スイスってどんなところ?
スイスの基本情報
スイスはヨーロッパ中央部に位置する自然豊かな国で、正式名称はスイス連邦、首都は国土北西部に位置するベルン(Bern)です。国土面積は約41,285平方kmと、九州よりやや小さめくらいで、外務省基礎データによると総人口は842万人、大阪府の人口よりもやや少ない程度に留まります。
日本との時差はマイナス8時間で、サマータイム期間中は通常よりも1時間進んでマイナス7時間となります。実施期間は毎年異なるものの、一般に3月の最終日曜〜10月の最終日曜を目処に適用されます。
公用語は地方により異なり、主にドイツ語、イタリア語およびフランス語が話されているほか、ごく一部の限られた地域でロマンシュ語という希少言語が話されています。しかしながら、この国では英語も広く通じるので観光で不便を感じることはほとんど無いでしょう。
また、国民の大多数はキリスト教を信仰しており、イースターやクリスマスといった宗教に関連する祝祭日や建国記念日には、公共機関はもちろんのこと、観光地でもお店やレストランなどの営業時間が変則的になるので、注意が必要です。
治安が良く、その他ヨーロッパ諸国からのアクセスも便利なので、毎年夏の時期を中心に多くの観光客が訪れる人気旅行先です。
スイスの歴史
アルプスの高峰を有し、起伏に富んだ地形に豊かな自然が広がるスイス。「永世中立国」として不動の立場を貫くこの国がこれまでに歩んだ歴史は、その他のヨーロッパ諸国と比較しても非常に珍しく興味深いのが特徴です。
先史時代からローマ帝国による支配
スイスが位置する土地の歴史は先史時代まで遡り、この時には既に人々が湖畔に高床式の住居を構え、生活を営んでいたといわれています。
実際にスイス中央部および東部に位置するいくつかの湖周辺では湖畔住居群のほか、当時の人々の生活の様子を知るための大変重要なモノがこれまでにいくつも発見されてきました。過去に発掘された最も古い住居は当時のケルト系先住民、ヘルウェティイ族やラエティア族のモノです。
現在イタリアと国境を接しているスイスですが、その他のヨーロッパ諸国と同様に、紀元前3世紀以降多大な影響と支配力を誇っていたローマ帝国の支配を受けた歴史を持ちます。これは紀元前1世紀にシーザーがガリア遠征を行ったことを機に、4世紀半までの約400年間続きました。
現在スイス国民の大多数が信仰するキリスト教は、ローマ人によってこの時代に広められたとされています。
ゲルマン系民族の流入によるローマ帝国の撤退から原初3州の盟約成立
3〜5世紀にはゲルマン系民族が流入し、ローマ人は混乱のなか遂に撤退へと追い込まれてしまいました。その後は、様々な民族による侵攻や支配を受けながらも、10世紀末まで神聖ローマ帝国の一部としての歴史を歩みました。
1291年7月になると、サンゴッタルド峠のウーリ、シュヴィーツおよびウンターヴァルデンの3つの州がハプスブルク家の強権下に置かれることを恐れた為、現在のスイス連邦の原型とされるスイス盟約者団を結成し、相互に援助することを約束しました。スイスでは、この出来事を「リュトリの誓い」と呼び、盟約の成立が行われた8月1日を建国記念日としています。
当初は3つの州で構成されていた盟約者団でしたが、1332年にはルツェルン、その後チューリヒ、グラールス、ツークの順で加盟した後、18世紀末には「13州同盟」まで成長しました。
国家としてのスイス連邦確立
同盟結成以降も各州が持つ独自の法律を保ちながら相互援助の姿勢を崩さなかった、スイス。国家としての「スイス連邦」が確立されたのは1848年で、紀元前までさかのぼる多民族により構成された長い歴史のことを考えると、意外と最近の出来事であることが分かります。
スイスの通貨と両替事情
スイスの基本通貨はスイスフラン(CHF)で、フランという単位を用いて表記されるのが一般的です。2020年2月24日(月)現在、1フランあたりの両替レートは約113.73円です。
紙幣はCHF10、CHF20、CHF50、CHF100、CHF200、CHF1000の6種類、硬貨はCHF1/2、CHF1、CHF2、CHF5の4種類が存在します。その他にも、サンチームと呼ばれる少額の通貨(単位Ct)が3種類あり、100CtでCHF1とみなすので参考までに覚えておきましょう。
日本円からスイスフランへの両替は空港や主要駅の構内、銀行および観光客向けのホテルなどで広く行うことが出来ます。しかしながら、現地ではホテルやお店をはじめレストランなど、非常に多くの施設で国際クレジットカードでの支払いを受け付けているため、現金の両替は必要最小限で大丈夫です。
お店により、利用可能なクレジットカードの銘柄が異なるため、利用前に店先やレジ横に表示されているカード会社の種類を確認しておくとスムーズでしょう。
また、両替時に英語でやり取りするのが不安という方は、日本を出国する前に、あらかじめ国内の主要国際空港や銀行などで、スイスフランを入手しておくと安心です。
気候について
スイスの気候は日本同様、四季がはっきりとしています。一般的に4月から6月中旬が春、6月下旬から9月初旬が夏、9月中旬から11月が秋、そして12月から3月が冬にあたりますが、その平均気温は1年を通して東京の平均気温を下回ります。
そのため、夏の時期は最も気温が上がる7月でも平均最高気温は約20.4度程度と涼しく、代わりに冬の時期で最も気温が下がる1月は平均最高気温が約1.7度と非常に寒いのが特徴です。しかしながら、スイスは国土の約70%が山間部に該当し、起伏に富んだ地形をしていることから実際の気温は訪れる地域やその標高に大きく左右されます。
また、スイスの国土は日本の北海道よりも北に位置しているため、特に5月から7月頃は日没時刻が21時前後になります。少しでも長く観光を楽しみたい方には是非この時期の旅行をオススメします。
春(4〜6月中旬)
長い冬が終わり山に積もった雪が溶け始める時期で、南部地方や湖畔に位置する街で花々が咲き始めます。この時期は、ロープウェーをはじめ各種山岳設備のメンテナンスが行われるほか、山間部にはまだ雪が残っているため、ハイキングを楽しむには適していません。
サン・モリッツやルツェルンの町から美しいアルプスの景色を楽しんだり、ベルンやチューリヒなどの都市部および湖畔エリアを中心に観光することをオススメします。
夏(6月下旬〜9月初旬)
夏のスイスでは山間部の緑がより一層深まり、高山植物が最盛期を迎えるので、ハイキングを楽しみたい方にはとてもオススメです。日本の夏よりも湿度が低いので、過ごしやすいです。
また、国内各地で様々なイベントが開催されるためホテルや登山鉄道等の予約が一年で最も混雑します。この時期に旅行を計画している場合は、必要な予約をなるべく早く済ませる様にしましょう。
秋(9月中旬〜11月)
山岳リゾート周辺やブドウ畑の木々が黄金色に色付く、紅葉の秋。夏に比べて気温はグッと低くなるものの、天候が安定するので観光には十分適しています。国内各地では収穫祭が催されるほか、レストランにはジビエやキノコといったこの季節ならではの食材が提供されます。
冬(12〜3月)
スイスの冬は、日本と比べ二足ほど早くやって来ます。標高が高いエリアでは、10月に入る頃には初雪の便りが届き、一気に気温が下がります。この時期のアルプス地方は晴天率が高いので、スキーをはじめとするウィンタースポーツを楽しむ人々で賑わいます。
服装について
スイスを訪れる場合の服装は、基本的に「日本の四季に合わせた服装プラス1枚」と想像していただくと分かりやすいと思います。上でも紹介した通り、現地の平均気温は一年を通して東京の平均を約3〜4度前後下回ります。
そのため、現地を訪れる時期に該当する季節と日本での服装を照らし合わせ、それにカーディガンやシャツを一枚プラスすると快適に過ごしていただくことが出来ると思います。しかし標高が高いエリアや山間部では、夏の時期でも日中と比べ朝晩の気温が一気に低くなるため、防寒対策をしっかりと行うことをオススメします。
スイスの文化
スイスでは、国民の大多数がキリスト教を信仰しています。そのため、この国の文化はキリスト教の影響を強く受けているのが特徴です。クリスマスやイースターをはじめとする、キリスト教に関連する祝祭日には公共機関はもちろん、お店やレストランも休みになることがほとんどなので、この時期に旅行を予定している方はスケジュールの作成に注意が必要です。
また、現地のビジネスアワーは日本と若干異なるので、銀行やお店を訪ねる場合は時間に気を付けましょう。銀行の場合、営業は基本的に月曜から金曜日の8:30〜16:30、商店は月曜から金曜日までが8:30〜18:30、土曜は9:00〜16:00の営業で日祝は休みなのがほとんどです。
マナーについて
スイス人の一般常識や生活マナーに関する価値観は、日本人と非常に似ています。
例えば、現地の社会システムには時間厳守の価値観がしっかりと浸透していて、親しい相手以外とは程よい距離感を保ち、相手のプライバシーを尊重すること、および清潔感を重視するところなど、共通点がいくつも存在するのが特徴です。そのため、現地では比較的心地よく過ごしていただく事が可能です。
チップについて
訪れる国により、大きく異なる「チップ文化」。日本には存在しない価値観であるため実際にいくら渡せば良いか、そもそも渡すべきなのか迷ってしまうことも多いはずです。
しかし、スイスでは基本的にチップを渡す習慣が無く、ホテルのポーターに荷物を運んでもらう場合など限られた場面でしか渡す必要が無いので安心です。チップとして渡す金額は2〜3CHFが一般的なので、参考までに覚えておきましょう。
スイスの治安
スイスはヨーロッパで最も治安が良い国の一つですが、都市部や空港や駅などをはじめとする多くの人々が集まる場所での油断は禁物です。
特にチューリヒ、バーゼル、ローザンヌおよびジュネーヴでは地元の人々や観光客の他に、不法滞在者の外国人や失業者も紛れている可能性が高く観光客を狙ったスリや置き引きなどの軽犯罪の被害が報告されています。外出する際はパスポートや貴重品などはホテルの客室にあるセーフティーボックスに保管し、必要最小限の現金とクレジットカードを持ち歩きましょう。
また、夜間に外出される場合は治安が良い国だからと安心せずに、なるべく人通りの多い道を歩いて下さい。現地では、海外旅行中の病気やケガの治療費は基本的に全額自己負担となってしまうため、あらかじめ海外旅行保険に加入しておくと安心です。
人気観光都市
スイスには3つの世界自然遺産と9つの世界文化遺産があり、それらを中心に以下の観光地が人気です。
【主な人気観光地一覧】
- アーレ川沿いに広がる中世の雰囲気漂う旧市街を持つ首都ベルン
- ローマ時代からの歴史を持つスイス最大の都市チューリヒ
- 美しい旧市街が湖畔にまるで絵画を描いたかのように広がるルツェルン
- 人気登山鉄道の観光拠点であるサン・モリッツ
- マッターホルンを望むパノラマビューが訪れる者を魅了するツェルマット
- 迫り来る氷河の迫力を目当てに多くの登山客が訪れるグリンデルワルト
定番スポット10選
フラウ・ミュンスター(チューリヒ)
フラウ・ミュンスターは、印象的な青緑色の屋根を持つ斜塔が特徴の教会で、スイス最大の都市であるチューリヒのリマト川左岸に位置しています。
教会は、カール大帝の孫として知られる、ルートヴィヒ王の娘ヒルデガルトにより、女子修道院として853年に建造されたのがはじまりです。それが12~15世紀にゴシック様式の教会へと変化し、今日に至ります。教会内部にはシャガールが1970年に制作した美しいステンドグラスがあり、主な見どころとして親しまれています。
フラウ(Frau)はドイツ語で夫人を、ミュンスター(Munster)は教会を意味し、かつてこの教会が修道院として使用されていたことに由来しています。また、教会前には14世紀にチューリヒ市長を務めたハンス・ヴァルトマンの騎馬像が立っています。
教会は通年開放されていますが、日曜の午前中は礼拝が行われるため観光はご遠慮ください。
グロース・ミュンスター(チューリヒ)
グロース・ミュンスターは、フラウミュンスターの対岸に位置する教会で、2本の塔を有する特徴的な外観が目印です。創建は11〜12世紀初頭までさかのぼり、かつてカール大帝が築いた教会堂の跡に建造されたと言われています。
教会の地下および窓付近の2ヵ所にはカール大帝の像が、内部にはジャコメッティが制作を手掛けたステンドグラスがあることでも知られ、今日ではスイス最大のロマネスク様式の教会として有名です。
ロマネスク様式が特徴である2本の塔は15世紀に建造された後、火災による焼失を原因に18世紀頃再建されたもので、塔部分にはCHF5の入場料を支払って登ることが可能です。
フラウ・ミュンスターと同じく、日曜の午前中は礼拝が行われるため観光はご遠慮ください。
ベルン旧市街(ベルン)
ベルンはスイス連邦の首都で、国土北西部に位置する人口14万人の都市です。ベルンの旧市街は「ヨーロッパで最も古い街並み」が残り、1983年にはユネスコの世界遺産として登録を果たしました。
旧市街の歴史は1191年までさかのぼり、西側を除く三方向がアーレ川に囲まれていて城壁の役割を果たしています。建物は丘の上に建てられ、ここがかつて要塞都市として機能していたことを物語っています。
美しい街並みを構成する建造物は中世の時代に造られたもので、砂岩が材料として使われているのが特徴です。戦争や火災による消失やダメージが原因で、16世紀以降に建て直された建造物が多いヨーロッパの街並みですが、スイスの歴史はほかの国と異なり、都市が戦争に巻き込まれることがなかったため、正真正銘の「中世の街並み」が良好な保存状態で残されているのも嬉しいポイントでしょう。
旧市街自体はさほど広くないものの、是非訪れておきたい見どころがいくつも存在するため、以下に代表的なスポットをいくつか挙げたいと思います。
【主な見どころ】
- 12世紀前半に旧市街の西門として築かれて以降、改築の手が加えられ約800年ものあいだ時を刻み続けている時計塔
- 現在の時計塔にあたる西門が造られた後、ベルン旧市街が拡張する事となった際に新たに建造された西門で、16〜18世紀には牢獄として使用されていた歴史を持つ牢獄塔
- 1421年に着工し、約450年もの歳月を費やして完成した、後期ゴシック様式が特徴の大教会であるベルナー・ミュンスター
カペル橋(ルツェルン)
カペル橋はスイス中央部に位置する、古都ルツェルンのシンボルとして親しまれる橋で、ヨーロッパでは最古の屋根付き木橋として知られています。橋の全長は204mにも及び、その歴史は1333年までさかのぼります。
今でこそ、ルツェルンが誇る美しい湖の景観の一部を構成する「カペル橋」ですが、かつては湖から敵が侵入してくる事を防ぐための砦として利用されていました。そのため、湖側の壁は旧市街側よりも高く造られており、警備を行う兵士たちが武器を据えやすい様に工夫が施されています。
橋と並んで立つ八角形の塔は「水の塔」と呼ばれ、外敵を監視する見張り台のほかに、拷問部屋や貯水塔としても使われていたそうです。また、屋根の梁(はり)には、守護聖人の生涯、および町の歴史に関連する内容が描かれた絵画が110枚飾られていて、非常に見応えがあります。
1993年8月に起きた火災により、残念ながら橋の大部分は多くの絵画作品と共に焼失してしまいましたが、現在でも17世紀前半に描かれたものが奇跡的に数枚残っています。夜には美しくライトアップされ、日中とは異なった幻想的な姿を見せてくれます。
ルツェルンでの滞在時間に余裕がある方は是非、昼夜両方とも足を運んでみることをオススメします。
ライオン記念碑(ルツェルン)
ライオン記念碑は、スイス傭兵の死を悼む目的で大きな岩盤を削って造られた慰霊碑で、ルツェルン旧市街の外れに位置しています。大きな砂岩に彫り込まれた「瀕死のライオン」は非常に見応えがあります。
このライオンは1792年にフランス革命の際、チュイルリー宮殿でルイ16世とマリーアントワネットを守って命を落とした786名のスイス兵を悼み、この名誉ある出来事を称えるために1821年に彫られたものです。
永世中立国として知られ、他国で戦争が起きてもそれに加わることが無いスイスですが、スイス兵は堅実かつ優秀であることから、当時フランスやイタリアをはじめとする他国へ傭兵として赴いていました。中立宣言をした以降も、経済的背景からこの様な状況を強いられた人々は多く存在しました。
他国のためでも、忠誠心を保ち敵と勇敢に戦った彼らは高い尊敬に値する存在です。かつての名残から、ローマのヴァチカン宮殿の護衛は現在でもスイス兵が担当しているといわれています。
カペル橋およびムゼーック城壁と並び、ルツェルンを代表する観光スポットの一つです。是非訪れてみて下さい。
ジュネーヴ
ジュネーヴはスイス最西端およびフランスとの国境付近に位置する都市で、国際連合の欧州本部や赤十字国際委員会をはじめ、合計20近くの国際機関の本部が置かれています。街はヨーロッパで2番目に大きいことで知られるレマン湖に面し、国際色豊かな雰囲気が漂っています。
観光で訪れる場合の目印はローヌ川で、旧市街である南岸と新市街にあたる北岸の間を流れています。ジュネーヴを鉄道で訪れる場合は、ジュネーヴ中央駅で下車の後、南の方角へ徒歩10〜15分程度で旧市街に到着します。
そんなジュネーヴの楽しみ方は非常に幅広く、歴史に関連する観光スポットのほかにも、レマン湖のクルーズ体験や国際機関の本部を訪ねたりと様々です。
マイエンフェルト
マイエンフェルトはスイス東部に位置し、チューリヒから電車で1時間10〜30分でアクセスできることから、日帰りで観光に訪れる人が多い村です。ここは、作家ヨハンナ・シュピリの名作『ハイジ』のモデルとなったことで知られ、ハイジの家やアルプの山小屋をはじめ、まるで物語の世界に入り込んでしまったかのように自然豊かなハイキングコースなど様々な見どころが存在しています。
この村の特産物はワインなので、辺りを散策すれば自然とぶどう畑が広がるのどかな風景に出会うことでしょう。チューリヒから日帰りでどこかへ出掛けたい場合にオススメの観光地です。
ディアヴォレッツァ
ディアヴォレッツァは、スイス南東部に位置するサン・モリッツから、鉄道とロープウェーを利用して行くことができる、標高2,973mの展望台です。目の前にはピッツ・パリュ(標高3,900m)、ピッツ・モルテラッチ(標高3,751m)およびピッツ・ベルニナ(標高4,049m)などの名峰が広がり、その足元にはペルス氷河、モルテラッチ氷河など、迫力ある氷河が横たわります。
サン・モリッツからベルニナ・ディアヴォレッツァまでの鉄道乗車時間は約35分、そこから更にロープウェーを利用して約10分でアクセス可能です。夏季、冬季共に営業していますが、春と秋はメンテナンスにより列車とロープウェーが運休となることがあるため、ご自身の旅行期間中の運行情報をあらかじめ確認をしておくことをオススメします。
ゴルナーグラート
ツェルマットからゴルナーグラート登山鉄道で約33分、標高3,131m地点に位置する展望台です。鉄道駅は標高3,089mに位置し、展望台との標高差が約40mあるため、傾斜を少し登る必要があります。
展望台から見える景色は360度のパノラマビューで、まさに絶景そのものです。マッターホルン、リスカム、およびモンテローザをはじめとする標高4,000m級の名峰が周辺にいくつも連なる景色は圧巻です。展望台にはホテルやレストランのほか、お土産屋さんもあるのでゆっくりと観光を楽しんでおきたいスポットです。
また、乗車時間は短いものの、車窓から眺める美しい景色は必見です。往路は車両右側の座席に座って雄大なマッターホルンの景色を楽しんで、復路は反対側に座って往路とはまた違った景色を楽しむのも良いでしょう。
ユングフラウヨッホ
ユングフラウヨッホは、名峰ユングフラウ、メンヒ、アイガーが連なる標高4,000m級のベルナーアルプスを望むクライネ・シャイデック(2,061m)から約100年前に開通したユングフラウ鉄道でアクセス出来る鉄道駅で、「ヨーロッパ最高地点に位置する鉄道駅」として知られています。
鉄道駅の標高は3,454m、その上に位置するスフィンクス展望台は3,571mで、そこから眺めるアルプスのパノラマビューが人気です。東にはメンヒ(標高4,107m)、西にユングフラウ(標高4,158m)、南にアレッチ氷河が広がる絶景はスイス観光のハイライトともいえます。
駅から展望台までは高速エレベーターに乗って、約25秒で到着するため、体力に自信がない方も安心して訪れることが出来ます。また、その他にもユングフラウ鉄道やユングフラウ地方の歴史、文化に関する資料が展示されている「アルパイン・センセーション」や氷河を深さ30m程まで掘って造った氷の宮殿などの見どころもあります。
野外にも展望台が設けられているので、そこで万年雪を自分の足で踏み締めてみるのはいかがでしょうか。
スイスの歴史を辿る観光スポット 3選
マルティニ
マルティニはスイス南西部にある有名なワインの産地で、アルプスから流れる6本の川が合流する地点に位置しています。ここは、ナポレオンやカエサルといった歴史的に大変重要な人物も遠征の際、通ったといわれる町で、中心部には中世の面影が残る美しい邸宅や古い教会があります。
また、ケルト・ローマ時代から交通の要衝して栄えてきた歴史を持つことから、ローマ時代の円形闘技場をはじめとする重要な遺跡も残されているのが特徴の1つとして挙げられます。その他にも興味深い美術館がいくつか点在するほか、13世紀の城塞であるバスティア城などの見どころがあり、緑豊かなブドウ畑を歩きながらゆっくりと散策するのがオススメです。
ベルナー・ミュンスター
ベルナー・ミュンスターは、アーレ川の近くに位置し、通称「ベルン大聖堂」と呼ばれる後期ゴシック様式の大聖堂です。1421年から約470年もの歳月を費やして、1893年に完成されたといわれる建物からは重厚感と趣が自然と伝わってきます。
大聖堂の目印とも呼べる尖塔の高さは100.6mでスイス最大であるといわれ、そこからベルンの街を一望することが出来ます。主な見どころは、正面入口に施されたレリーフ『最後の審判』、教会内部の美しいステンドグラスおよび5,040本のパイプを持つパイプオルガンです。
大聖堂への入場自体は無料なのですが、尖塔に登る場合は別途CHF5の入場料が必要です。尖塔内部は狭い上に、急な階段を344段も登る必要があるので、歩きやすい靴で行きましょう。
時計塔
12世紀に築かれた城門を改装して造られた、ベルン旧市街のランドマーク的存在の建造物です。基盤部分はベルン最古の建物、そして天文時計とからくり人形は1530年に作られたもので毎時56分に動き出します。
現在は時計塔が位置していますが、この建物が12世紀に城門として築かれた際は、この場所が旧市街の西端であったと言われています。そのため、この建物は西門としての役割を果たしていました。
ツアーを予約すれば、内部見学をすることも可能なので興味のある方は参加することをオススメします。ツアーの所要時間は約50分間で、毎日14:30から開催されています。訪れる時期により、開催されていない場合もあるため、事前に確認を入れておくとスムーズでしょう。
チューリヒから日帰りで訪れる観光スポット 4選
アインジーデルン
ヨーロッパ最大級かつスイスで最も有名なカトリックの巡礼地で、サンティアゴ・デ・コンポステーラへ続く世界遺産の巡礼路にある重要な場所です。
最大の見どころは、10世紀からの歴史を持つベネディクト修道院で、バロック様式の教会に細かく施された彫刻やフレスコ画をはじめとする装飾、および豪華な衣装を身にまとった黒いマリア像は必見です。
また、この町は中央スイス最大規模のクリスマスマーケットが開催されることでも知られ、毎年12月の9日間は100本を超えるクリスマスツリーによるきらびやかな装飾と120軒を超える屋台を目当てに多くの人々が訪れます。チューリヒから約50分でアクセス出来るので、是非気軽に足を運んでみて下さい。
バーデン
チューリヒから急行列車を利用して約15〜20分でアクセス可能な、名湯が湧き出る温泉リゾート地です。その歴史は遥か2,000年以上昔のローマ時代までさかのぼり、この頃すでにAquae Helvetia(スイスの水)として親しまれていたといわれています。
バーデンには合計19の源泉があり、47度のお湯が毎日100万リットル湧き出ています。その泉質は硫黄塩化ナトリウムで、リウマチや皮膚疾患などに効果があるそうです。
町全体の雰囲気は、とても落ち着いていてリゾート地特有の華やかさとは無縁なものの、なぜか訪れる人々を惹きつけて止まない素敵な趣があります。チューリヒから流れるリマト川沿いには「スイスで最も美しい旧市街のひとつ」と称される褐色屋根の街並みが広がり、伝統的なスパやホテルが点在しています。
美しい街並みをゆっくりと散歩しながら、異国の地で湯巡りというのも贅沢でしょうね。
修道院図書館
大聖堂の南側に位置する、ザンクト・ガレン修道院の付属図書館です。ロココ調の装飾が美しい内部には、10万冊を超える蔵書が天井までびっしりと詰め込まれています。これらのなかには8〜12世紀の写本が2,000冊以上、そしてヨーロッパ文化および同修道院に関連する貴重な書物が含まれます。
大聖堂
スイス北東部のザンクト・ガレン州に位置する、後期バロック様式の格調高い大聖堂です。この大聖堂の歴史は、この地に修道士が僧院を建てた612年までさかのぼりますが、現在訪れることが出来る建物は、1755年から1767年にかけて改修されたものです。
また、内部には彫刻や装飾画をはじめとする装飾が細かく施され、当時の繁栄ぶりがうかがえます。1983年には、大聖堂東側に隣接する旧修道院と共に「ザンクト・ガレン修道院」としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。
レマン湖畔で訪れる観光スポット 6選
ローザンヌ
レマン湖北岸に位置し、ヴォー州の州都として知られる美しい町です。緑豊かなブドウ畑に囲まれた街並みは、ローザンヌ中央駅を挟んで北側が旧市街、そして南側が新市街に分けられています。
町には、ローザンヌ大学をはじめとする様々な学校のほかに、スイス連邦最高裁判所など政府関連の施設が位置しています。紀元前から続く長い歴史を保ちながらも、ジャンルに偏らない多様な文化を受け入れる寛容さは、この国の文化都市ならではです。
【主な見どころ】
- 「スイスで最も美しい教会」と称される、12〜13世紀のゴシック建築「ローザンヌ大寺院」
- スイスのフランス語圏で18世紀以降に活躍した画家の作品を多数収蔵している「州立美術館」
- 1915年以降ローザンヌに本部を置く国際オリンピック委員会が運営する「オリンピック博物館」
シヨン城
レマン湖に突き出す形で位置する、モントルー郊外の古城です。ここは東方からやってくる商人から税金を徴収するための関所として9世紀に建造されたのち、約4世紀もの歳月を費やして現在の姿になったといわれています。
ジュネーヴの宗教改革者、フランソワーズ・ボニヴァルがかつてこの城に幽閉されていたことから、バイロンの叙事詩「シヨンの囚人」でもよく知られています。内部では、地下牢を見学することが出来るほか、サヴォア公をはじめ歴代当主に関連した調度品類が展示されています。
モントルー
レマン湖東岸に位置し、「スイスのリヴィエラ」と称される高級リゾート地です。この町は、レマン湖畔で最も気候および景色が良いと評判で、18〜19世紀には英国貴族も多く訪れたといわれています。
また、毎年6〜7月には世界三大ジャズ・フェスティバルのひとつとして数えられる「モントルージャズフェスティバル」が開催され、世界中から集まる多くの人々で賑わいます。
ヴィヴェイ
世界遺産にも登録されているブドウ畑「ラヴォー地区」に囲まれ、中世の時代から白ワインの産地として栄えるレマン湖畔のリゾートです。この地から見渡す湖とアルプスの景色はとても美しいことで評判が高く、これまでにチャールズ・チャップリンをはじめ多くの芸術家や貴族を魅了してきたといわれています。
また、この町は1797年以降、約20年に1度の頻度で開催されるワイン生産者の祭り「フェット・デ・ヴィニュロン」の会場としても有名で、現在はユネスコの無形文化遺産として登録されています。最後の開催時期は2019年の7〜8月だったので、次回の開催はほぼ20年先になるでしょう。
モルジュ
モルジュは、ローザンヌとニヨンの間に位置する小さな町です。チューリップやダリアなど様々な花に一年中彩られていることから「レマン湖の花」と称され、この町のすぐ近くにあるトロシェナという村で晩年を過ごしたオードリー・ヘップバーンもたびたび訪れていたと言われる景勝地です。
主な見どころは、13世紀にサヴォイア家によって建造されたモルジュ城です。この建物はトンガリ屋根を持つ円柱状の塔が4隅に配置されている特徴的な構造をとっていて、かつては城塞としての役割を担っていたと言われています。現在は、軍事関連の博物館として利用されていて、18世紀以降の軍服や大砲および鎧などを展示しています。
ニヨン
ジュネーヴとローザンヌの間に位置する、人口約1万8,000人の小さな町です。高台には旧市街が広がり、その歴史はユリウス・カエサルが植民地「コロニア・ユリウス・カエサル」を開いた紀元前45年頃までさかのぼります。そんなニヨンでは、これまでに古代ローマ時代の神殿跡や円形闘技場、そして美術品が多く発見されています。
主な見どころは、ローマ時代の遺跡やその他出土品を展示するローマ博物館と、この町に12世紀後半頃、築かれたといわれるニヨン城です。城内部では、この地の歴史および陶磁器を紹介されているほか、18~19世紀にこの地で盛んに作られていた磁器の貴重なコレクションが展示されています。
ジュネーヴからは電車で所要約15分でアクセス可能です。
アルプスの大自然を楽しむ観光スポット 5選
グリンデルワイト
グリンデルワイトは、スイス中南部に位置する標高1,034mの町です。周辺にはヴェッターホルン、アイガー、メンヒおよびユングフラウといったアルプスの山々が位置することから、夏の時期を中心に登山やハイキングを楽しむ多くの観光客で賑わいます。
美しい自然を望むハイキングコースや展望台を訪れる方には、この町を拠点に観光することをオススメします。
【グリンデルワイトから行ける絶景パノラマスポット】
フィルスト/グロッセ・シャイデック/クライネ・シャイデック
ツェルマット
ツェルマットは、スイス南西部のバレー州南部に位置する標高1,620mの町で、周辺にはマッターホルンをはじめとする標高4,000m以上の高峰が29も位置しています。そのため、夏は登山やハイキングを楽しむ人々、冬はスキーをはじめとするウィンタースポーツを楽しむ多くの人々で賑わいます。
また、この村はゴルナーグラート、スネガ、ロートホルン、およびマッターホルン・グレーシャー・パラダイスなどの展望台からも近いので、これらを訪れる観光拠点として滞在するのも便利です。ツェルマットは、氷河の上で楽しむ夏スキーやアイストレッキング、そして壮大な自然のなかで楽しむ山登りなど、とにかくアウトドアの魅力がいっぱい詰まった人気観光地です。
時間が許す限り滞在して、その魅力を存分に満喫しましょう。
スネガ
ツェルマットから地下ケーブルカーを利用して、たったの3分でアクセス可能なマッターホルンを望む展望台です。標高2,288m地点に位置し、周辺には緑豊かな牧草地のほか、空の青を美しく反射するライゼー湖があります。
また、ここからロープウェーを2つ乗り継いで標高3,104mの場所に行くと、「マッターホルンが最も尖って見える展望台」として親しまれるロートホルンの展望台があります。
スネガは、現地での時間にあまり余裕が無い、もしくは体力そのものにあまり自信が無い方にオススメな展望台で誰でも気軽に訪れることができます。
ロイカーバート
ロイカーバートは、スイス南西部のスイスヴァレー州に位置する、国内でも有数の温泉リゾート地です。この村では、ローマ時代に発見された複数の源泉から平均温度51℃のお湯が毎日390万リットル湧き出ています。
この村には、目立った観光地こそ無いものの、各地に点在する合計22の温泉が訪れる人々の心と身体を癒します。これらの多くは、日本の温泉地と同様に宿泊施設に併設されたものが多いですが、日帰りの観光客でも気軽に利用することが出来る温泉もいくつかあります。
スイスの温泉は、日本と設備や雰囲気が全く異なるうえに水着で入る文化が定着しているので、先入観を持って訪れるとカルチャーショックを受けるに違いありません。しかしながら、ロイカーバートから湧き出る湯は硫酸塩泉であり、リウマチおよび皮膚病に効くほか、美容にも良い正真正銘の温泉です。
ツェルマットから日帰りで訪れることが可能なので、観光やハイキングの疲れを癒しに足を運んでみてはいかがでしょうか?
サン・モリッツ
グラウビュンデン州南部に位置する高級リゾートで、過去に冬季オリンピックが2回開催されたことで知られています。サンモリッツ湖西岸には素朴な佇まいの街並みが広がり、一流のブランドショップや高級ホテルが立ち並ぶほか、3,500年の歴史を持つ炭酸泉や様々なスポーツが楽しめる施設などが充実しています。
周辺には、「ディアヴォレッツァ」をはじめコルヴァッチ、ムオタス・ムライユなどベルニナアルプスを望む展望台があり、スイスならではの絶景を楽しみに訪れる観光客およびハイキングやスキーを楽しむ観光客で1年中賑わいます。
また、この町は氷河特急やベルニナ特急といった観光列車の発着駅でもあるため、観光の拠点として訪れる方も多いです。
失敗なしのスイス定番お土産
チーズ
アルプスの自然に恵まれ、古くから酪農業が盛んなスイスでは、古くからチーズが保存食として食べられています。その歴史は1世紀頃までさかのぼるといわれ、現在では数百種類に及ぶチーズが国内全土で食べられています。その味や香りは、材料や製法、および熟成期間により、それぞれ異なります。
1つの国に様々な言語圏が混在するこの国では、地域により食べられているチーズの特徴も異なり、ドイツ語圏ではハードタイプ、フランス語圏ではソフトタイプが主流として親しまれています。スイスで生産されているオススメのチーズは、エメンタール、ラクレット、グリュイエール、およびアッペンツェラーの4種類で、それぞれ食感や風味が異なるのでお店で試食しながら好みのものを選ぶことをオススメします。
チョコレート
スイスは、国民一人あたりの年間チョコレート消費量が世界一として知られる「チョコレート大国」です。スイス観光局が2015年に発表したデータによると、その消費量は一人あたり平均11.1kgで、日本人の平均と比べても約5倍で非常に多いのが分かります。
そんなスイスでは、リンツやネスレなどの老舗をはじめ、数多くの企業がチョコレートを生産してるため、色々な種類のチョコレートが楽しめます。実際に、私たち日本人にも馴染み深いミルクチョコレートは、この国で1875年に発明されたものでお土産の定番として不動の人気を誇っています。
スイスワイン
生産量が少なく希少であるため、市場にあまり出回ることがない「スイスワイン」。他国に引けを取らないほど良い質のワインを生産しているにも関わらず、他国になかなか出回らないのは、約6割が山岳地帯に覆われている国土の特性と国内でのワイン消費量が関係しています。
この国では、一人あたりのワインの年間消費量が日本人の約20倍といわれ、スイスワインのほとんどは国内で消費されています。また、アルプスに囲まれ、日当たりが良い平地が限られているためブドウの生産量に限りがあるのもスイスワインが希少である理由の一つです。
そんな日本では手に入れることが難しいワインも、現地では簡単に手に入ります。その約7割は白ワインですが、生産される地域によって味や特徴が異なります。お酒が好きな方にお土産として買っていけば、絶対に喜ばれること間違い無しですね。
時計
その他のお土産と比べると、格段に値段が異なるものの、特別な人へのプレゼントに最適なスイス土産といえば、やはり時計です。この国では、伝統産業である精密機械を生かした時計作りが非常に盛んに行われていて、これまでにOmega(オメガ)、Chopard(ショパール)、Longines(ロンジン)、およびSwatch(スウォッチ)などのブランドが生まれたほか、その他にもRolex(ロレックス)が1919年にイギリスから拠点を移したことでも知られています。
スイスの時計は高品質として評判が高く、世界中の時計ファンから愛されています。
スイスへのアクセス
日本からスイスへは、直行便または乗り継ぎ便を利用してアクセスするのが一般的です。日本から直行便を利用して行くことが出来る都市はチューリヒのみで、成田空港からの最短所要時間は12時間10分、第3国を経由する乗り継ぎ便を利用する場合は13時間50分前後です。
スイス観光の移動手段
スイス国内を観光で移動する為の主な移動手段は、鉄道、バス、レンタカーおよび湖船の4種類があります。なかでも、バスと鉄道は都市間を移動するために利用する方が多いので詳細を以下に紹介したいと思います。
鉄道
スイスの鉄道システムは非常に発達しており、列車の運行時間が正確で設備が清潔なのが特徴です。列車の種類は主にスイス国鉄と観光列車の2種類に分けられています。
列車の時刻表はスイス国鉄(SBB)のホームページ、または公式のスマートフォンアプリであるSBB Mobileで確認することが可能なので、旅行の計画を立てる際は運行スケジュールを事前に把握していると、時間の無駄がなく行動できるでしょう。また、これらでは切符の事前購入が可能であるほか、列車の運行ルートも確認出来るので利用をオススメします。
その他にも、駅の窓口や自動券売機での購入も可能なので状況に合わせて使い分けましょう。
【スイス国内で運行されている列車の種類】
- 特急列車「インターシティ(IC)」、「インターシティ・ナイゲツーク(ICN)」
- 急行列車「インターレギオナル(IR)」
- 快速列車「レギオエクスプレス」、「レギオナールツーク」
- 普通列車「Sバーン」
【絶景を堪能するパノラマ列車の種類】
- サン・モリッツ〜イタリアのティラーノを結ぶ「ベルニナ・エクスプレス」
- ツェルマット〜サン・モリッツ間を結ぶ「グレーシャー・エクスプレス」
- ルツェルン〜モントルー間を結ぶ「ゴールデンパス・パノラミック」
- ルツェルン〜ロマンスホルン間を結ぶ「フォアアルペン・エクスプレス」
- ルツェルン〜ルガーノ間を結ぶ「ゴッタルド・パノラマ・エクスプレス」
その他、各種登山列車が存在します。
バス
スイスの公共バス「ポストバス」は、黄色い車体が目印で非常に分かりやすいのが特徴です。バスの名前は、かつて鉄道網が整備されていない山奥に位置する町や村に、郵便物を届けるために走っていたことに由来しています。現在でも、郵便物は運んでいるそうですが、乗客の輸送がメインとなっているのが現状です。
バスの路線はシンプルかつ分かりやすく、鉄道ではアクセス困難なアルプスの峠など、地方を訪れる場合に便利です。バスのスケジュールは鉄道と同じくSBBのホームページで確認出来るほか、現地のツーリストインフォメーションおよび鉄道駅でも確認可能です。
切符はバスの運転手から直接購入するのが一般的ですが、大きなバスターミナルの切符売り場や郵便局でも購入可能な場合があります。車内アナウンスは訪れる地域の公用語で行われる場合がほとんどなので、スマートフォンの地図アプリなどで停留所の位置を確認しながら移動すると安心です。
湖船
国土の半分以上が山岳地帯に覆われているスイスですが、実は1,500以上の湖があると言われ、湖畔に位置している町同士を行き交う湖船も重要な交通手段の一つとして利用されています。
湖船の運航スケジュールは、現地を訪れる季節により異なるので、運航会社の公式ホームページをあらかじめ確認しておくことをオススメします。
スイス観光でお得なフリーパス
スイストラベルパス
Swiss Travel Pass(スイストラベルパス)とは、スイスを旅行する観光客向けに発行されているお得なパスで、決められた期間内に、国内の主な鉄道、湖船、およびバスが乗り放題になります。
パスの種類は4種類あり、有効期限はそれぞれ3日間、4日間、8日間、および15日間で、購入される際はスイス国鉄(SBB)またはRailEurope(レイルヨーロッパ)の公式ホームページ、現地ツアーの代理販売を専用とするツアー会社から手に入れることが可能です。
購入価格は、3日間有効なものでCHF369、4日間有効である場合はCHF447、8日間有効である場合はCHF663、そして15日間有効なものでCHF810です。これは一等車を利用する場合の価格で、二等車を利用する場合は、それぞれ3日間有効=CHF232、4日間有効=CHF281、8日間有効=CHF418、および15日間有効=513CHFと、割安です。また、26歳未満の方はこれらのパスを15%割引で利用可能なので、購入時にユースパスを選択しましょう。
そしてパスを所持する親に同伴する6〜16歳のお子さんは、親のパスと同様の利用クラスおよび有効期間の「スイスファミリーカード」を無料で利用することが出来ます。これは、親のパスを購入する際に申請する必要があるので注意して下さい。
また、お子さんが6歳以下である場合は自動的に無料で利用可能なので申請の必要はありません。
スイストラベルパスに含まれているサービス例
- 主な鉄道、バス、湖船が乗り放題(一部の山岳路線やロープウェーの利用は5割引が適用される)
- スイス全土に点在する約500ヵ所の美術館および博物館の入場無料
スイスの年間イベント情報
1月
ヘクセンアプファート
ヘクセンアプファートは、アレッチ氷河付近に位置する村のベラルプで毎年1月に開催される魔女スキーのお祭りで、村に残る魔女の伝説が原型であるといわれています。ヘクセン(Hexen)はドイツ語で「魔女」、アプファート(Abfahrt)は「滑降」を意味し、人々は魔女を模した格好でスキーを楽しみます。
スイス4大イベントとして数えられるほど人気のお祭りで、約1,000人もの魔女(参加者)が雪山を滑走する姿は迫力の一言です。
2月
ホム・シュトローム
ホム・シュトロームは、スイスの公用語の一つであるロマンシュ語で「藁の男」を意味する火祭りです。
これは、ウンターエンガディン地方のシュクオールで毎年2月の第1土曜日に開催される伝統的なもので、村の郊外に位置するグルライーナ地区の広場に設置した約8〜9m、重さ約500kgのポールに藁を縛り上げて作った藁の男(ホム・シュトローム)を伝統の歌を歌いながら燃やします。
冬のシンボルに見立てた藁の男を焼き払うことで、早い春の訪れと共に来季の豊作を願う意味が込められています。
3月
チャランダマルツ
チャランダマルツは、スイス南東部に位置するエンガディン地方およびその周辺が、かつてローマ帝国の属州であった頃から受け継がれている伝統のお祭りです。チャランダ(Chalanda)は月の始めを、マルツ(Marz)は3月を意味し、その名の通り毎年3月初旬に開催されます。
お祭りの内容は、「牧童を模した青いベストの衣装を着た子供たちが鈴やカウベルを鳴らしながら街中を練り歩く」という、いたってシンプルなもので、これには冬の悪魔を追い払って、良い1年を祈願する意味が込められているそうです。
4月
復活祭
復活祭は、通称「イースター」と呼ばれるイエス・キリストの復活を祝う行事です。この時期のスイスは、日本で言うお盆休みやゴールデンウイークなどのような大型連休にあたる為、山岳リゾートを中心に大変混雑します。登山鉄道やホテルを予約する場合は、なるべく早めに済ませておくことをオススメします。
イースターマンデー
イースターの翌日に祝われる日を「イースターマンデー」と呼びます。復活祭を含む2日間は、公共機関がお休みになるほか、観光客向けのお店やレストランの営業時間も変則的になるので注意が必要です。
聖金曜日
聖金曜日は復活祭前の金曜日で、「受難日」という別名を持ちます。これはイエス・キリストが十字架に掛けられた日に由来し、現地では宗教上、肉は食べずに魚を食べる習慣があります。
ランツゲマインデ
ランツゲマインデは年に一度、村の有権者が広場に集まって州の法案に関連する議論を行い、挙手によって賛否を示す青空議会です。これは中世から続く歴史を持ち、かつては8州で行われていたそうですが、現在はアッペンツェル・インナーローデン州、グラールス州の2州でのみ続けられています。
5月
昇天祭
昇天祭は、復活祭(イースター)から40日目にあたる、死後の復活を遂げたイエス・キリストが昇天した日を記念して祝われる国民の休日です。復活祭に関連する連休と同じく、一部の飲食店や公共交通機関を除き、公共機関やお店はお休みになるので注意が必要です。
6月
聖体祭
イエス・キリストが、十字架にかけられる前に12人の弟子達と食事を共にした「最後の晩餐」にまつわる祝日で、イエス・キリストの聖体の秘跡を称え、キリスト教を信仰する人々の真心を呼び覚ます日とされています。
ペンテコステ
ペンテコステは、復活祭の49日後に祝われる日で「聖霊降臨祭」という別名を持ちます。これは新約聖書のエピソードに由来するものでイースターと同様、キリスト教徒にとって大変重要な祝日です。
モントルージャズフェスティバル
1967年以来、レマン湖畔の町モントルーで毎年6〜7月開催されている世界的に有名な音楽イベントです。モントルージャズフェスティバルは毎年16日間の日程で行われ、世界三大ジャズ・フェスティバルのひとつに数えられています。
音楽のジャンルはジャズに限らず、ブルース、ロックおよびレゲエなど幅広いのが特徴です。
7月
ゲンミ峠の羊飼い祭り
ゲンミ峠の羊飼い祭りは、スイス南西部に位置するヴァレー州と、ベルン州の境であるゲンミ峠に羊飼いと1,000頭を超える羊が集う伝統イベントで、毎年7月の最終日曜日に開催されています。アルプスの山々に囲まれた湖のほとりに、多くの羊が群れをなす姿は圧巻です。
8月
建国記念日
毎年8月1日はスイス連邦の建国記念日です。
これは1291年8月1日(水)にウーリ、シュヴィーツ、および現在のオプヴァルデンとニトヴァルデンにあたる、ウンターヴァルデンの3つの州の代表が、フィアヴァルトシュテッテ湖のほとりに位置する村に集まりスイス盟約者団を結成し、「リュトリの誓い」をしたことを記念する国民の祝日です。
ジュネーヴ・フェスティバル
ジュネーヴ・フェスティバルは、毎年8月上旬にスイス西部の国際都市ジュネーヴで開催される夏の一大イベントです。市内各地では多数のコンサートをはじめ各種ショーやコンテストが開かれ、それらを目当てに約200万人の観客が訪れます。
夜には、レマン湖で盛大な花火大会が行われイベントの盛り上がりに華を添えます。
9月
チーズ分配の祭り
チーズ分配の祭りは、シグリスヴィルのユスティス谷で毎年9月に開催される「アルプスの収穫祭」です。夏の間、農夫がアルプの山小屋で作ったチーズを、自分の牛から搾取した乳量に応じて分配する伝統的な行事です。
会場には約3〜5kgのチーズがたくさん並べられるほか、ヨーデルの歌声やスイスオルガンの演奏、そして牛の牧下りなどが行われ、多くの参加者で賑わいます。
11月
ツィーベレメリット
スイスの首都ベルンで毎年11月に開催される伝統的な収穫祭です。「ツィーベレ」はドイツ語でタマネギを、「メリット」はマーケットを意味し、収穫祭ではその名の通りタマネギ市が開かれます。
これは1405年にベルンで起きた大火の際、近隣の農民たちが救援を手伝った褒美として、農作物を売る権利を与えられたことに由来しています。最初の市場が開かれたのは1439年で、以来約600年の歴史を持ちます。
12月
クリスマス
日本でも高い知名度を誇り、毎年12月に開催される一大イベント「クリスマス」。この日はキリスト教を信仰する人々にとって「イエス・キリストの後誕」を祝う重要な日であり、12月上旬になると国内各地でクリスマスマーケットがオープンします。
街中は素敵なイルミネーションで飾られ、ロマンチックな雰囲気に包まれます。マーケットでは、オーナメントなどクリスマスの準備に必要なグッズのほか、ホットワインやラクレットの様な軽食類も販売されます。
ヨーロッパに位置するいくつかの国を周遊する予定の方は、この時期に旅行を計画すると各地のクリスマスマーケット巡りができるので、普段よりも充実した旅行になるでしょう。