトゥニチュキ」の4種類があり、客席は1等車と2等車の2種類です。
また、クロアチアでは鉄道乗り放題パスである「ユーレイルパス」を利用することが可能です。滞在日数や利用日数によってはかなりオトクにクロアチアを旅行出来る場合もありますので、旅行前にチェックしてみると良いでしょう。
バス
国内での観光移動は中長距離バスの利用が便利です。路線は基本的に、観光客が訪れるような人気都市部は網羅されているので、気軽に利用することが出来るのも嬉しいポイントです。
但しイストゥラ半島の村間を移動する場合は、他路線と比べて運行本数が少ないので、スケジュールを事前に確認しておくことをオススメします。なお、クロアチアの中長距離バスは、大型の荷物をトランクに預ける場合に3〜10Knの追加料金を支払う必要がありますので、注意しましょう。
乗車券はバスターミナルで購入することが出来ますが、路上のバス停から乗車する場合は、運転手から直接購入することになります。座席は指定制ではありますが、乗車券に記載された座席に他の乗客が座っている場合もありますので、その場合は直接交渉する、もしくは自分の座席を譲って空いている席に着席のがスムーズでしょう。
ハイシーズンに観光客に人気の路線を利用される場合は、事前に乗車券を購入しておくことをオススメします。
国内線
クロアチアの国内線は、首都ザグレブを中心にクロアチア航空が主に以下の都市に就航しています。現地での滞在時間に余裕が無い方や、長距離の陸移動は体力的に厳しいという方には利用を強くオススメします。
- ドゥブロヴニク(Dubrovnik)
- ザグレブ(Zagreb)
- ザダル(Zadar)
- スプリット(Split)
- リエカ(Rijeka)
- プーラ(Pula)
フェリー
アドリア海に面しているクロアチアでは、フェリーの運航も盛んに行われています。特にフヴァール島やヴィス島といった島々を訪れる場合は利用することになるでしょう。
大抵の旅行者はレンタカーと一緒に乗り込むことは無いと思いますが、船は車を積み込めるフェリータイプと、乗船客のみ移送する高速船の2種類があります。
【クロアチアで運航している主なフェリー会社】
- ヤドロリニヤ(jadrolinija)
- クリロ(krilo)
- G&V Line
クロアチア観光でお得なフリーパス
ザグレブカード
Zagreb Card(ザグレブカード)とは、クロアチアの首都ザグレブで観光客向けに発行されているお得な観光パスです。パスの種類は2種類あり、有効期限はそれぞれ24時間と72時間で、購入される際はザグレブカード公式サイト(http://zagrebcard.com/?lang=en) から旅行前に申請の上オンライン決済を行う、または現地到着後に空港やホテルなどで手に入れることが可能です。
購入金額は24時間有効なもので98Kn、72時間有効なもので135Knとなっており、受け取りの際は購入時に受け取り先として定める各ツーリストインフォメーションセンターまでお越し下さい。
ザグレブカードに含まれているサービス
- 市内の公共交通機関(バスおよび路面電車)の利用
- ザグレブ360°展望台への入場
- ザグレブ動物園
- 4つの美術館および博物館
- ザグレブにある宿泊施設やレストランなど合計55以上の施設での諸割引や追加サービス
ドゥブロヴニクカード
Dubrovnik Card(ドゥブロヴニクカード)とは、クロアチア南部の人気観光都市ドゥブロヴニクで観光客向けに発行されているお得な観光パスです。
パスの種類は3種類あり、有効期限はそれぞれ1日券、3日券、7日券、購入される場合は現地のホテルや美術館など観光客がよく訪れる場所のほか、公式サイト(http://www.dubrovnikcard.com/) から旅行前に申請の上オンライン決済をして現地の観光局事務所で受け取る方法などで入手することが出来ます。
購入金額は1日のみ有効なもので250Kn、3日間有効なもので300Kn、そして7日間有効なものは350Knで、購入の事前申し込みを行ってオンライン決済を行うと各10%割引となります。
ドゥブロヴニクカード1,3,7日間券共通で含まれているサービス
- ドゥブロヴニクでの公共交通機関の利用
- 旧市街の城壁への入場
- 7つの美術館および博物館への入場
- フランシスコ会修道院への入場
- マリン・ドルジッチの家への入場
- ピュリティカスタジオへの入場
ドゥブロヴニクカード3,7日間券のみに含まれているサービス
- ヴラホ・ブコヴァッツの家への入場
- ラチッチ廟の入場料30%割引
クロアチアの年間イベント情報
1月
1月6日 公現祭
公現祭はキリスト教徒が祝う最古の祝祭の一つで、イエス・キリストがこの世の人々の前に再び現れたことを祝う日です。クロアチアを含むヨーロッパ諸国では公現祭を境にクリスマス期間の終わりが訪れ、本格的に新しい年が始まるといわれています。
4月
イースターとイースターマンデー
イースターはイエス・キリストの復活を祝う行事で「復活祭」という別名を持ちます。また、イースターマンデーはイースターの翌日に祝われる日でこの2日間は公共機関がお休みになるほか、レストランやお店などの営業時間が短くなる場合がありますので、イースターシーズンにクロアチアへ旅行される方は注意が必要です。
5月
メーデー
メーデーとは、毎年5月1日に行われる国際的な労働者の祭典を指します。公的機関はもちろんのこと、お店やレストランも休みになることが多いので注意が必要です。
6月
聖体節
聖体節はキリストの聖体の秘跡を称えると共に、聖体に対する信者の敬虔な心を呼び覚まそうという日です。イースターとして知られる復活祭から60日後の木曜日に行われるため、その日付は毎年異なります。
6月22日 反ファシスト闘争記念日
反ファシスト闘争記念日は「パルチザン」と呼ばれるユーゴスラビアでの共産主義国家の樹立を目指して活動した、後のユーゴスラビア人民軍が二次世界大戦中であった1941年6月22日(日)に結成されたことを記念する国民の休日です。
6月25日 国家の日
1991年のこの日、クロアチアは国会でユーゴスラビアからの独立を宣言しました。以降、6月25日はこの出来事を記念し「国家の日」と名付けられ、国民の休日として祝われています。
正式に独立を果たした日ではなく、それの為の宣言が成された日と覚えておくと良いでしょう。
7月
国際フォークロア・フェスティバル
国際フォークロア・フェスティバルは首都ザグレブで毎年7月下旬に開催される民族のお祭りで、クロアチアを含むいくつかの国が集まり、それぞれの民芸歌および踊り、そして独自の衣装などを披露します。
ドゥブロヴニク・サマーフェスティバル
ドゥブロヴニク・サマーフェスティバルはクロアチア南部に位置する、人気地中海リゾートであるドゥブロヴニクで毎年7月中旬から8月末まで開催されるお祭りで、クラシックをはじめとする音楽や演劇など様々な芸術が楽しめるお祭りです。
スプリット・サマー・フェスティバル
スプリット・サマー・フェスティバルは、クロアチア南部に位置するクロアチア第二の都市、スプリットで毎年7月中旬から8月中旬まで開催される演劇、オペラ、ダンスなど様々なイベントが街全体に設置した会場で開催されるお祭りです。
クロアチア出身のアーティストが多数集結し様々なジャンルのパフォーマンスを提供するので、クロアチアの現代文化に触れる良い機会でしょう。またこのお祭りの歴史は既に50年以上で、クロアチア国内でも大変有名なものとなっています。
8月
5日 解放の日
「解放の日」は「国民感謝の日」の別名を持つ国民の休日です。この日はクロアチアの公共機関がお休みになるほか、レストランやお店などの営業時間が短くなる場合がありますので、クロアチアへ旅行される方は旅行の計画を立てる際注意して下さい。
8月15日 聖母被昇天祭
毎年8月15日に祝われるカトリック教の祝日である聖母昇天祭。この日は「マリア昇天祭」という別名を持ち、肉体を伴ったまま天国へと召し上げられた聖母マリアの栄光を祝福するお祭りです。
10月
8日 独立記念日
1991年6月25日(火)に独立を宣言して以降、クロアチアが国家として正式にユーゴスラビアからの離脱を果たしたのが同年の10月8日のことでした。クロアチアではこの日を「独立記念日」として定め、国家の日と同様に国民の祝日として重要に扱われています。
11月
1日 万聖節
万聖節はカトリック教に登場するすべての聖人を崇拝する日で、別名「諸聖人の日」と呼ばれこの日は祝日とされています。実は近頃日本でもよく親しまれている10月31日のハロウィンは、万聖節の前夜祭です。
クロアチアではこの日、多くの人々がお墓参りに出掛けます。日本でいうお盆やお彼岸を想像してもらえると分かりやすいのではないでしょうか。
12月
25日 クリスマス
日本でもお馴染みの毎年12月に開催される一大イベントのクリスマス。多くの方がクリスマスはイエス・キリストの誕生日であると勘違いしがちですが、この日はキリスト教徒にとって「イエス・キリストの後誕」を祝う日として認識されています。
実際に後誕した日は諸説ありますが、現在ではキリスト教を信仰する多くの国々で、クリスマスの日にそれが祝われています。主な過ごし方は、日本の様に友達や恋人と過ごすのでは無く家族と過ごし、クリスマスツリーの下にプレゼントを置きます。
クロアチア国内でも、12月になると首都ザグレブを中心に数多くのクリスマスマーケットが街中に登場します。それと共に街はきらびやかなイルミネーションに包まれ一気にロマンチックな雰囲気に。
本格的なクリスマスムードは、12月24日のクリスマス・イヴから1月6日にあたる公現祭まで続きますがヨーロッパらしい雰囲気を求めて旅行されるのであれば、12月は最高な時期であると言えます。