ロックフォードってどんなところ?
シカゴのダウンタウンから北東へ車を約90分走らせたところにある「ロックフォード」。シカゴ、オーロラに次ぐイリノイ第三の都市です。ミシシッピ川の支流の一つであるロック川近辺にあり、自然や文化が調和するこの地域には、イリノイ州屈指の自然博物館であったり、アウトドアアクティビティを楽しめる自然公園など見どころがたくさんあります。
「ガーデンシティ」との異名を持つロックフォードには、多数の公園や公共の庭園があり、それらをあわせた総面積は約4,000ヘクタールになります。また、質の高いゴルフコースがあることでも有名で、全米および世界中からゴルフ愛好家たちが集まる地域です。
ロックフォードの歴史
ロックフォードの歴史は、ジャーマニカス・ケント、サッチャー・ブレイク、ルイス・レモンの3人が1834年から1835年にかけてロック川の東を、ダニエル・ショー・ハイトがロック川の西側に入植したことから始まります。元々この地域は「ミッドウェイ」とよばれていましたが、“ロック川の浅瀬”という意味で「ロックフォード」と呼ばれるように。1939年に公式に「町」となり、1952年に「市」として認可されました。
1850年前後にはアイルランド系の移民、1852年にはスウェーデン系の移民がロックフォードに流入。南北戦争以降には、スウェーデンからの移民が急激に増え、当時のロックフォードの人口の大半を占めるようになりました。1880年代以降はイタリア、ポーランド、リトアニアからの移民が、1970年以降はラオス、ベトナム、南米からの移民も入ってきて、多様性あふれる地域となりました。
最初の入植者のひとり、ルイス・レモンがアフリカ系だったこともあり、ロックフォードは南北戦争以前に奴隷制度を反対する人々の中心地として有名でした。
1850年以降に水力発電会社が設立されたり、ガリーナ・アンド・シカゴ鉄道の駅が設けられたり、都市として着実に発展。1860年頃には農業機械の生産が盛んになり、1880年代には全米屈指の家具生産の中心地となります。第1次・第2次世界大戦や世界恐慌の影響で、それらの産業は衰退していきましたが、20世紀後半には自動車や宇宙航空などの重工業が盛んになりました。
戦争中には、戦力を訓練するための軍の野営地「キャンプ・グラント」が設営され、アメリカ軍主要基地として機能していました。1943年から1946年にかけて、2,000人にもおよぶドイツ人戦犯の収容所としても使われたそうです。
1980年からロックフォードの製造産業が衰退の岐路にたち、失業率も急増したりと地域経済は大きな打撃を受けます。市は教育機関システム改善や、学校の設立などに力を入れました。また博物館・美術館や公園を活用した観光業や、病院の設立など、都市開発を進めイリノイ州第3の都市として発展することとなりました。
ロックフォードの見どころ
ローラン邸
「ローラン邸」は、現代建築の三大巨匠の一人といわれるフランク・ロイド・ライトによって設計され、1952年に完成したバリアフリー住宅です。この住宅は、障害のある退役軍人で車椅子生活を送っていたケニス・ローランと妻フィリス・ローランが、1948年にライトに建築依頼したことで建設されました。
階段などはなく平屋建て、ドアノブや照明スイッチは低い位置に設置され、戸口は通常より広めなど、車いすのケニス氏が快適に暮らせるように設計されました。
ライトの建築の特徴であるプレーリー様式が取り入れられ、間仕切りは少なく、空間の連続性を演出、木材など自然の素材を使い、ぬくもりのあるスペースを作り出しました。
入場料・ツアー
ローラン邸は、ツアーに参加することによって見学することができます。入場するには事前の予約が必要なのでご注意ください。また、ローラン邸は冬季は閉園しており、毎年4月からツアーに参加できます。
- 入場・ツアー料金:$20.00
- 時間(1時間のツアー)
- 金曜日:13:00
- 土曜日:11:00、12:30
- 日曜日:13:00、14:30
アクセス
ロックフォードのダウンタウンからは車で10分、シカゴのダウンタウンからは車で90分のところに位置しています。
レンタカーを使用しない場合は、ロックフォードまで長距離バスか電車を利用していき、ロックフォードからはタクシーで行くのが一番リーズナブルな手段です。
フランク・ロイド・ライト
シカゴにゆかりの深い人物といえば「フランク・ロイド・ライト」(Frank Lloyd Wright)。「プレーリースタイル」の建築様式をシカゴの地で生み出し確立させた、アメリカ近代建築の生みの親の一人とも言われています。2019年にはライトの代表的な建築物8ヵ所が世界文化遺産に登録されました。アメリカでは23ヵ所が世界文化遺産に登録されていますが、建築群の登録はフランク・ロイド・ライトの作品が初めてです。
一躍有名建築家として名を広めたライトは、シカゴのみならず日本を含む世界中で近代建築の巨匠として活躍しましたが、シカゴはフランク・ロイド・ライトの原点と言える場所なのです。シカゴ市内、そしてシカゴ郊外のオークパークには、ライトの数々の建築遺産が点在しています。
ライトは23歳から生を終えるまでの約70年を、建築家として「有機的建築」の理想を一貫、自然と共存して豊かな人間性を守ることを追求し続け、およそ1,191にものぼる作品を設計し、その内の460作品が実現されました。
アンダーソン・ジャパニーズガーデン
「ガーデンシティ」とも呼ばれているロックフォードには、たくさんの庭園がありますが、中でも有名なのが「アンダーソン日本庭園」で、北米で最も質の高い日本庭園と称されるほどです。
元々は、オレゴン州ポートランドにある日本庭園をみて感銘を受けた実業家ジョン・アンダーソン氏が、1978年にロックフォードの自宅に作った庭園でした。設計は、ポートランドの庭園の設計やデザインも手掛けた栗栖 宝一氏。
1998年に営利団体に寄付され、観光客や地元の人に一般公開されています。ここでは、茶道や墨絵、おにぎりの作り方など、日本の文化を伝える講座やワークショップが積極的に行われています。また、ヨガや瞑想クラスなども行われていて、地元の人にとっては心と体をリフレッシュできるスポットとして人気です。
営業時間
庭園は冬季は閉園しており、毎年5月1日から10月31日まで開園しています。
- 月曜日から金曜日:9:00〜18:00
- 土曜日・日曜日:9:00〜17:00
庭園を眺めることのできるレストランは冬季中にも営業しています。営業時間は下記です。
- 月曜日から金曜日:8:00〜14:00
- 土曜日・日曜日:8:00〜15:00
入場料・ツアー
【入場料】
- 大人:$11.00
- 62歳以上:$10.00
- 学生:$9.00
- 5歳以下のお子様は入場無料
【ツアー】
-
プライベートツアー:
- 大人:$13.00
- 62歳以上:$11.00
- 大学生:$8.00
- 中高生:$6.00
- 小学生:$4.00
-
ガイド付きツアー(10人まで先着順、1日に2回):入場料+$2.00
ミッドウェイ・ビレッジ&ミュージアムセンター
「ミッドウェイビレッジ&ミュージアムセンター」には、1890年から1910年にかけてのヴィクトリア様式の建物が立ち並ぶロックフォードの街並みが保存されています。ヴィクトリアン・ビレッジには、学校や郵便局など、当時を再現した建物が並んでおり、スタッフやガイドも当時の衣装を身に着けていて、タイムスリップした感覚に陥ります。
その他にも、ロックフォードやイリノイ州ゆかりの展示がたくさんあり、ロックフォードに入植してきた人々の暮らしぶりなど、アメリカ開拓史の展示を楽しむことができます。
営業時間
- 1月から5月:水曜日から日曜日 10:00〜16:00
- 5月から6月:火曜日から日曜日 10:00〜16:00
- 6月から8月:火曜日から日曜日 10:00〜16:00
- 9月から12月:水曜日から日曜日 10:00〜16:00
入場料・ツアー
- 大人:$7.00
- 子供:$5.00
- 乳幼児(0~2歳):無料
5月から8月まで
- 大人:$8.00
- 子供:$6.00
- 乳幼児(0~2歳):無料
バーピー自然史博物館
「バーピー自然史博物館」は、地元の人々や観光客にも人気の観光スポットです。この博物館は1942年にオープンした老舗の比較的規模の大きい博物館で、目玉はティラノサウルスの化石「ジェーン」です。2001年にモンタナ州に発見されたのですが、同じ場所で発見された「スー」はシカゴのフィールズ博物館で展示されています。
その他にも4つの部門に分かれた展示は、見どころ満載です。
営業時間
月曜日から日曜日:10:00〜17:00
入場料・ツアー
- 大人(13歳~): $10.00
- 子ども (4歳~12歳): $8.00
- 幼児(~3歳): 無料
周辺地域のおすすめスポット
フランク・ロイド・ライト邸
シカゴ郊外のオークパークにある一番人気のライトゆかりの観光スポットが、彼が20年間暮らした邸宅兼事務所である「フランク・ロイド・ライト邸」です。このスタジオは一般公開されていて、10時から16時まで30分おきに行われる1時間のツアーに参加すると、内部を見学することができます。
フランク・ロイド・ライト邸は1889年に完成し、その後20年間、妻と6人の子供の8人家族で暮らしていました。年代をみてもわかる通り、フランク・ロイド・ライト邸はライトが建築家として名を馳せる前に建てた、彼の建築人生の原点とも言える建築遺産です。
ライトが生み出したプレーリースタイルが用いられているライト邸に入ると、重厚感のある木の温もりと、大地や樹木を連想させるあたたかい色合い、そして8角形の窓枠のステンドグラスから入る光の心地よさを感じることができます。
フランク・ロイド・ライト邸には、そのほかにも子供たちが遊んでいた跡やライトの父親からのメッセージなど、ライトのプライベートが垣間見えるものが至るところに残っています。
ツアー・見学可能時間
- 毎日:10:00〜16:00
- 1月から2月の間:10:00〜15:00
※感謝祭、クリスマスイブとクリスマス、元旦は休業
入館&ツアー料金
- 大人:$18
- 65歳以上:$15
- 学生:$15
- 3歳以下:無料
ミュージアムショップの営業時間
- 毎日:9:00〜17:00
- 1月から2月の間:9:00〜16:00
ロックフォードからのアクセス
- 車・タクシー:約85分~、オンライン配車サービスで$95~
ルッカリー
シカゴのダウンタウンに位置している「ルッカリー」は、1888年に完成した世界で最も古い鉄骨ビルの一つです。シカゴ博覧会の設計で有名な建築家ダニエル・バーナムと、彼とともに活動し、シカゴ派建築の創設者であるジョン・ウェルボーン・ルートの設計で、近代の高層建築の原型とも言われています。アメリカ合衆国国家歴史登録財にも指定されるほど、アメリカの歴史の中で大変意義のある建築物として認識されています。
外観は茶色が基調となっており、どっしりとした重量感に溢れています。内装はフランク・ロイド・ライトが改装に関わったというロビーが見どころで、「ライトコート」(光の庭)と呼ばれています。このロビーのガラス屋根からは太陽光が差し込み、明るく開放的な空間が広がります。
ファビアン・ビラ・ミュージアム
ファビアン・フォレスト保護区は、ジェニバ市の南側、フォックス川沿いにある自然保護区です。元々はジョージ・ファビアンとネル・ファビアンが1900年初頭に所有していた土地です。
この保護区にはファビアン・ヴィラという、フランク・ロイド・ライトが改修設計をしたことでも有名な家があります。ジョージ・ファビアンとネル・ファビアンが約30年ほど住んでいた家で、今では「ファビアン・ビラ・ミュージアム」という博物館になっています。
現在、「アメリカ合衆国国家歴史登録財」の一つとして登録されているファビアン・ビラ・ミュージアムには、ファビアン氏のコレクションであるアジアからの工芸品や、動物の標本、ユニークな家具まで観覧することができます。
ツアー
ファビアン・ビラ・ミュージアムのツアーは30分ごとに開催され、45分のガイド付きで博物館をみてまわることができます。ツアーの料金は設定されていませんが、$3~$10ほどを寄付という形で支払い、それが入場とツアーの料金となります。
営業時間
- 5月5日から10月13日まで:水曜日13:00〜16:00
- 6月から8月:木曜日13:00〜16:00
- 土曜日と日曜日:13:00〜16:30
ロックフォードからのアクセス
車・タクシー:約70分~、オンライン配車サービスで$70~
アクセス情報
ロックフォードへは、レンタカーやタクシーなどを利用するか、長距離バス「グレイハウンド」、電車「Amtrak」を利用していくことができます。
- 車・タクシー:約90分~、オンライン配車サービスで$105~
- 長距離バス:約2時間~、グレイハウンドで往復$25~
- 電車:約100分~、Amtrakで片道$21~
よくある質問Q&A
ロックフォードの治安はどうでしょうか?
ロックフォードの街の雰囲気は穏やかで、治安の悪さを感じることはあまりないかと思います。しかし、ロックフォードと一緒にシカゴ観光をする場合には、注意が必要です。シカゴ市周辺は近年治安改善に力を入れていますが、現在も安全とは言い切れない地域があります。下記がシカゴ内で一番治安の悪いとされるエリアなので、極力近づかないようにしましょう。
- リバーデール(Reverdale)
- エングルウッド(Englewood)
- ワシントンパーク(Washington Park)
- フォラーパーク(Fuller Park)
- バーンサイド(Burnside)
ロックフォードのホテルの相場はいくらでしょうか?
ロックフォードにあるホテルは、$50〜$200程度の価格帯です。ヒルトン ガーデン インやハンプトン インなどのホテルチェーンがロックフォードには点在しており、人気スポットや自然公園からほど近くに位置しています。それらのホテルには朝食サービスやジム、プールなどが併設されているなど、安心で質の高い滞在をすることができます。
英語が話せないのですが、日本語が通じますか?
ロックフォードやシカゴ周辺で日本語を話せる人をさがすのは、難しいです。ただ、地元の人々はフレンドリーなので、頑張って伝えようとすれば助けてくれるケースが多いかと思います。観光などに必要な英単語やフレーズは覚えておき、グーグル翻訳などのツールを常時使えるようにしておくと良いでしょう。
ロックフォードを含むシカゴの気候はどうですか?どの時期にいくのがお勧めでしょうか?
シカゴは北緯約41度、北海道の函館とほぼ同じ緯度だと考えると、想像がつきやすいかと思います。春と秋は短く、夏は涼しく、冬場には1月でマイナス5℃、ときにはマイナス18℃まで下がります。
そのため冬場よりも、夏だと湿度が低くさわやかな気候なので、快適に過ごすことができます。また、夏には野外イベントが目白押しで、野外コンサートやエアーショーなどが開かれます。
9月に入ると街中の木々が色づき始め、色とりどりの紅葉が風に揺れる風景はとても綺麗です。しかしこの時期になると数々のコンベンションが開かれ、人の出入りが激しくなるのでホテルの価格も上がります。冬は寒いですが、12月になると街中がイルミネーションで煌めき、公園にはスケートリンクが現れ、クリスマス一色となります。
シカゴを含め、ロックフォードを観光するには何泊くらいが最適ですか?
シカゴ行きのツアーは最短でも3泊5日が理想的です。シカゴの面積は約600平方kmで、東京都と大体同じ規模だと考えると想像ができるかと思います。アートや音楽、グルメからショッピングまで様々な魅力があります。またシカゴから電車で20~30分のロックフォード観光も満喫するには最低3泊が必要となります。
日本から直行便だと約12時間、乗り換え便を使うと15時間以上かかるので、飛行機の往復で24時間以上かかります。また、日本とシカゴの時差は15時間で日本が先を進んでいます。
このように移動に時間がかかるのと、時差のため、シカゴツアーのほとんどは移動時間を含めて、最短でも5日間が必要となります。
飛行機でどのくらいかかりますか?
日本からは、成田と羽田からシカゴ・オヘア国際空港まで直行便が出ています。成田・羽田からだと、直行便で平均11時間50分を要します。大阪など東京以外の日本の都市からは成田・羽田か、アメリカ国内やほかの国の都市を経由する必要があります。乗り継ぎ便だと、最短でも15時間以上を要します。