ペルーってどんなところ?
ペルーの基本情報
ペルーは南米大陸北西部に位置する多民族国家で、正式名称はペルー共和国、首都は国土西部の太平洋側に位置するリマ(Lima)です。その国土面積は日本の約3.4倍ほどの大きさを誇り、ブラジル、エクアドル、コロンビア、チリ、そしてボリビアの5ヵ国と国境を接しています。
世界銀行が2018年に調査した統計データによれば、ペルーの総人口は3,199万人で日本の人口と比較しても約4分の1程度に留まります。しかしながらこの国の人口構成比率は非常に興味深く、約45%はインディヘナ(先住民)、そして約37%は先住民とスペイン人の混血人種であるメスティソ、15%がヨーロッパ系人種、日系人を含むその他の人種が3%と様々な人種がひとつの国に共存しているのが分かります。
日本との時差はマイナス14時間で、アメリカやヨーロッパで一般的なサマータイムの適用はありません。公用語として一般的な言語はスペイン語ですが、山岳地域ではケチュア語、そして隣国ボリビアとの国境地域に広がるティティカカ湖周辺ではアイマラ語など先住民族に伝わるいくつかの異なる言語も話されています。
また、国民の76%がローマ・カトリックを信仰している一方、インカ帝国を興した先住民族の子孫として知られるケチュア族の間ではアンデスに伝わる古い神話の女神「パチャママ」などを崇拝する土着の宗教への信仰が深く根付いており、パチャママと聖母マリアを同一視している地域も存在します。
ペルーでは、復活祭やクリスマスといった宗教に関連する祝祭日および独立記念日には、官公庁や銀行は休みになるほか、観光客向けのお店やレストランでも営業時間が不規則になるので注意が必要です。
そんなペルーには、かつてエクアドルやボリビア、そしてチリ北部を含む南米最大の帝国を築いたインカ帝国の歴史をはじめ、未だ多くの謎が残されているナスカの地上絵、スペインによる植民地時代に築かれた美しい街並み、そして標高6,000m級の高峰が連なるアンデスの絶景など、様々な魅力があることから毎年世界各国から多くの観光客が訪れています。
ペルーの歴史
アンデス文明の発展
ペルーの歴史は古く、紀元前10世紀頃には既にアンデス山脈周辺で文明が生まれていたとされています。この国の歴史にはインカ帝国やチムー王国をはじめ、時代の流れに沿うように様々な文化が登場します。
なかでも、紀元前3000〜2000年頃にかけて繁栄したカラル文化は、アンデス文明の発展初期段階において大きな役割を果たした存在であり、ペルー中部の海岸沿いに位置するノルテ・チコ地方を中心に神殿や円形広場をはじめ、階段状のピラミッドなど多くの宗教建造物が遺跡として残されています。
この時代の遺跡としてカラル遺跡、セロ・セチン遺跡、およびワヌコ西郊に位置するコトシュ遺跡などが挙げられます。特にカラル遺跡は「アメリカ大陸最古の都市遺跡の一つ」として親しまれており、現在でも研究が進められています。
紀元前900〜200年頃には、北部アンデスの山岳地域を中心にチャビン文化という宗教性の強い文化が生まれ、それまで狩猟や漁労をもとに生活を営んでいたペルー全域へと瞬く間に広がりました。この時期を代表する遺跡は、チャビン・デ・ワンタル遺跡で高度な建築様式からアンデス文明の飛躍的な発展を垣間見ることが可能です。
その後、モチェ文化やナスカ文化、チムー王国など国内各地にそれぞれの文化が栄え、アンデス山脈を中心に発展していた文明規模も次第に砂漠や海岸地方へと広がりました。ナスカの地上絵やチャン・チャン遺跡、ワリ遺跡は、この時代に築かれたものであるといわれています。
インカ帝国の誕生からスペインによる植民地支配
11世紀末頃になると、中部アンデス地域にインカ帝国が出現しました。ケチュア族が首都クスコを拠点にエクアドル、ボリビア、チリ北部などの地域を支配し、15世紀に最盛期を迎えたことで知られています。
アンデス文明には文字が存在しなかった為、正確な起源は未だ定かではありませんが初代皇帝を含む13人の皇帝が即位したといわれています。約300年もの間、高度な文明や技術と共に繁栄を極めたインカ帝国でしたが、4,000kmにも及ぶ広大な国家を統制するため国家の基本として常に据えられていたのは、揺るぎない太陽信仰でした。
この時代を象徴する遺跡として、アンデス山脈の標高約2,280mの場所に位置する謎の天空都市「マチュピチュ」が挙げられるほか、古都クスコやカハマルカ、オリャイタイタンボ、ピサック、サクサイワマン、チンチェロ、ティポンなどの村に数多くの遺跡が残されています。
長く繁栄したインカ帝国の歴史に終止符が打たれたのは1532年のことで、金銀財宝を目指して中米から南下してきたフランシスコ・ピサロにより最期のインカ皇帝であったアタワルパが処刑されたことがキッカケでした。
その後ペルーは、1821年7月28日(土)に独立宣言が行われるまでの約290年間、スペインの植民地として圧政に苦しみました。カトリック教が布教されたのはこの頃で、ドミニコ会、イエズス会、フランシスコ会、およびメルセー会などの修道会が大々的に取り組みました。
植民地時代にスペイン人により築かれた建造物群は、首都リマや古都アレキパの歴史地区で訪れることが出来ます。これらは歴史的な街並み全体がユネスコの世界文化遺産として登録されており、非常に見応えがあるのが特徴です。
ペルーの通貨および両替事情
通貨について
ペルーの基本通貨はソル(PEN)で、S/という単位を用いて表記されるのが一般的です。2020年5月現在、1ソルあたりの両替レートは約31.38円で過去5年間の平均レートと比較しても若干円高傾向にあります。
紙幣はS/10、20、50、100、200の5種類、そして硬貨はS/1、2、5の3種類が流通しています。その他にも、センティモ(Centimo)と呼ばれる少額硬貨(単位C)が3種類あり、C100でS/1とみなすので参考までに覚えておきましょう。
両替について
現地では日本円の両替を扱う銀行や両替所が少なく、両替出来る場合でもレートが悪いことがほとんどです。そのため、日本を出国する際に空港などで手持ちの日本円を米ドルに両替しておくことをオススメします。
米ドルからからソルへ両替を行う場合はカサ・デ・カンビオ(Casa de Cambio)と呼ばれる両替所、銀行、もしくは観光客向けのホテルなどで両替することが可能です。
また、路上での両替も行われていますが、両替金額を誤魔化されたり、ニセ札を渡されるなどトラブルが多く報告されているので、なるべく信用の置ける機関で行うのが無難です。
ペルーでは自国通貨であるソルと共に米ドルが流通しており、外国人観光客が多く訪れるホテルやレストランでは、直接ドルで支払いすることが可能なことが多いので、必要に応じて使用通貨を使い分けましょう。また、これらの支払いにクレジットカードを利用することも可能ですが、最低利用料金が決められている場合もあるので注意が必要です。
その他にも、国際キャッシュカードや海外キャッシング機能付きのクレジットカードを使用してATMから現金を引き出すことも可能です。現地のATMで現金を引き出す際は、ソルまたはドルから希望の通貨を選択することが出来ます。
稀にカード会社が海外での使用を制限している場合があるので、心配な場合は渡航前にクレジットカード会社に連絡して海外利用を希望する旨を伝えておくと良いでしょう。
ペルーの気候および服装
日本の約3.4倍という広大な国土面積を誇る、ペルー共和国。この国が位置しているのは南半球であるため、一般に夏と呼ばれる時期は11〜4月(日本の秋から冬)と、日本の正反対であるのが特徴です。
ブラジルやチリ、エクアドルをはじめとする5ヵ国と国境を接しているペルーの国土は、森林地帯「セルバ」、山岳地帯「シエラ」、海岸砂漠地帯「コスタ」と大きく3つに分けられ、それぞれ個性的な気候を持ちます。
森林地帯「セルバ」
国土の60%を占める森林地帯「セルバ」は、アンデス山脈を超えた東側に広がるアマゾン熱帯雨林地域で、乾季の時期にあたる5〜10月は日中の最高気温が40度を超えるため非常に暑く、雨季の時期である11〜4月には毎日まとまった雨が降ります。観光で訪れるのであれば乾季をオススメしますが、暑さと紫外線の対策は忘れずに行う必要があります。
【服装アドバイス】
セルバは年間を通じて高温多湿なので、日本の夏と同様の服装が適しています。辺りには蚊が多く生息しているため、虫除けスプレーは携帯必須です。また、乾季の時期の旅行でも突然のスコールに見舞われる可能性があるので、念のために雨具を持っていくと便利です。
山岳地帯「シエラ」
クスコやプーノなど人気の観光都市を含む、標高2,500〜4,500mのアンデス山岳地帯「シエラ」は、典型的な高山気候で年間の平均気温が低く、朝晩の冷え込みが厳しいのが特徴です。一般に乾季の時期にあたるのは6〜9月頃、雨季は11〜4月頃(クスコは3月まで)で、観光にオススメなシーズンは天候が安定する乾季の時期です。
【服装アドバイス】
日中は薄手の長袖シャツやトレーナーなどを、朝晩はニットやダウンジャケットなど本格的な寒さをしのげる服装をオススメします。また、日中の日差しは非常に強いので帽子やサングラス、日焼け止めなど紫外線対策を行えるグッズも忘れずに持って行きましょう。
海岸砂漠地帯「コスタ」
太平洋沿岸の幅30〜50km、長さ約3,000kmにおよぶ海岸砂漠地帯「コスタ」は、年間平均気温が20度前後で、一年を通じて雨がほとんど降らないエリアです。その気候は夏(12〜4月)と冬(6〜10月)の2種類に分類され、夏の時期はよく晴れる一方、冬の時期は太平洋から押し寄せる海霧により終日曇りになることが多い傾向にあります。
【服装アドバイス】
夏の時期に旅行する場合は、半袖シャツやノースリーブなど日本の夏と同様の服装が理想です。一方、冬の時期は朝晩を中心にやや肌寒くなるので、薄手のカーディガンやジャンパーなど軽く羽織れるものを持っていくことをオススメします。
ペルーの文化
ペルーは様々な人種や民族が共に生活している多民族国家ですが、総人口の約8割はローマ・カトリックを信仰しています。そのため、この国では聖週間やクリスマスなどのキリスト教において重要な年間行事が国家の祝祭日に指定されており、独自の方法で祝われています。
また、広大な国土には多様性に富んだ気候が広がり、訪れる地域により異なる文化や食生活を体験することが可能です。ティティカカ湖畔の町であるプーノやアマゾン川流域は特に先住民が多く居住しており、個性的な装いに身を包んだ人々に出会うことが出来ます。
そんなペルーの文化は、先住民に伝わる伝統とスペイン人が持ち込んだヨーロッパの生活様式がうまく調和しているのが特徴です。
ペルーの治安
ペルーの治安は、安全に暮らせる日本と比較すると犯罪率が高く不安定です。スラム街などの治安が悪い地区はもちろん、人通りの少ない路地裏では窃盗や強盗による被害が日中でも多発しています。
また、人通りが多く賑やかな大通りや繁華街をはじめ、観光客が多く訪れる場所でもスリや置き引きによる被害が多く報告されているので、観光に出掛ける際は貴重品を含む手荷物の管理に十分注意して下さい。
特に首都リマは犯罪の発生率が非常に高く、空港と市内の移動中に強盗目的でタクシーの窓ガラスを割られたり、観光中の歩行者の携帯電話やバッグがひったくられるなど、注意していても被害に遭うことがあります。万が一、犯罪に巻き込まれた場合は無理に抵抗せず相手の要求に潔く従って下さい。
また、外務省が運営する海外安全ホームページでは、犯罪被害が多く危険な地区を含む、現地の治安に関する情報や有効な安全対策を確認することが可能なので、渡航前に目を通しておくことをオススメします。
人気観光都市
リマ(Lima)
南米大陸の太平洋岸の中心部として知られるペルーの首都で、総人口の約3分の1が生活しています。15世紀前半にスペインの征服者フランシスコ・ピサロにより築かれたコロニアルな街並みとミラフローレスやサン・イシドロを中心に漂う近代的な雰囲気が絶妙に融合している大都市です。
植民地時代にスペイン人により建造された歴史的建造物の多くはセントロ(Centro)と呼ばれる旧市街に集中しており、古い街全体がユネスコの世界文化遺産に登録されています。
クスコ(Cusco)
11〜12世紀に建造され、かつてインカ帝国の首都として繁栄した世界遺産の都市です。先住民が築いた神殿や宮殿は、16世紀頃侵略に訪れたスペイン人によって徹底的に破壊されてしまったので、現在残されているのはインカが築いた精巧な礎石のみです。
私たちが現在訪れることが出来る街並みは、当時スペイン人により造り直されたもので、教会や博物館をはじめとするコロニアル建築と、インカ帝国により築かれた高度な石組みが独特な雰囲気漂う街並みを形成しています。
プーノ(Puno)
プーノはアンデス山脈のほぼ中央に位置し、隣国ボリビアとの国境にまたがるティティカカ湖畔にある標高3,827mの小さな町です。ここはケチュア族やアイマラ族などの先住民の人口が多く、伝統音楽であるフォルクローレの本場としても知られています。
プーノを訪れたら欠かせないのが「ティティカカ湖の島巡り」で、ウロス島やタキーレ島をはじめとする個性豊かな島々を現地ツアーに参加して訪れるのが人気です。
定番スポット10選
アルマス広場(リマ)
マヨール広場の名でも知られ、ユネスコの世界文化遺産に登録されているリマ歴史地区の中心部に位置する広場です。1535年にスペインの征服者フランシスコ・ピサロが、それまでペルーの首都であった内陸都市ハウハからリマへ遷都すると決断して以降、この広場を中心に街づくりが行われたといわれています。
広場周辺には大統領官邸をはじめ、リマ市役所、リマ大司教宮殿博物館、カテドラルなどがあり、地元の憩いの場として日夜多くの人で賑わっています。
日没以降はライトアップされますが、この辺りの治安はあまり良くないので訪れる際は注意が必要です。
サン・フランシスコ教会・修道院(リマ)
1546年から100年以上の歳月をかけて、1672年に完成したバロックとアンダルシア風の様式が見事な教会です。
優美な装飾が施されたファサードを有する教会の他に、複数のチャペル、カタコンベ(地下墓地)、修道院、修道院博物館などを併設しており、1991年にユネスコの世界文化遺産として登録されたリマ歴史地区の一部を構成しています。
また、修道院内部には世界的に有名な図書館が位置しており、植民地時代以前のものを含む約25,000冊もの古文書が保存されています。
サンフランシスコ教会・修道院の建物は、過去3度にわたり発生した地震により大きなダメージを負ったものの、修道院の中庭を取り囲む回廊に残された17世紀前半のセビリアンタイルをはじめ、地下3階まで続くカタコンベなど、植民地時代に造られた見どころが多く残されています。
ウロス島(プーノ)
隣国ボリビアとの国境にまたがる様にアンデス山脈のほぼ中央、海抜3,890m地点に位置するティティカカ湖。その大きさは琵琶湖の面積と比較しても約12倍、最大水深は約281mといわれています。
ウロス島は、ティティカカ湖畔の町であるプーノからモーターボートを利用して約40分程でアクセス出来る人工の浮島で、湖岸に自生するトトラと呼ばれる水生植物を何層にも積み重ねてつくられています。
周辺には、6畳ほどの小さな島から学校や教会などの施設が位置する大きなものまで大小40ほどの島々が点在しており、ウル族と呼ばれる先住民が約270世帯ほど生活しています。
ウロス島を訪れる場合は、プーノ市内の旅行会社が催行している現地ツアーに参加するのが便利です。
サンタ・カタリナ修道院(アレキパ)
ペルー第2の都市として知られるアレキパ中心部に位置する女子修道院で、2000年にユネスコの世界文化遺産として登録されたアレキパ歴史地区の一部を構成しています。
ここは1580年から1970年に至るまでの約400年間、修道女達が外界との接触を経って静かに実生活を営んでいたことで知られる由緒ある女子修道院で、白壁に囲まれた敷地内は回廊や街路が迷路のように張り巡らされています。
実際に内部を訪れてみると、修道院自体が一つの街のような空間を形成していることに気付くでしょう。かつて修道女が使用していた住居はもちろん、教会、台所、食堂のほか、数世紀にもわたって収集された美術コレクションなど、当時の人々が営んでいた生活様式を知るために役立つ見どころが多く存在しています。
アルマス広場(クスコ)
ペルー南部に位置する都市クスコの市街中心部に位置する広場です。中央部にはインカ帝国第9代皇帝パチャクティの噴水が置かれており、広場周辺は宗教建造物をはじめ、レストラン、旅行会社、その他土産物店など観光客向けの店舗が多く立ち並んでいます。
この広場はインカ帝国時代からクスコの中心機能を果たしていたとされ、かつてはワカイパタ(Huacaypata)およびハウカイパタ(haucaypata)の2つの広場があり、聖なる場所として親しまれていました。
また、この場所から採れた神聖な土は、実際にインカ帝国が征服した町に証として撒かれていたそうで、アルマス広場には300km以上も離れた海岸から集められた土が代わりとして敷き詰められていたと言われています。
日夜問わず多くの人々が訪れ、活気に満ちているスポットなのでクスコ観光の拠点として利用するのが便利です。
カテドラル(クスコ)
アルマス広場の東側に位置するローマ・カトリック教の大聖堂で、「クスコ大聖堂」もしくは「聖母被昇天(せいぼひしょうてん)大聖堂」の名で知られています。
この建物は1550年に建造が開始された後、約100年におよぶ歳月を費やして完成されたもので、インカ帝国時代のビラコチャ神殿の跡地に建てられています。内部にはボリビアのポトシで採れた銀を約300t使用して作ったといわれる豪華な祭壇があるほか、クスコの植民地芸術に関連する宗教画が約400点ほど保存されています。
また、屋根には1659年に取り付けられた南米最大の鐘「マリア・アンゴラの鐘」があり、その深い響きは約40km先に居ても耳にすることが出来るといわれています。
カテドラルを訪れる場合は、宗教美術博物館、サン・ブラス教会、およびサン・クリストバル教会を含む4ヵ所に入場可能である宗教施設周遊券(CRA)を購入すると入場料がおトクになるのでオススメです。
12角の石(クスコ)
クスコの街並みは、スペイン軍の侵略によるインカ帝国の滅亡後、再度造り直されています。かつてはインカ帝国の首都として繁栄を極めたクスコですが、現在私たちが訪れることが出来る街並みは15世紀以降、スペイン人によりインカの礎石の上に造られたものです。
植民地時代に築かれたスペインのコロニアル建築を支える礎石はどれも精密に切り出されているのが特徴で、インカ帝国の高い石材加工技術を象徴しています。
なかでも、宗教美術博物館の外壁に埋め込まれている12角の石は、複雑な形状であるにも関わらず他の石材と隙間なく接合されており「カミソリの刃一枚すら通さない」と例えられるほど見事な石材建築として高い知名度を誇っています。
この石が持つ意味については様々な推測がなされていて、1年の各月を表しているという説や、かつてこの場所にインカ・ロカ宮殿が建っていたことから王族を構成する人数を象徴していたという説など、真相は未だ謎に包まれています。
マチュピチュ
インカ帝国の滅亡から約400年後にあたる1911年にアメリカの探検家ハイラム・ビンガムによって発見されたインカ時代の遺跡で、標高約2,400mの奥深いジャングルに位置しています。
インカ帝国が築いた建物は、16世紀前半に侵攻してきたスペイン軍により徹底的に破壊されてしまったと言われていますが、麓から確認できない場所に位置しているマチュピチュは、その存在が確認されることなく、奇跡的に無傷な状態で残されました。
総面積は約5平方kmで、神殿や祭壇、居住区等を含む市街地や段々畑などで構成されています。マチュピチュは14世紀中頃に、インカ第9代皇帝パチャクティの時代に造られたといわれ、現在も新たな発見を求めて調査が進められています。
ナスカの地上絵
国土南部の海岸沿いで、紀元前後から800年頃にかけて繁栄したナスカ文明。ナスカの地上絵は、年間を通じてほとんど雨が降らない乾燥した大地の上に今から2,000年以上もさかのぼる時代に描かれた壮大な歴史遺産です。
広大な砂漠地帯に描かれた地上絵の数は700以上存在し、その大きさは約10mから大きなもので約300mに及ぶといわれています。古代の人々により遠い昔に描かれたナスカの地上絵ですが、発見されたのは意外と最近である19世紀前半です。
これらは主に、直線や三角形、渦巻き模様を描いた「幾何学模様」および動植物を描いた「具象図形」の2種類に大別されていますが、誰がどのような目的で描いたかなど未だに解明されていない部分が多く、謎に包まれています。
数ある地上絵のなかでもハチドリ(97m)やクモ(46m)、サル(93m)は特に有名で、ナスカ上空を遊覧飛行すれば、これらを含む14種類ほどの古代アートを楽しむことが出来ます。
また、手(43m)と木(47m)に限り、砂漠の真ん中を突き抜けるパンアメリカン・ハイウエイ沿いに位置するミラドール(観測塔)から一部眼下に収めることも可能です。
しかしながら、上空から眺める地上絵の数々はミラドールから眺めるものとは比べ物にならないほど壮大で美しいため、旅行の予算と現地での滞在時間に余裕がある方にはセスナでの遊覧飛行をオススメします。
ワカチナ(イカ)
首都リマから約300kmほど南下した場所に位置し、15世紀中頃に築かれたコロニアルな街並みが見どころである都市、イカ(Ica)の近郊に位置するオアシスの村です。
ここは砂漠に囲まれた泉が小さな湖を形成しており、湖畔には美しい緑が広がるほか、レストランやカフェ、およびリゾートホテルなどの施設が建ち並んでいます。また、周辺の砂丘ではサンドバギーやサンドボーディングなどのアクティビティーを楽しむことが可能で、オアシスの絶景を一目見ようとワカチナを訪れる観光客に人気です。
インカの聖なる谷巡りを楽しむスポット 6選
ピサック
ピサックはクスコから北へ約30kmの場所に位置する町で、「ミニ・マチュピチュ」として親しまれるインカ時代の遺跡と毎週日曜日に開催される民芸品市で知られています。
アンデスの美しい織物、アルパカ毛のニット、小物といった観光客向けのお土産を販売する市場は毎日、地元の人向けの市場は火・木・日曜に開かれており、なかでも日曜日は地元の人や観光客問わず多くの人で賑わいます。
現在は多くの観光客が訪れていますが、かつては人々が各地方の特産品を持ち寄って物々交換を行う場所であったといわれ、現在でも市場の隅で食料品を売る店が少しだけあります。
また、インカ時代の遺跡は町を見下ろす丘の上にあり、神殿、太陽を利用したカレンダー、見張り台、墓のほか、段々畑もあり、マチュピチュよりは小規模であるものの、類似した都市機能を備えていたことが分かります。
カルカ
ピサックから車で約25分の場所にある村で、ウルバンバ川の流域に位置しています。
町から川を挟んだ対岸の山中には第8代皇帝インカ・ビラコチャの時代に築かれたとされるインカ時代の遺跡「ウチュイ・クスコ」があり、日干しレンガと石を組み合わせた珍しい造りが魅力です。
ウルバンバ
ウルバンバは、かつてインカ帝国に食料を供給する拠点であったといわれています。「インカの聖なる谷」を構成している町のひとつで、年間を通じて気候に恵まれていることから、現在はクスコ市民の保養地として親しまれています。
クスコに比べ標高が低く過ごしやすいため、高山病を避ける目的でウルバンバやオリャンタイタンボをマチュピチュの観光拠点に選ぶ人も増えています。
オリャンタイタンボ
ウルバンバ渓谷のほぼ中心部に位置する町で、インカ時代の大遺跡が隣接しています。
オリャンタイタンボは、1536年にマンコ・インカ軍がスペインを撃退した場所として知られ、急斜面に作られた段々畑、その脇に位置する300段の階段、6個の巨石を並べた建造物が位置する広場など、様々な見どころがあります。
インカ帝国特有の巧みな石積みが見事な遺跡です。一説によればTambo(タンボ)が先住民の言葉で「旅かご」を意味することから、この場所はインカ時代の宿だったのではないかと推測されています。
チンチェーロ
クスコの北西約20kmに位置する村で、かつてインカ帝国の重要な要塞があったことで知られています。現在はインカ時代の石垣のみを残し、その上にローマ・カトリックの教会が建てられています。
この村では、ケチュア語を話す先住民が日干しレンガ造りの住居で静かな日常生活を送っており、インカ時代に築かれた水路が今でも大切に使用されています。その他の町や村と同様、毎週日曜日になると観光客向けの民芸品市が開かれます。チンチェーロの毛織物は有名なので、ぜひ買い物に訪れてみてください。
マラスの塩田
クスコの北西約58kmに位置している町マラスから車で15分ほどの場所に広がっている広大な塩田で、真っ白な絶景が現れる乾季の時期(4〜9月)を中心に多くの観光客が足を運びます。マラスの塩田は標高3,000m以上の高地に位置し、およそ2,350枚にもおよぶ棚田で構成されています。
遠く海から離れた山間部に塩田が存在するのは、約6千万年ほど前に起きた地殻変動に起因し、かつての海底が隆起したことにより、周辺の土壌が塩分を豊富に含んでいます。この地で製塩が始められたのはプレ・インカの時代で、付近から湧き出る鉱泉を棚田に溜め、水分を蒸発させて天日干しするという方法は現在でも変わりません。
塩田には立ち入れず展望台から眺めるのみとなりますが、真っ白な棚田がどこまでも続く景色は絶景そのものです。入口周辺では、お土産に天然塩を購入する事が可能なので是非覗いてみてください。
ペルーの豊かな自然を満喫するスポット 3選
マヌー国立公園
ペルー南東部に蛇行して流れるマドレ・デ・ディオス川(Río madre de Dios)の流域に位置する、ペルー最大の国立公園です。その面積は約1万5,300平方kmを誇り、世界でも類をみない生物の多様性を有するのが特徴です。
手付かずの熱帯雨林が広がる環境には、約850種類の鳥類をはじめ、ジャガーやオオカワウソなどの絶滅危惧種、10種類以上のサルやバクが生息しています。なかでも、アルカリ成分の補給などを目的に粘土を食べに集まる色鮮やかで美しいコンゴウインコは必見です。
観光拠点はプエルト・マルドナード(Puerto Mardonado)ですが、首都リマやクスコ発のツアーを利用して訪れるのが一般的です。
ワスカラン国立公園
ペルー最高峰のワスカラン山(標高6,768m)をはじめとする、標高6,000m級の高峰が連なる国立公園で、アンデス山脈の中央部に位置しています。その面積は四国の約半分に匹敵するほどであり、高度により異なる気候が広がっているのが特徴です。
ユネスコの世界自然遺産のほか、生物圏保護区にも指定されており、その豊かな自然を目当てに多くの観光客が自然観察やハイキングを楽しみに訪れます。
イキトス
イキトスはペルー北東部のアンデス山脈を超えたアマゾンの低地に位置する町で、アマゾンを訪れる主要観光拠点として知られています。
アンデス山脈のイメージが強いペルーですが、実は国土の半分以上は亜熱帯性の密林に覆われており、ピンクイルカをはじめとする多種多様な生態系を含む豊かな自然が広がっています。
イキトスは首都リマから約1,300km離れており、陸路でのアクセスが不可能であるため、飛行機または船を利用して行く必要があります。リマから国内線を利用して移動する場合は、所要時間が約2時間前後で長距離の移動も快適に過ごすことが可能ですが、船を利用する場合は片道で約7日前後かかるので、あまりオススメしません。
町には高級ホテルやレストランのほか、旅行会社などがあり、人々の活気で溢れています。アマゾンツアーは滞在先のホテルや旅行会社から申し込むことが可能で、ツアー料金やスケジュールはプランにより異なります。
現地での滞在時間に余裕のある方は、いくつかの旅行会社を訪れてツアー料金を比較すると良いでしょう。
ティティカカ湖畔の町プーノから訪れることが出来るスポット2選
タキーレ島
プーノの東約45kmに位置する島で、モーターボートを利用して約3時間程でアクセスすることが可能です。この島には電気や水道などのインフラ設備が整っておらず、現在でもケチュア族の先住民約1,600人がインカ時代の生活様式を維持しながら自給自足の暮らしを営んでいます。
タキーレ島の伝統として継承されている手織り技術は世界屈指といわれ、その緻密さ、柄、鮮やかな色合いなどが評判です。この技術は2005年に「タキーレの織物技術」としてユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
シユスタニ遺跡
プーノの北約30km、ウマヨ湖畔に位置する古代遺跡で、プレ・インカ時代からインカ帝国時代にかけて造られた石積みの墳墓群をはじめ、石の住居、段々畑などがあります。
不思議な塔型をしている墓は「チュルパ」と呼ばれ、北はカハマルカ、南はチリ北部の山岳地帯まで分布しており、この地だけでも100基以上存在していたとされています。これは、大都市形成期からインカ時代にかけて、高原地帯で行われた埋葬方法の一つだといわれており、完全に近い形で残っているものは大変貴重だそうです。
大きさや造りはそれぞれ異なりますが、東側に小さな窓が設けられている点は統一されているといわれています。この地では、かつて「太陽が差し込むことによって、生命がよみがえる」と信じられていたそうで、6月21日の冬至になると窓の中に陽の光が差し込むように造られています。
最も大きなものはインカ時代のもので、高さ12m、円周7.2mあり、食器などの副葬品とともに死者が埋葬されています。シユスタニ遺跡を訪れる場合は、プーノ発の現地ツアーに参加するのが便利です。
異国の温泉でリラックス!アンデスの温泉に癒されるスポット3選
コカルマヨ温泉
サンタ・テレサ村から北へ2kmほど離れた場所に位置する、標高1,400mの天然温泉です。コルカマヨ温泉は緑豊かな自然に囲まれており、大小4つのプールのほかに食堂を併設しています。
温泉の色は無色透明、温度は40〜44度で私たち日本人には心地良い熱さであるのが特徴です。また、ナトリウムやマグネシウム、重炭酸塩などのミネラルを含んでいるのでリウマチや関節痛、および肌荒れにも良いといわれています。
ラレス温泉
カルカ村 (Calca)からコレクティーボを利用してアクセスすることが出来る「クスコを代表する名湯」で、標高約3,250mに位置しています。大小6つのプールと貸切風呂がありますが、周辺からは泉質の異なる温泉がいくつか湧き出ているため、それぞれ異なる色を持つのが特徴です。
温度は30〜44度と幅広く、自身の好みに合うものを見つけるのが楽しいです。関節痛や筋肉痛、骨粗しょう症に良いとされているのでハイキングや日中の観光で歩いた後、訪れるのにオススメです。
マチャカンチャ温泉
ラレス温泉と同様に、カルカ村(Calca)からコレクティーボを利用してアクセスすることが出来る温泉で、標高3,100mに位置しています。敷地内には約40度前後のプールが3つあり、赤茶色の鉱泉が「天然温泉ならではという独特な趣」を醸し出しています。
重炭酸塩、硫酸塩、ナトリウム、マグネシウムを含み、リウマチや痛風、貧血、肝機能障害などに効果があります。
スペインによる植民地時代の面影が色濃く残るフォトジェニックなスポット3選
カテドラル(アレキパ)
シウダー・ブランカ(Ciudad Blanca)という別名で親しまれる町、アレキパの中心部に位置するローマ・カトリックの大聖堂です。スペインによる植民地時代であった1612年に創建されて以降、幾度かの地震により崩壊と増改築を繰り返し、19世紀に入って現在の外観に落ち着きました。
内部は広々としていて美しいのが特徴で、大きなパイプオルガンやシンプルなステンドグラスが訪れる者を静かに迎えてくれます。また、カテドラルの西側は博物館として公開されており、4世紀にもわたって収集された貴重な宗教美術品を展示しています。
サン・ラサロ地区(アレキパ)
サン・ラサロ地区は、アレキパの中心部に位置する「市街最古の地区」です。ここは、1540年にアレキパ市が設立された際に礎石が置かれた場所として知られ、「白の街」として親しまれるアレキパでも特に白い建物が多く密集している美しい地域です。
これらの建物は全て近郊で採れる白い火山岩で造られており、町の至るところで見ることが出来ます。晴れた日に散歩すれば、陽の光を浴びてより一層白く輝く街並みや白壁に映える色とりどりの植物を楽しむことが出来るでしょう。
サント・ドミンゴ教会・修道院(リマ)
アルマス広場およびサン・フランシスコ教会・修道院と共に、ユネスコの世界文化遺産に登録されている宗教建築物です。サント・ドミンゴ教会・修道院は15世紀中頃に築かれた建物で、植民地時代の教会や修道院のなかでも特に保存状態が良いことで知られています。
ここには植民地時代初期に活躍したペルーの2大聖者として親しまれる、聖女サンタ・ロサと聖人フライ・マルティンが眠っており、毎年8月30日には祭事が行われます。
中庭を囲む回廊にはスペインのセビリアで造られた青タイルが貼られており、1604年、1606年と古い日付が残っているものも確認出来ます。建造当初からほとんど変わることの無い外観や、過去の大地震にも耐え抜いたといわれる礼拝堂は必見です。
失敗なしのペルー定番お土産
スーパーで買えるバラマキみやげ
スーパーマーケットなどで気軽に購入することが出来るスナック菓子やチョコレート、調味料は、バラマキみやげの定番です。海外のスーパーマーケットは、それぞれの国により特徴が大きく異なり、単純に足を運ぶだけでもワクワクするという方は多いはず。
現地のスーパーマーケットでは、ペルー名産のジャイアントコーンを使用したスナック「インカ・コーン」やアマゾンのバナナをフライにした「インカ・チップス」をはじめ、タピオカの原料として知られるキャッサバ芋のポテトチップス、ペルー原産のスーパーフードとして知られるキヌアやルクマを使ったチョコレートなど、日本のスーパーマーケットでは手に入れることが出来ないものが多く取り揃えられています。
安価なお土産を探している方は、地元のスーパーマーケットを訪れると良いでしょう。
ピスコ(Pisco)
ピスコは、ペルー原産のぶどうを使用して作る、アルコール度数40度前後の蒸留酒です。
無色透明または淡い琥珀色をしており、控えめな香りとまろやかな飲み口が特徴で、製法により異なるいくつかの種類に分類されています。
ピスコの醸造に用いられるぶどうの品種は、モスカテルやトロンテルを含む8種類のみ、産地はリマ県、アレキパ県、イカ県をはじめとする5地域のみに限られていますが、銘柄が非常に多く、東京に店を構えているペルー料理店が揃えている分だけでも、約50種類あるといわれています。
首都リマやアレキパ、クスコなどに位置する大きなお土産屋さんでは、小さなカップで試飲を楽しみながら好みのピスコを選ぶことが可能なので、ぜひ足を運んでみて下さい。
ベビーアルパカ製品
ベビーアルパカ製品は、生後3ヵ月以内のアルパカから丁寧に採取した毛を使用して作ります。アルパカは、世界で約300万頭しか飼育されておらず、ベビーアルパカの毛を採取することが出来るのは、たった1度に限られているため貴重です。
その毛は細く柔らかく、カシミヤに似た質感を持ちますが、保温性が高く丈夫なことで知られています。お土産屋さんや専門店などを訪れれば、実際に触れてみることが可能なので、柔らかい感触を確かめてみるのも良いでしょう。
現地では、帽子や手袋、ショール、マフラー、ポンチョなど、日本でも人気のアルパカ製品を安価で購入することが出来るので、自分へのお土産にもオススメです。
ペルーへのアクセス
2020年4月現在、日本とペルーの間では直行便は就航されていません。そのためペルーへ向かう場合は第3国を経由してアクセスすることになりますが、主な乗り換え地としてアメリカ、カナダ、またはヨーロッパの国々の主要都市が挙げられます。
経由都市での待ち時間の長さにもよりますが、往路で必要とされる最短所要時間は約20時間半前後、復路では約22時間15分となっています。
ペルー観光の移動手段
ペルー国内を移動する為の主な移動手段は、国内線もしくは長距離バスの利用が一般的です。その他にも一部の地域間で鉄道が運行しているほか、リマやクスコなどの都市部ではタクシーアプリを利用しての移動も可能なので、これらの移動手段を旅行先で置かれた状況に応じて使い分けることをオススメします。
国内線
ペルーの国内線は、首都リマを中心にラタム航空やペルビアン航空をはじめ、スターペルーを含む小さな航空会社が主に以下の都市に就航しています。
これらの航空便は毎日複数便運航しているものの、その具体的な本数は目的地により異なるので、旅行のスケジュールを組む際はフライトスケジュールを前もって確認しておくことをオススメします。
リマやクスコなど主要空港の空港税は空港運賃に含まれていますが、地方空港の場合は現地で別途支払う必要があるので注意して下さい。
【首都リマから国内各地への移動時間目安】
トルヒーヨ(Trujillo)/所要約1時間10分
クスコ(Cusco)/所要約1時間20分
アレキパ(Arequipa)/所要約1時間30分
チクラヨ(Chiclayo)/所要約1時間30分
カハマルカ(Cajamarca)/所要約1時間30分
イキトス(Iquitos)/所要約1時間55分
長距離バス
ペルー国内で最も有名なバス会社はクルス・デル・スル社(Cruz del Sur)で、その他にもオルトゥルサ社(oltursa)、シバ社(Civa)、テプサ社(Tepsa)などがあり、首都リマを中心にナスカやクスコなどの人気観光都市のほか、飛行機や鉄道ではアクセスしにくいような地方都市へも運行しています。
バスの運賃は利用するバス会社をはじめ、利用する座席クラスおよび運行区間などにより大きく異なるほか、利用可能な車両設備やサービスも様々です。
この国は鉄道網が発達していないため、地元の人々や観光客にとって長距離バスは必要不可欠な移動手段です。しかしながら、ペルーの国土は非常に広いため、想像以上に移動時間がかかってしまうのも事実です。
アンデス地域が雨季となる11〜4月には、道路の水没や崖崩れによる寸断をはじめとする不測のトラブルに遭う確率が高まるため、通常より長い移動時間を費やすことを想定しておく必要があります。
また、クスコやワラスなどの山岳地帯へ向かう途中は急カーブが多い山道を通過するので、車酔いしやすい方は酔い止め薬の服用が必須です。
一見大変そうに思える長距離バスでの移動ですが、ペルーのバスは日本の長距離バスよりも設備がしっかりとしている車両が多く、トイレは勿論のこと、180度倒れるリクライニングシートや車内エンターテイメント、そして充実した食事サービスなどを完備している場合もあるので、乗車券を購入する際はこれらの設備の有無を必ず確認することをオススメします。
【首都リマから各都市へ移動する所要時間の目安】
ナスカ(Nazca)/所要約6〜7時間
ワラス(Huaraz)/所要約8〜9時間
トルヒーヨ(Trujillo)/所要約9〜10時間
チクラヨ(Chiclayo)/所要約14時間
カハマルカ(Cajamarca)/所要約15〜16時間
アレキパ(Arequipa)/所要約15〜17時間
クスコ(Cusco)/所要約21〜22時間
鉄道
ペルーで運行されている鉄道は、クスコ近郊のポロイ駅もしくはウルバンバ駅からオリャイタイタンボ駅を経由してマチュピチュ駅へと向かう【クスコ〜マチュピチュ路線】および豪華寝台列車として知られるベルモンド・アンデアン・エクスプローラーで行く【クスコ〜プーノ路線】の2種類に分けられます。
なかでも、クスコ〜マチュピチュ間を運行する路線はマチュピチュを訪れる観光客に人気で、ペルーレイル社(PeruRail)とインカ・レイル社(Inca Rail)の2社が毎日複数の列車を運行しています。
鉄道のチケットは各社の公式ホームページの他に、リマやクスコの空港、ワンチャック駅やオリャイタイタンボ駅、旅行会社のオフィスなどでも購入することが可能です。マチュピチュへ向かう列車はハイシーズンを中心に非常に混雑するため、なるべく早めに予約しましょう。
タクシー
タクシーは、空港〜ホテル間や観光地間の移動などに便利な交通手段として多くの人々に利用されています。ペルーでは、リマやアレキパなどの都市部を中心にUberをはじめとするスマホアプリを利用してタクシーを呼ぶのが一般的です。
流しのタクシーを利用するのも可能ですが、乗車料金を交渉する必要があり非常に面倒です。また、支払いの際に高額の紙幣を渡すとお釣りを誤魔化されたりと、様々なトラブルに巻き込まれる可能性があります。
タクシー配車アプリを利用すれば、自身のスマートフォンに利用履歴が残るので万が一トラブルに巻き込まれた場合でも、警察が速やかに対応してくれます。また、乗車手配を済ませる前にタクシードライバーのレビュー値を確認することも出来るので、流しのタクシーよりも安心して利用することが可能です。
ペルーで人気のタクシー配車アプリは、Uber以外にもTaxibeat、Cabify、Easy Taxiなどいくつか存在します。基本的にはUberが主流ではありますが、クスコではEasy Taxiの利用が便利など、訪れる地域により利用されているタクシー配車アプリが異なる場合があるので注意して下さい。
ペルー観光でお得なフリーパス
クスコ周遊入場券
クスコ周遊入場券(Boleto Turistico del Cusco )とは、インカ帝国の古都として知られるクスコで観光客向けに発行されているお得な観光パスです。
パスの種類は合計4種類あり、訪れることが出来る観光スポットの数や有効期間により価格が異なります。10日間有効な周遊券(BTCL)はS/130(学生 S/70)、周遊券はそれぞれS/70です。
クスコ周遊入場券の購入を希望される場合は、観光案内所もしくはアルマス広場付近に位置する中央カウンターで手に入れることが可能です。インターネットや旅行代理店で入手することは出来ないため、注意が必要です。
各種周遊券を利用して訪れることが出来る主な観光スポットを以下に紹介します。
周遊券(BTCL)/10日間有効
周遊券1〜3で訪れることが可能である全ての観光スポットが対象。
周遊券1(Circuito1)/当日のみ有効
サクサイワマン (Sacsayhuaman)
ケンコー (Qenqo)
プカ・プカラ (Puca Pucara)
タンボマチャイ (Tambomachay)
周遊券2(Circuito2)/2日間有効
コリカンチャ博物館 (Museo de Sitio del Qoricancha)
市立現代美術館 (Museo de Arte Contemporáneo)
地方歴史博物館 (Museo Histórico Regional)
インカ皇帝パチャクティの像 (Monumento a Pachaquteq)
大衆芸術博物館 (Museo de Arte Popular)
クスコ民俗アートセンター (Centro Qosqo de Arte Nativo)
ティポン (Tipón)
ピキリャクタ (Pikillacta)
周遊券3(Circuito3)/2日間有効
ピサック遺跡 (Pisac)
オリャンタイタンボ (Ollantaytambo)
モライ (Moray)
チンチェーロ (Chinchero)
ペルーの年間イベント情報
4月
聖木曜日
聖木曜日はキリスト教における祭日の一つで、イエス・キリストと12使徒が最後の晩餐を行ったことを記念する日として親しまれています。毎年復活祭前の木曜日に祝われているため、祭日の日程が異なるのが特徴です。
毎年ペルーでは、聖木曜日から復活祭にあたる日曜日までの4日間にイースター休暇をとる為、観光地は大変混雑します。復活祭前の日曜日から毎年祝われているセマナ・サンタ(聖週間)にペルー旅行を検討されている場合は、観光スケジュールを事前にしっかりと立てておく必要があるので注意して下さい。
聖金曜日
聖金曜日は、聖木曜日と同様にキリスト教徒の間で祝われている移動祭日の一つで、イエス・キリストの受難と死を記念する日として親しまれています。セマナ・サンタ(聖週間)はキリスト教徒にとってクリスマスよりも重要な行事であり、首都リマに位置する旧市街を中心にペルー各地でミサや聖行列などが開催されます。
5月
メーデー/5月1日
メーデーは毎年5月1日にペルーを含む世界80ヵ国以上で祝われている、国際的な労働者の祭典です。元々は、夏の訪れを祝う日としてヨーロッパ地方で親しまれていたそうですが、産業革命後の社会では「労働者の権利を尊重する」という社会的に重要な意味を持つ日として祝日に定められています。
6月
農民の日/6月24日(クスコのみ)
1969年に行われた農地改革法の公布の枠内で、当時の大統領フアン・ベラスコにより設立された祝日です。農業に携わる人々に敬意を払う目的で、毎年6月24日に祝われています。
聖ペドロとパブロの日/6月29日
カトリックの聖人として親しまれる聖ペテロおよびパウロの殉教を記念する祝日で、毎年6月29日に祝われています。聖ペテロと聖パウロは、永遠の都として知られるイタリアの首都ローマの守護聖人としても親しまれています。
その為、この日はペルーの他にもローマやマルタ、フィリピンなどの国々でも祝日に指定されています。
7月
ペルー独立記念日/7月28、29日
ペルー独立記念日は、1821年7月28日(土)にアルゼンチンの軍人ホセ・デ・サン・マルティンによりペルーの独立が宣言された後、ペルー共和国が誕生したことを祝う国民の休日です。毎年7月28、 29日は、首都リマを中心に政治および宗教に関連するイベントをはじめ、軍や市民によるパレードが開催されます。
両日共に、5:00〜14:00の時間帯はアルマス広場を含むリマ歴史地区と周辺の大通りが通行止めになります。この時間帯はペルー中心部の世界遺産地区の観光は不可能であるため、旅行の予定を立てる場合は注意が必要です。
また、ペルー各地でも小規模ながら独立記念日を祝うイベントが開催されるので、交通規制などに関連した渋滞が予想されます。この日に現地出国予定の方は、航空便に乗り遅れない為にも通常よりも早めに行動することを強くオススメします。
8月
サンタ・ロサの日/8月30日
首都リマで生まれたカトリック教の守護聖人として知られる、リマの聖ローザを記念する国民の休日で、毎年8月30日に祝われています。また、聖ローザはアメリカ大陸で最初に生まれた聖人としても親しまれ、ペルーの他にもインドやラテンアメリカ、フィリピンなどの守護聖人に指定されています。
10月
アンガモス海戦記念日/10月8日
当時のボリビア領アンガモス岬沖で、1879年に行われたチリ海軍との戦い「アンガモスの海戦」が勃発した日です。この戦いでペルー軍は最終的に敗北する結果に至ってしまいましたが、戦いが起こった日がペルー海軍の創立記念日(1821年10月8日(月))と同日であることから、国民の休日として親しまれています。
11月
諸聖人の日/11月1日
諸聖人の日は、別名「万聖節」と呼ばれる国民の休日で、毎年11月1日に祝われています。この日はローマ・カトリックに登場するすべての聖人を記念する日であり、ペルーでは親戚や友人と集まって伝統的な食事を楽しみます。
また、すぐ翌日にあたる11月2日は「死者の日」と呼ばれており、日本のお盆と同様、家族や友人と共に墓地を訪れて死者に祈りを捧げる日として親しまれています。
12月
聖母受胎の日/12月8日
聖母マリアが母聖アンナの胎内に宿ったことを記念する国民の休日で、毎年12月8日に祝われています。
クリスマス/12月25日
クリスマスはイエス・キリストの後誕を記念するキリスト教の祭日で、毎年12月25日に祝われています。
日本では友人や恋人と過ごすイメージが強いクリスマスシーズンですが、この国ではクリスマスイヴに家族や親戚と集まって共にカウントダウンを楽しむ傾向があります。深夜0時をまたいで日付がクリスマス当日になると、首都リマやクスコなど国内の至るところで花火が打ち上げられ、国全体が賑やかなお祝いムードに包まれます。
この時期にペルーを訪れる場合は、普段日本で味わうのとは文化そのものをはじめ、季節や雰囲気が全く異なる「夏のクリスマス」を体験することが出来ます。