ロシアってどんなところ?
ロシアの基本情報
ロシアはユーラシア大陸北部に位置する国で、正式名称はロシア連邦、首都は国土西部に位置するモスクワ(Moscow)です。国土面積はアメリカの約2倍、そして日本の総面積と比較しても約45倍と非常に広大なのが特徴で、東部に位置する極東ロシア地域までは東京から約2時間20分でアクセス出来るほど地理的に近い存在であるのが特徴です。
外務省基礎データによると総人口は1億4,680万人(2017年統計)で、国土がとても広いにも関わらず日本の総人口を少しだけ上回る程度に留まります。
日本との時差は地域ごとに異なり、首都モスクワが位置するロシア東部を標準時として東へ向かうにつれて1時間ずつ加算して計算する方法が採用されています。日本から多くの観光客が訪れる首都モスクワおよびサンクトペテルブルクの時差は日本のマイナス6時間、一方ウラジオストクやハバロフスクなどの都市が位置する極東地域ではマイナス1時間のみです。
公用語はロシア語ですが、地域ごとに異なる100以上の民族言語が存在します。
しかしながら観光客が多く訪れるホテルや空港、および高級レストランでは英語が通じるので、あまり心配する必要は無いでしょう。
また、国民の多くがロシア正教をはじめとするキリスト教を信仰しているほか、イスラム教、ユダヤ教、および仏教などその他の宗教も広く信仰されています。
この国にはロシア正教特有の建築様式を持つ教会および大聖堂が点在しているほか、その内部に飾られているイコンなど、ロシアだからこそ楽しむことが出来る魅力もたくさん詰まっています。日本からも直行便が就航しており、アクセスが便利なことから近年多くの観光客が訪れています。
ロシアの歴史
古代
862年 ノルマン系のバイキングであるリューリクがスラヴ系民族を支配し、ノヴゴロド公国に「ルーシ」という国家を設立
887年 リューリクの没後に大公の地位を継承したオレグが、息子イーゴリと共に現在のドニェプル川中流域キエフを占領し、「キエフ・ルーシ」という広大な新国家が誕生
10世紀末 スヴァトスラフ1世の子ウラジーミルがキリスト教を受容し、ギリシア正教国教として指定。この時代にキエフのソフィア大聖堂やペチェールスカ大修道院、および黄金の環を構成する町の一つであるヤロスラヴリがウラジーミルの息子ヤロスラフによって築かれました。
中世
1237年 チンギス・ハーンの孫であるバトゥ率いるモンゴル軍がキエフ領内に侵入し、250年間にわたるタタールのくびき(モンゴル軍による支配)が続く
1240年 アレクサンドル・ネフスキーがネヴァ川に上陸したスウェーデン軍を撃退し、その2年後にはチュド湖での戦いでドイツ騎士団を破る
1276年 アレクサンドル・ネフスキーの息子ダニール公がモスクワを拠点にモスクワ公国を築く
1480年 キプチャク・ハン国からの独立を果たし、モスクワ大公国のイワン3世がロシア統一を達成。モンゴル軍を破ってくびきが終わったことをきっかけに、近代ロシア国家の基礎を固める
1598年 イワン4世の息子フョードル帝の死去によるリューリク朝断絶。以後、ポーランド軍の侵攻や内乱など様々な困難に見舞われる
1612年 クジマ・ミーニンやドミトリー・ポジャルスキー公の活躍によりポーランド軍を撃退。以降、1917年まで皇帝ミハイル・ロマノフ率いるロマノフ朝が続く
近世・近代
1712年 モスクワからペテルブルク(現在のサンクトペテルブルク)への遷都。ピョートルのもと、ロシアは政治および文化共に急速な成長を遂げる。また、彼の没後も皇帝は何度も入れ替わることになりました。この時代のロシア文化に大きく貢献した女帝エリザヴェータも17世紀に活躍した人物で、サンクトペテルブルクの位置する諸宮殿の建造に携わったと言われています。
1762年 ピョートル皇太子の妃として、ドイツからロシアにやって来たエカテリーナ2世が女帝として即位。相次ぐ外征により、領土を広げたほか、膨大な資金を投じて数々の美術品を収集したことから、現在のエルミタージュ美術館の基礎を造った人物としてよく知られています。
1812年 フランスのナポレオン1世が率いる大軍によるモスクワ侵攻。結果は失敗に終わったものの、戦いは約半年間に及んだ
1904年 満州の権益を巡る日露戦争の開始
1905年 1月に当時の首都サンクトペテルブルクで血の日曜日事件が起き、5月にはバルチック艦隊が全敗したことにより、日露戦争に敗北
1917年 ロシア革命(二月革命および十月革命)が起こる
現代
1922年 ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、およびザカフカース(現在のコーカサス3国)が集まり、ソビエト社会主義共和国連邦を成立
1991年 同年3月にソビエト連邦が解体された事により、初代大統領ボリス・エリツィン率いるロシア連邦が成立
ロシアの通貨および両替事情
ロシアの基本通貨はロシア・ルーブル(RUB)で、ルーブル(P)という単位を用いて表記されるのが一般的です。2020年3月17日(火)現在、1ルーブルあたりの両替レートは約1.43円です。
紙幣は10P、50P、100P、200P、500P、1,000P、2,000P、5,000Pの8種類、硬貨は1P、2P、5P、10Pの4種類が存在します。その他にも、カペイカと呼ばれる少額の通貨が4種類あり、100カペイカで1Pとみなすので参考までに覚えておきましょう。
日本円からロシア・ルーブルへの両替は、モスクワやサンクトペテルブルクをはじめとする大きな都市では可能ですが、レートが非常に良くないため、日本を出国する時に手持ちの現金をあらかじめ米ドルもしくはユーロに両替しておくことをオススメします。
これらの通貨の両替は、駅や空港および銀行をはじめ、市内の両替所やバスターミナルなどで広く行うことが可能です。
また、各種クレジットカードによるキャッシングも可能ですが、路上に設置されているATMなどはセキュリティーが低いため、カードデータを盗むスキミング被害が多く発生しています。キャッシングを希望される場合は、銀行内部やショッピングモールなどセキュリティー面において信用可能な場所に設置されているATMから現金を引き出すよう心掛けましょう。
ロシアの気候と服装
気候について
ロシアの気候は典型的な大陸性気候で、一般的に4月から6月が春、7月から9月が夏、10月から12月が秋、そして1月から3月が冬にあたりますが、国土が北海道よりも高緯度に位置しているため平均気温は一年を通して日本の平均を下回ります。
また、ロシアを訪れるのにオススメなシーズンは、気候が最も温暖で過ごしやすい5〜9月が該当します。特にモスクワ、黄金の環、サンクトペテルブルクなど国土北西部を訪れる場合、5月下旬から7月中旬まで白夜と呼ばれる季節に該当し、夜中の2時頃まで明るいので、冬の季節に旅行するよりもより長く観光を楽しむことが出来るのでオススメです。
しかしバレエやオペラの鑑賞を目的にこの国を訪れるのであれば、夏の間は公演が行われないため冬の時期に渡航する必要があるので、旅行を計画する際には注意が必要です。
服装について
ロシアへ旅行する場合の服装は、訪れる季節や地域によって全く異なります。
先にも述べた通り、ロシアは北海道よりも高緯度に位置しているため、平均気温が年間を通じて日本の平均を下回ります。また、国土が非常に広大であるため、各季節の平均気温が地域ごとに大きく差があるのも特徴の一つとして挙げられます。
いずれにせよ、この国で最も寒い時期は全土共通して1〜2月が該当します。この時期は、ロシア西部の平均気温がマイナス10度前後なのに対し、シベリア地方ではマイナス20〜35度、そして内陸地方ではマイナス50度以上と例年想像を絶するほどの寒さを観測します。
夏の時期は、日本と同様の服装もしくは一枚羽織ることが出来る薄手のシャツやカーディガンを持ち歩く程度の気温になりますが、春や秋でも国土全体の平均気温は低く、特に朝晩を中心に冷え込むため、日本の冬を過ごす時のような厚手のアウターの持参はマストです。
10月以降になると、平均気温は日本の真冬並みもしくはそれ以上まで下がるので、現地を訪れる際は防寒対策をしっかりと施して旅行することを強く勧めます。また、厚手のコートやジャケットの他にもロシア帽などといった防寒アイテムも非常に重宝します。
ロシアの文化
ロシアでは、国民の多くがロシア正教(キリスト教の一種)を信仰していると言われています。特徴的な外観と美しいモザイクなどの鑑賞を目当てに、多くの観光客がロシア正教会の寺院を訪れると思いますが、女性が内部へ入場する際は髪の毛をスカーフで覆うことが義務付けられています。
また、この国には100以上の民族が住んでるといわれ、地域により文化が異なるので面白いです。これらの民族の中で共通する文化が美術、文学、そしてオペラを含む音楽や演劇です。これらはロシアという国を知るうえでも大変重要な要素なので、この国を旅行で訪れる際は見逃せない見どころであると言えます。
撮影マナーについて
美術館や博物館がとても多いロシア、これらを訪れる際に特に気を付けておきたいのが撮影マナーです。この国では内部および芸術作品の撮影が許可されている観光スポットが多いですが、フラッシュや三脚の使用は認められていません。特にフラッシュの使用は、歴史的価値が非常に高い絵画作品を傷める可能性がある為、厳しく禁止されています。
その他にも現地では、軍施設、および政府関係の建物の撮影は現地警察から拘束されるなど思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があるので控える必要があります。また、現地の人々は正面から写真を撮られることをあまり好まないので、人物を対象とした写真を撮影したい場合は念の為相手に確認することをオススメします。
チップについて
訪れる国により、価値観が異なり私たち日本人には戸惑いがちな「チップ文化」。どんなシチュエーションで渡すのが良いのか、そして実際にいくら渡したら良いのか、など迷うことも多いはずです。
ロシアでは、ソ連時代にはチップの習慣が無かったものの、現在では観光客が訪れるホテルやレストラン、およびカフェではチップが期待されています。
チップには相手のサービスに対する感謝の意味合いも含まれているので、不快な対応をされたなどサービスに不満がある場合はもちろん支払う必要はありません。また、レストランやカフェのメニューにサービス料金の記載がある場所に関してもチップを渡す必要はありません。
チップとして渡す金額の目安は、シチュエーションにより異なりますが、レストランの場合は総額の10%程度、ホテルのポーターやルームサービス、および客室の清掃などに関しては1米ドル程度が理想です。
喫煙および飲酒マナーについて
ロシアは国民の約4割が喫煙者に該当する、喫煙大国です。日本では一箱400〜500円程度で購入できるタバコも、現地では平均100円以下で購入することができます。
しかしながら、この国ではその喫煙率の高さを理由に、喫煙者のマナーに対する法律による取り締まりが日本に比べ非常に厳しく行われています。その内容は、原則喫煙が許される場所は自宅や個人が所有する車のみで、例えばレストランやホテルをはじめ、バーや長距離列車内など公共の場での喫煙は法による取り締まりの対象となります。
また、飲酒に関してもバーやレストランなどの飲食店および住居以外では基本的に不可であるため、注意が必要です。日本と同様の感覚で公園や路上、そして公共施設などで飲酒するのは絶対にやめてください。
これらの注意に違反した場合、罰金が課せられることになります。近年では公務員による汚職も少なくはなってきているものの、現地の警察の給料はとても低く賄賂もしくは規定以上の罰金を要求してくる警官も少なくありません。旅行中は現地のルールにしっかりと従って行動しましょう。
ロシアの治安
ロシアの治安は以前と比較すれば安定傾向にあるものの、近年拡大している国民の経済格差などを背景に、現金およびその他の貴重品目当ての犯罪が多く発生しています。また、スリやひったくりをはじめ、強盗などといった犯罪の被害は、観光客だけでなくロシアで生活する人々にまで及んでいるほどであるため、現地を訪れる際はこれらの被害に遭わないためにもしっかりと対策を施した上で十分に注意して行動する必要があります。
スキミング
最近ではクレジットカードの情報を盗み出し多額の現金を引き出す手口(スキミング)も横行しており、非常に多くの被害が報告されています。旅行先でATMから現金を引き出す際は、なるべく銀行やショッピングモールの中など、セキュリティーをある程度信用できる場所に設置されているATMを利用しましょう。
また、特に目立った被害がなく無事に帰国した場合でも、クレジットカードの利用履歴をしっかりと確認するほか、心配な場合は暗証番号を変更するなどの工夫も役に立つので参考にして下さい。
パスポートの携帯
ロシアでは旅行者にパスポートの携帯を義務付けているので、宿泊先から外出する場合は忘れずに持ち歩くようにしましょう。警察に身分を証明するものの提示を求められた際に、パスポートなどが手元に無いと罰金の対象になります。
パスポートを含め貴重品類は、コートやジャケットの内ポケット、もしくはズボンの中などスリに狙われにくい場所に保管するようにしましょう。
人気観光都市
ロシアには文化および自然に関連した合計29の世界遺産が国内各地に点在していて、それらを含む以下の観光都市が人気です。
【人気観光地一覧】
- ロシアの歴史・文化・芸術に関連した見どころが多い首都モスクワ
- バルト海に面し、ヨーロッパらしい建造物が多く立ち並ぶ港湾都市サンクトペテルブルク
- バイカル湖への観光拠点であり、「シベリアのパリ」と称される美しい街並みを誇るイルクーツク
- 日本から最も近いロシアの都市であり、近年女性を中心に人気沸騰中のウラジオストク
定番スポット10選
聖ワシリー大聖堂(モスクワ)
正式名称をポクロフスキー聖堂と名乗り、「聖ワシリー聖堂」という名で親しまれる、ロシア正教の寺院です。
イワン雷帝がカザン・ハーン国(対モンゴル)の戦勝を記念して1560年に築いた同寺院は、当時イワン雷帝に大きな影響を与えたとされるワシリー修道士の名にちなんで「ワシリー寺院」と呼ばれています。
着目すべきは、そのユニークな外観であり中央に位置する高さ46mの塔をはじめ、それぞれの先端に合計9つのタマネギ型をしたカラフルなドームを持つのが特徴です。金色のドームを有する中央部の建物は、ポクロフスキー大聖堂でその周辺を囲む8つのドームと共に「国家統一とそれをサポートする重層性」を意味していると言われています。
今では見た目のインパクトと派手さが一際目を惹く、モスクワのランドマーク的な存在の建造物として世界的な知名度を誇りますが、創建当時は現在の様な派手さは無く、これらのドームの形状も異なっていました。現在私たちが訪れることが出来る建物は改築の手が加えられた17世紀以降のものです。
内部は複雑に入り組んでおり、バロック様式のイコノスタスや18世紀に描かれた内壁のフレスコ画など見応え十分です。
レーニン廟(モスクワ)
1924年1月21日(月)に死去したロシア革命の指導者ウラジーミル・イリイチ・レーニンの遺体を永久保存している記念堂です。創建当時は木造の建物でしたが、1931年にシューセフの設計により花崗岩で造られた頑丈な建物に建て替えられました。
内部には、彼の遺体がガラスケース内に安置されていますが、1953〜1961年の間は元ソビエト連邦の首相であるスターリンの遺体も共に安置されていました。カメラや手荷物の持ち込みは禁止されているので、内部を見学で訪れる場合は注意が必要です。
グム百貨店(モスクワ)
赤の広場に面するように立ち、クラシックな外観が美しい「ロシア最大の百貨店」です。創建は1921年で、ロシア・ソビエト共和国を樹立したことで知られるウラジーミル・イリイチ・レーニンによって築かれました。
特徴的な名前は、「国営」および「百貨店」を意味するロシア語単語の頭文字に由来しており、ソ連崩壊後は「国営」というスタンスでは無く、同じ頭文字から始まる単語の「主要な」に名称そのものの意味を変えて営業しています。
3階建て構造の内部は3つのアーケードに分かれ、多くの高級ブランドショップ、カフェ、そしてフードコートなど幅広いジャンルのテナントが出店しています。ロシア土産を扱っているお店もあるので、赤の広場を訪れる際は是非立ち寄ってみてください。
クレムリン(モスクワ)
クレムリンはロシア語で「城塞」を意味する建造物で、ロシア各地に数多く点在しています。なかでも首都モスクワに位置するものは、この国で最も有名なクレムリンで、12世紀にユーリー・ドルゴルーキー公により建造されたのが始まりです。
私たちが現在訪れることが出来る城壁は、14〜15世紀により強固な造りに改築された後のもので、創建当時は木造であったと言われています。城壁内部にはロシア皇帝の戴冠式が行われたウスペンスキー大聖堂や歴代のモスクワ公およびロシア皇帝の棺が並べられているアルハンゲルスキー聖堂をはじめ、いくつものロシア正教寺院が位置しています。
また、その他にも大統領府や代々の皇帝が居住する宮殿、世界で最も大きなダイヤモンドを展示するダイヤモンド庫、および王冠や宝物など歴史的価値の高い品々を展示する博物館など、この国の政治や文化、そして宗教に関連する施設が立ち並んでいます。
クレムリンの共通入場券で訪れることが出来るのは、ウスペンスキー大聖堂、アルハンゲルスキー聖堂、ブラゴヴェシチェンスキー聖堂、リザパラジェーニヤ教会、およびパトリアーシェ宮殿の5ヵ所のみで、武器庫、ダイヤモンド庫、イワン大帝の鐘楼の3ヵ所に入場する場合は、それぞれ別途入場料を支払う必要があるため、注意が必要です。
エルミタージュ美術館(サンクトペテルブルク)
エルミタージュ美術館は、300万点以上の収蔵数を誇る世界有数の美術館です。壮麗なバロック様式の建物は、エリザヴェータ女帝の命により1762年に完成した宮殿で幾度かの改築および修復の手が加えられ、現在に至ります。
豪華絢爛そのものである内部には、ロマノフ王朝の華麗なる財宝およびソ連誕生後に国有化された美術品の豊富なコレクションの数々が展示されており、それぞれ地域と年代ごとに分けられています。なかでも、レオナルド・ダ・ヴィンチ「リッタの聖母」、ラファエロ「コネスタビレの聖母」、およびティツィアーノ「ダナエ」などのイタリア絵画をはじめ、17世紀のオランダ絵画の巨匠として知られるレンブラントが制作した作品の数々は必見です。
非常に広い美術館なので、観光で訪れる際は見学したいエリアや鑑賞したい作品をあらかじめ決めておくと効率的に回ることができるでしょう。
血の上の救世主教会(サンクトペテルブルク)
聖ワシリー大聖堂と同様に、ユニークなタマネギ型の屋根が印象的な純ロシア風教会です。「血の上の救世主教会」という名は、1881年に暗殺された皇帝アレクサンドル2世に由来し、実際に彼が亡くなった場所に築かれています。
高さ85mの教会建物は、父の死を悼んだ彼の息子アレクサンドル3世により、25年もの歳月を費やし1907年に完成されたと言われています。設計を行ったのはアルフレド・パルランドで、当時の最高技術を駆使して造られました。
モスクワに位置する聖ワシリー大聖堂を思わせる特徴的な外観は、豪華絢爛そのものです。内部は開放感があり幻想的な美しさを放っており、ネステロフ、リャーブシュキン、およびヴァスネツォフなど著名な画家達が下絵製作を行ったといわれるフレスコ画の数々は必見の見どころです。
エカテリーナ宮殿(サンクトペテルブルク)
1724年に女帝エリザヴェータの命により、サンクトペテルブルクに築かれた夏の宮殿です。その名は、この宮殿がピョートル大帝の妃エカテリーナのために建造されたことに由来しており、1752年にはイタリアの建築家ラストレッリによりバロック建築へと改築されました。
また、エカテリーナ2世の時代にあたる17〜18世紀には、スコットランドの建築家チャールズ・キャメロンにより、クラシック様式へと改築の手が加えられたため、バロックおよびクラシック両方の建築様式が混在する独特の建築様式を持つのが特徴です。
落ち着きある青色を基調とした宮殿の外壁の長さは300mにも及び、バロック様式の華麗な外観は訪れる者全てを魅了します。その内部は豪華絢爛そのもので、2003年に復元された琥珀の間を中心に多くの見どころを訪れることが出来ます。
バイカル湖(イルクーツク)
シベリア南東部に位置する「世界で最も深い湖」として知られる三日月形の大きな湖です。その深さは最も深いところで1,700m、広さは31,722平方kmで、滋賀県に位置する琵琶湖の約46倍であると言われています。また、この湖は今から2500万年前に誕生したとされ、「世界で最も古い湖」としても知られています。
その水量は、地球上に存在する凍っていない淡水の約2割に相当するほどで、豊かな生態系を長く保持し続けていることから、1996年にユネスコの世界自然遺産として登録されました。
壮大で自然豊かなバイカル湖には、数多くの生物が生息しており、これまでに1,340種の動物、および570種の植物が周辺で確認されています。バイカルアザラシを含め、様々な固有種も存在するため、南米エクアドルのガラパゴス諸島と共に「生物進化の博物館」として世界中から高い評価を得ています。
ウラジオストク
極東ロシア地域に位置する港湾都市で、日本海アムール湾と全角湾に囲まれていることから漁港の他にも軍港及び商業港としての役割を持つプリモールスキイ地方の州都です。日本から直行便を利用して約2時間半でアクセス可能で、渡航に際し大使館での面倒なビザ申請が不要であることから、毎年日本から多くの観光客が訪れているロシアの人気都市です。
丘陵地帯に広がる街並みは「東洋のサンフランシスコ」と称されるほど評判が高く、落ち着いた雰囲気が漂っています。ロシアならではのグルメやオシャレな建築物を目当てに短期間で旅行されるのであれば、是非オススメの旅行先です。
また、通常の観光以外にも首都モスクワとウラジオストクを結ぶ全長9,297mの路線「シベリア鉄道」の発着地として世界中から多くの人々が足を運んでいます。現地での滞在期間に余裕のある方は列車の旅も楽しんでみてはいかがでしょうか。
スーズダリ
スーズダリは、モスクワ北東部に中世の面影を残す美しい古都が円を描くように点在するエリア「黄金の環」を構成する街の一つです。その歴史は1024年までさかのぼり、のどかな田舎町に古い修道院や教会が約50以上も点在していることから、「街全体が歴史博物館」と称されています。
15世紀以降にモスクワ大公国の一部となり、政治の中心としての地位を失うものの、ユーリー・ドルゴルーキー公の時代にはトストフ・スーズダリ公国の首都、そして12世紀にはウラジーミル・スーズダリ公国の首都としてロシア正教を大いに発展させた中心地であり、現在でも中世と同規模の街並みを維持し続けています。
そんなこの街は、「ウラジーミルとスーズダリの白亜の建造物群」として1992年にユネスコの世界文化遺産として登録されています。スーズダリは、規模も中世期とほとんど変わらないことから、街全体がまるで博物館の様です。主な見どころとして、11世紀に建造され「スーズダリ発祥の地」として親しまれるクレムリン、12の塔と堅固な城壁が要塞の様にそびえる13世紀の修道院スパソ・エフフィミエフ修道院などが挙げられます。
石造りの街並みをゆっくりと散歩しながら、ロシアの歴史を辿ってみてはいかがでしょうか?
ロシア正教ゆかりの観光スポット 5選
預言者イリヤー教会(ヤロスラヴリ)
黄金の環を構成している古都の一つとして知られるヤロスラヴリに位置する教会で、町の裕福な商人スクリーピンの寄付により1650年に建造されました。タマネギ型をした特徴的な屋根を持つ外観はロシア正教特有のもので、内部には17世紀にコストロマの職人ニキーチン一派により描かれた作品をはじめとする、様々なフレスコ画が施されています。
壁一面を美しく飾るフレスコ画は見応え十分なので近くを訪れる際は、是非足を運んでみて下さい。
ウスペンスキー大聖堂(ウラジーミル)
ウスペンスキー大聖堂は、古都ウラジーミルを代表する教会建築の一つです。石灰岩を用いて築かれた教会建物は、キエフのソフィア聖堂を意識して造られたと言われ、その建築には神聖ローマ帝国の職人も招かれたほどです。
教会の歴史は1158年までさかのぼり、建造されてから14世紀初め頃までルーシの大聖堂として最高位に君臨していたという歴史を持ちます。内部には、美しいフレスコ画が壁一面に施されているほか、歴代のウラジーミル・スーズダリ大公の墓が安置されています。
なかでも、祭壇前の天井アーチ部分に描かれているフレスコ画「最後の審判」は、15世紀初頭にアンドレイ・ルブリョフによって描かれたもので、この作品を鑑賞するためだけにウラジーミルを訪れる人が居るほど重要なことで知られています。
教会内部は撮影禁止なので、ルールをしっかりと守って鑑賞しましょう。
イサク大聖堂(サンクトペテルブルク)
イサク大聖堂は、金色に輝くドームが印象的なロシア正教の大聖堂です。1858年に完成した教会建物の高さは101.5mで、奥行きも111.3mと非常に大きく、世界有数の大きさを誇る教会建築として知られています。
初代の木造教会が築かれたのは1710年で、以降3度にわたる建築を経て現在に至っています。私たちが現在訪れることの出来る教会建物は、フランス人建築家オーギュスト・オンフェランの設計により、約40年の歳月を費やして建設されたもので、約23,000本以上の釘を使用することにより軟弱な地盤の上に巨大な建造物を築くことを可能にしていると言われています。
聖堂内部にはとても豪華で、装飾には孔雀石やトパーズをはじめとする40種以上の貴石が用いられているほか、内壁を埋め尽くす数々の宗教画は非常に完成度が高く見応え十分です。また、ドームの内部には150Pの入場料を支払うことで訪れることが可能です。
カザン大聖堂(サンクトペテルブルク)
血の上の救世主教会およびイサク大聖堂と共に、サンクトペテルブルクのランドマーク的存在として親しまれている大聖堂です。その歴史は1612年までさかのぼり、ロシアの守護神「カザンの聖母」のイコンを安置する目的で築かれたのがはじまりです。
17世紀後半になると、ロマノフ朝第9第ロシア皇帝であるパーヴェル1世の命により、教会の建設が始まりました。当時設計を担当したのは、農奴出身の建築家アンドレイ・ヴォロニーヒンで、正式に完成したのは建設開始から約10年後にあたる1811年のことでした。
聖堂内部には1812年に勃発した祖国戦争において、ナポレオン率いるフランス軍を撃退するのに大きく貢献したことで知られるクトゥーゾフ将軍が埋葬されており、墓の上には実際にフランス軍から奪った軍旗や鍵が飾られています。
旧ソ連時代には、無神論博物館として宗教を批判する目的で利用されていましたが、現在ではロシア正教会の中心として多くの人々の生活に欠かせない存在となっています。
ノヴゴロド
ノウゴロドは、首都モスクワからバスで約3時間半〜4時間ほどの場所に位置する古都で、1992年にユネスコの世界文化遺産としても登録された「ロシアで最も古い歴史を持つ町」です。
ヴォルホフ川沿いに広がる町の歴史は、スラヴ人を征服したリューリクがこの地に「ルーシ」という国家を築いた8世紀中頃までさかのぼり、9世紀にはロシア最初の首都として機能したほか、古代に繁栄したバルト海とカスピ海を繋ぐ交易路の中継点としても大変大きな役割を担ってきたことで知られています。
主な見どころは全て城壁に囲まれた市街地に位置しており、半日程度で全ての観光スポットを訪れることが可能なので、モスクワから日帰りで訪れるのが一般的です。また、この町を訪れた際に訪れておきたいスポットを以下に挙げるので、参考にしていただけると幸いです。
- 1045年に建造され、ロシア最古の石造建築として知られる「ソフィア聖堂」
- 1433年に建造された大主教の宮殿で、修復が完了し蘇った鮮やかなフレスコ画が見どころである「ヴラドゥイチナヤ宮殿」
- 11世紀初頭に建造され、内部にロシア最古の壁画「最後の審判」が残されている「ニコリスキー聖堂」
- 16世紀末建造と比較的新しい建物にも関わらず、細部まで施された美しいフレスコ画が訪れる人々を魅了する「ズナメンスキー聖堂」
- 城塞都市ノウゴロドで旧市街を守り続ける「クレムリン」
ロシアの大自然を満喫する観光スポット 2選
プトラナ高原
中央シベリア北部に位置する山地性高原地帯で、およそ2億5,000万年前に起きた火山活動により形成されたシベリアトラップと呼ばれる台地と、そこに点在する2万5,000以上の湖など、ほぼ手付かずの自然や生態系がそのまま残されている地球の楽園です。
最高峰は標高約1,700mのカーメン山で、広大な規模の自然に広がる絶景が魅力の世界遺産です。
アルタイのゴールデン・マウンテン
ロシア南部に位置する、南シベリアのアルタイ山脈およびその周辺の自然保護区を含む、ユネスコの世界自然遺産です。その総面積は、約161万ヘクタールを誇り、中国やモンゴルにも跨がるように大自然地帯が広がっています。
最高峰であるベルハ山(標高4,506m)をはじめとする高原、針葉樹林の森、美しい川や湖といった美しい自然のほかに、ユキヒョウ、イヌワシ、カタジロワシ、アルタイ・アルガリといった絶滅危惧種の動物が多く生息していることから、自然保護区として高く評価されていることで知られています。
東京から片道3時間以内でアクセスできる観光スポット
ハバロフスク
ハバロフスクは、極東ロシア地域に位置する河港町で、極東における行政、工業、および文化の中心地です。その名前は、1652年にアムール川流域への進出を達成したロシアの探検家ハバロフに由来していると言われています。
ウラジオストクと同じく、日本から約2時間半〜3時間でアクセス出来ることから、近年日本から多くの観光客が訪れています。主な見どころは、スパソ・プレオブラジェンスキー大聖堂やハバロフスクのウスペンスキー大聖堂などの宗教建築をはじめ、ソ連時代の名残を色濃く残すレーニン広場などが挙げられます。
ウラジオストクへ旅行するのであれば、是非ハバロフスクも訪れておきたいですね。観光の目安は1〜2泊なので、ついでに足を運んで極東ロシア地域の都市を比較してみるのも楽しいでしょう。
ロシアの芸術および文化に浸る観光スポット 6選
マリインスキー劇場
1783年に創設された、ボリショイ劇場と並びロシアを代表する有名オペラ・バレエ劇場です。プティパをはじめ、西欧の優れた振付家が指導した「くるみ割り人形」をはじめ、「眠りの森の美女」など数々の名作を世に送り出してきた歴史を持ち、現在も世界的指揮者として知られるワレリー・ゲルギエフ率いる世界最高峰の劇場としてその立場を維持し続けています。
劇場内部の収容人数は1,700人と言われ、各公演は人気が高く、チケットが非常に早く売り切れてしまうので、鑑賞を希望される場合はなるべく早めにチケット手配を済ませることをオススメします。
ボリショイ劇場
ボリショイ劇場は、直訳するとロシア語で「大劇場」を意味する、世界的に有名なオペラ・バレエ劇場です。その歴史は、劇団が創設された1776年3月までさかのぼり、これまでに2度の消失を経験しています。
私たちが現在訪れることが出来る建物は、1780年に建造された同劇場が消失を理由に1856年に再建されたものであると言われています。歴史のある劇場ということで、古びた内装をイメージする人も少なくないと思いますが、2011年10月にリニューアルが完了したので豪華でありながらも比較的新しい設備で芸術鑑賞を楽しむことが出来ます。
トレチャコフ美術館(本館)
ロシア正教のイコン画をはじめ、中世の宗教美術や21世紀初頭に制作された近代作品まで、非常に多種多様かつ膨大なロシア美術のコレクションがを有する「ロシア美術最大の美術館」です。
その歴史は1856年までさかのぼり、当時モスクワ有数の実業家であったパーウェル・トレチャコフが自邸で自らのコレクションを公開したのが始まりだったと言われています。
約10万点に及ぶ所蔵作品の数々は、作品ジャンルや制作年代により9つのセクションに分けられて展示されているほか、ロシア革命以降に制作された作品は本館から約2kmほど離れた場所に位置する新館で展示されています。
レンブラントの「アハシュエロス・ハマンとエステル」、アンドレイ ルブリョフの「聖三位一体」、そしてクラムスコイの『見知らぬ婦人』などの作品は見逃せない見どころです。トレチャコフ美術館を訪れる場合は、滞在予定時間を長めにとってゆっくりと回るのをオススメします。
プーシキン美術館
首都モスクワが誇る総合美術館で、1912年にモスクワ大学の芸術学部長イワン・ツヴェターエフにより、大学付属の美術館を一般化する目的で創設された歴史を持ちます。
古典主義様式で造られた重厚な建物の内部には、紀元前のエジプト装飾品から中世をはじめとするヨーロッパ絵画、および印象派を含む近代絵画まで合計約59万点に及ぶ所蔵作品が、「プーシキン美術館本館」および本館に隣接する「プーシキン美術館ヨーロッパコレクション」の2ヵ所に分けて展示されています。
ロシア美術館
1825年にパーヴェル1世がミハイル大公のために築いたとされるミハイロフ宮殿を、美術館として1898年に公開したのが「ロシア美術館」です。所蔵する作品数は約40万点で、ロシア美術に関しては首都モスクワに位置するトレチャコフ美術館と並んで世界最大の展示規模を誇ります。
館内では、11世紀頃に描かれた古代イコンから20世紀のアジア・アヴァンギャルドまでロシアの歴史を辿るために大変重要な芸術作品の数々が、制作年代ごとに合計5つのセクションに分けて展示されています。
また、同美術館の建物は、カルル・ロッシの設計により1825年に完成したもので、第11室「白の間」をはじめ、所々に当時の面影を残している点も注目していただきたいポイントです。
主な見どころは、ロシアのイコン美術を代表する傑作「聖ゲオルギウスの竜退治の奇跡」およびルブリョフ作「使徒ペテロ・パウロ」をはじめ、西欧美術の影響を強く反映した作品の一つとして知られるブリューロフ作「ポンペイ最後の日」などが挙げられます。
また、その他にもレーピン、マレーヴィッチ、カンディンスキー、そしてシャガールなどロシアの有名画家によって描かれた多数の作品を収蔵しています。観光で訪れる際は、時間に余裕を持って訪れましょう。
ストロガノフ宮殿
サンクトペテルブルクのネフスキー大通りに面するように位置するストロガノフ伯爵の宮殿です。ロシア・バロック様式が美しい建物は、建築家ラストレッリにより18世紀半ば頃に建てられたもので、修復された部屋はロシア美術館の分館として公開されています。
ロシア美術館の分館は、ストロガノフ宮殿を含め合計3ヵ所存在するので、複数の施設を訪れるのであれば共通入場券(600P)を購入することを強くオススメします。
失敗なしのロシア定番お土産
マトリョーシカ
ロシアを代表する伝統工芸品で、お土産の定番として親しまれている木製の入れ子人形です。その起源は、なんと日本から19世紀に伝わった入れ子人形にあると言われており、中をくり抜いた胴体が上下に分解し、それぞれひと回りずつ大きさが異なる人形が更に複数入っているのが特徴です。
中に入っている人形の数は、購入するマトリョーシカの大きさにより異なるほか、そのデザインも非常に多種多様です。絵柄の塗装は全て手作業で施されるため、それぞれの価格や品質は大きく異なります。ロシアの民族衣装を身にまとったスタンダードなものから、ロシア民話や政治家をモチーフにしたものなど様々なタイプが存在するので、是非お土産屋さんで実際に手に取って比べてみましょう。
ウォッカ
ウォッカは、ライ麦、大麦、および小麦などの穀類、もしくはジャガイモに麦芽を加えて糖化、発酵させ、蒸留して作るお酒で、アルコール度数が平均40度以上と非常に強いのが特徴です。ウォッカの起源は諸説あるものの、14世紀末〜15世紀頃には既に製造が行われていたといわれています。
最初に製造が行われて以降、寒さが厳しい風土の都合もあり、ウォッカは現地の人々の生活に欠かせない存在となりました。現在国内で生産されているブランド数は、なんと5,000種類以上にのぼり、900以上の工場が独自の加工を施して提供しています。
なかでも国内外共に高い人気を誇るのが、ルースキー・スタンダルト、プーチンカ、サンクトペテルブルク、およびスタリーチナヤ・クリスタルの4種類です。お酒好きの方には是非オススメなお土産です。
グジェリ
ロシアが誇る伝統工芸品の一種で、首都モスクワ近郊に位置するグジェリ村で生産されています。その歴史は14世紀までさかのぼり、白地の陶器に藍色で模様を繊細に描いた美しいデザインが人気です。カップおよびソーサーから花瓶など、様々な焼き物が存在します。
街歩きを楽しみながら何軒かお土産屋さんに立ち寄って、好みのものを選びましょう。
ロシアへのアクセス
日本からロシアへは、直行便または乗り継ぎ便を利用してアクセスするのが一般的です。日本から直行便を利用して行くことが出来る都市はモスクワ、ノヴォシビルスク、ハバロブスク、ユジノサハリンスクおよびウラジオストクです。
羽田空港から首都モスクワまでの最短所要時間は直行便の利用で9時間50分、成田国際空港からウラジオストクまでの場合2時間20分です。その他の空港からもいくつかの都市へ直行便が運航されていますが、その多くは第3国を経由する乗り継ぎ便を利用してのアクセスとなります。
その他の空港から直行便を利用した場合の最短所要時間は以下の通りです。
関西国際空港発
ウラジオストク行き:片道2時間20分
札幌空港発
ユジノサハリンスク行き:片道1時間35分
ロシア観光の移動手段
国内線
ロシアの国内線は、首都モスクワを中心に各都市への路線が就航しています。広大な国土を誇るロシアを旅行するなら、貴重な時間を節約するためにも、長距離移動区間は国内線の利用を推奨します。
【国内線を運航する主な航空会社】
アエロフロート・ロシア航空/S7航空/UTエアー/ウラル航空/ヤクーツク航空/ロシア航空/オーロラ航空/ポベーダ航空/サラトフ航空
鉄道
ロシアは、アメリカに次いで世界第2位の路線距離を誇る鉄道国家です。列車はロシア国鉄により運行され、その種類は主に優等列車「フィールメンヌイ」、超特急列車「スコラスノーイ」、一般列車「スコールイ」、近郊列車「エレクトリーチカ」の4種類に分けられます。
車両は主に寝台車および座席車の2種類に分類され、座席車のクラスは一部列車を除いて1等(ビジネスクラス)、2等(エコノミークラス)に分けられています。寝台車両に完備されているクラスは、通常1〜3等寝台の3種類ですが「赤い矢号」をはじめ、「エクスプレス」、「オケアン号」などの豪華優等列車に限り、特等寝台という特別なクラスを選択することも可能です。
また、モスクワ〜サンクトペテルブルク間を1日10往復前後運行している超特急列車「サプサン号」は、観光客もよく利用する路線として知られ、両都市間を約4時間程で結んでいます。
その他にもモスクワ〜ウラジオストク間を結ぶ長距離路線であるシベリア鉄道をはじめ、様々な路線が運行されているので、訪れる予定である都市への鉄道を利用した所要時間および乗車料金を、国内線を利用してアクセスした場合と比較してより便利な方を選択するのが良いでしょう。
チケットの購入はロシア国鉄の公式ホームページで簡単に行えますが、短距離区間の乗車であれば駅の窓口で購入することも可能です。この際パスポートの提示が求められるので、必ず忘れずに持参して下さい。
バス
ロシアでは中長距離バスの路線が国土を広くカバーしており、運賃が安く気軽に利用できることから庶民の足としてよく利用されています。ただし、乗り心地はあまり良くないので移動の安さよりも快適性を重視したい方は、別の交通手段を利用するのが無難でしょう。
移動する区間によっては「マルシュルートカ」という10〜20人乗りのミニバンが運行されており、通常のバスよりも運賃がやや高いものの本数が多く、停留所など関係なく利用できるので便利です。乗りたいバスやマルシュルートカが見えたら、片手を挙げて運転手に合図しましょう。
ロシア観光でお得なフリーパス
モスクワ・シティパス
Moscow CityPass(モスクワ・シティパス)とは、首都モスクワを訪れる観光客向けに発行されているお得なパスです。パスの種類は4種類あり、有効期限はそれぞれ1日間、2日間、3日間、および5日間で、購入される際はモスクワ・シティパスの公式ホームページおよびシェレメーチェヴォ国際空港やコムソモールスカヤ広場に位置するツーリストセンターをはじめとする11ヵ所で手に入れることが可能です。
購入価格は、1日間有効なもので65米ドル、2日間有効である場合は100米ドル、3日間有効である場合は120米ドル、そして5日間有効なもので180米ドルです。また、パスの利用者が15歳以下である場合は、1日有効なパスを大人の15米ドル割引で購入することが可能です。それ以外の日数に関しては利用期間が1日伸びるごとに5米ドルずつ割引になります。
なお、地下鉄やモノレールなどをはじめとする公共交通機関の利用が含まれているパスは、1日間有効なもので90米ドル、2日間有効である場合は125米ドル、3日間有効である場合は145米ドル、そして5日間有効なもので205米ドルで購入可能で、15歳以下の利用者に適用する割引率は同様です。
モスクワ・シティパスに含まれている主なサービス例
- クレムリン、ロシア国立歴史博物館、およびトレチャコフ美術館などを含む41の観光スポットへの入場
- モスクワ川沿いクルーズ、モスクワケーブルカー、および各種観光ツアーの利用
- PANORAMA360およびウクライナホテルの展望デッキへの入場
- 対象とされている22の飲食店での割引サービス
- 各空港〜市内中心部のAEROEXPRESS、地下鉄、モノレール、モスクワ中央環状線などの公共交通機関利用(公共交通機関の利用が含まれているパスを購入した場合)
サンクトペテルブルク・シティパス
St. Petersburg CityPass(サンクトペテルブルク・シティパス)とは、ロシア第二の都市であるサンクトペテルブルクを訪れる観光客向けに発行されているお得なパスです。
パスの種類は4種類あり、有効期限はそれぞれ2日間、3日間、5日間、および7日間で、購入される際はモスクワ・シティパスと同様に、公式ホームページおよびM-Hotelやソ連アーケードマシン博物館はじめとする、合計9ヵ所で手に入れることが可能です。また、購入価格は、2日間有効なもので75米ドル、3日間有効である場合は105米ドル、そして5日間有効なもので129米ドルと、モスクワ・シティパスよりもやや割安です。
しかしながら、これらは大人および3歳以上の子ども共通の値段なので、お子様を連れて旅行される場合は注意が必要です。
サンクトペテルブルク・シティパスに含まれている主なサービス例
- イサク聖堂および血の上の救世主教会などを含む23の観光スポットへの入場
- サンクトペテルブルク市内観光バスを含む各種観光ツアーの利用
- 対象の飲食店6ヵ所での割引サービス
ロシアの年間イベント情報
1月
ロシア正教クリスマス(1月7日)
ロシアのクリスマスは旧暦(ユリウス暦)に従って祝われるため、諸外国で一般的にクリスマスとして認識されている日付よりも2週間遅いのが特徴です。12月初旬頃には、街はきらびやかなイルミネーションにより彩られ、ロマンチックな雰囲気が漂います。
日本では友達や恋人と過ごすイメージのクリスマスですが、ロシアでは家族と豪華な食事が並ぶテーブルを囲みながらお祝いするのが習慣です。この日は公共機関がお休みになるほか、観光客向けのお店でも営業時間が短くなる場合がありますので、新年にロシアへ旅行される方は注意が必要です。
2月
祖国防衛の日(2月23日)
第一次世界大戦中にあたる1918年に、労働者と農民から構成されたソ連軍がドイツ軍との戦いに勝利したことを記念し、それに携わった軍事を称える日で、国民の休日として毎年2月23日に祝われています。
近年では男性に対し感謝の意を込めて贈り物をする、バレンタインデーのようなニュアンスが込められた日として広く親しまれています。
マースレニツァ
マースレニツァは春の訪れを祝うロシアの伝統行事で、毎年2〜3月に7日間の日程で開催されています。その名前は祭りの最終日に燃やす、冬を象徴するわら人形(マースレニツァ)に由来していて、1,000年以上の歴史を誇ります。
祭りの開催期間中は、ブリヌイというロシア版のパンケーキや具材がたくさん詰まったパイなどご馳走食べるのが一般的です。
3月
国際婦人デー(3月8日)
国際婦人デーは、1966年に当時ソビエト連邦指導者であったレオニード・ブレジネフが指定した祝日です。元々は二月革命に関する記念日でしたが、現在では毎年3月8日に妻や恋人および娘など女性達に感謝する「女性が主役である日」として定着しています。
4月
復活祭
復活祭は、イエス・キリストの復活を祝う「キリスト教において最大の祝日」です。日本を含む諸外国では「イースター」として親しまれていますが、ロシア語では「パスハ」と呼ばれています。
復活祭を祝う日付はカトリックやプロテスタントをはじめ、ロシア正教などキリスト教の宗派により異ると言われています。また、その祝い方もヨーロッパ諸国とは異なり、色付けした卵の他に、円筒型のケーキ「クリーチ」を食べるのが一般的です。
通常、イースターシーズンの旅行は公共機関が休みになるほか、観光客向けのお店やレストランなどの営業時間が不規則になるため、あまり推奨しませんが、ロシアのイースターは独特の習慣を持ち、他の国には無い祝い方をするので非常に良い経験になると思います。
5月
戦勝記念日(5月9日)
1941〜1945年に行われた第二次世界大戦で、ナチス・ドイツが降伏文書に調印した日にあたる1945年5月9日(水)を記念する国民の祝日です。また、この日は戦争で亡くなった国民を追悼する日でもあり、戦没者の慰霊碑には勲章を身につけた退役軍人や身内をはじめ、多くの人々が花を捧げに訪れます。
首都モスクワに位置する赤の広場では、毎年壮大な軍事パレードが伝統行事として行われています。私たちが現在訪れることが出来るロシアの平和は、戦争の犠牲となった約2,600万人もの人々の犠牲の上に成り立っているということを忘れてはいけません。
レイバー・デー(5月1日)
ロシア版「勤労感謝の日」で、日本と同様に国民の祝日にあたります。諸外国では一般に「メーデー」という名で親しまれています。
サンクトペテルブルクの白夜の星国際音楽祭
ロシア第二の都市サンクトペテルブルクで、毎年5〜7月に開催されている国際音楽祭です。この祭典は1993年に創設されて以降、毎年オペラとバレエを中心に200近くの演目を披露しており、世界中から訪れる多くの人々で賑わいます。
6月
ロシアの日(6月12日)
1990年6月12日(火)にロシア連邦の国家主権宣言(RSFSR)が採択されたことを記念する、国民の祝日です。国内の主要都市ではパレードが行われるほか、授賞式や花火などのイベントが開催されます。
プーシキン生誕記念日(6月6日)
プーシキン生誕記念日は、ロシアの偉大な詩人および作家として知られるプーシキンの生誕を記念した祝日です。首都モスクワに位置するプーシキン広場では、毎年特設ステージを設けて彼の詩の朗読会が行われます。
また、この日は大学などをはじめ国内各地で朗読会が開催されており、文学がしっかりとロシアの人々の生活に浸透しているのが分かります。
モスクワ国際映画祭
首都モスクワで2年に1度開催される、国際映画製作者連盟(FIAPF)公認の長編映画祭です。ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭、およびヴェネツィア国際映画祭と合わせて世界四大映画祭の一つとして数えられ、1959年からの歴史を持ちます。
部門は、最優秀作品賞をはじめ、男優賞、女優賞、監督賞、および審査員賞などの他に、国際批評家協会賞など様々で日本映画もこれまでにいくつもの作品が賞を受賞しています。
7月
イワン・クパーラ祭
イワン・クパーラ祭は、ヨーロッパ地域を中心に祝われている洗礼者ヨハネの祝日を祝う祭です。イワン・クパーラ(Ivan Kupala)という名前は、ロシアをはじめウクライナやベラルーシで親しまれているもので、ロシア語で「洗礼者ヨハネ」を意味しています。
毎年旧暦の6月23〜 24日(グレゴリオ暦では7月)に、花冠と伝統衣装を身にまとった人達が川で沐浴した後、身体を温めるため、焚き火を飛び越えたり、薬草を摘んだり、被っていた花冠を川に流すなど様々な儀式を行います。
現地では、これらの行為一つ一つに意味が込められており、例えば「焚き火の上を越える際に高く飛べたら次の年が幸福に恵まれる」、「川に流した花冠が遠くまで流れて行ったら結婚が近い」、そして「心身を清めるための沐浴」など様々です。
9月
知識の日(9月1日)
知識の日は、1984年以来ロシアで祝われている国民の祝日です。日本の新学期は4月に始まるのが一般的ですが、現地ではこの日を境に新年度が始まります。新入生を迎えた教育機関では、入学の挨拶を終えた後に「知識のベル」を鳴らす習慣があります。
11月
民族統一の日(11月4日)
民族統一の日は1612年に貴族ドミトリー・ポジャルスキー、および農民クジマ・ミニンが率いた軍がポーランド軍を撃退し、モスクワを解放したことを記念して、毎年11月4日に祝われている国民の祝日です。
この出来事を称え、首都モスクワに位置する赤の広場には2人の像が置かれています。
1917年十月革命の日(11月7日)
1917年11月7日(水)(旧暦では10月25日)にロシアで達成された世界最初の社会主義革命を記念した、国民の祝日です。ロシアではこの出来事を「十月革命」と呼ぶため、1917年十月革命の日と名付けられました。
ウラジーミル・レーニン、レフ・トロツキー、そしてヤーコフ・ミハイロヴィチ・スヴェルドロフによる指導の元、ソビエト政府を樹立した歴史上大変重要な日です。
12月(12月12日)
憲法記念日
ロシアでは、1993年新憲法に関連する投票が全国民により行われ、投票へ赴いた有権者のうち約58.4%が賛成したことから12月12日に採択されました。憲法記念日はこれを記念する国民の休日です。