エジプトってどんなところ?
エジプトの基本情報
エジプトはアフリカ大陸北東部に位置し、紀元前3000年頃から約5,000年という長い歴史を持つ国で、正式名称を「エジプト・アラブ共和国」としています。
国土の面積は約100万平方kmと、日本の総面積の約2.7倍の広大な土地を持ち、南北にアフリカ大陸最長の川「ナイル川」が縦断しているのが特徴で、ナイル川沿岸部には高くそびえるパームツリーやオリーブをはじめとする豊かな緑が広がっています。
また多くの歴史的な世界遺産が点在しているエジプトですが、その自然の魅力は砂漠だけでなく、訪れる人々の想像をはるかに上回ります。
例えば北部は地中海、東部は紅海に面し、透明度の高い海と、鮮やかなサンゴ礁が魅力の美しいビーチリゾートが点在しているほか、東部に位置するシナイ半島には、朝日が差し込むと一面オレンジ色に変化する絶景が魅力の「シナイ山脈」があります。
西部には、300万年前から人類が住んでいたとされる、透き通る多くの泉が残るオアシスの町「シワ」、ため息が出るほど美しい白砂漠を持ち、これまでの人生で最も美しい星空に出会える「バハレイヤ・オアシス」など是非足を運んでいただきたい観光スポットがたくさんあります。
首都は北部に位置するカイロで公用語はアラビア語ですが一部の観光地やホテル、レストランなどで英語が通じます。
時差は日本のマイナス7時間で、サマータイムは実施される年とそうでない年があるので事前に確認が必要です。
エジプトの歴史を理解する上で重要な5つの時代
古代エジプト文明は、世界4大文明の一つにも数えられ、その時代は主に以下の5つに分けられます。
・初期王朝時代 =紀元前3000年以降
・古王国時代 =紀元前2500年前後のエジプト国内で王権が確立された時代。最初の首都メンフィスが置かれた
・中王国時代 =紀元前2000年前後、この国の首都がテーベ(現在のルクソール)にはじめて置かれた時代
・新王国時代 =紀元前1500年頃〜1000年頃まで続いたエジプト史上最も多くのファラオが活躍した時代
・末期王朝時代 =エジプトの新王国が紀元前525年以降ペルシャ王国やギリシャをはじめとする他国から異民族の支配下に置かれるまで続いた時代
一般的にこれらの5つの時代を総称して「古代エジプト」と呼び、時代の流れからも読み取れるようにその歴史は約3,000年もの間繁栄と衰退を繰り返しながら続きました。
エジプトの歴史
5,000年にも及ぶエジプトの長い歴史上、特に重要な時代は古王国時代、中王国時代、新王国時代の3つで、各時代に複数の王朝が名を連ねているのが特徴です。
現在の首都は、エジプト北部に位置する大都市「カイロ」に置かれていますが、最初の首都は「メンフィス」というカイロから40km程離れた場所に置かれていました。
メンフィスに首都が置かれるきっかけとなった出来事が「メネス王」による「上・下エジプトの統一」でした。紀元前3000年頃にさかのぼる「初期王朝時代」にあたるエジプトは上・下の2つに分かれていました。
それらを統一して以降、首都をメンフィスに置いた時代を古王国時代と呼びます。
この時代には、メンフィスからほど近い町サッカラに位置する、世界最古のピラミッドの「ジェゼル王の階段ピラミッド」をはじめ、私たち観光客にお馴染みの「ギザの三大ピラミッド」など、多くのピラミッドが建設されたことで知られています。
その後時代は古王国時代へと流れ、首都は現在の「ルクソール」にあたる「テーベ」へとかえされました。
そして何度か衰退しながらも、時代は紀元前1500年頃の最も歴史上活躍した人物が登場する、新王国時時代に突入します。この時代には、王家の谷やカルナック神殿をはじめとする、歴史上非常に重要な建築物が多く建てられました。それらの多くが今も非常に良い状態で保存されていることから、ユネスコの世界文化遺産に登録されています。
その後は残念ながらペルシャ王国やギリシャをはじめとする他国からの侵略を受け、長く続いた古代エジプトの歴史は衰退の一途を辿り、7世紀にはアラビア半島で誕生したイスラム教の支配下に置かれ現在に至ります。特に古代エジプト文明末期には、色々な国との間でその主権が動いたため宗教・文化そして建築などに多大なる影響を与えました。
これらを肌で感じてみたいという方は、エジプト北部の地中海に面するエジプト第2の都市アレキサンドリアを訪れてみることをオススメします。
アレキサンドリアは古代エジプト最後の王朝があった青い海とヨーロッパ調の建築物のコントラストが非常に美しい街です。その後紀元10世紀頃には、首都はカイロに遷されイスラム文化の中心として繁栄しこの地域のアラブ化が一気に進みました。
エジプトの宗教について
エジプトは国民の約9割がイスラム教徒でイスラムの習慣に従って生活しています。
観光立国なので現地の宗教が旅行者に影響することは少ないですが、いくつか日本と文化が明らかに異なる部分がありますので、紹介したいと思います。
まずエジプトの休日は基本的に土日ではなく「金曜日」で、一部のお店や公的機関は休みとなることがあります。またイスラム教では、肌の露出があまり好まれていないので、特に女性は暑くても露出度が高い服装は避けるのが無難です。
これはイスラム教を信仰するの方々への配慮と、露出が原因で現地の男性達からの性的被害など、不要なトラブルが起こることを避ける為に大変重要なので、常に頭の片隅に置いておいていただきたいです。
※圧倒的に少数派ですがエジプトにはキリスト教(コプト教)を信仰する方々も存在しますのでそれらの地域を訪れる場合はイスラムの常識や慣習からは外れますので臨機応変な対応を心掛ける必要があります。
エジプトの通貨事情
通貨は「エジプト・ポンド(£E)」と「ピアストル(PT)」で2019年11月現在、1エジプト・ポンド=6.74円となっております。
また1エジプト・ポンドは100ピアストルと置き換えることも可能ですが、エジプトを旅行する際はあまり見る機会が無いと思いますので参考程度に知識として抑えておくと便利です。
紙幣は9種類、コインは5種類あり、日常的に使用されるのは100ポンド、20ポンド、10ポンド、5ポンドなどの紙幣と1ポンド硬貨です。
紙幣にはアラビア数字と、私たちが普段慣れ親しんでいる算用数字が用いられているため、紙幣を見分けるのは難しく無いと思いますが、硬貨はアラビア数字のみで表記されているため、注意が必要です。アラビア数字の「1」は算用数字の同数字と非常に似た形をしているので簡単に見分けることが出来ると思います。
両替はカイロ国際空港などの主要な空港、ホテル、銀行などで行うことが可能で、特に都市部を中心にATMも街のいたるところに設置されているので、現金の引き出しも安心して行うことができます。
エジプト旅行の見どころ
世界遺産巡りをする
エジプトに位置する世界遺産は大きく分けて7ヵ所あります。
その数は長い歴史を持つ国の割に、意外と少ないという印象を持たれるかと思いますが、その多くは「遺跡群」としてまとめて登録されているため、実際には「7エリア」と数えるのが適当だと思います。
エジプトで訪れるべき世界遺産の数は非常に多く、一度の旅行で全てを訪れるには相当な時間と体力が必要ですが、実は7ヵ所中2ヵ所の世界遺産エリアは首都「カイロ」とその近郊に位置する「ギザ」にあるため、短い日程でエジプトを訪れる方でも、気軽にいくつもの世界遺産を訪れることが可能なのが嬉しいですね。
首都カイロで、1973年に世界文化遺産に登録されたエリアは「カイロ歴史地区」と呼ばれ、7世紀以降この国のイスラムの中心として栄えた、多くのイスラム調の宗教建築が建ち並ぶ姿が美しい「イスラム地区」と、「カイロ」発祥の地でありイスラム地区とは対照的に、ローマ時代の塔や多くの「コプト教会」が建ち並ぶ「オールド・カイロ」と更に2ヵ所に大別されています。
またカイロ近郊の、ピラミッドで有名な「ギザ」から車で約1時間程でアクセス可能で、1979年に世界文化遺産として登録された「メンフィスとネクロポリス」も古代エジプトで最初に置かれた首都「メンフィス」、そして現在のピラミッドの形の原点となった世界最古のピラミッド「階段ピラミッド」が位置する死者の町「サッカラ」なども挙げられます。
街歩きをしながらイスラム建築の伝統や異なる文化を楽しむ
国民の9割がイスラム教徒であると言われる国「エジプト」は、日本とは全く異なる文化と建築様式が、訪れる観光客を楽しませます。
もちろん、世界遺産に登録された数々の歴史的建造物を巡るのも楽しいのですが、エジプトを訪れた際は、日本ではなかなか見かけることの無いモスクをはじめとした宗教施設や、地元の方々の活気に包まれた市場に足を運んでみてください!
特に首都カイロは、かつてこの国のイスラムの中心地として栄え、多くの宗教建築群が魅力の「カイロ歴史地区」そしてそれとは対照的に多くの「コプト教会」が集まるカイロ発祥の地と呼ばれる「オールド・カイロ」、そしてナイル川沿岸に広がる「新市街」など新旧入り混ざった文化や、建築物が驚くほど良く調和されていて、散歩をしているだけでも楽しいのが魅力です。
新市街には、カイロ市内を360度見渡すことが可能な「カイロ・タワー」や、1874年に宮殿として建てられたのち、大統領府としても利用された「アブディーン宮殿」など様々な見所があります。
時間が許す限り、とにかくいろんな場所に足を運んで、長い歴史を持つカイロの街を満喫しましょう!
エジプトを南北に縦断する「ナイル川」をクルーズ船で旅する
ナイル川は、長さ6,650kmのアフリカで一番長い川で、タンザニア、ブルンジ、ルワンダ、ウガンダ、コンゴ民主共和国、南スーダン、ケニア、エチオピア、スーダンそしてエジプトの10ヵ国を流域に跨いでいます。
ナイル川はエジプト国内を南北に縦断しており、かつてはその流域を中心に多くの文明が発達してきました。
そんなエジプトの長い歴史と共に、今も昔も変わらずエジプトの人々に愛されているナイル川を、豪華客船で優雅に楽しむのが「ナイルクルーズ」です。クルーズは基本的にルクソールからアブシンベル間を運航しています。
予約するクルーズ日程にもよりますが、2泊3日または3泊4日かけて、ナイル川流域に位置する「コム・オンボ神殿」や「ホルス神殿」をはじめとする世界遺産を観光する為に、何度か寄港するのが一般的です。
クルーズ会社はいくつかあり、船によって館内および客室の設備や提供される料理が異なりますので、個人で旅行される方は予算に合わせて予約されると良いでしょう。
乗船中は朝〜夕の3食が提供され、エジプトの民族衣装「ガラベーヤ」を着てダンスを楽しむ「ガラベーヤ・パーティー」および「ベリーダンスショー」など毎日楽しいイベントが開催される為、乗船中も退屈しないでしょう。
日本から催行されているツアーを利用してエジプトを訪れる方は、旅行日程が長めに設定されているツアーを選ぶと、ナイルクルーズが旅程に組み込まれていることが多いので、日程と予算に合わせて色々なプランを見比べてみることをオススメします。
クルーズ船に乗ってゆっくりとした時間を過ごしながら客室や展望デッキから流域に広がる豊かな自然を眺めたり夕日を楽しんでみてはいかがでしょうか?
憧れの砂漠はラクダで歩こう
エジプトを訪れる方が必ずと言って良いほど訪れる場所が砂漠です。
その砂漠の中に、突如として現れる巨大遺跡「ギザのピラミッド」を背にラクダに乗って散歩する自身の姿や、幻想的な景色を写真におさめたい、という方は多いと思います。
日本では動物園でしか出会うことが無いラクダですが、エジプトではそんなラクダに乗って砂漠を散歩する、という夢が簡単に実現します!
訪れる季節にもよりますが、砂漠は日中非常に強い日差しに晒される上に、気温も高く上昇しますので午前中の比較的早い時間帯、または夕方の日没付近の時間帯に利用することをオススメします。
エジプト特有のエスニック料理を楽しむ
旅行先での楽しみのひとつは、やはり現地のグルメを味わうことでは無いでしょうか?実はエジプトは隠れたグルメ大国です。そして意外にも、私たち日本人の口に合う料理が多く存在し、そのラインナップは小腹が空いた時に口にするスナック感覚で食べられるものから、朝食の定番料理、前菜そしてメインディッシュなど多岐にわたります。
アフリカ大陸に位置しながら、歴史的に中東文化の影響を強く受けてきたエジプトの料理は、周辺に位置する国の食文化と共通する部分があり、これまでに中東近辺の国を旅行されたことがある方は、それらの国とエジプト料理の共通点や異なる点を探してみるのも楽しいでしょう。
またエジプトは、北部沿岸が「地中海」そして東部沿岸が「紅海」と、国土が美しい海に面していることもあり、新鮮な魚介類が手に入るためシーフード料理が非常に美味しく、「ガンバリ・マクリー」と呼ばれるエビフライや「ムーサ・マクリー」と呼ばれる舌ヒラメのフライなど、日本でもお馴染みの料理もいくつかあります。
新しい食べ物に挑戦することに抵抗がある方も、安心して食事していただくことが可能です。エジプト料理のバラエテイーは非常に豊富かつ日本とは全く異なる食文化を持つため非常に面白いです。
現地に滞在している間はとにかく色んなエジプト料理に挑戦し、思わず舌鼓を打ってしまうような、お気に入りの料理を見つけるのも楽しいでしょう。
定番スポット10選
ギザのピラミッド【世界遺産】
エジプトを訪れる観光客の中で、一番人気の観光スポットが「ギザのピラミッド」です。首都カイロから南西に約20kmの場所に位置し、周辺には観光客向けの多くのホテルが立地しています。
ピラミッドは3基あり、全てこの国の首都がまだ「メンフィス」という場所にあった古王国時代に造られたもので、左から「メンカウラー王のピラミッド」「カフラー王のピラミッド」「クフ王のピラミッド」と並んでいます。
中でも世界最大の石造建築物と言われているのが「クフ王のピラミッド」で、ひとつあたり平均2.5トンもある石灰岩を230〜300万個、合計210段もの高さに積み重ねて造られています。世界最大の石造建築物という名に相応しく、実際に訪れてみるとその大きさと迫力に驚くはずです。
「クフ王のピラミッド」のすぐ左に位置し、他のピラミッドとは異なり頂上に少し白っぽい石がまるで雪が降った山のように残っている特徴的なピラミッドが「カフラー王のピラミッド」です。このピラミッドは「クフ王」の息子、「カフラー王」によって建設されました。
高台に建てられているので、一見「クフ王のピラミッド」よりも大きく見えますが、実際には2番目に大きいのがこちらのピラミッドです。頂上に残る美しい石は化粧石と呼ばれています。実はかつてこれら3基のピラミッドは全面化粧石で装飾されていたため、今よりも更に美しい外観をしていました。
実際に訪れる際は、現在のピラミッドの色と少しだけではありますが、残っている化粧石の色を見比べて、完成当初のピラミッドの姿に思いをはせてみるのも良いかもしれませんね。
3基あるピラミッドの中で最も左側に位置し、他の2基と比べても圧倒的に小さく、北部に大きな破壊の痕が残っているのが「メンカウラー王のピラミッド」でカフラー王の息子、メンカウラー王によって建造されました。
かつてはピラミッドの3分の2が石灰石、残りが花コウ岩で覆われてたと言われ、他のピラミッドとは見た目も材料も異なるのが特徴です。今でも花コウ岩の一部は残っており、実際に確認することが出来ますので、訪れた際には是非違いを比べてみて下さい。
3基のピラミッドが位置するエリアの入場料とは別に、追加料金で「クフ王のピラミッド」「カフラー王のピラミッド」それぞれ内部に入場することが出来るので興味のある方には是非憧れのピラミッドの内部へ冒険に出掛けてみるのもオススメです。
※内部の傾斜はかなり急なため、足腰に自身がない方は入場すると大変苦労されると思います。
また、足元が滑りやすくなっているので足腰に自身がある方も必ずスニーカーなど歩きやすい靴を履いて訪れるようにしましょう。
またピラミッド同様の地名度を誇るライオンの体に人間の頭を持つと言われる"スフィンクス”は、中央に位置するカフラー王のピラミッドの前に鎮座しています。
これらの遺跡は全て砂漠に囲まれていますが、実はこれらのピラミッドは全て巨大で丈夫な石灰石の岩盤の上に建てられていて、なんとスフィンクスはひとつの岩山を削ってつくられたと言われています。高さは20m、長さは57mで古代エジプトでつくられた中では最大です。
かつては美しい彩色が施されていたとされ、石灰岩の風化がかなり進んでしまった今も、目元にかすかに残るアイラインを確認することが出来ます。気になる建設年代とその目的ですが諸説あり、今も多くの考古学者がその謎解きに取り組んでいます。
前足の間には「夢の碑文」と呼ばれる石碑が立ち、まだ王子だった「トトメス4世」が見たスフィンクスの夢に関する物語が記されています。
スフィンクスが現在のように、私たちの前に現れるきっかけとなった重要な物語なので、時間がある方はスフィンクスの前での撮影だけでなく、碑文も訪れてみましょう。
アブ・シンベル神殿 【世界遺産】
エジプト南部のスーダン国境から程近い場所に位置する、巨大な岩窟神殿が「アブ・シンベル神殿」です。
この神殿は高さ32m、幅38mの大きさを誇り、「ファラオのなかのファラオ」と呼ばれ絶大な権力を誇った「ラメセス2世」が建設した建物のなかでも不朽の名作と呼ばれています。
この神殿の建設が開始されたのは、おおよそ紀元前1275〜1269年の間とされ、一説では紀元前1250年頃に完成式典が行われた、とも言われ、その主な建設目的は、エジプトの国力を他に誇示するためだった、とされています。神殿は大・小神殿の2つに分けられ、内部はそれぞれ美しいレリーフ(浮き彫り)で埋め尽くされているのが特徴です。
これらのレリーフは、古代エジプトの神々や、ラメセス2世の活躍および妻「ネフェルタリ」に関するものなど、あらゆるものが残され、当時のエジプトの様子を知る貴重な手がかりとなっています。
その他にも、エジプト神話に登場する神々をはじめ、神格化された「ラメセス2世」が祭られている至聖所(しせいじょ)、保存状態の良い図書館や、細部までしっかりと彫刻が施され、訪れる人々を魅了する列柱室(れっちゅうしつ)など、非常に多くの見どころがあります。
この「アブ・シンベル神殿」では2月22日と10月22日の年に2度、朝日が至聖所まで真っ直ぐと差し込んで、神々の像を美しく照らします。古代の人々が、朝日の差し込む方角を正確に計算して神殿を建設したのは驚きですよね。
1954年に発表されたダム建設事業計画によって、この神殿は水没の危機にさらされましたが、1963年から5年の歳月をかけて移築し現在私たちが訪れる神殿の場所になりました。神殿は1,036ピースに分解され、再び元の状態に組み直すという大変手の込んだものでした。
神殿の敷地内に、移築当時の様子を残したいくつかの写真や、細かい工程が展示されているので観光で訪れる際は併せて訪れてみましょう。
カルナック神殿
「カルナック神殿」は、エジプト南部の古都「ルクソール」に位置する国内最大級の神殿です。この神殿は最初に建設当初から歴代のファラオが増改築に携わり、約2,000年もの時をかけて現在の姿に変化しました。
広い敷地内にはなんと10ヵ所の塔門があり、中心には「アメン大神殿」、敷地南部には「ムート神殿」そして北部には「メンチュ神殿」が位置しています。
神殿の見どころは非常に多く、中でも大列柱室の迫力は「アブ・シンベル神殿」の内部を超える迫力が特徴で、134本もの巨大な石柱があり訪れる者を圧倒します。うち12本は、高さ21mの「開花パピルス柱」で、その他は少し低めの高さ15mの「閉花パピルス柱」で構成されています。
上を見上げると、天井に当時の鮮やかな色彩が残る美しいレリーフを確認することが出来ますので、訪れた際は是非確認してみましょう。
副殿には、ルクソール市内中心部に位置する「ルクソール神殿」が挙げられ、カルナック神殿と結ばれている参道には多くのスフィンクスが並んでいます。その距離は3kmにもわたり、古代にはこの参道の両脇にスフィンクスが並び、神殿を守る働きをしていたと言われています。
現在カルナック神殿で訪れることが出来るスフィンクス参道は、第一中庭から運び出されたものです。
ルクソール神殿
ルクソール神殿は古都ルクソールのナイル川東岸に位置し、カルナック神殿の副殿として建てられました。それはナイル川西岸が「死者の町」と呼ばれているのとは対照的に、東岸は日が昇る方向より「生者の都」そして「神の都」であったのが理由とされています。
そのため、東岸のハイライトはズバリ「カルナック神殿」と「ルクソール神殿」と言えるでしょう。
現存する神殿の大部分は新王国時代第18王朝のファラオ「アメンへテプ3世」そして後に「アメン神」を信仰の対象として首都をテーベ(現在のルクソール)から、アマルナに遷したアメンへテプ3世の息子「アクエンアテン王」によって建設されました。
アメン神信仰を酷く嫌っていた「アクエンアテン王」によって遷都された後は、神殿が放置されてしまったため、施設は荒廃してしまいました。しかしながら「アクエンアテン王」の息子「ツタンカーメン王」の時代になると、再び「アメン神」への信仰を取り戻し、神殿は修復されその一部が完成されました。
【見どころ】
- ラムセス2世によって健立された高さ25mのオベリスクとカデシュの戦いのレリーフが美しい「第一塔門(一対のうち片方はフランスのパリにあります)」
- 存在感の強いラムセス2世の立像が一対並び、閉花式パピルス柱に囲まれた「ラムセス2世の中庭」
- 高さ19mにもおよぶ巨大な開花式パピルス柱が並ぶ「大列柱廊」
- アメンへテプ3世の中庭
- ローマ帝国がエジプトへ侵攻した際に、ローマ皇帝を崇拝するためローマ時代に神殿を改造してつくられた「天皇崇拝の場」
ハトシェプスト女王葬祭殿
「ハトシェプスト女王葬祭殿」は、かつてファラオが亡くなった時に葬儀を行っていた葬祭殿です。エジプト南部ルクソールの西岸に位置し、崖の麓に突如現れる3階構造の葬祭殿は「ハトシェプスト女王」の側近で建築家の「センムト」によって全体の設計が施されたものです。
細部まで細かく施され、未だ美しい色彩を放つレリーフは「ハトシェプスト女王」の誕生伝説や、ナイル川での祭りの様子など、当時の歴史を知る上で非常に貴重なものばかりです。
また葬祭殿3階には冥界の神として知られるオシリス神の柱「オシリス柱」も多数並び、いくつかは完全に破壊されてしまっているものの、今もなお圧倒的な存在感を放っているのが特徴です。
王家の谷
王家の谷はルクソールの西岸に位置する「エルクルン山」の麓にある「死者の町」です。エルクルン山と聞いて緑豊かな山をイメージする人が多いと思いますが、ここは「リビア山脈」が侵食されて出来た谷で、緑は無く非常に乾燥しています。ここには「トトメス1世」以降の新王国時代の歴代ファラオが葬られていて、これまで既に65の墓が発見されています。
敷地は非常に広大で、多くの墓があるため考古学ファンの方は是非全ての墓を訪れてみたいところですが、お金も時間も掛かるのが「王家の墓」です。しかしながら、重要な見どころを比較的短時間でしっかりと観光しておきたいという方は、以下の見どころを中心に回るのが効率的でしょう。
【主な見どころ】
- 1922年にハワード・カーターという考古学者によって発見され世界中の話題となり最も有名で色鮮かな内部のレリーフと豪華な副葬品の数々が魅力の「ツタンカーメンの墓」
- 新王国時代第20王朝のファラオの墓で色鮮かな壁画と特徴的な人型棺を持つ「ラメセス4世の墓」
- 太陽光線に導かれて昇天するファラオをはじめとする細部までよく描かれたレリーフが美しい「ラメセス9世の墓」
- 新王国時代第18王朝のファラオの墓で他とは少し異なったユニークなレリーフを持つ「トトメス3世の墓」
イシス神殿
エジプト南部最大の商業都市「アスワン」近郊に浮かぶ「アギルキア島」。島周辺はアスワンハイダムの建設と共に形成された「ナーセル湖」の青さが、より島の美しさを引き立てます。このアギルギア島に位置する美しい神殿が「イシス神殿」です。
この神殿はかつてフィラエ島に浮かんでいましたが、ダム建設を原因に水没の危機に晒されたため、現在の島に移転されました。敷地面積はエジプトの観光スポットと比較しても、見どころが非常に多いのも観光客を惹きつける魅力のひとつと言えるでしょう。
これらはプトレマイオス王朝から古代ローマ時代に建てられたもので、ローマ帝国の侵攻により550年に閉鎖されるまで、古代エジプトの信仰の対象として存在し続けた最後の神殿です。かつては隣の「ビーガ島」に夫の「オシリス神」が祭られていましたが、現在観光客が訪れることは不可能となっています。
【見どころ】
- イシス神殿
- 島に戻ってきたイシス女神の休憩場所であったという逸話が残るトラヤヌス帝のキオスク
- 女神に捧げられた小神殿で音楽に関する珍しいレリーフが確認できるハトホル神殿
- 古代神話にまつわるレリーフが美しいハドリアヌス帝の門
ホルス神殿
「ホルス神殿」は、エジプト神話におけるハヤブサの神「ホルス」を祭り、国内で最も美しいホルス像をその中庭に持つことで有名です。現在の神殿は紀元前237年に建設が始まり180年もの歳月をかけて紀元前57年、クレオパトラの父親「プトレマイオス12世」の時代に完成したとされています。
建設以降、長い年月が経過しているにも関わらず、神殿としての保存状態が非常に良好で、所々に残る鮮かなレリーフ、天井や天体図やハゲワシの絵がある迫力の列柱室、そして上下エジプトの統一を象徴する二重王冠を被った美しいホルス神は必見です。
神殿はエジプト南部のナイル川近郊に位置している小さな町「エドフ」にあり、ナイル川クルーズに参加する方にとっては必ずと言っていいほど旅程に組み込まれる寄港先です。
ルクソールまたはアスワンからアクセスする場合は、タクシーかバスのみの利用となりますが、片道平均2〜3時間かかってしまうのでクルーズ船で訪れた方が体力的な負担は少ないでしょう。
シャルム・エル・シェイク
「シャルム・エル・シェイク」は、エジプト東部に位置するシナイ半島南部の紅海に面するビーチリソートです。紅海は透明度が非常に高い海と色鮮やかなサンゴ、そしてその豊かな自然を目当てに訪れる、多様な海洋生物を観察出来ることが魅力です。
日本から催行されているエジプトツアーのうち、いくつかはシャルム・エル・シェイクに数泊滞在するプランが含まれています。シナイ半島に位置していますが、治安も良好なことから季節を問わず、世界中から多くの観光客が訪れている人気ビーチリゾートです。
シャルム・エル・シェイクでの主な過ごし方は、ビーチでの日光浴やスキューバダイビング、シュノーケリング、そしてカイトサーフィンやウインドサーフィンなどのスポーツ、そして美しい海を眺めるスカイダイビングなど様々です。また、周辺は砂漠なためサファリツアーに参加するのも楽しいでしょう。
聖カタリナ修道院
「シャルム・エル・シェイク」と同様、シナイ半島に位置するのが2002年に世界遺産として登録された「聖カタリナ修道院」。
聖カタリナ修道院は、シナイ山脈の麓に527~565年に皇帝「ユスティニアヌス1世」の命令により建てられた後、「モーセの十戒」が行われたことで有名な、非常に長い歴史を持つ教会です。
主な見どころはモーセが神の言葉を授かったとされる”燃える柴”で、イスラム、キリストそしてユダヤ教から聖地として信仰されているため毎年多くの信者が訪れています。
シャルム・エル・シェイクやダハブからはシナイ山から朝日を眺めるトレッキングツアーも開催されていますので、海だけではなく山も楽しみたいという方は、参加することをオススメします。
首都カイロから日帰り可能なオススメ観光スポット 7選
ギザ
定番スポット10選の【ギザのピラミッド】の部分でも紹介した通り、ギザには世界的に有名な「メンカウラー王のピラミッド」「カフラー王のピラミッド」「クフ王のピラミッド」の三大ピラミッドがあります。
首都カイロからの距離は約20kmで、タクシーやバスを利用して簡単にアクセスすることが出来るため日帰り旅行先としてもおすすめです。
周辺にはピラミッドの南側で発見された「太陽の船」と呼ばれる世界最古の木造船を展示する太陽の船博物館が位置している他、お土産におすすめな世界最古の紙の原型となったパピルス紙を利用してつくられた様々なアート作品を販売する「エジプト パピルスミュージアム」など三大ピラミッド以外にも楽しめる場所がいくつかあるので必見です。
またギザでは「音と光のショー」が毎晩2~3回開催されていて、古代エジプトおよびピラミッドの歴史などについて、解説しながらピラミッドやスフィンクスを美しく照らします。
日中のピラミッドの姿も十分に美しいですが、夜のショーを訪れるとまた違った姿を見せてくれるので、滞在時間に余裕がある方には是非昼と夜の両方を訪れることをオススメします。
メンフィス
メンフィスはエジプトに置かれた最初の王朝が首都として定めた都市です。
ここはギザのピラミッドと共に世界遺産地区として登録されていて、まだメンフィスが首都だった時代に強い権力を保持していた「ラメセス2世の巨像」や国内2番目の大きさで大理石の一種として知られるアラバスター製のスフィンクスが主な見どころとなっています。
サッカラ
サッカラは、エジプトの首都がメンフィスとして栄えていた頃に、死者を祀る為に作られた『死者の町』で、世界最古のピラミッドとして知られる「ジェゼル王の階段ピラミッド」を訪ねることができる場所です。
敷地内では他にも、ウナス王のピラミッドやいくつかの古墳があり、ウナス王のピラミッドは内部に入ることも可能で、この地域も世界遺産に登録されています。
メンフィスからほど近い立地なため、あわせて訪れることをオススメします。
ダハシュール
メンフィス、サッカラと共に世界遺産として登録されているのがダハシュールです。
ここには「赤のピラミッド」「黒のピラミッド」そしてピラミッドとしては最も珍しい形状を持つ「屈折ピラミッド」を見学することができ、中でも修復が完了し、最も完璧なピラミッドとしての形を持つ赤のピラミッドは内部を見学する事が可能です。
赤のピラミッドと屈折ピラミッドはスネフェル王によって、黒のピラミッドは中王朝時代、第12王朝「アメンエムハト3世」により建造されたものです。
黒のピラミッドの黒色は、材料として日干しレンガと玄武岩が用いられたことが理由とされています。化粧石が剥がされてしまった為風化が進み、現在は遠くからのみ確認可能となっています。
アレクサンドリア
首都カイロに次いでエジプト第2の都市として知られるのがアレクサンドリアです。
プトレマイオス王朝の首都として栄え、かつて世界で最も裕福な都市と称され、クレオパトラが愛した地でもあるアレクサンドリアは、地中海に面しヨーロッパ調の建造物が多く立ち並ぶ美しい街です。
「世界の七不思議」のひとつの「ファロス灯台」があったカイトベイや、4世紀頃に建てられたローマ劇場、紀元前3世紀頃に完成し、かつて世界最大で最高の図書館として名を馳せたアレキサンドリア図書館、プトレマイオス王朝時代に信仰されていた「セラピス神」に捧げられた神殿があった遺跡に残されたポンペイの柱など、多くの見どころがあります。
首都カイロから訪れる場合、始発の電車で出発すれば、日帰りでもこれら全ての観光スポットを訪れることが出来ますが、可能であれば1泊2日以上滞在しながら、時間をかけて各観光スポットを楽しみたいところです。
ラシード
エジプト考古学を理解する上で重要であった「ヒエログリフ」の解読の鍵となった「ロゼッタストーン」が発見されたことで知られるのが、ここラシードの町です。ロゼッタストーンは1799年に発見され碑文にはヒエログリフ、民衆文字そしてギリシャ文字の三種類で記載があります。
肝心なロゼッタストーンはナポレオンによってヨーロッパへ持ち帰られましたが、ナポレオンが戦いに敗北したことを機に1801年にナポレオン協定が結ばれて以降、イギリスの所有物となっています。
現在はイギリスの首都ロンドンにある、大英博物館に展示保存されていますので、実物をご覧になりたい方はロンドンまで足を運んでみてくださいね。
初期王朝時代からの歴史を持つラシードの町は小さいながらも、マルムーク時代およびオスマン時代に建てられた美しい家屋やモスクの数々、そして博物館など様々な見どころがあります。
スエズ
スエズは首都カイロからバスで2時間程の場所に位置し、全長193kmにも及ぶ「スエズ運河」がある街です。
スエズ運河は1859年に、フランス人のレセップスにより建設が開始され、10年もの歳月をかけた後1869年に開通し、地中海と紅海を結んでいて、キール運河、パナマ運河と共に世界三大運河の一つとして知られる有名な運河です。毎日多くの貨物線やクルーズ船が航行しています。
世界三大運河のうち、1つ以上を訪れたことがあるという方や、船が好きという方に是非オススメな観光スポットです。
山や自然を満喫できるスポット 3選
バフレイヤオアシス
上で紹介したシワと同じくエジプトで「オアシスの町」として親しまれているのがバフレイヤです。バフレイヤはオアシスの町ではありながらもその魅力は、オアシスではなく周辺にあります。
バフレイヤから車で2時間ほど走ると、そこには美しい白砂漠や、火山によって形成された「黒砂漠」および天然の水晶が観察出来るク「リスタルマウンテン」などの感動の大自然が現れ、夜は満点の星空の下キャンプをすることが出来ます。
シワ
エジプト北西部に位置する「砂漠のオアシス」の街、シワ。パームツリーやオリーブの木をはじめとした豊かな緑に囲まれ、町の至る所に透き通った水が湧き出る泉があるのが特徴です。町の中心部には長い歴史を持つシャリ要塞が圧倒的な存在感を醸し出しています。
シワには300万年程前から原始人が住んでいたとされていて、現在もシワの住民の多くは先住民の「ベルベル人」で、この地で形成された独特の文化や宗教観を守り続けています。また近郊には古代のファラオも信仰し、訪れたとされる神殿遺跡のオラクル神殿も残されており、観光スポットとしても非常に人気が高い場所です。
シナイ山および聖カタリナ修道院
世界遺産やビーチリゾート観光も楽しいですが、せっかくの旅行!自然を楽しむならば、「やはり海と山の両方を楽しみたい」という方は少なくないのではないでしょうか?
シナイ半島のビーチリゾートとして知られるシャルム・エル・シェイクやダハブ近郊には、山頂からの朝日が美しいシナイ山が位置しており、日帰りで訪れることが可能です。
山頂へのトレッキングも楽しいですが、シナイ山には「聖カタリナ修道院」という、2002年に世界遺産として登録された観光スポットもありますので、あわせて訪れるようにしましょう。
この修道院は、シナイ山脈の麓に527~565年に皇帝「ユスティニアヌス1世」の命令により建てられた後、「モーセの十戒」が行われたことで有名で、非常に長い歴史を持ちます。
主な見どころはモーセが神の言葉を授かったとされる”燃える柴”で、イスラム、キリストそしてユダヤ教から聖地として信仰されているため、毎年多くの信者が訪れています。
絶景ビーチリゾートスポット 5選
フルガダ
「フルガダ」は首都カイロから国内線および直通バスが運行し、エジプトの古都ルクソールからもアクセスが便利なため、多くの観光客が訪れる人気ビーチリゾート地です。
沿岸にはリゾートホテルが多く建設されていて、様々なアクティビティーが楽しめるほか、スピードボートで少し離れた島へアクセスすると、色あざやかなサンゴ礁が現れそこに群がる多くの熱帯魚が観察できます。紅海は非常に透明度が高いので、世界中から多くのダイバーが集います。
ダハブ
「ダハブ」はシナイ半島東部に位置するエジプトの人気リゾート地の1つで、特にウインドサーフィンを楽しむ観光客で賑わっています。
町は主に3つの地区に分かれており、北には漁村があったとされ旧来のダハブの雰囲気漂うベドウィン村、そこからやや南に進むとリゾートホテルが多く並ぶ地区、そして最も南にはウインドサーフィンの聖地として知られる場所があります。
特にベドウィン村の地域にはバックパッカー向けのキャンプやレストランが多く、ヒッピーな雰囲気が漂っていて、3地区の中でも宿泊費が最も安いことで知られています。
アギバビーチ
少々コアなエジプトの観光スポットを探している方には、是非訪れていただきたい場所が「アギバビーチ」です。このビーチはメルサマトルーというアレクサンドリアからバスで4時間程の場所にある地中海に面したリゾートの町の郊外に位置しています。
メルサマトルーは、あまり観光客が訪れないエジプト人向けのリゾート地で、ホテルの宿泊費なども他のリゾート地と比べて非常にお手頃なのが特徴で、観光客が訪れる王道なスポットだけではなく少しローカルな場所にも足を運んでみたい!という方にオススメです。
個人的な意見ですが、アギバビーチは私がこれまでに訪れた地中海リゾートの中で一番美しかったと思います。
マルサ・アラム
エジプト南部に位置するビーチリゾートがマルサ・アラムです。
マルサ・アラムは紅海に面する代表的なビーチリゾート地の中では、一番観光客が少なく落ち着いたビーチを有するため、多くのリゾートホテルが建ち並び、賑やかな街並みを有するビーチが苦手という方にはおすすめです。
マルサ・アラムの海はフルガダや、シャルムエルシェイクと同様に透明度が高いのが魅力です。そして周辺の海には野生のジュゴン、イルカそしてウミガメをはじめとする多数の海洋生物が生息していることから、世界中のダイバーが集まります。
運が良ければビーチで泳いでいる際に、これらの動物に出会えるかもしれませんね!
エル・グウナ
エル・グウナは、フルガダから北へ約20kmほど進んだところにある高級ビーチリゾート地です。
フルガダと同様、紅海に面しているため海の透明度が高いのが魅力で美しい人口島地帯には多くの高級ホテルが建ち並び周辺には18ホールのゴルフ場が完備され、その他にも充実した時間を過ごせるつくりになっています。
美しい海でシュノーケリングやダイビングを楽しむのも良し、高級ホテルのスパを思う存分満喫するのも良し、そしてレストランには毎日新鮮なシーフードが並びます。
失敗なしのエジプト定番お土産
カルトゥーシュ
カルトゥーシュとは、古代エジプトで使われていたヒエログリフ文字の1つで、ファラオの名前を囲む曲線を指します。ヒエログリフはエジプト観光の際に古代遺跡の壁画でよく目にする記号のようなもので、ひとつひとつが英語のアルファベット同様の意味を持ちます。
大切な人や自分の名前を、ヒエログリフで彫ったカルトゥーシュはエジプトの定番のお土産で、その多くはネックレストップです。カルトゥーシュの素材、およびヒエログリフの文字数によって購入価格がそれぞれ異なりますので、旅行の予算に合わせた大きさやデザインで交渉しましょう。
パピルス
パピルスは、ナイル川沿岸に自生するパピルス草の繊維を割いたものを縦横に編んで乾燥させてつくられた「世界で最初に作られた紙の原型となったもの」です。パピルス紙はエジプト国内にある多くの遺跡から発見され、古代の歴史を紐解くための手掛かりとしても大変重要なものです。
そんなパピルスはエジプトらしい定番のお土産として定着しています。お土産屋さんで見かけるパピルスは、古代風のカレンダーやエジプトらしいデザインが施されていて親しみやすいものが多いので、是非素敵なデザインを見つけてくださいね!
ラクダの革製品
エジプト国内を訪れたら、市場やお土産屋さんなどで必ず目にするのがラクダの革製品です。日本ではなかなか手に入りにくいラクダの革製品ですが、エジプトではバッグやサンダル、そしてキーホルダーなどに加工されたものが売られています。
ラクダの革の質は品物によって異なるため、実際に自分で質感を確かめて納得のいくものを購入しましょう。
デーツ(ナツメヤシ)
デーツはナツメヤシのドライフルーツです。砂漠のような乾燥気候でも育ちやすい事から、中東を中心に食べられている果実で、カリウムやカルシウム、およびミネラルが豊富に含まれているため、その栄養価値の高さからスーパーフードとしても人気です。
エジプトでデーツをお買い求めになられる方に特にオススメしたいのが、エジプト北西部に位置するシワ産のデーツで、その多くが1箱150円ほどから手に入るためお手頃です。
シワ産のデーツが他と異なる点は、現地特有の土壌に含まれる強い塩分のおかげで、通常のデーツよりも甘いものが収穫できることです。スラム教の聖典で知られるコーランにも「神の与えた食物」と記され、断食月のラマダーン明けにイスラム教徒が最初に口にする食べ物と言われるほど、中近東諸国の人々にとっては欠かせない食べ物となっています。
エジプト綿
エジプト綿はスーピマ綿、新疆綿(しんきょうめん)に次いで世界三大綿に数えられる、上質な素材で有名なコットンです。
ナイル川近隣の栄養たっぷりの土壌で採れた長い繊維でつくられたエジプト綿は、独特の柔らかな肌触りと、丈夫で美しいツヤを保つのが魅力で、その生産量は世界で1年間に生産されるコットンの約0.4%程度と大変希少です。しかしながら、そんな貴重なエジプト綿も簡単に手に入れることが可能です。
お土産屋さんや市場では、主にシャツやストールに加工されたものが売られていますので、見かけた際には肌でそのクオリティーを確かめてみてはいかがでしょうか?汗をかいてもサラサラし続けるその品質の良さは、エジプト綿ならではです。
香油・香水瓶
香水は女性を中心に人気のお土産です。エジプトにある大抵のお土産屋さんでは、香水瓶とその中身の香油が別売りされていて、それぞれ好みのものを組み合わせて購入することが可能です。
香水瓶の素材はガラスまたはパイレックス製のものが多く、とにかく色々なデザインがあって可愛いのですが、割れやすいので日本に持ち帰る場合は梱包に注意が必要です。
香油の種類は、天然の原料から抽出してつくられた貴重なものから、ポピュラーかつお手頃なものまで様々で、その価格は購入の際店主と交渉すれば値引きしてくれることが殆どなので、遠慮せずに値切ってみましょう!
エジプトへのアクセス
- 成田空港から: 直行便の利用で往路の約14時間25分、復路は約11時間45分
- 成田以外の空港から: 現在日本からエジプトへの直行便は成田ーカイロ間のみで運航されています。
そのため成田空港以外から出発される場合は目的地の周辺国の主要都市を経由してアクセスすることになります。
経由地での乗り換え時間の長さのもよりますが、経由地での乗り換え時間を含めても往路で必要とされる最短所要時間は約18時間前後、復路では約14時間前後となっています。
直行便
エジプト航空が成田国際空港から週2便運航しています。
経由・乗り継ぎ便
トルコ航空やエミレーツ航空を利用してそれぞれの主要な都市(イスタンブール、ドバイ)で乗り換えてアクセス。
ヨーロッパの主要な都市で乗り換えてアクセスすることも可能です。
エジプト観光の移動手段
鉄道の利用
現在エジプトの鉄道はナイル川に沿う形で南北に延びる路線、そして首都カイロと地中海沿岸の街アレキサンドリア、さらにそれ以降を結ぶ路線が主に利用されています。
座席は基本的に1〜3等、そして寝台など様々なタイプが用意されていますが、外国人が利用できるのは3等以外の3クラスのみとなっております。
国内で運行されている様々な路線の中でも、首都カイロとエジプト南部の都市ルクソール、またはその先のアスワン間を移動する場合、移動時間が片道10時間以上と非常に長くなってしまうため、アベラ・エジプト社が運行する寝台列車を利用することをオススメします。
【各主要観光都市間を列車で移動する場合の所要時間】
- カイローアレキサンドリア間(直通列車) 約2時間30分
- カイローアレキサンドリア間(各駅停車) 約4時間
- カイロールクソール間(寝台列車) 約9時間30分
- カイローアスワン間(寝台列車) 約13時間
長距離バスの利用
エジプト国内では主要な観光地は、合計6つのバス会社によって全てカバーされています。
座席のクラスによって設備や値段は異なるものの、特に観光客向けのバスをはじめとして、エアコンが完備され車体は綺麗なものが多い傾向にあり、路線によっては鉄道を利用するよりも速いため便利です。
エジプトで長距離バスを利用する上で一つだけ注意していただきたいのが、首都カイロから各都市にバスを利用される場合です。
カイロにはバス会社および運行方面によっていくつか異なるバスターミナルがあり、特に1日あたりの運行本数が少ないバスを繁忙期に利用する際は、バスチケットを事前購入しておかないと当日満席で乗車出来ない場合がありますので注意が必要です。
滞在中お時間に余裕のある方は、事前に滞在先へ正しいバスターミナルの位置を確認したり、状況を見てバスチケットの事前購入を検討されることをオススメします。
【各主要観光都市間をバスで移動する場合の所要時間】
- カイローアレキサンドリア間 約3時間
- カイローフルガダ間 約6時間
- カイロールクソール間 約11時間
国内線空路の利用
エジプトの国内線は、東京にも直行便を運行しているエジプト航空およびナイル・エアーにより運行されており、カイロ、ルクソール、アスワンそしてアブ・シンベルなどの観光客が多く訪れる観光客を中心に運行されています。
国内線を利用する場合のメリットとして移動時間が格段に短くなることが挙げられますが、その一方でバスや鉄道を利用する場合に比べて、移動にかかる費用が割高となってしまうのでご自身の予算と滞在期間に合わせて、交通手段を選択されることをオススメします。
エジプト観光でお得なフリーパス
カイロパス
カイロパス(Cairo Pass)とは、エジプトの首都カイロおよびギザにある全ての考古学遺跡、そして博物館を訪れるためのビジターパスです。金額は大人100ドル(学生50ドル)で有効期限が5日間のものが発行されます。
カイロパスを利用して訪れることが出来る施設全ての入場料を合計すると、大人147ドル(学生73ドル)なのでパスを100ドルで購入出来るのは大変有難いですね!
カイロおよびギザの観光施設は見どころが非常に多く、敷地面積も広大なため「一度の訪問ではなかなか楽しみきれない」そして「ツアーで訪れたけどもう一度個人でしっかりと観光したい」などの悩みを持つ方は少なくないと思います。
カイロパスを購入すればそんな悩みも解消されるかもしれませんね。
【カイロパスの購入先】
- エジプト考古学博物館のチケット売り場
- シタデル(イスラム地区)
- ギザの三大ピラミッドのチケット売り場
- ザマレック地区の古代文化省外国文化関係部
注意:カイロパス購入の際はパスポートおよび写真ページのコピー、学生の場合は写真付き学生証などの身分証明証が必要です。
ルクソールパス
ルクソールパス(Luxor Pass)は、エジプト南部に位置する古都ルクソールにある考古学遺跡および博物館を訪れるためのビジターパスです。パスは標準とプレミアムの2種類で、プレミアムパスにはセティ1世とネフェルタリの墓への入場が含まれています。
金額はプレミアムパスを購入の場合、大人200ドル(学生100ドル)そして標準パスの購入で大人100ドル(学生50ドル)となり,
有効期間はカイロパスと同様の5日間です。
カイロパスおよびルクソールパスの金額は2018年11月1日(木)以降、上記の金額に値上がりしています。このパスはルクソールに4日間以上滞在しいくつかの観光地を訪れ、そのうち1〜2つの観光地を再び訪れる場合おトクとなります。
そのため滞在日数、および訪れる予定の観光地の入場料の合計金額を考慮した上で、購入するか否かの検討を行うことをオススメします。
【ルクソールパスの購入先】
- ザマレック地区の古代文化省外国文化関係部
- ルクソール博物館裏に位置する広報室オフィス
注意:カイロパスを購入する際と同様に、ルクソールパスを購入する場合はパスポートおよび写真ページのコピー、学生の場合は写真付き学生証などの身分証明証が必要です。
エジプトの年間イベント情報
1月
カイロ国際ブックフェア
カイロ国際ブックフェアは毎年1月の最終週と2月の最初の週にカイロ国際空港から程近いヘリオポリスに位置するナスルシティを会場に開催されるアラブ世界最大で最古のブックフェアです。
17のアラブ諸国とその他10ヵ国の合計27の国々が参加し、毎年およそ200万人もの人々に訪れられています。その規模や歴史からアラブ諸国の出版界では最も重要なイベントとされています。
エジプト国際マラソン
エジプト国際マラソンはエジプト南部に位置する古都ルクソールで毎年1月下旬または2月上旬に開催されている、国内では唯一AIMS(国際ロードレース連盟)公認のマラソン大会です。
この大会は世界で唯一古代遺跡を巡る走行ルートを持っていて、そのユニークさから毎年約35ヵ国以上のランナーが参加しています。
革命記念日
2011年に起こった革命を記念する国民の休日のひとつです。
2月
国際釣り大会
紅海リゾートのフルガダで開催され世界中から釣り人が参加します。
ラムセス2世の昇天(2月22日)
エジプト南部に位置するアブ・シンベル神殿では、2月そして10月の年に2度だけ太陽の光が神殿の内側の聖域に差し込み内部に祭られた像を照らします。
とても神秘的な朝日を拝むことが出来るためこの日は世界中から多くの観光客が訪れます。
3月
D-CAF(ダウンタウン現代芸術祭)
D-CAFは、エジプトで唯一の国際的かつ学際的な現代芸術祭で、毎年3月から4月に3週間にわたりカイロの中心部(ダウンタウン)の複数の場所で開催されます。
4月
3alGanoobミュージックフェスティバル
このミュージックフェスティバルはエジプト東南部に位置するビーチリゾート、マルサアラムのさらに南14kmにあるトンドバ湾で2001年以降毎年春に3日間開催されています。
一般的にコプト教のイースターの時期に行われるのが特徴です。
音楽のジャンルの幅は広く、エレクトロニックからオルタナティブロックまで様々で、同国最高のミュージックフェスティバルと呼ばれています。
コプト教における復活祭
カトリック教およびプロテスタント教では、16世紀以降に登場したグレゴリオ暦を用いて日にちを計算しているため、毎年4月1日に復活祭(イースター)を祝っています。
対照的にコプト教の復活祭(イースター)は4世紀に「春分の日(3月21日)の後に来る満月の次の日曜日に行う」と決められたため、復活祭が開催される日付が異なります。
また、コプト教はユリウス暦という紀元前45年から導入された暦に従っているため、満月の日付もグレゴリオ暦と7日異なる計算となります。
以上の理由からコプト教のイースターはカトリック教およびプロテスタント教におけるイースターよりも7日遅いと覚えていてもらえるとわかりやすいでしょう。
エジプトでは公園や川岸など公共の場所でピクニックをしながら祝います。
春香祭
春の訪れを祝うお祭りで、コプト暦の復活祭(イースター)の翌日なので必ず月曜日に催されます。
復活祭と春香祭の2日間はエジプトの祝日に該当しますので観光で訪れる場合はお店やレストランの営業時間および公的機関の開館の有無に注意が必要です。
シナイ半島解放記念日
1982年4月25日(日)に、イスラエルが15年間占領していたシナイ半島領土をエジプトに返還したことを受けて定められた祝日を指します。
5月
メーデー
メーデーとは、毎年5月1日に行われる国際的な労働者の祭典を指します。
エジプトでは祝日でもありますので、旅程にメーデーが含まれる場合は一部のお店およびレストラン、そして公的機関が休みになるので注意しましょう。
ラマダーン(断食月)
ラマダーンとは、イスラム暦における第9月を指し断食月とも呼ばれています。期間は約1ヵ月間で、イスラム教徒は日の出から日没まで断食を行います。
そもそもイスラム暦とは預言者「ムハンマド」が聖地メッカからメディナに移住した622年を元年としてつくられた暦で、月の満ち欠けを利用した太陰暦を利用しており1年の長さは354日と、私たちが普段目にする暦よりも11日短くなっています。
そのため、ラマダーンが行われるイスラム暦の9月が訪れるのも毎年11日ずつ早くなっていくと考えていただければ、理解しやすいと思います。
6月
断食明け大祭
断食明け大祭は、ラマダーンの終わりを告げるお祭りで、人々は断食明けを祝ってごちそうを食べます。期間は3日間ですが、イスラム暦に従っているため、渡航前に日程を確認しておくことをオススメします。店や官公庁は休みになることが多いので注意が必要です。
7〜8月
イードルアドハー
イードルアドハーとは通称、犠牲祭と呼ばれイスラム教徒および国民の休日を指し、毎年7〜8月の4日間行われる、イスラム教徒にとって1年に1度の最高なお祭りです。
9月
イスラム暦新年
預言者「ムハンマド」がメッカからメディナへ移住した日。ムハンマドが亡くなった後のイスラム国家の指導者が、その年をイスラム暦元年と定めて祝うこととなったのがはじまりとされています。
シタデルフェスティバル
シタデルフェスティバルは、伝統的なものからクラシックそして中東のオーケストラなど様々なジャンルの音楽が演奏されるお祭りです。例年毎年8〜9月の10日間、首都カイロにあるオペラハウス、および世界遺産のイスラム地区「シタデル」の両方で開催されますが、開催期間の詳細などは変更される可能性もありますので、事前に確認されることをオススメします。
10月
ラムセス2世の昇天(10月22日)
2月22日同様、アブ・シンベル神殿で太陽の光が神殿の内側の聖域に差し込み、内部に祭られた像を照らす特別な日です。
戦勝記念日
エジプトが1973年の第4次中東戦争に勝利したことを記念する国民の休日のひとつです。
11月〜12月
預言者誕生祭
エジプトの国民の休日のひとつで、イスラム教において大変重要な預言者ムハンマドの生誕を祝い、彼の人生などについて語らう日です。
シヤハ祭り
シヤハ祭りとは、西部に位置するオアシスの町「シワ」で開催されるデーツと呼ばれるナツメヤシの実の収穫祭を指します。毎年11月の満月の日に3日間かけて行われ、何千人もの地元の人々で賑わいをみせるのが特徴です。
この祭りの期間中シワの人々は経済的・社会的地位に関係なく、毎日正午に行われるお祈りの後一緒に食事をします。宗教的都合からシワの女性はお祭りに参加することはありませんが、12歳以下の女の子たちは日没まで参加資格が与えられています。
開催に関しては事前に観光局に問い合わせるとスムーズでしょう。
カイロ国際映画祭
カイロ国際映画祭は、毎年11〜12月にカイロ新市街に位置するオペラハウスを会場とし、開催されている映画祭で中東地域で最も長く続いているイベントのうちの一つです。この映画祭では、世界中のあらゆる映画を上映し賞を与えますが、主に中東およびアフリカ地域への貢献に焦点を当てているのが特徴です。
また会場のオペラハウスは、初代の建物が消失したため1988年に日本政府の協力のもと再建されたもので、夜にはライトアップされる姿が美しいです。
カイロジャズフェスティバル
毎年10月の3日間開催されるジャズ音楽の祭典で、エジプト国内で有名なミュージシャンのみならず国際的に有名なミュージシャンも招いて行われます。