オーロラってどんなところ?
「オーロラ」はシカゴ市に次ぐ、イリノイ州で2番目の都市です。シカゴ市ほどの大都会ではないものの、ショッピングやエンターテイメント、そして自然も豊かな魅力あふれる地域です。1881年に街灯を全て電力にするというアメリカでも新しい取り組みを行ったオーロラは、別名「光の都市」とも呼ばれています。
オーロラは、ダウンタウンシカゴから車で西に1時間ほど行ったところに位置しています。アウトレットのショッピングモールやエンターテイメント、アウトドアアクティビティなど、家族で楽しめる郊外都市です。
歴史
元々ネイティブアメリカンの集落であった土地を、1834年にマカーティ兄弟が所有するようになり発展させ、1837年に公式にオーロラ市が生まれました。オーロラ市は着々を成長を続け、高度の工業化によって職を求める移住民が増え、さらに成長を加速させました。
移民は主にイギリス、アイルランド、北欧、ルクセンブルク、ドイツ、フランスおよびイタリアなど、ヨーロッパからが多かったのですが、それ以外の移民の受け入れにも寛容的だったそうです。南北戦争の前に奴隷制度廃止運動を支持したり、1910年以降はメキシコからの移民を受け入れたりと、多様性には進歩的でした。また、女性の社会進出にも力を入れたり、無料公共教育学区が50年代の時点で作られるなど、今考えても革新的な地域柄だったのだとか。
1974年に、それまでオーロラ市の成長の中心的役割を担っていた鉄道の工場が閉鎖され、失業率や犯罪率があがり一時は衰退していましたが、カジノの建設や田園部で開発などに取り組み、人口もまた増え、活気を取り戻しました。
現在はヨーロッパ系移民たちの子孫たちが人口の過半数、その次にヒスパニック系が人口の46%を占めています。
シカゴからオーロラまでのアクセス
シカゴのダウンタウンからオーロラまではレンタカーやタクシー、電車で行くことができます。
- 車・タクシー:約50分~、オンライン配車サービスで$55~
- 電車:約80分~、BNSF Railwayで$9.50
見どころ
ファーンズワース邸
オーロラで一番の有名なスポットが「ファーンズワース邸」で、シカゴを代表する建築家ミース・ファン・デル・ローエが設計し1951年に完成した家・別荘です。50年代に建てられたとは思えない近代的な外観で、ミース・ファン・デル・ローエが提唱した「より少ないことは、より豊かなこと」を見事に体現した建築物ともいえます。
オーロラのシンボル的存在であるフォックス川のそば、森の中に突如現れるファーンズワース邸は圧巻です。
周りの自然と溶け合いながらも幾何学的でミニマリズムを反映させたこの建築物は、歴史的建造物としてナショナル・トラストの対象となっています。時代を感じさせない美しさと斬新さで観光客を惹きつけるスポットです。
ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ
ファーンズワース邸を建てたミース・ファン・デル・ローエは、フランク・ロイド・ライトと共に、近代建築の三大巨匠の一人とされています。ドイツ出身ですが1944年から亡くなるまでの25年間をシカゴで過ごしました。名門イリノイ工科大学の建築学科の主任教授を務めたミースは、同学校の様々な建物の設計に携わりました。その中でも今現存しているもので一番有名なのが、イリノイ工科大学クラウンホールです。
ミースの名言の中には「Less is more.」(より少ないことは、より豊かなこと)や「God is in the detail」(神は細部に宿る)などがあり、その言葉が反映されているように彼の作品はミニマルでディテールにこだわったものばかりです。
見学方法
見学するには現地ツアーに参加する必要があります。ツアーへの予約はオンラインか電話、または現地で予約することが可能です。
シカゴ建築センターが運営しているツアーに参加することもできます。
ツアーの時間
-
4月から11月まで
火曜日から金曜日: 午前10時、午後12時、午後2時
土曜日と日曜日: 午前10時~午後3時の1時間ごとに開催
※月曜日は定休日 -
1月4日から3月14日まで(冬季)
火曜日と土曜日のみ: 午前11時と午後2時
アクセス
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シカゴのダウンタウンから
車・タクシー:約60分~、オンライン配車サービスで$75~
公共交通機関+タクシー:約100分~、AmtrakでPlano駅まで、Plano駅からタクシー、$15~ -
オーロラのダウンタウンから
車・タクシー:約25分~、オンライン配車サービスで$20~
ハリウッド・カジノ
実はオーロラ市にはカジノがあります。「ハリウッド・カジノ」の名の通り、映画で使われた小道具などが展示されており、映画「ロッキー 3」で使われたチャンピオンベルトや、シカゴを舞台としたマフィア映画「アンタッチャブル」、そしてオーロラ市を舞台としたコメディ映画「ウェインズ・ワールド」で使われた車が展示されています。
このカジノは、オーロラ市が衰退しているときに、地域復興の起爆剤として建てられ、ふたたびイリノイ州第二の都市として人を集めるのに貢献したそうです。
カジノでギャンブルを楽しむこともできれば、ライブミュージックや質の高いステーキなどの魅力もあり、地元の人はもちろん観光客にも人気のスポットです。
営業時間
日曜日から木曜日: 午前8時30分~午前4時30分
金曜日と土曜日: 午前8時30分~午前6時30分
パラマウント・シアター
オーロラ市には豊富な娯楽の歴史があり、たくさんの劇場が1800年代後半から1900年代初頭までに建てられました。今では閉鎖をしてしまった劇場がほとんどですが、現存しているものが「パラマウント・シアター」です。その歴史的意義から、この劇場は国定歴史登録財にも登録されています。
内装はとても豪華で、ジョニー・デップ主演の映画「パブリック・エネミーズ」の1シーンは、パラマウント・シアター内で撮影されたほどです。
現在では、ミュージカルや舞台、コンサートなどの様々なイベントが開催され、結婚式もあげられるということで、地元の人に愛されるスポットです。
営業時間
月曜日から土曜日まで: 午前10時~午後6時
フィリップス・パーク
東京ドーム28個分に相当する131ヘクタールの広さを持つ「フィリップス・パーク」。入場無料の動物園をはじめ、ゴルフ場、プール、庭園や湖などがある、家族連れにはもってこいの公園です。
オーロラのダウンタウンからは車で10分程度、南へ行った位置にあります。
シカゴ・プレミアム・アウトレット(Chicago Premium Outlets)
シカゴのダウンタウンからは車で40分程度、オーロラのダウンタウンからは車で15分ほど北東へ行ったところにあるシカゴ・プレミアム・アウトレット。コーチなどのハイブランドから、アバクロンビー&フィッチやアメリカン・イーグルなど日本でもおなじみのアメリカブランド、そして日本には進出してきていないJ.CrewやExpress、Bath & Body Worksなど、お土産で喜ばれそうなお店のアウトレットショップが目白押しです。
また、ブルーミングデールズやノードストロムなど、アメリカの百貨店のアウトレットがあることも特徴です。子どもから大人までたのしめるショッピングスポットなので、オーロラ、またはシカゴを訪れた際にはぜひ訪れてみてください。
営業時間
月曜日から土曜日まで: 午前10時~午後9時
日曜日: 午前10時~午後7時
数々のブルワリー
シカゴは、アメリカの中でもクラフトビールが有名な都市ですが、オーロラにはシカゴ屈指のクラフトビールを作っているブルワリーが数多くあります。
その中でも一番新しく人気なのが「ハードウェア・サステナブル・ガストロパブ&ブルワリー」(Hardware Sustainable Gastropub and Brewery)で、近年注目されている“サステナビリティ”を意識している進歩的なブルワリーです。敷地内にはハーブや野菜を育てる畑があり、季節ごとに変わるレストランメニューは、そこでとれたものを使っているとのこと。
2016年にシカゴのベストブルワリーに輝くなど、地元だけでなく全米や世界でも注目されています。このブルワリーは、オーロラのダウンタウンから車で20分ほど北に行った位置にあります。
その他にも、20年以上続く老舗の「ツー・ブラザーズ・アーチザン・ブルーイング」(Two Brothers Artisan Brewing)や、ハッピーアワーが人気の「ホップバイン・ブルーイング・カンパニー」(Hopvine Brewing Company)などが有名です。
その他のおすすめスポット
ジョージ・グラント・エルムスリーの建築遺産
オーロラには、20世紀に活躍したプレーリー派の建築家ジョージ・グラント・エルムスリーが設計した商業用建築物が5つ点在しています。「建築の街」として有名なシカゴですが、オーロラでもシカゴ派の建築遺産を楽しむことができます。
ジョージ・グラント・エルムスリー
スコットランド生まれで、シカゴを拠点に活躍したアメリカを代表する建築家です。彼の建築スタイルは、シカゴ派の代表的な建築家ルイス・サリヴァンのもとで働いていた経験が原点となっています。ルイス・サリヴァンに師事していたことで有名な人が、3大近代建築家としても名高いフランク・ロイド・ライトです。
彼もシカゴ、特に別の郊外都市オークパークにゆかりのある建築家です。エルムスリーの建築の基礎である「プレーリースタイル」は、ライトによって生み出された建築様式です。
プレーリースタイル
フランク・ロイド・ライトによって提唱された建築様式「プレーリースタイル」の特徴は、「草原様式」という名のとおり、地を這うような水平のラインを意識し視覚的な広がりをつくることで大地と一体化したような、安心・安定感を印象としてもたらすデザインです。
ライトが提唱したのは「有機的建築」という建築理念で、従来の四角い「箱」としての住宅建築ではなく、外部と内部の空間をつなげ、「自然と建物の一体化」を目指しました。大地や緑、風などを室内に招き入れ、また外観も自然と溶け込み、「外から内へ、内から外へ空間を連続させる」デザインを追及しました。
現在私たちはこのような近代的な空間の使い方に慣れていますが、当時の人々にとっては画期的で真新しいデザインとして話題を集めました。
オーロラにある代表作
エルムスリーは外観に、テラコッタと呼ばれる茶色がかったオレンジ色の建築用素材を好んで使いました。そのため、オーロラにあるエルムスリーの建築はレンガ色で、どこか温もりや懐かしさを感じさせてくれると同時に厳格な印象があります。また、装飾として、地元の様子や価値観を表現した浮き彫り細工でアクセントをつけています。
オーロラ市の東から紹介していくと、今は市庁舎の一部として使われているのが1925年に建てられた「ドイツーアメリカ銀行」(German-American Bank)です。
西へ橋を渡り4分ほど歩くと、「キーストーン・ビル」(Keystone Building)、向かいに「グラハム・ビル」(Graham Building)があります。前者は1923年に建てられ、現在はバーやステンドグラススタジオなどのテナントが入っています。後者は1926年に建てられたオーロラのエルムスリー建築では一番高い建物です。
そこからまた橋を渡り西へ8分ほど歩くと、「オールド・セカンド・ナショナルバンク」(Old Second National Bank)があります。1924年に建てられ、プレイリースタイルの特徴である、水平のラインが特徴的です。
最後に、オールド・セカンド・ナショナルバンクから6分ほど歩いたところに、「ヒーリー・チャペル」(Healy Chapel)があります。1928年に建てられたもので、現在もチャペルとして使われています。
オーロラを訪れた際には、散歩がてらエルムスリー建築をチェックしてみてください!
よくある質問Q&A
オーロラの治安はどうでしょう?
イリノイ州第二の規模を誇るオーロラは、1990年代に一度衰退し、失業率と比例して犯罪率が上がったそうです。しかし、地域復興がうまくいったことによって、警察の取り締まりでギャングを一掃、犯罪率は大幅に減少しており近年ではこれまでの最小発生件数となっています。
シカゴ市周辺は近年治安改善に力を入れていますが、現在も安全とは言い切れない地域があります。下記がシカゴ内で一番治安の悪いとされるエリアなので、極力近づかないようにしましょう。
- リバーデール(Reverdale)
- エングルウッド(Englewood)
- ワシントンパーク(Washington Park)
- フォラーパーク(Fuller Park)
- バーンサイド(Burnside)
しかし、これらの治安の悪い地域は、ほとんどシカゴから近い南部にあり、オーロラからは程遠い位置にあります。オーロラに滞在する分には安心できるかとおもいますが、シカゴ市内に観光する際にはくれぐれもご注意ください。
オーロラのホテルの相場はいくらでしょうか?
オーロラ市にあるホテルは、$50〜$180程度の価格帯です。一番立地がよく人気のホテルは、オーロラ駅すぐ近くのホリデイインエクスプレスというお手頃ホテルチェーンです。一部屋2名利用で$100~$150ほど。部屋は比較的に広く、清潔感がありジムや室内プールも完備されています。
英語が話せないのですが、日本語が通じますか?
オーロラやシカゴで日本語を話せる人をさがすのは難しいです。ただ、地元の人々はフレンドリーなので、頑張って伝えようとすれば助けてくれるケースが多いかと思います。観光などに必要な英単語やフレーズは覚えておき、グーグル翻訳などのツールを常時使えるようにしておくと良いでしょう。
オーロラを含むシカゴの気候はどうですか?どの時期にいくのがお勧めでしょうか?
シカゴは北緯約41度、北海道の函館とほぼ同じ緯度だと考えると、想像がつきやすいかと思います。春と秋は短く、夏は涼しく、冬場には1月でマイナス5℃、ときにはマイナス18℃まで下がります。
そのため冬場よりも、夏だと湿度が低くさわやかな気候なので、快適に過ごすことができます。また、夏には野外イベントが目白押しで、野外コンサートやエアーショーなどが開かれます。
9月に入ると街中の木々が色づき始め、色とりどりの紅葉が風に揺れる風景はとても綺麗です。しかしこの時期になると数々のコンベンションが開かれ、人の出入りが激しくなるのでホテルの価格も上がります。
冬は寒いですが、12月になると街中がイルミネーションで煌めき、公園にはスケートリンク現れ、クリスマス一色となります。
シカゴを含め、オーロラを観光するには何泊くらいが最適ですか?
シカゴ行きのツアーは最短でも3泊5日が理想的です。シカゴの面積は約600平方kmで、東京都と大体同じ規模だと考えると想像ができるかと思います。アートや音楽、グルメからショッピングまで様々な魅力があります。またシカゴから電車で20~30分のオーロラ観光も満喫するには最低3泊が必要となります。
また日本から直行便だと約12時間、乗り換え便を使うと15時間以上かかるので、飛行機の往復で24時間以上かかります。また、日本とシカゴの時差は15時間で日本が先を進んでいます。
このように移動に時間がかかるのと、時差のため、シカゴツアーのほとんどは移動時間を含めて、最短でも5日間が必要となります。
飛行機でどのくらいかかりますか?
日本からは、成田と羽田からシカゴ・オヘア国際空港まで直行便がでています。成田・羽田からだと、直行便で平均11時間50分を要します。大阪など東京以外の日本の都市からは成田・羽田か、アメリカ国内やほかの国の都市を経由する必要があります。乗り継ぎ便だと、最短でも15時間以上を要します。