ポルトガルってどんなところ?
ポルトガルの基本情報
ポルトガルは西ヨーロッパに位置するとてもカラフルな国で、正式名称はポルトガル共和国、首都は国土南西部に位置するリスボン(Lisbon)です。
国土面積は日本の約4分の1、人口は2018年発表の外務省基礎データによると1,027万人と、東京の世田谷区と中央区の総人口を合わせた程度に留まりますが、なんと総人口の4分の1はリスボンに住んでいると言うから驚きです。
日本との時差はマイナス9時間で、サマータイム期間中は通常よりも1時間進んでマイナス8時間となります。実施期間は毎年異なりますが、3月の最終日曜〜10月の最終日曜頃まで適用されるのが一般的です。
公用語はポルトガル語ですが、観光客が多く訪れる地域やホテル、高級レストランなどでは英語が通じるため現地で話す言語について過度に心配する必要はないでしょう。またこの国では国民の大多数がカトリック教を信仰していると言われており、街中の至るところにカトリック教会がありますので宗教建築が好きな方にとってはピッタリな旅行先だと思います。
そんなポルトガルは、周辺のヨーロッパ諸国と比べても治安が良好かつ穏やかで、ゆっくりと観光を楽しめるのが魅力です。
ポルトガルの歴史
紀元前のイベリア半島
ポルトガルの歴史は、主に紀元前とそれ以降の出来事の2つに分けられます。実はポルトガルが位置するイベリア半島では、旧石器時代頃から人々が生活していたと言われています。しかしながら、この国が形のある「歴史」を築いたのはフェニキア人およびギリシャ人による植民地が築かれた紀元前10世紀頃にあたります。また、紀元前2〜1世紀頃には古代ローマ帝国の支配下に置かれ、ポルトガルの基礎となる部分が形成されました。
イスラム教徒による支配およびレコンキスタ
711年になるとポルトガルの地は、北アフリカからジブラルタル海峡を渡ってきたイスラム勢力によって征服されてしまいました。以降8世紀にも及ぶイスラム勢力による支配の下、この国の農工業と言った産業および司法、行政などの国民生活の基礎となる部分は取り分け成長したと言われています。
しかしイスラム教勢力による支配は、キリスト教を信仰するポルトガルの人々にとって心地良いものではありませんでした。そのため民衆はレコンキスタと呼ばれる、キリスト教勢による反発を国土北部から徐々に行い、イスラム勢を圧倒し1143年にはアフォンソ・エンリケスにより「ポルトガル王国」が建国されました。
建国以降、彼はこの国の領土の成長に大きく貢献し、現在とほぼ変わらない国境を獲得しました。彼の活躍以前のポルトガルの領土は現在の2分の1であったと言われています。彼の活躍が無ければ、ポルトガルの領土はきっと今よりもずっと小さなものになっていた事でしょう。
大航海時代および60年間のスペイン統治
この国が「ポルトガル王国」になって以降にあたる1415年、ポルトガルは北アフリカのセウタ攻略をきっかけに大航海時代に突入しました。以降1488年にバルトロメウ・ディアスが喜望峰へ到達し、1498年になるとヴァスコ・ダ・ガマがインド航路を開拓、1500年にはカブラルがブラジルを発見、そしてマラッカ海峡へ渡ったのちに太平洋地域での交易の拠点を確保するなどポルトガルは繁栄を極めました。
しかし1578年に試みたモロッコへの進軍が失敗し、これをきっかけに王国の主権はスペイン・ハプスブルク家へと移り約60年もの間、スペイン統治が続きました。
独立から共和国の成立まで
1640年になるとポルトガルは独立を成し遂げました。以降ポルトガルは3度にわたるナポレオン軍の侵入、イギリス軍による支配、リスボン大地震、そし経済的な貧困など様々な問題を抱えることになりました。
なかでも、イギリス軍による支配は18世紀初頭まで続きましたが、1820年には自由主義革命が勃発し、この国は王政を取り戻しました。この国が、ポルトガル王国から共和国へと移行したのは、1910年のことで意外と最近の話です。
ここまでの歴史を読み進めていくと、この国が過去に幾度となく苦難を乗り越え、多様な民族からの支配を強いられてきたことがわかります。
ポルトガルの通貨および両替事情
通貨について
ポルトガルの基本通貨はユーロ(EUR)で、ユーロという単位を用いて表記されるのが一般的です。2020年1月20日(月)現在、1ユーロあたりの両替レートは約122.17円です。
紙幣は5ユーロ,10ユーロ,20ユーロ,50ユーロ,100ユーロ,200ユーロ,500ユーロの7種類、硬貨は1ユーロ,2ユーロ、そして1cent,2cent,5cent,10cent,20cent,50centの合計8種類が存在します。
このcentという通貨単位は、通常1ユーロ=100centとみなしますが、ポルトガルでは呼び名がcéntimo(センティモ)と異なるので覚えておきましょう。
両替について
日本円からユーロへの両替は空港や銀行、および市内の両替所などで広く行うことが出来ます。レートや手数料は両替場所により異なりますが、銀行より少し手数料が安い市内の両替所での両替をオススメします。
日本を出国する際に旅行先の通貨を用意しておきたいという方は、国内の主要国際空港でユーロを入手するのが良いでしょう。
ポルトガルの気候と服装
気候について
ポルトガルの気候は基本的に一年中温暖です。首都リスボンを例に挙げると、最も寒い時期にあたる1月でも、その平均気温は約11.6度と日本より暖かいのがわかります。四季の変化は日本よりも緩やかなものの、一般的に3〜5月が春、6〜8月が夏、9〜11月頃が秋、そして12月〜2月下旬が冬として認識されています。
しかしながら、11月から2月にかけてはポルトガル北部を中心に平均降水量が日本のそれを上回り、天候が不安定になりやすいので、この時期に旅行される方は渡航予定の都市の天気予報を事前にチェックしておくのが理想でしょう。
また、一年の中で最も気温が安定する時期は6〜9月で、この時期がベストシーズンにあたります。夏から秋にかけては、ヨーロッパを中心に世界中から観光客が訪れるのでホテルや現地ツアーの手配をなるべく早く行うようにしましょう。
服装について
ポルトガルを訪れる場合の服装は、基本的に日本の四季に合わせた服装を意識していただければ現地の気温変化には十分対応していただくことが可能でしょう。
ただし冬の時期はその他のヨーロッパ諸国と比べても気温が高く、12〜2月は東京の平均気温よりも4〜5度程度高いため、それを踏まえた上で上着を用意することをオススメします。
また、春に旅行する場合は急に冷え込んだ場合に備えて薄手のコートなど軽く羽織れるものを持っていくと便利でしょう。そしてポルトガルの夏から秋にかけては、湿度が低くカラッとしていて過ごしやすいものの、朝晩は肌寒く感じることがあると思いますので長袖シャツなど旅行先での服装にプラスするのが簡単なものを用意しておくと良いでしょう。
気候の部分でも述べた通り、11〜2月は天候が不安定になりやすいため予め傘やレインコートなど雨をしのげるものを持っていくと便利です。
ポルトガルの文化
ポルトガルでは、国民の大多数がカトリック教を信仰していると言われています。その為、この国の文化はキリスト教の影響を強く受けているのが特徴です。特に注意していただきたいのが、現地の宗教に関連した休日およびビジネスアワーです。
銀行の営業は基本的に8:30〜15:30と、日本に比べ短く土日は勿論営業していません。また、レストランやお店などは土日に営業しているところも多少ありますが、クリスマスや元旦、およびメーデーには営業しているところはほとんど無いので、この時期に旅行される予定の方は旅程の作成に注意が必要です。
そしてポルトガルには、細かい刺繍が施されたカラフルで可愛い民族衣装があります。お土産屋さんでは、この刺繍技術を活用した雑貨をはじめ様々な伝統工芸品を購入することが可能なので、是非街歩きのついでにお土産屋さんに立ち寄ってみて下さい。
ポルトガルの治安
ポルトガルの治安は、スペインやフランスなどの周辺に位置するヨーロッパ諸国に比べ安定していると言えるでしょう。しかしながら首都リスボンやポルトをはじめとする大都市では、観光客を中心にスリやひったくりなどの被害が多く報告されているので注意してください。
これらの犯罪の中でも圧倒的に報告件数が多いと言われるのが、スリや置き引きといった犯罪です。特に首都リスボンでは路面電車、バイシャ地区をはじめ、夜を中心に多くの人で賑わうバイロ・アルト地区、そして第2の都市であるポルトの観光客が多く集まるスポットなどが狙われる傾向にあります。
また、その他にも強盗やひったくりなどといったタチの悪い犯罪の被害も少なからず報告されていますので、大金や貴重品は持ち歩かない、なるべく人通りの少ない道は歩かないなどといった犯罪を未然に防ぐための工夫が必要です。
人気観光都市
ポルトガルには15つの世界遺産登録地区があり、それらを中心に以下の観光地が人気です。
【人気観光地一覧】
- 海岸沿いに7つの丘が広がる首都リスボン
- ポートワインの積出港として知られるポルトガル第2の都市ポルト
- 世界遺産の大学があるポルトガル第3の都市コインブラ
- 丘の上に白壁に塗られた中世の建物が建ち並ぶオビドス
- 夏は多くの人々で賑わうポルトガル屈指のリゾート地ナザレ
- 首都リスボンから日帰りで訪れることが可能な世界遺産シントラ
定番スポット10選
レガレイラ宮殿
レガレイラ宮殿は、シントラという首都リスボン近郊の世界遺産の町の中心部に位置する歴史ある邸宅で、その歴史はこの建物がポルトガル王国の王族によって築かれた17世紀までさかのぼります。当初は別邸として建てたのですが、その後所有権がいくつかの人物に渡り、20世紀はじめ頃に大富豪アントニオ・モンテイロが買取った際に改装されました。
実際に訪れていただくと、その建築技法はルネッサンスやゴシックなどの様々な建築技法が混在していることがわかります。また、その随所には錬金術およびテンプル騎士団などのシンボルが施され、迷路のような庭園など様々なカラクリも仕掛けられていることに驚くでしょう。
地下へと通じる60mの螺旋階段は、上から覗き込むとまるで吸い込まれてしまいそうな感覚になるような不思議な空間です。そんなレガレイラ宮殿が位置するシントラは、首都リスボンから電車またはバスを利用して片道40分程度でアクセス出来るのでリスボン観光のついでに足を延ばしてみてはいかがでしょうか?
ドン・ルイス1世橋
ポートワインの積出し港としてよく知られるポルトガル第2の都市ポルト。ドン・ルイス1世橋は、この街のシンボルとも言えるドウロ川に架かる巨大アーチが印象的な美しい橋です。
1886年に建造されたこの橋は特徴的な二重構造をとっており、上層にはメトロの路線が敷かれており、下層では自動車が走っています。どちらも歩行者が歩いて渡ることが出来るように整備されています。
周辺には、この橋を眺めながら伝統的なポルトガル料理が楽しめるレストランやカフェがあるほか、夜には美しくライトアップされて素敵な雰囲気が漂うので、ポルトガル旅行の際は是非ポルトで一泊することをオススメします。
サン・ジョルジェ城
サン・ジョルジェ城はポルトガル中心部のアルファマ地区に位置する、古代ローマの砦を基に築かれた要塞です。
5世紀には西ゴート族、9世紀にはムーア人、レコンキスタ以降である12世紀はキリスト教徒、そして14世紀以降の200年間はポルトガル王家など、数百年の間に居住者が何度も入れ替わり、リスボンの地がこれまでに辿ってきた歴史のほとんどを見届けてきた大変重要な観光スポットです。
また、城壁からはリスボン市内を見渡すパノラマビューを眺めることが可能です。是非リスボン観光の際はお立ち寄り下さい。
ジェロニモス修道院
ジェロニモス修道院は、リスボン中心部から西へ6kmほど進んだところに位置するベレン地区の、壮麗な建築が見事な世界遺産です。
この修道院はエンリケ航海王子とヴァスコ・ダ・ガマの偉業を称え、1496年にマヌエル1世により発せられた命により、1502年に着工しました。以降、約100年もの歳月と大航海時代に築いた巨額のお金を投資して完成しました。
見どころは中庭を囲む55m四方の回廊をはじめ、建設当時は修道士たちが食事を共にしていたと言われる食堂、入口に施された細やかな彫刻が美しい西門および南門、天井に施されたマヌエル様式の彫刻群が必見のサンタ・マリア教会など様々です。
また、この修道院にはインド航路を開拓したヴァスコ・ダ・ガマ、ポルトガルの詩人ルイス・デ・カモンイスおよび王族のお墓が安置されています。その他の見どころと一緒に訪れましょう。
ベレンの塔
ベレンの塔は、ベレン地区に位置する世界遺産です。この塔は1515年にマヌエル1世の命により着工し、およそ5年の歳月をかけて1520年に完成した4階建ての要塞で、当初はテージョ川を行き交う船の監視を目的に造られたのですが、後には船の通関手続きが目的の税関および灯台としての役割も果たしました。
全体の構造は主に最下層に位置する地下牢、地下牢脇に位置する砲台、1階部分にあたる役人の間、2階部分にあたる国王の間、3階部分にあたる謁見の間、最上階である4階部分にあたる礼拝堂、そして屋上にあるテラスの7ヵ所に分かれていますが、観光における平均所要時間は約30分で、意外と短いのが特徴です。
ペーナ宮殿
ペーナ宮殿は、レガレイラ宮殿と同様に世界遺産の町であるシントラに位置する定番の観光スポットです。
この宮殿は19世紀に女王マリア2世の父であるフェルディナント2世の命で着工し、1885年に完成しました。フェルディナント2世はドイツのノイシュヴァンシュタイン城を築いたルートヴィヒ2世の従兄弟であったことから、宮殿の設計はドイツから招かれた建築家により行われたと言われています。
イスラムやルネッサンスなど様々な建築様式を取り入れて造られた宮殿は内装、外装共に豪華そのものです。この宮殿は高さ約530mとやや高い場所に位置しているため、シントラ駅と城の入り口までを結ぶ434番バスを利用してアクセスするのが便利です。
コメルシオ広場
コメルシオ広場は首都リスボン中心部のバイシャ地区に位置する定番観光スポットの一つです。この広場は「宮殿広場」という別名を持ちますが、それはかつてこの地にマヌエル1世の宮殿があったことに由来しています。
広場中心にはドン・ジョゼ1世の騎馬像が立ち、そのすぐ後ろには勝利のアーチがあります。このアーチには展望台があり毎日9:00〜19:00(夏季は20:00)の間、有料で訪れることが出来ます。
1755年に起きたリスボン大地震では宮殿が破壊され、その後もカルロス1世と皇太子が暗殺されるなどリスボンの歴史に度々登場するコメルシオ広場、リスボン観光では必ず訪れておきましょう。
ロカ岬
ロカ岬は首都リスボンから西へ20km、ユーラシア大陸の最西端に位置する景勝地です。この地には詩人カモンイスが詠んだ詩の一節「ここに地終わり、海始まる」と刻まれた石碑が立つほか、バス停近くの観光案内所では最西端到達証明書を発行してもらうことが出来ます。
リスボンからは403番バスを利用して約30分程度でアクセス可能なのでポルトガル観光の記念として足を運ぶのがオススメです。ロカ岬を訪れてポルトガルが世界に航路を築いた大航海時代に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか?
ムーアの城跡
ムーアの城跡は7〜8世紀頃にムーア人が築いた城跡で、レコンキスタ時代にあたる1174年にはポルトガル王国を築いたアフォンソ・エンリケスにより落城された遺跡です。
現在でもかつての城壁の上を歩くことが出来、そこからはシントラの街並みはもちろんのこと、晴れた日には大西洋まで眺めることが出来ます。シントラ観光での滞在時間に余裕がある方は是非実際に足を運んで、城跡からの絶景をお楽しみ下さい。
マデイラ島
マデイラ島は首都リスボンから各種航空会社が運航する便を利用して、所要約1時間45分、またはポルトから所要約1時間55分でアクセス出来る常夏のリゾート地です。
この島はポルトガル領でありながらも、アフリカ大陸に位置するモロッコ王国から近く、その歴史は1419年までにさかのぼり、エンリケ航海王子の命により派遣された探検家のジョアン・ゴンサルヴェス・ザルコにより発見されたことをきっかけにポルトガル領になりました。
島の人口は約27万人、中心都市は島南部に位置するフンシャルです。
【主な見どころ】
- 15世紀末にキリスト騎士団により築かれたカテドラル
- ポルトガルで最も美しいといわれる市場、ラヴラドーレス市場
- 島の自然を大満喫出来る壮大なパノラマが魅力のエイラ・ド・セラード
- マデイラワインの歴史について学べる、17世紀の修道院を改造して造られたワインロッジ
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ロシオ広場
バイシャ地区に位置するロシオ広場は、正式名称を「ドン・ペドロ4世広場」と名乗るリスボンの中心的な存在です。ロシオ(Rossio)と呼ばれているのは、「公共の広場」という意味が由来だといわれています。
広場の中心には、初代ブラジル国王として任命されたドン・ペドロ4世のブロンズ像と噴水、そして周辺にはドナ・マリア2世国立劇場をはじめとする美しい建物が建ち並んでいます。
カフェやお土産屋さんも多く、一日中賑わう場所なのでリスボン観光の際は是非足を運んでみましょう。
カルモ教会
カルモ教会はバイシャ地区の西側にあたるバイロ・アルトに位置するゴシック様式の教会です。1389年に建造されたものの、1755年に起きたリスボン大地震によって倒壊し、現在も廃墟としてリスボンの地に残されています。
本堂に残る様々な歴史的な遺構のほか、内部に位置する考古学博物館が見どころです。
発見のモニュメント
ベレンの塔やジェロニモス修道院と同様にベレン地区に位置し、この国の大航海時代の栄光を思わせる記念碑が「発見のモニュメント」です。このモニュメントは、1960年に建てられたもので大航海時代に偉業を成し遂げたといわれる18人の偉人の像が並んでいます。
その中にはエンリケ航海王子はもちろんのこと、かつて宣教師として来日したフランシスコ・ザビエルといった日本人にとってもお馴染みの歴史的な人物も含まれます。
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アルコバサ修道院
この修道院は、ナザレから東に約14kmのアルコバサという小さな町に位置する世界遺産です。修道院の建設が始まったのは1153年で、1222年に完成しました。以降歴代の王により改築の手が加えられたため、時代ごとに異なる建築技法が混在しているのが特徴です。
最盛期には約1,000人もの修道士が、ここで暮らしていたといわれています。敷地面積自体はさほど広くないものの、見どころが非常に多い観光スポットなので、時間が許す限りしっかり見て回るのがおすすめです。
【主な見どころ】
- 芸術的な像やアズレージョが必見である王の広間
- シトー会の禁欲的な精神が伺える教会
- 王家の棺が安置されているポルトガル最初のネオゴシック建築として知られる王室のパンテオン
- かつて修道士たちによる会合や懺悔が行われた参事会堂
- 美しいアーチや柱が美しいドン・ディニスの回廊
- 修道士たちが食事を共にした食堂や厨房
- 修道士たちの寝床として造られたあと、ワイン貯蔵庫としても利用された歴史を持つ僧の広場
バターリャ修道院
バターリャ修道院はポルトガル語で「戦い」を意味する町バターリャが誇る世界遺産です。
正式名は「勝利の聖母マリア修道院」で、この名前はかつてブルゴーニュ朝のフェルナンド1世が亡くなった際に、王位継承をもくろんでポルトガルに攻め込んだ隣国カスティーリャ王国との戦に勝利したことに由来しています。
実際にこの戦いでは、敵が3万もの大軍でポルトガルに攻め入ってきたのですが、ジョアン1世が聖母マリアに戦いの勝利を祈願した結果無事勝利を勝ち取ることが出来たと言われています。バターリャ修道院は、この戦いによる聖母マリアの活躍への感謝を示し、捧げるために建造された大変重要な建造物です。
建造の手本とされたのは先ほど紹介したアルコバサの修道院で、1388年に着工されました。以降何人もの建築家がこの作業に関わり、16世紀初頭まで引き継がれました。
建物の造りは非常に美しく、内部に位置する博物館やいくつかの建築様式が混在したジョアン1世の回廊が主な見どころです。バターリャはナザレからバスで1時間、アルコバサ修道院が位置するアルコバサからもバスで30分程とアクセスが便利なので周辺の町とあわせて訪れましょう。
キリスト修道院
キリスト修道院はナバオン川の畔の町トマールに、レコンキスタで活躍したテンプル騎士団が12世紀に築いたシトー派の修道院です。この修道院は12世紀末から約5世紀もの間、増改築が繰り返されたため、ゴシックやルネッサンス、そしてマヌエル様式など様々な建築様式が混在しているのが特徴です。
主な見どころは、ジョアン3世により増築されたことで造られたルネッサンス様式の回廊とテンプル騎士団聖堂です。その他にも必見のスポットはたくさんありますので、施設を詳しく知るガイド同伴で訪れると、より楽しめます。観光時間の目安は約2時間程度です。
首都リスボンからはバスで約1時間45分でアクセス可能なほか、ナザレやコインブラといった観光客に人気な都市からも電車やバスなどの公共交通機関を利用して約2時間半ほどで行くことが出来るので、日帰りで訪れることをオススメします。
カテドラル(エヴォラ)
エヴォラ大聖堂として親しまれるこちらのカテドラルは12〜13世紀に建てられた、歴史的にとても重要なキリスト教の宗教施設です。実際には12〜14世紀頃まで増改築が行われたといわれ、その特徴として左右非対称な塔を入り口正面から確認することが出来ます。
内部には美しいステンドグラスによって造られたバラ窓が左右に配置され、それぞれが異なる名前を持ち、聖母マリアのシンボルを表しています。また、身廊上に配置されたパイプオルガンには、15世紀後半に日本からヨーロッパへ派遣された天正遣欧少年使節団にまつわる物語が残っているため、必見です。
ディアナ神殿
ディアナ神殿は2〜3世紀頃、月の女神ディアナに捧げる目的で古代ローマ人によって築かれたコリント様式の神殿です。中世の時代には要塞として利用されていたおかげで、イベリア半島に現存するローマ遺跡のなかでは保存状態が良いのが特徴です。
また、夜はライトアップされて幻想的な雰囲気を放ちます。エヴォラを訪れた際は是非ディアナ神殿に足を運んで古代ローマ時代に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
ロイオス教会
ロイオス教会は15世紀に築かれた教会で、ディアナ神殿の横に位置しています。この教会の見どころは、内部の壁一面に施されたアズレージョによる美しい装飾です。
教会自体の歴史は約500年以上昔までさかのぼり、長い歴史を持つのですが1755年に襲った地震の後、ポーチ部分以外は造り直されてしまったため、現在訪れることができる建物は、改修以降の少しだけ新しい建物といえるでしょう。
圧巻の美しさを誇るアズレージョは、ロイオス修道会に影響を与えた聖ローレンスの生涯を表していて、これらは18世紀初期に造られたものであるといわれています。
サン・フランシスコ教会
エヴォラ南部に位置するサン・フランシスコ教会は16世紀に建造されたゴシック様式の教会です。内部はマヌエル様式の美しい装飾が施され、一見その他の教会と同じかと思われるのですが、この教会の見どころは何と言っても正面右手に位置する「人骨堂」です。
ここには約5,000体もの人骨が「我ら骨どもはあなたのお越しをお待ちしています」という意味深な言葉と共に壁や天井、そして柱までをも埋め尽くしています。この人骨堂は、かつて修道士たちが瞑想をする場として造られたとされていますが実際にここで瞑想をするのは、普通の人には難しいことでしょう。
フォトジェニックな観光スポット 6選
コスタ・ノヴァ
コスタ・ノヴァは、アヴェイロから西へ約7km程の場所に位置するビーチリゾートで、ストライプ模様の建物が建ち並ぶ可愛い街並みが特徴です。その姿は「パジャマタウン」とも例えられ、近年ポルトガルを訪れる観光客に人気を集めています。
中央運河
ポルトから普通列車で約1時間30分でアクセスすることが出来る、アヴェイロ。町には運河が流れることから、ポルトガルの「水の都」呼ばれ、なかでも町の中心部を流れる運河は、暖かい季節を中心にモリセイロという独特の形をした観光船が行き交い、多くの観光客で賑わいます。
運河沿いには美しい建物が多く建ち並んでいるので、アヴェイロの町を観光で訪れる場合は是非モリセイロで優雅にクルーズを楽しみましょう。
サン・べント駅
「世界で最も美しい駅」にも例えられるほど美しいサン・ベント駅。この駅は修道院跡を利用して20世紀に建てられたもので、駅構内にある約2万枚のアズレージョは必見です。
内部を飾るアズレージョは、1930年にジョルジェ・コラコにより製作されたもので、壁面にはポルトにまつわる様々な歴史的場面が描かれています。
アルマス礼拝堂
アルマス礼拝堂は19世紀初頭に建造された宗教施設で、外壁に施されたアズレージョの美しい装飾が目を惹く、ポルトの人気観光スポットです。はじめに外壁の装飾が施されたのは、1929年でしたが、現在私たちが見られるアズレージョは1982年に改装が行われた以降のものにあたります。
旧大学
コインブラ大学はポルトガル第3の都市、コインブラに位置する国内最古の大学です。校舎は新しい部分と古い部分に分かれていますが、この大学を訪れる際は旧大学の方に足を運んでいただきたいです。
主な見どころは、いくつか存在しますが、なかでも必ず訪れておきたい必見のスポットが2017年に公開されたディズニー映画「美女と野獣」のワンシーンにそっくりと話題のジョアニナ図書館です。この図書館はジョアン5世治下にあたる1724年に建てられたもので、蔵書はなんと驚きの30万冊です。
その他にも金泥細工による細やかな装飾や調度品は必見の美しさを誇っています。この大学の美しさは、私たちをまるで美術館の中を歩いているような錯覚に陥らせるほどで、その建築、文化、そして歴史の全てを楽しむことが出来ます。
サンタ・マリア教会
サンタ・マリア教会は、かつてポルトガル王国の王妃に愛された中世の町、オビドスにある教会です。1444年に、当時わずか10歳だったアフォンソ5世が、8歳のいとこであるイザベラと結婚式を挙げたことで知られています。
シンプルな外装にも関わらず、内部の壁は美しいアズレージョに覆われ非常に見どころがあります。また、石棺にはオビドス市長だったジョアン・デ・ノローニャとその妻が眠っています。
絶景が魅力の観光スポット 3選
ミゼリコルディア展望台
ミゼリコルディア展望台は、大西洋に面した長い砂浜と美しい街並みが広がるナザレを見渡す展望台です。また、観光地に付きものといわれる入場料も、ここなら無料です。
ナザレは単純に街中を散歩するのも良いですが、長く広がる海岸線は少し高いところから眺めるのが一番です。滞在する時間に余裕のある方は是非訪れてみてください。
グレリゴス教会
ポルトガル北部の町ポルトを訪れたら、必ずといっていい程目にするであろうグレリゴス教会。ここはイタリア人の建築家ニコラウ・ナソーニによって18世紀に建てられたバロック様式の教会で、76mの高さを誇る鐘楼が街のランドマーク的な存在として親しまれています。
内部には255段の階段があり、それを上るとカラフルな建物がひしめく美しい旧市街の街並みを眺めることが出来ます。
サン・ミゲル島
サン・ミゲル島は大西洋に浮かぶポルトガルの離島で、アソーレス諸島最大の島として知られています。面積は日本の奄美大島よりやや大きい程度ですが、人口はその約1.4倍です。また、島の中心都市はポンタ・デルガーダ(Ponta Delgada)で、全体の人口の約半分がこの町に住んでいるといわれています。
この島は火山の噴火により形成された島なので、その見どころは主にカルデラ湖や温泉などの自然スポットです。歴史や文化だけでなく、ヨーロッパの豊かな自然も満喫してみたいという方には是非オススメしたい旅行先です。
失敗なしのポルトガル定番お土産
ポートワイン
ポルトガルはワインの年間輸出量が世界第8位のワイン大国です。この国でワインの生産が始まったのは14世紀中頃のことで、以降様々な品種のぶどうを使用したワインが国内北部を中心に生産が盛んです。
なかでも、ポルトガル第2の都市ポルトで生産されるポートワインは、18世紀頃からイギリス南部へ積極的に輸出され、現在では世界三大酒精強化ワインの1つに数えられています。そんな「ワインの都ポルトガル」へ旅行するなら、絶対に味見しておきたいのが現地のワインです。
滞在中にワインバーおよびワイナリーを訪れて、お気に入りのワインを見つけたら、お酒が好きな友達や家族に一本お土産として買っていくのはいかがでしょうか。
ガロの置き物
「ガロ」はポルトガルの伝統工芸品である雄のニワトリです。地元ではこの雄のニワトリに因んだ伝説により、幸運を呼び込むラッキーアイテムとして親しまれています。素材は木で出来たものからアルミ合金製など様々なほか、デザインの種類も豊富なので、街歩きのついでにいろんなお土産屋さんを訪れて、好みに合った大きさとデザインの「ガロ」を見つけましょう。
マデイラ刺繍製品
マデイラ刺繍はポルトガル南部に浮かぶ「マデイラ島」に数世紀もの間伝わる伝統工芸です。刺繍を縫う作業は全て手作業で、昔から女性の手仕事として知られています。ハンドメイドなのにも関わらず、細かく施された刺繍技術はとても美しく、特に手芸が趣味の方や女性を中心に大変喜ばれるお土産だと思います。
製品の形状はハンカチといった手頃なものから、テーブルカバーやベッドカバーなどのような大きなものまで様々なので、是非実際に手に取って比べてみて下さい。ポルトガルでの素敵な旅の思い出にいかがですか?
フィリグラーナ
フィリグラーナは金や銀を薄く伸ばして作った金属の糸をレースの様に編んで作る、ポルトガルの伝統工芸品です。一般的にはアクセサリーとして販売されることが多く、指輪やピアス、そしてネックレスなど種類も様々です。実際に目にすると、思わず目が釘付けになってしまう程の繊細で細かい作業は必見の美しさでしょう。
基本的には模様が細かいほど質が高く、値段もそれに比例すると言われていますが、少し大きなサイズで製作作業の手間や時間が省ける様なものは5〜10ユーロなど、お手軽な価格で手に入ることもあります。
コルク製品
実はコルクの生産量および品質が世界一として知られるポルトガル。この国で生産されているコルクは、なんと全世界の年間生産量の5割以上にあたります。
コルクの素材は、コルクガシと呼ばれる木の樹皮を加工したもので、耐久性に優れ、持ちが良いのが特徴です。現地ではコースターやバッグ、帽子などのアクセサリーに加工されて販売されていますので、ポルトガル旅行のお土産にオススメです。
プチプラのバラマキ土産
学校のお友達や職場の方々など、「とにかく沢山の人にお土産を買って帰りたい!」という方は居ませんか?そんな方には、一つあたりの価格が安くお手頃なバラマキ系のお土産を購入されることをオススメします。
一般的にこれらのお土産は、現地のスーパーや市場で購入でき、ヨーロッパらしい素敵なデザインやポルトガル語の表示がとても喜ばれます。
質が高いと評判であるオリーブの瓶詰めやパッケージがカラフルで可愛い魚介類の缶詰をはじめ、賞味期限が意外と長めのポルトガルのスポンジケーキ「パオン・ド・ロー」など、そのバラエティーは非常に豊富です!
価格が安いので、ついつい沢山買ってしまうこと間違いないです。
ポルトガルへのアクセス
2020年1月現在、日本ーポルトガル間の直行便は就航されていません。そのためへ向かう場合は第三国を経由してアクセスすることになりますが、主な乗り換え地として中東およびヨーロッパの国々の主要都市が挙げられます。
経由地での乗り換え時間の長さにもよりますが、乗り換え時間を含めても往路で必要とされる最短所要時間は約15時間50分前後、復路では約15時間15分前後となっています。
その他にも、ヨーロッパに位置する様々な都市からLCCが運航されていますので、ヨーロッパ旅行のついでにポルトガルへも足を延ばしたいという方には利用がオススメです。
ポルトガル観光の移動手段
バス
国内での観光移動は中長距離バスの利用が便利です。バスは首都リスボンを起点に、ポルトやコインブラなどの人気観光都市のほか、飛行機や鉄道ではアクセスしにくいような地方都市などへも運行しているので、気軽に利用できると思います。
国内線
ポルトガルの国内線は、首都リスボンを中心にポルトガル航空TAPなどが主にポルト、ファーロ、フンシャル(マデイラ島)、およびアソーレス諸島などの都市に就航しています。夏のハイシーズンやクリスマスをはじめとするホリデーシーズンは混雑が予想されるため、旅程が確定し次第航空券の予約を行うことをオススメします。
鉄道
ポルトガル国内を鉄道で移動する場合、多くの主要都市に路線が広がるポルトガル鉄道の利用が便利です。
また国内路線の他、首都リスボンからは隣国スペインのマドリードやイルンなどの都市を結ぶ夜行列車も運行されているので、周辺の国からアクセスする場合に利用するのも便利でしょう。
国内で運行されている列車は以下の4種類で、「アルファ・ペンドゥラール(AP)」のみが1等車にあたるConfortと2等車であるTuristicaの2クラスに分かれています。
【ポルトガル国内で運行されている列車の種類】
- 高速列車で全席指定席である「アルファ・ペンドゥラール(AP)」=リスボンからブラガ、リスボンからファーロの2路線を運行
- 急行列車で全席指定席である「インテルシダーデ(IC)」=リスボンからギマランイス、ポルトからレグア、リスボンからベージャ、リスボンからファーロなどの主要路線を運行
- 全席自由席である普通列車「レジオナル(R)」
- リスボン近郊路線で全席自由席である「ウルバノス(U)」
また、ポルトガルでは鉄道乗り放題パスである「ユーレイルパス」を利用することが可能です。滞在日数や利用日数によってはかなりお得に国内を旅行出来る場合もありますので、旅行前にチェックしてみると良いでしょう。
ポルトガル観光でお得なフリーパス
リスボン・カード
Lisboa Card(リスボンカード)とは、ポルトガルの首都リスボンで観光客向けに発行されているお得な観光パスです。パスの種類は3種類あり、有効期限はそれぞれ24時間、48時間および72時間で、購入される際は空港や観光インフォメーションで手に入れることが可能です。購入価格は、24時間有効なもので20ユーロ、48時間有効なもので34ユーロ、そして72時間有効なもので42ユーロです。
リスボン・カードに含まれているサービス例
バス、路面電車、地下鉄、ケーブルカーなど市内の公共交通機関が乗り放題
博物館やモニュメントおよびユネスコの世界遺産への入場無料
シントラおよびカスカイスまでのポルトガル鉄道利用
飲食店など対象施設での割引
ポルト・カード
Porto Card(ポルトカード)は、ポルトガルの第2の都市ポルトで観光客向けに発行されているお得な観光パスです。パスは、有効期限が1日、2日、3日および4日間の4種類あります。パスは空港や観光インフォメーション、および主要の駅などで手に入れることが可能です。
購入価格は、1日有効なもので13ユーロ、2日間有効なもので20ユーロ、3日間有効なもので25ユーロ、そして4日間有効なものが33ユーロです。
ポルト・カードに含まれているサービス
バスや地下鉄など市内の公共交通機関が乗り放題
博物館や人気観光スポット合計11ヵ所への入場無料
その他の観光スポットおよび観光ツアー半額割引
飲食店など対象施設での割引
ポルトガルの年間イベント情報
1月
フェスタ・ダス・フォガセイラス
フェスタ・ダス・フォガセイラスは、ポルトガル第2の都市ポルトから車で30分ほどの場所にあるサンタ・マリア・ダ・フェイラ市で毎年1月に開催される民族のお祭りです。
このお祭りは514年の歴史を持ち、とても伝統的かつ重要なイベントです。その内容は、小さな女の子が白い民族衣装を身にまとい、お城を模して作られた旗付きのパンを頭に乗せて教会まで街を練り歩き、神に健康を感謝するというものです。
この祭りは16世紀に流行した疫病の流行を鎮めるために、聖セバスチャンが神に祈りを捧げたことに由来しているそうです。
2〜3月
カーニバル
世界中で2月に開催される一大イベントといえば「カーニバル」。カーニバルといえばブラジルのリオデジャネイロが有名ですが、ポルトガルでも開催されています。このお祭りは国内の各地で開催されますが、リスボン、ローレ、ナザレのものが有名です。
2月にポルトガルを訪れる場合は、カーニバルを楽しむ日を1日用意しておくと更に楽しい旅行になるでしょう。
3〜4月
イースター
イースターはイエス・キリストの復活を祝う行事で「復活祭」という別名を持ちます。イースターが関連する休暇では、レストランやお店などの営業時間が短くなる場合がありますので、この時期にポルトガルへ旅行される方は注意が必要です。
聖週間祭
復活祭の週にポルトガル各地で開催されるお祭りが、聖週間祭です。ポルトガルでは特に古代の町ブラガで開催されるものが有名で、この週は街中の建造物は様々な装飾が施され、世界中から多くのカトリック教徒が訪れます。
また、お祭りの主な見どころは、罪を清める目的で松明を持ちながら黒い頭巾を被った人々が裸足で街を練り歩くパレードです。
5月
メーデー
メーデーとは、毎年5月1日に祝われる国際的な労働者の祭典を指します。公的機関はもちろんのこと、お土産屋さんやレストランも休みになることが多いので旅行で訪れる場合は注意が必要です。
もしポルトガルに旅行される期間に、メーデーが含まれている場合は前後の日程のスケジュールを調整するなどの工夫で、退屈に過ごすことが無くなります。例えば公園やビーチ、そしてモニュメントのような入場料が必要ないスポットを訪れる予定がある場合は、あえてこれらをメーデーに訪れるのが理想でしょう。
リボン焼き祭り
リボン焼き祭りは毎年5月上旬にコインブラで行われるお祭りです。
「リボン焼き」は、ポルトガル最古の大学として知られるコインブラ大学に伝わる伝統で、卒業生達が大学4年間身に付けていた学部ごとに異なる色のリボンをフェイラ広場で焼く儀式を指します。その他にも街中では、パレードやダンスなど数多くのイベントが開催され、このお祭りを訪れる多くの人々で賑わいます。
5月にポルトガルを訪れる方は、是非この国に長く伝わる伝統を見にコインブラを訪れましょう。
マデイラ・フラワーフェスティバル
マデイラ・フラワーフェスティバルは毎年4月下旬から5月にかけて、首都リスボンから約1,000km離れたマデイラ島の中心都市であるフンシャルで開催されるお祭りです。
お祭りの期間中は、街がたくさんの花々で彩られ、パレードをはじめとする様々なイベントが開催されるため、とても華やかになります。フンシャルは花の香りに包まれ、地元の可愛い子どもがお祭り用に仮装したり賑やかです。
聖母出現祭
聖母出現祭は、ポルトガル中部の町ファティマで5〜10月に行われる、キリスト教徒にとって重要なお祭りです。このお祭りは、世界大戦中であった1917年5月13日(日)の日曜日に、後に福者となる人々の前に聖母マリアが出現したことに由来しています。
期間中は、毎月12〜 13日に世界各地からたくさんの信者が祈りを捧げに訪れます。
6月
聖アントニオ祭
聖アントニオ祭は、首都リスボンの守護聖人として知られる聖アントニオを讃えるお祭りです。お祭りが開催されるのは毎年6月12〜 13日で、期間中リスボンの街はパレードや民謡をはじめとする音楽で一層賑やかさを増します。旅行先の文化を体験したい方には是非参加をオススメしたいお祭りです。
また、このお祭りではアルファマ地区にイワシの塩焼きの屋台が出店するため「イワシ祭り」という別名を持ちます。
聖ジョアン祭
聖ジョアン祭は、第2の都市ポルトで毎年6月23〜 24日の2日間開催されるお祭りです。その歴史は600年以上を誇り、ポルトで最も重要かつ伝統的なお祭りと言われています。お祭りは23日の夜から始まり、24日の朝日が昇るまで行われます。
お祭りの内容は人々がおもちゃのハンマーを持ち、周囲の人々の頭を叩きながらポルトの街を歩き、ワインや郷土料理を楽しみながら音楽と合わせて踊るというものです。
また、このお祭りはポルトだけでなくブラガでも開催され、多くの人々で賑わいます。
7月
赤いチョッキ祭
赤いチョッキ祭りは、首都リスボンから車で30分程での町ビラ・フランカ・デ・シーラで毎年7月最初の週末に開催される牛追い祭りです。この国の牛追いではスペインの様に牛を殺す行為は行わないので、動物愛護派の方も安心して参加していただけると思います。
お祭りの開催期間は3日間で、メインイベントである牛追いの他にもダンスやコンサートなどの楽しいイベントが目白押しです。
中世市場
観光客にも人気の観光都市オビドスで毎年7月に開催されるイベントが中世市場です。この町は白壁にオレンジ屋根が映える中世の面影を残した雰囲気が最大の魅力で、イベントでは訪れる人々を中世の時代へと誘います。
このイベントでは何百人もの人々が中世の衣装をまとい、中世の街並を再現します。ここでは中世の伝統的な食べ物や衣装など、中世にまつわる様々なものを手に入れることが出来ます。歴史ファンには堪らないですね。
8月
嘆きの聖女祭
嘆きの聖女祭は、1744年からの歴史を持つミーニョ地方最大の祭りで、海からの恩恵に感謝する事に由来しています。お祭りは毎年8月20日前後に開催されますが、年のより開催時期は異なりますので、嘆きの聖女祭に参加したい場合は、ツアーなどの予約を行う前にあらかじめお祭りの開催日程などの詳細情報を調べましょう。
聖女レメディオスの祭
聖女レメディオスの祭はポルトガル北部の町ラメーゴで毎年8月下旬から9月上旬にかけて開催される巡礼祭です。
お祭りでは、雄牛により聖女の像が運ばれ、ミサが行われます。また、街外れに位置するレメディオス聖母教会にある686段の階段では、巡礼を行う人々が膝をつきながら登るという特徴的な巡礼も行われます。
11月
馬の祭典
馬の祭典は、毎年11月にポルトガル中部の町ゴレガンで行われます。祭りの期間中は、乗馬や馬術、および馬車レースをはじめとする競技や品評会など馬に関連した様々なイベントが開かれます。
栗祭り(11月上旬)
ポルトガル東部のスペイン国境近くに位置する町マルヴァンでは、特産品である栗を利用して、毎年11月上旬に栗祭りが開催されます。このお祭りでは、栗を使ったスイーツやアレンジ料理などバラエティー豊かな栗商品が登場し、訪れる人々で秋の味覚を堪能します。
12月
クリスマス
毎年12月に開催され、日本でもお馴染みのクリスマス。この日はイエス・キリストの誕生日であると勘違いされがちですが、本当はキリスト教徒にとって「イエス・キリストの後誕」を祝う非常に重要な日として扱われています。
実際に後誕した日は諸説あるものの、現在ではキリスト教を信仰する多くの国々で、12月25日にそれが祝われています。国民の大多数がカトリック教徒であるポルトガルですが、現地のクリスマスはあまり盛大に祝われず家族と静かに祝うという特徴を持ちます。
街中のイルミネーションも諸外国と比較するとあまり豪華に装飾されないのですが、観光客に人気な都市「オビドス」では、毎年12月初旬から1月の初め頃までクリスマスタウンというイベントが開催されるため華やかな雰囲気を楽しめるでしょう。