カンボジアのツアー選びポイント
ツアーの特徴
カンボジアを旅行するなら、必ず訪れたいのが「アンコールワット」ではないでしょうか。ほとんどのカンボジアツアーには、アンコールワットが組み込まれていますが、最寄りのシェムリアップ空港までは日本からの直行便が就航していません。
そのため、同国内のプノンペン、ベトナムのハノイやホーチミン、香港などを経由する旅程が一般的です。
そのため、経由地での観光も含まれた周遊ツアーも多くあります。希望の旅行プランや日程によって経由地を選ぶと良いでしょう。カンボジア国内だけのツアーもあり、定番スポットのみを効率よく回るツアーから、隠れ家的な遺跡や秘境を巡るツアーまで多種多様です。
ツアーには、ガイドが含まれているもの・含まれていないものがありますが、遺跡巡りをメインにする場合は、ガイド付きのツアーがおすすめです。
カンボジアの歴史や寺院・遺跡が建設された背景、遺跡内のレリーフの意味などを豊富な知識でガイドしてくれるので、そのスポットを深く理解することができます。
日数と訪問都市を選ぶ
首都のプノンペンには、王宮やマーケットなどの観光スポットがありますが、カンボジア観光の目玉はやはりアンコール遺跡。多くの遺跡は、シェムリアップ周辺にあるので、遺跡を満喫したい場合はシェムリアップ滞在を長めにするのがおすすめです。
2都市以上を周遊する場合は、5日以上の旅程が理想的です。ツアーでも4日以下のものは、シェムリアップ1都市のみを観光する内容になっています。乗り換えを含めると、日本からカンボジアまで最低でも10時間程度を要するため、5日確保できると余裕を持った旅行が可能です。
カンボジア国内だけの旅行であれば、最初にプノンペンで1泊、その後シェムリアップに移動して2泊、再度プノンペンで乗り換えて帰国するという旅程がおすすめです。ビーチリゾートや他国の観光地を経由する場合は、5泊6日や6泊7日のツアーが多いです。
経由地、そこでのアクティビティも様々なので、いろいろなツアーを見比べてみると良いですね。
利用する空港とエアラインを選ぶ(周遊都市の順番・乗り継ぎの有無・コスト/時間)
日本からカンボジアへの直行便は、全日空の成田国際空港~プノンペン国際空港の航路のみです。所要時間は6時間半と、乗り換え便に比べ、移動時間は2~3時間短縮されます。そのため、プノンペンを観光する場合、かつ時間を有効に使いたい場合は、航空券は全日空一択になります。
シェムリアップのみを観光する場合は、いずれにしても乗り換えが必要になります。
羽田空港や関西エリア、その他の日本の主要空港からであれば、ベトナム・香港・タイなどの経由が必要です。各エアラインで乗り継ぎ便の設定もあります。また、経由地で観光する場合は、同一エアラインを選択する必要がないので、旅程に合わせて手配しましょう。
ツアーであれば、乗り換え地やエアラインをさほど気にする必要はありませんが、航空券を個人手配する場合は、いくつか注意が必要です。たとえば、乗り換え地での入国の必要有無、預入荷物の受け取りの有無等を事前に調べておくほうが安心です。
諸手続きが必要な場合は、時間に余裕を持った航空券を購入するようにしましょう。
カンボジア入国の際は、必ずビザが必要になります。到着した空港で申請し即日受け取ることも可能ですが、日本国内のカンボジア大使館やオンラインでも申請が可能です。時間の余裕があるならば、事前に手続きをしておくほうが安心でしょう。
なお、カンボジア空港で取得する場合、ビザ代金の支払いは米ドルのみなので、事前に準備して行きましょう。
観光に適したシーズン
熱帯モンスーン気候に属するカンボジアは、1年中高温多湿な気候です。雨季と乾季に分かれ、プノンペンやシェムリアップなど、地域による差はほとんどありません。カンボジア旅行のハイシーズンは、11月~5月頃の乾季です。
乾季でも、12月〜2月前半くらいの間は、最高気温30度前後、雨もほとんど降らずカラッとしていて観光にはベストシーズンです。
乾季は雨や雲が少ないため、観光スポットも美しく見えます。アンコールワットから美しいサンライズやサンセットが楽しみたい方は、この時期の旅行がおすすめです。
一方雨季は5月半ば~10月頃で、特に3月~4月の期間の平均気温は35度前後。暑い時には40度になることもあります。雨量も少しずつ増えていきます。雨季は確かに雨が多い季節ですが、日本の梅雨とは異なり、短時間に集中して大粒の雨が降ります。
土砂降りの雨であっても、カフェなどで雨宿りをしていれば、すぐに止むことがほとんどです。
服装は1年中、夏の格好で問題ありませんが、建物内やタクシーなどは時折冷房が効きすぎて寒く感じることもあるので、薄手の羽織りものが1枚あると安心です。
また、服装以上に気を付けたいのが靴です。特に雨季に遺跡を訪れる場合は、足元が滑りやすく危険な箇所もあるので、必ずスニーカーなどの履きなれた運動靴を持参しましょう。
ホテルを選ぶ
カンボジアは、アジアの観光地としては後発組と言えます。近年は観光客も増え、ホテルも多く建設されていますが、アジアの他の有名観光地に比べると、宿泊料金の相場が安いことが特徴です。
4つ星ホテルでも1泊1万円以下で宿泊できるほか、1泊3,000円台のホテルでも、立地やサービスの良い良質なホテルが数多くあります。
アンコールワットがあるシェムリアップには、観光客向けのホテルが多くあります。
「せっかくの機会なので、豪華なホテルに泊まりたい」「静かでこぢんまりしたブティックホテルで落ち着いて過ごしたい」「リーズナブルで観光に便利な場所に泊まりたい」など、旅行プランに合わせてホテルを選びましょう。
シェムリアップ宿泊の場合、市内中心地でさえあれば、さほど立地にこだわる必要はありません。なぜかというと、観光のメインであるアンコール遺跡群は、全てシェムリアップの北側に位置しており、その距離は約6km〜7km。
遺跡観光の際には、トゥクトゥクやタクシーなどでの移動が必須になるため、市内であれば、ホテルの立地は観光にあまり影響しないためです。
ラグジュアリーホテルでおすすめなのが、故シハヌーク前国王が、国賓をもてなすために建造した来賓用ヴィラをホテルとして改築した高級リゾート「アマンサラ」。贅を尽くした5つ星ホテルで、設備だけでなくサービスも折り紙付きと評判です。
また、女性に人気なのがおしゃれなブティックホテル「タラ・アンコール」です。スタイリッシュなデザインのブティックホテルで、中庭にはオープンテラスがあり、のんびり過ごすには最適です。日本語対応スタッフもいて安心なのも大きなポイントですね。
そもそもカンボジアってどんなところ?
カンボジアは、東南アジアの国の1つで、正式名称はカンボジア王国です。インドシナ半島南部に位置し、西側はタイ、東側はベトナム、北側はラオスと国境を接しています。隣国へ1日に何便も飛行機が運行しているため、東南アジアを周遊するプランも人気です。
気温が30度を超える暑さのカンボジアは、年間を通して日本の夏のような気候が続きます。1年は大きく分けて雨季と乾季になり乾季は11月~5月頃、雨季は6月~10月です。観光のベストシーズンは、11月~1月頃です。
最高気温30度前後と暑すぎず、雨もほとんど降らないのでカラッとした空気が続きます。ただし、日差しは強いので帽子やサングラスなどの日焼け対策は必須です。
カンボジアの首都はプノンペン、共通言語はクメール語(カンボジア語)ですが、英語が話せる人が多いため、不便を感じることは少ないでしょう。観光地、ホテル、商業施設はもちろん、タクシーやトゥクトゥクでも英語が通じます。
また、カンボジアの通貨は「リエル(Riel)」で、紙幣は50、100、200、500、1000、2000、5000、1万、2万、5万、10万の11種類です。
カンボジア国内では米ドルが一般的に流通しているため、米ドルがあれば事前にリエルへの両替は必要ありませんが、小さな露店などではおつりを用意していない場合もあるので、小額の米ドル紙幣を用意しておくと良いでしょう。
最後にカンボジア国内での移動手段についてですが、基本的に公共交通機関があまり整備されていません。鉄道は一路線だけ運行しているものの、長距離移動用です。都市部や観光地では、乗り合いタクシー・メータータクシー・トゥクトゥクを利用しましょう。
カンボジアの歴史
カンボジアは、とても複雑な歴史的背景を持つ国です。現在のカンボジア王国は1993年に成立した、とても新しい国です。
その昔、9世紀から13世紀にかけて、現在のカンボジアはクメール王朝として東南アジアで大きな勢力を誇りました。19世紀中頃からは、フランスによるインドシナ半島の植民地化が始まり、カンボジアも100年近くフランスの支配下にありました。
そして、ノロドム・シアヌーク王による独立運動の結果、1953年に独立します。しかし、ベトナム戦争の勃発とともに国内でクーデターが起こり、カンボジア内戦に至ります。
内戦下の1975年、カンボジア国内ではポル・ポトが率いるクメール・ルージュ政権が誕生し、都市住民の農村入植と強制労働という極端な原始共産主義への回帰政策を実施しました。そして、役人、学者、富裕層の人々や留学生など、知識人を中心とした大量虐殺を行います。
この期間に約300万人のカンボジア人が命を落としたと言われています。そのため、現在のカンボジアの平均年齢は25歳と世界的に見ても非常に若いです。
1993年に行われた総選挙でシハヌーク政権が復活し、現在のカンボジア王国が始まりました。
未だ東南アジアの中では最貧国と位置付けられているものの、現在は政治情勢・治安ともに安定しています。都市部では、高層ビルや商業施設などの開発が進み、著しい経済成長を遂げています。
カンボジアの宗教と民族性
カンボジアの人口の約9割を占めるクメール人は仏教徒です。国王はカンボジア仏教の頂点とされていて、カンボジア仏教が生活の一部となっています。国中の至るところに寺院があり、仏教関連の祭事や祝日も多いです。
これは東南アジアの仏教国共通ですが、人の頭に触れることは、とても失礼な行為にあたります。なぜなら、人の頭には精霊が宿っていると考えられているためです。可愛い子供などを見たら、思わず日本式に頭をなでてしまいそうですが、決してしないよう注意が必要です。
また、女性は僧侶に触れてはいけないという決まりがあります。お寺では男女ともに肌の露出は極力避けましょう。短いズボンやスカートでは寺院内に立ち入ることができません。
場所によっては、巻く布を貸してくれるところもありますが、寺院に行く際は肌の露出が少ない服装で行くほうが安心です。また、頭を隠すことも禁じられているため、帽子やサングラス、マスクも外しましょう。
カンボジア旅行の見どころ
アンコール遺跡を巡る
アンコール遺跡群の歴史
クメール王国は、9世紀から15世紀にかけて東南アジアから東アジア一帯を治め大きな繁栄を誇った王国でした。
その中心とした栄えた都市が、現在のカンボジアのアンコールワット周辺です。1113年に即位したスールヤヴァルマン2世が、約30年かけて建設したとされるアンコールワットを中心に、その周辺遺跡を総称して「アンコール遺跡群」と呼びます。
長い間栄華を極めたクメール王国ですが、15世紀にタイに攻め落とされたのち、王都は手つかずの状態で放置されていました。そして、遺跡群は熱帯のジャングルの植物によって覆い尽くされてしまいます。
19世紀後半、フランス人のアンリ・ムオーが旅行記で、アンコール遺跡群に触れたことがきっかけとなり、遺跡調査や修復活動が進められました。
内戦や政治混乱のため、何度か中断を余儀なくされたものの、修復が進み1992年には世界遺産に登録されます。同時に存続の危機に瀕した「危機遺産」にも登録されましたが、各国の援助もあって2004年には危機遺産の登録からは外されました。
アンコール遺跡群の中には、約600にも及ぶ遺跡が点在し、それぞれが個性的な魅力を持っています。すべてを見学することは不可能なので、外せない遺跡とご自身が訪れたいスポットを事前に調べて、効率よく回りましょう。
アンコール遺跡群の回り方
アンコール遺跡群の観光コースは、日数と見学したい遺跡の数によって変わりますが、少なくとも2日間は確保したいところです。
2日間あれば、外せない観光スポットであるアンコールの三大遺跡「アンコールワット」「アンコールトム」「タプローム」だけでなく、郊外の人気遺跡「ベン・メリア」にも足を運ぶことが可能です。
また、アンコール遺跡群観光には専用のチケットが必要なので、必要日数のフリーパスチケットを初日に購入しましょう。
広大で数多く点在する遺跡の回り方に悩む方も多いかと思いますが、アンコール遺跡群を希望に合わせて回る各種コースが用意されています。ツアー旅行の場合は組み込まれている場合が多いです。
個人旅行の場合は、現地でツアーを申し込むこともできますが、自力で回る場合はインターネット上やガイドブックの観光コースを参照すると良いでしょう。
- アンコールワット小回りコース
まずご紹介したいコースが、アンコール三大遺跡群を組み込んだ定番中の定番「アンコールワット小回りコース」です。
アンコールワット小回りコースでは、
- アンコールワット
- アンコールトム
- タケウ
- タプローム
- バンテアイ・クデイ
- スラ・スラン
- プラサット・クラヴァン
を訪れます。
所要時間は約6~7時間ですが、広くて見どころの多いアンコールワットやアンコールトムをじっくり見学するほどの余裕はないコースです。もし、じっくりと1つの遺跡を見たい場合は、日を分けて観光するプランがおすすめです。
- アンコールワット大回りコース
「アンコール小回りコース」を観光し終えたら、翌日以降は「アンコール大回りコース」や「ベンメリア遺跡」に行ってみましょう。
まず、アンコール大回りコースでは、小回りコースの周りに点在する遺跡群(アンコールトムよりさらに北側にある遺跡群)を見学します。
アンコール大回りコースでは、
- プリアカン
- ニャック・ポアン
- タ・ソム
- 東メボン
- プレ・ループ
を4~5時間かけて回ります。
小回りコースに比べると、さほど有名な遺跡は含まれませんが、アンコール遺跡群の様々な表情を楽しみたい方にはおすすめのコースです。最後のプレ・ループは夕日鑑賞スポットにもなっているので、夕日に染まってよりキレイに輝く遺跡を観光の締めに見るのも良いですね。
- ベンメリア遺跡周辺コース
アンコール遺跡群と少し雰囲気の違う遺跡を見学したい場合は、「ベンメリア遺跡」周辺へ足を延ばしてみましょう。
この遺跡は、修復がほとんどされていない手つかずの状態で、たくさんの植物や樹木が遺跡に絡まっている光景を見ることができます。崩れ落ちた壁や瓦礫の上を歩くのは、さながら探検家のような気分を味わうことができます。
ベンメリア遺跡はシェムリアップから北東へ60kmほど離れた場所にあり、片道1時間半ほど必要です。ツアーへの参加や、トゥクトゥクのチャーターが必要になります。
ベンメリア遺跡に行く場合は、ほかの遺跡と組み合わせるコースが多いです。ベンメリアの少し先にある「コーケー遺跡」や「プレアヴィヒア寺院」、途中の「ロリュオス遺跡群」や「トンレサップ湖」は定番の観光スポットなので、是非立ち寄ってみましょう。
秘境のビーチリゾートで海を満喫する
遺跡観光であまりに有名なカンボジアですが、実はカンボジア南部は海に面しているため、秘境ビーチと言われる「シアヌークビル」があります。この場所は、近年まで手付かずだったため、エメラルドグリーンの海の美しいビーチリゾートです。
シアヌークビルへは、プノンペンやシェムリアップから飛行機で1時間弱、もしくはプノンペンからバスで約6~8時間です。海岸沿いは美しいビーチが約7キロも続き、それぞれのビーチが異なる雰囲気を持ちます。
沖合には手つかずの自然が残るリゾートアイランドもあります。一方、近年は人気が急上昇していることから、海沿いにはラグジュアリーなホテルが続々と建設されています。
シアヌークビルにある7つのビーチの中で、人気のあるビーチが「オーチティルビーチ」「セレンディピティビーチ」です。白い砂浜と透明度の高い海水のビーチが広がり、昼夜問わず観光客や地元の人々で賑わっています。
オーチティルビーチ周辺には、レストランや屋台が立ち並び、海を眺めながら食事を楽しむことができるのも魅力。サンセット時には、美しい夕日を見ることができる絶景スポットとしても有名です。
この2つのビーチには、多くのリゾートホテル建ち並びますが、中でもプライベートビーチを持つ「ソカ ビーチ リゾート シアヌークビル」は、のんびりラグジュアリーなリゾート気分を味わうことができる高級ホテルです。
白浜のプライベートビーチがある5つ星のリゾートスパホテルで、海を眺めながら快適な時間を過ごすことができます。
また、美しい海を堪能したい!という方は、シアヌークビル沖の離島「ロン島」もおすすめ。シアヌークビルから高速船で約1時間でアクセスでき、ビーチの美しさはカンボジア随一と言われています。ボートトリップツアーやシュノーケリング等のアクティビティを楽しむこともできます。
最近では、観光客の増加に伴い、カジノやゴルフ場などリゾート化も進んでいます。別名「パーティーアイランド」とも呼ばれるロン島は、イベント時には夜通し賑やかな空気に包まれます。
時間に余裕がある場合は、遺跡巡りと組み合わせて、アジアでもまだ手付かずの美しさの残るシアヌークビルで、ビーチリゾートを満喫するのも、カンボジア観光の新しい楽しみ方ですね。
首都プノンペンでカンボジアの昔と今に触れる
近年、首都プノンペンの街中には、大きなショッピングモールやオフィスビルも次々と建設されています。現在でこそ、このような急激な経済発展を遂げているカンボジアですが、他の国に例をみないほど、過去に複雑な歴史を持つ国です。
プノンペン市内には、カンボジアが歩んできた歴史を学べるスポットがいくつかあります。
目をそむけたくなるような時代もありますが、カンボジアという国をより深く知ることができる、貴重な施設もあります。歴史の重みを学んだうえで観光をすると、カンボジアの違う表情を見ることができるかもしれません。
カンボジア国立博物館
カンボジア国立博物館は、王宮の北側にあるため、王宮を訪れる際には是非立ち寄ってみたい施設です。館内には、カンボジア全土から出土した彫像や遺跡のレリーフ、王家の紋章など、歴史的価値の高いクメール芸術の品々が数多く展示されています。
アンコール・トムを建築したとされる12世紀末アンコール王朝の国王「ジャヤバルマン7世」の像も展示されています。
入り口でオーディオガイドを借りることができるので、展示物の詳しい説明を聞きながら見学すると、より理解が深まりそうですね。
キリング・フィールドとトゥールスレン博物館
カンボジアでは、1977年から1979年頃にかけて、ポル・ポト率いる共産主義政権の「クメール・ルージュ」によって、約300万人の人々が亡くなりました。
ポル・ポトの掲げる理想の共産主義を実現するため、知識人と言われる人々の多くが、残虐な方法で命を奪われました。「キリング・フィールド」と「トゥールスレン博物館」では、その暗黒の時代のカンボジアを知ることができる施設です。
キリング・フィールドはプノンペンの市街から南方へ数キロ行った場所にあります。現在は公園として整備されていますが、当時は処刑場として使用されていた場所です。その痕跡は、公園内の随所に現在もっており、展示されています。
トゥールスレン博物館は、クメール・ルージュによって拷問施設として使用された施設です。もともと高校の校舎だった場所は、暗黒の時代を経て、現在博物館として公開されています。
カンボジアの歴史を知らなくとも、ここでの展示物を見れば、その残虐さに目をつぶりたくなるかもしれません。
わずか40年ほど前のカンボジア国内で起こった現実を知るには、避けては通れない場所です。日本語の音声ガイドも借りることができるので、訪れた際には歴史に耳を傾けてみましょう。
定番スポット10選
アンコールワット
アンコールワットは、北西部のシェムリアップにある「アンコール遺跡」のうちのひとつです。アンコール遺跡は、クメール王朝時代の遺跡群で、1992年にユネスコの世界遺産に登録されました。
アンコールワットは、アンコール遺跡群の中でも最大の規模を誇る宗教寺院で、その建物面積およそ200ヘクタール(東京ドーム約15個分)と広大です。
1113年に即位し、絶大な勢力を誇った、クメール王朝の国王・スールヤヴァルマン2世が、約30年間かけて建造し、この地で栄華を誇りました。建設当時はヒンドゥー教寺院として作られましたが、16世紀後半に仏教寺院に改修され、現在も上座部仏教寺院として多くの参拝客や観光客が訪れています。
アンコールワット観光で特に人気なのが、アンコールワットでの朝日鑑賞です。地平線から昇ってくる太陽が、アンコールワットを包み込み、遺跡全体がにオレンジ色に輝く光景は圧巻。
また、蓮のつぼみの形をした仏塔が、オレンジの空の色と一緒に池に映り込む光景は、言葉にできないほど幻想的です。早朝の神秘的なアンコールワットは、カンボジアに来たら必見です。
また、アンコールワットと周辺遺跡へ行く際は「アンコール・パス」の購入が必要です。このチケットは、シェムリアップ市内からアンコールワットへ向かう途中にあるチケットオフィスで購入できます。
チケットは有効日数によって料金が異なり、1日券が37ドル、 3日券が62ドル、7日券が72ドルなので、旅程に合わせて購入しましょう。
バイヨン寺院
バイヨン寺院は、都市遺跡「アンコールトム」の中にあるメインの遺跡です。アンコールトムは、アンコール遺跡群の一部で、その中には、バイヨン寺院のほか、南大門や象のテラスなどの多くの遺跡があります。これらの遺跡はすべて世界遺産に登録されています。
アンコール王朝時代のジャヤバルマン7世が、12世紀末から徐々に建設したと言われています。建設には多大な時間が費やされ、後世何代かに渡って建設されたそうです。美しい彫刻の壁画が施された仏教とヒンドゥー教が融合した寺院で、その堂々たる岩山のような威容は迫力満点です。
この寺院の見どころは、不思議なほほえみを浮かべる四面像です。これは、観世音菩薩像を模していると言われており、通称「クメールの微笑」といいます。寺院内には、大きな四面像が彫られた塔があちこちにありますが、高さ2mほどの大きな「クメールの微笑」は、すぐに見つけることができます。
寺院周辺では、象に乗って高い位置から遺跡周辺を観光することもできます。象の背中に揺られながら遺跡を見学すれば、かつての王様のような気分を味わうことができるかもしれません。ただし、バイヨン周辺の象乗り体験は午前中のみなので、注意が必要です。
トンレサップ湖
トンレサップ湖は東南アジア最大の湖で、乾季の水量の好きない時期でも琵琶湖の3倍ほどの大きさです。
乾季と雨季で水量が変化し、雨季には湖の大きさが乾季の3倍ほどになります。この湖の水上生活者の数も世界最大で、その数は100万人とも言われています。水上に点在するいくつもの村をボートで見学できることから、シェムリアップの観光名所のひとつになっています。
ボートでの見学ツアーは、チョンクニアとコンポンプルックという2ヵ所から乗船することができます。チョンクニアは、住人のほとんどがベトナム人でボートハウスに住んでいます。
一方、コンポンプルックには、カンボジア人が多く、彼らは高床式の家に住んでいます。高床式の家は、10メートルくらいの高さがあり、雨期に水の量が増えると、家の床ぎりぎりまで水かさが増します。
観光客も食事ができる水上レストランもあるので、立ち寄って水上生活を体験してみるのも良いですね。
アプサラダンス 鑑賞スポット
アプサラダンスは、カンボジアに古くから伝わる宮廷舞踊のひとつです。「アプサラ」は、古代インドの神話に登場する天女で、「アプサラダンス」は「天女のダンス」という意味です。きらびやかで美しい衣装に身を包んだ女性たちが、独特の手の動きとともに踊る姿は、見入ってしまう妖艶さです。
シェムリアップには、このアプサラダンスをみることができる施設がいくつかあります。老舗として有名な「クーレン2」や「クリスタル・アンコール・レストラン」がおすすめです。いずれもビュッフェ形式の食事が含まれたディナーショーで、毎日19時ころから鑑賞可能です。
予約なしでも行くことはできますが、訪問日が決まっていれば事前に現地の旅行会社やインターネットでの予約がおすすめです。割引価格で入場ができるだけでなく、座席も前方が手配されるので、ステージを間近で見ることができます。美味しいクメール料理と美しいダンスを楽しんでみてはいかがですか。
タプロームとベンメリア
タプローム
タプローム寺院は、アンコールワット遺跡群のひとつです。ほかのアンコール遺跡群の建物とは異なり、建物のほとんどが崩壊し、そのままの形で残されている希有な遺跡です。
タプローム寺院は12世紀末に、クメール人の王朝ジャヤバルマン7世が母を弔うために建設しました。仏教寺院として建てられ、当初は5,000人もの僧侶がここで暮らしていましたが、のちにヒンドゥー寺院として改修されます。
この遺跡が発見された当初、ガジュマル等の巨木による浸食が進んでおり、遺跡は崩壊寸前でした。しかし「熱帯で人の手による遺跡の管理を行わないとどうなるのか」というコンセプトの下、あえて修復せず、発見当初の姿のまま保存されることになりました。
遺跡内では、樹齢300年にもなるガジュマルの木が、回廊に覆い被さり、今も成長を続けている姿を見ることができます。長い年月をかけて成長してきた樹木と、それに負けずに立っている遺跡の姿を見れば、神秘的なエネルギーを感じることができるでしょう。
ベンメリア
ベンメリアは、アンコールワットから40kmほど離れた密林の中あり、シェムリアップから約1時間半程度で行くことができます。15年ほど前から整備が開始されたものの、現在も修復があまり進んでおらず、遺跡のほとんどが発見当時のままの状態です。
実はこの寺院、上空から見た形はアンコールワットとほぼ同じで、アンコールワットを建設する際のモデルになったと言われています。
遺跡内は、安全と保全上の理由から見学できるところが限られていて、足場も良くないため注意が必要です。崩れた壁の上に這い上がったり、時には光が届かない暗闇の回廊を歩いたり、迷路のような道無き道を歩くこともあるので、観光の際は、履き慣れた運動靴が必須です。
ロリュオス遺跡群
ロリュオス遺跡群は、クメール王国以前に築かれた王都一帯に残る寺院群です。アンコールワットが建設される300年も前に作られたこの遺跡群は、クメール建築の原点になったと言われています。カンボジア国内でも特に歴史的価値が高い遺跡とされています。
ロリュオス遺跡群にはいくつかの遺跡が集まっており、その中でも有名な遺跡が3つあります。
1つ目の「バコン」は、大型ピラミッド型寺院で、アンコールワットの原型になったと言われています。2つ目のプレアコーは、現存するロリュオス遺跡群の中では最古の遺跡で、王の両親のために建造されたといわれています。3つ目のロレイは、ヒンドゥー教寺院です。
遺跡内に現在もある仏教寺院と、ヒンドゥー教寺院のロレイの2つの寺院を見比べてみるのも面白いでしょう。遺跡内の綺麗な踊り子達の美しい彫刻レリーフも、見逃せない見学ポイントです。
カンボジア王宮
カンボジア王宮は、首都プノンペンにあります。国王の住まいとして、また外国の来賓をもてなす場所として使われています。この王宮は1870年に建築が開始され、1919年にフランス人の建築家によって手が加えられ、現在の姿に至ります。
王宮の一部は一般公開されており、実際に中に入って内部を見学することができます。王宮へ入れる時間帯は午前と午後で分かれており、午前は7:30〜11:00午後は14:00〜17:00の時間帯です。王宮を訪れる際は、この時間帯を目指しましょう。
王宮前には、大きな広場があり、昼夜を問わず多くの人が行き交います。入り口で入場料10米ドルを支払い、王宮内へ入りましょう。
すぐに目に入るのが、金色の瓦屋根を持つ高さ59メートルのクメール様式「即位殿」です。戴冠式や国王の誕生日など、カンボジア王室の重要な行事が執り行われる場所で、中を見学することはできませんが、開かれた窓から中の様子を見ることができます。奥には戴冠式に使用される黄金の玉座を見ることができます。
王宮の一番の見どころは、Throne Hallと呼ばれる「玉座のある広間」です。建物の内部は、豪華絢爛で、まばゆく光り輝く装飾が建物の内側にちりばめられています。建物の内部は写真撮影禁止なので、美しい装飾をじっくりとご自分の目で見学しましょう。
なお、王宮見学の際は、寺院と同様、服装や持ち物に注意が必要です。肩の見える服装や短パン、ミニスカートでは入場ができません。また、王宮内では帽子を脱がなくてはなりません。大きなバックパックなども持ち込みが禁止されているので、注意が必要です。
オールドマーケット
シェムリアップ観光の際、是非立ち寄りたいオールドマーケット。
古くからある歴史あるマーケットで、食品や衣類などの日常品から観光客用のお土産まで、なんでも揃います。終日、地元民や観光客で賑わうオールドマーケットは、観光客向けの衣料品やお土産ものを販売するエリアと、地元の人向けの生鮮食品エリアに分かれています。
観光客はまずお土産を物色したいところですが、その前に生鮮食品エリアものぞいてみましょう。魚や肉、野菜は充実の品揃えで、日本では見ることのできない珍しい種類の魚や野菜、果物を見ることができます。
お土産ものエリアでは、Tシャツやズボンなどの衣料品、カンボジアの小物雑貨から置物まで、お土産に最適なものがお手ごろな価格で手に入ります。特にカンボジアは織物文化が盛んで、マーケットには布地を扱うお店も多くあります。
気に入った布があれば、その場で服に仕立ててもらうことも可能なので、旅の記念品に良いかもしれません。
また、オールドマーケット内には食事ができるローカル食堂があります。定番のカンボジア料理がそろっているので、お買い物の途中に立ち寄ってみるのもおすすめです。
プレアヴィヒア寺院
カンボジア国内にある3つの世界遺産のうちのひとつが、プレアヴィヒア寺院です。
この寺院は別名「天空の寺院」と呼ばれており、シェムリアップから北東へ約120kmほどのタイとの国境付近にあります。標高657メートルの山の上にある寺院で、観光時にはカンボジア随一と言われる絶景を楽しむことができます
プレアヴィヒ寺院は、クメール王朝時代に、時の王様ヤショヴァルマン1世によって建設され、その後歴代の王によって増築されてきました。タイとの国境にあることから、長期間にわたり、その領有権争いが続いていましたが、現在は収束しています。
プレアヴィヒア寺院の見どころは、何と言っても保存状態の良い多くの彫刻です。アンコールワットよりも古い時代に建設されたにも関わらず、ほぼ当時の状態を保っています。観光の際は、繊細で美しい彫刻をじっくり見学してみましょう。
セントラルマーケット
セントラルマーケットは、プノンペンを代表する大きな市場です。中央にフランス人の建築家が設計したドーム状の建物があり、そこから四方へ建物が伸びるユニークな市場は、毎日多くの人で賑わっています。
市場内にある店舗数はなんと3,000以上と言われ「頭からつま先まで、何でも必要なものがそろう」と言われるほどの充実した品ぞろえが魅力です。食品、電化製品や日用雑貨、衣類、宝飾品まで、ありとあらゆる物を売る店が市場内にひしめき合います。
市場内には美容サロンや占いコーナーまであるというユニークなスポットです。
地元の人のみならず、観光客も多く訪れるため、お土産物店が多いのも大きな特徴です。お土産物屋は。市場の正面にあたる東側〜北側に多く集まり、お土産にぴったりのTシャツやスカーフ、小物や雑貨などがそろいます。
また、西側は食品売り場と屋台の食べ物系、南側には台所用品などの日用品のお店が並びます。
広大なマーケットなので、見たい場所を絞って効率よく回りましょう。日中は気温が高く、日差しも強いので、暑さ対策も必須です。
カンボジアのおすすめホテル10選
ネガワールド ホテル & エンターテイメント コンプレックス (NagaWorld Hotel & Entertainment Complex)
基本情報
【住所】NagaWorld®, Samdech Techo Hun Sen Park,, チャムカーモン, プノンペン, カンボジア, 12207
【WiFi】利用可
【ペット】不可
プノンペン カタリ ホテル (Phnom Penh Katari Hotel)
基本情報
【住所】Oknha Chrum Youhak (St.294), チャムカーモン, プノンペン, カンボジア, 12302
【WiFi】利用可
【ペット】不可
パレス ゲート ホテル&リゾート (Palace Gate Hotel & Resort)
基本情報
【住所】#44 St. Sothearos Blvd. Corner St. 240 Chey Chumneas, Daun Penh, Phnom Penh, ダウン ペン, プノンペン, カンボジア, 12206
【WiFi】利用可
【ペット】不可
アクエリアス ホテル&アーバン リゾート (Aquarius Hotel & Urban Resort)
基本情報
【住所】Preah Ang Phanavong St. (240), サンカット チャクト ムク, プノンペン, カンボジア
【WiFi】利用可
【ペット】不可
HARI レジデンス&スパ (HARI Residence & Spa)
基本情報
【住所】BBU Road, Vihear Chin Village, Svaydangkum, シェムリアップ中心地, シェムリアップ, カンボジア, 17252
【WiFi】利用可
【ペット】不可
イーオカンボ リゾート アンド スパ (eOcambo Resort and Spa)
基本情報
【住所】BBU Road, スヴァイ ダンクム, シェムリアップ, カンボジア, 17252
【WiFi】利用可
【ペット】不可
グランド エリーゼ ラ レジデンス (Grand Elysee La Residence)
基本情報
【住所】Sombai Road, サラ カムラウック, シェムリアップ, カンボジア, 17254
【WiFi】利用可
【ペット】不可
シェ モア スイート アンド スパ (Chez Moi Suite and Spa)
基本情報
【住所】#0378, Sombai road, Wat Damnak commune, サラ カムラウック, シェムリアップ, カンボジア
【WiFi】利用可
【ペット】不可
サハー ビーチ リゾート (Sahaa Beach Resort)
基本情報
【住所】Otres Beach 1, オーチティルビーチ, シアヌークビル, カンボジア
【WiFi】利用可
【ペット】不可
インディペンデンス ホテル リゾート&スパ (Independence Hotel Resort & Spa)
基本情報
【住所】Str 2 Thnou, Sangkat No. 03, Khan Mittapheap, インディペンデンス ビーチ, シアヌークビル, カンボジア, 1800
【WiFi】利用可
【ペット】不可
カンボジアの年間イベント情報
1月
解放の日
1月7日は、カンボジアがポル・ポト率いるクメール・ルージュの政権から解放された記念日です。
1979年の同日、ベトナムの支援を受けた現政権のカンボジア国民党により、クメール・ルージュ政権が崩壊しました。そして、カンボジア国民党はプノンペンを取り戻ししたその日を、「解放の日」に制定しました。
「解放の日」は、カンボジア国民にとって平和と自由を再認識する祝日として、重要な日とされています。そのため、1月7日は国民の祝日となっており、与党人民党が党本部に各国大使を招いて厳かな式典を行います。街中でも盛大にお祝いイベントが行われ、お祭りムードに包まれます。
4月
カンボジア正月
カンボジアには1年の間に3回も正月があります。西暦による正月(1月1日)・中華暦の正月(2月)・そしてクメール正月(4月)の3つです。中でも最も盛り上がるのがカンボジアの正月であるクメール正月です。
カンボジアでは、毎年4月頃に天から女神が降りてくると信じられており、この時期をお正月としてお祝いをします。 各家庭では、祭壇とお供え物を用意して女神を迎え入れるのが伝統的な儀式です。
一般的にはカンボジア人は故郷へ帰り、家族と一緒に過ごす人が多いです。そのため、クメール正月期間は、商業施設も休業するところが少なくありません。シェムリアップなどの観光地ではさほど影響ありませんが、この期間に観光地から離れた場所に行く場合は、お店が閉まっている場所もあるので注意が必要です。
5月
王室始耕祭(農耕祭)
カンボジアでは、毎年5月のちょうど雨季に入る時期に、農民達が田植えのための農耕を始めます。「王室始耕祭」は農耕祭とも呼ばれ、農業国カンボジアにとって、とても重要な行事のひとつです。毎年、王室前の広場にて開催され、国王や政府高官、僧侶も参加します。
この儀式は、代々王室が飼育している牛2頭を7種類の食べ物(米・トウモロコシ・豆・ゴマ・草・水・お酒)を並べたところに連れて行き、牛が食べるものによって、その年の農業や社会全体の吉凶を占うというもの。
毎年、日本のゴールデンウィークに当たる時期に行われる行事なので、その時期にカンボジアへ行く際は是非見学してみると良いですね。また、王室農耕祭は、多くの人が見学に来るため、渋滞や一時的な道路の閉鎖などの措置が取られることもあるため、王室周辺の道路事情には注意が必要です。
9月
プチュンバン
プチュンバンは、カンボジアのお盆で、クメール正月と並んで特に大切な行事のひとつとされています。毎年9月中旬から下旬にかけての約2週間が、プチュンバンにあたります。カンボジアでは、プチュンバンの期間、ご先祖の魂が自由に行き来していると考えられています。
カンボジア人の9割以上は仏教徒で、その多くはプチュンバン期間の祝日に故郷へ帰り、家族とともにお寺に行きます。お寺で僧侶に喜捨をすることで、間接的にご先祖に供物を捧げることになると考えられています。
カンボジアでは、ご先祖と再会するためには、プチュンバン期間中に7ヵ所以上のお寺を巡る必要があると言われています。しかし近年では、家庭や個人によってその慣習も異なり、1つのお寺だけで済ませ、残りの時間は家族と過ごすという場合も多いようです。
10月
カテン
カテンは、カンボジアの仏教行事のひとつです。長く寺院にこもっていた僧侶の修業の終わりを祝うもので、カンボジア人は、カテンの時に寺院に行き、僧侶に新しい法衣などを捧げます。 このカテンは、毎年11月初めの満月の日まで約1ヵ月間続きます。
カンボジア国内には4,000ヵ所以上の寺院がありますが、各寺院、カテンは期間中に1度だけしかを執り行うことができません。そのため、仏教への信仰心が深いカンボジアの人たちにとって、この日はとても重要な日とされており、必ず寺院に参拝します。
カテンの日には、黄色の仏教旗を掲げた車列が、地方のお寺に向かう様子を見ることができます。
11月
水祭り
カンボジアの水祭りは、毎年11月の満月の前後3日間に渡り行われる、カンボジアで最も賑やかなお祭りです。
水祭りの起源は、12世紀のクメール王朝時代というものや、15世紀のカンボジア王国時代など諸説ありますが、正確なものはわかっていません。現在では、乾季の到来と農作物の収穫を祝う目的が主流となっています。
水祭りの期間中は、首都プノンペンやアンコール遺跡観光の拠点となる街シェムリアップには、国中から多くの人々が集まります。プノンペン市内を流れるトンレサップ川沿いにはたくさんの露店が立ち並び、野外コンサートや花火大会が行われ、昼夜を通して盛大なイベントが続きます。
そして、この水祭りのメインイベントは、トンレサップ川で開催されるボートレース大会です。
「ドラゴンボート」と呼ばれる木製の手漕ぎボートに数十人のボート選手が乗り込み、タイムを競います。出場するボートは300艇、ボートにぎっしりと乗り込んだ選手たちの数は20,000人にも及ぶという盛大なイベントです。
大変な賑わいを見せるイベントなので、期間中にカンボジアを訪れる際は、是非ボートレースの熱気を感じに会場へ足を運んでみると良いですね。しかし、開催地であるトンレサップ川の周辺は多くの人が集まり、大混雑・大混乱になる場合もあるので、特に旅行者は注意が必要です。
独立記念日
カンボジアは、1953年11月9日(月)に、シハヌークビル国王が統治下にあったフランスからの独立を宣言しました。毎年独立記念日には首相や政府高官が集まり、首都プノンペンの独立記念塔にてセレモニーが行われます。
この独立記念塔は、1958年に建てられたもので、蛇の姿をした守り神「ナーガ」が取り囲むデザインは、アンコールワットの塔を模したとも言われています。
塔の周辺の広場は公園へと続いていて、プノンペン市民の憩いの場として多くの人が利用します。夜はライトアップされてきれいな景色が楽しめるので、写真撮影のスポットとしても人気です。
カンボジアへの主要エリアからのアクセス・所要時間
【成田・羽田ープノンペン・シェムリアップ】
日本からカンボジア国内への直行便は、成田国際空港とプノンペン国際空港を結ぶ全日空のみで、所要時間は、約6時間30分ほどです。アンコール遺跡群のあるシェムリアップへは、乗り継ぎが必須となります。
乗り継ぎ便は、日本航空(バンコク乗り換え)ベトナム航空(ホーチミン乗り換え)フィリピン航空(マニラ乗り換え)キャセイパシフィック航空(香港乗り換え)タイ国際航空(バンコク乗り換え)エアアジア航空(クアラルンプール乗り換え)などを利用し、およそ9時間30分~12時間です。
乗り継ぎのタイミングのよっては、所要時間が長くなる場合があるので、旅程に余裕のない場合は、乗り換え時間の短いものを利用しましょう。
【関西・伊丹ープノンペン・シェムリアップ】
関西エリアの空港からは、カンボジア国内への直行便は就航していません。そのため、プノンペン・シェムリアップいずれに行くにしても乗り継ぎが必要となります。
日本航空(バンコク・上海乗り換え)ベトナム航空(ホーチミン乗り換え)フィリピン航空(マニラ乗り換え)キャセイパシフィック航空(香港乗り換え)中国南方航空(広州乗り換え)タイ国際航空(バンコク乗り換え)などが就航しており、カンボジアまで9時間30分~13時間の所要時間です。
カンボジアへ就航している航空会社
全日空(直行便あり)
日本航空
キャセイパシフィック航空
タイ国際航空
中国南方航空
ジェットスター・アジア航空
中国東方航空
エアアジア
大韓航空
シンガポール航空
マレーシア航空
ベトナム航空
搭乗日、搭乗便によって乗り継ぎ地が異なります。日本のその他の主要空港からも、多様な乗り継ぎ便が利用可能です。
カンボジアツアーを選ぶときのTips集
カンボジアツアーには何日くらい必要でしょうか?
カンボジアへ旅行する際、多くの方は乗り継ぎ便を利用することになります。また、最大の観光地であるシェムリアップへは、日本国内からの直行便がないため、乗り継ぎが必須となります。そのため、日本国内からカンボジア国内までは半日以上は要すると考えておいたほうが良いでしょう。
カンボジア国内のメイン観光地だけを見るのであれば、プノンペンに1~2泊、シェムリアップに2~3泊という旅程のツアーが多いようです。アンコール遺跡群は、メインの遺跡をツアーに乗って効率よく回れば、最低丸2日。
郊外の遺跡まで足を延ばしたい場合や、ひとつの遺跡をじっくり時間をかけて見学したい場合は、あと1〜 2日欲しいところです。
また、ベトナムやタイなどの隣国を経由する場合は、経由地での観光プランが含められるツアーも多くあります。経由地で何ができるか、またどこで何をしたいかによって、ツアー内容を比較検討すると良いでしょう。
各旅行会社が提供しているカンボジアを含むツアーは多彩なので、ご自分にぴったりのツアーが見つかるはずです。
観光に最適な季節はいつですか?
カンボジア観光には、雨が少ない乾季がおすすめです。その中でも12月~3月がベストシーズンで、アンコール遺跡群をはじめとする観光スポットは、多くの観光客で賑わいを見せます。
この季節は、気候的には日本の秋のような穏やかさで、一年で最も過ごしやすい季節です。雨や雲が少ないため、美しい朝陽や夕焼けを見ることができるのも魅力のひとつです。早朝や夕方のアンコールワットでは、息をのむような風景を見ることもできます。
カンボジアの乾季の時期は朝晩が肌寒いので、軽めのアウターや長袖のシャツが必要となります。
このように考えると、日本の冬休みやお正月休みがおすすめの時期です。しかし、休みの都合上、ゴールデンウィークや夏休み、お盆休み期間、カンボジアの雨季に旅行する人も多いでしょう。カンボジアは、雨季と言っても一日中雨が降るわけではなく、短時間に激しい雨が降る「スコール」です。
そのため、スコールの間だけ少し雨宿りをすれば、雨季でも観光をする頃は十分可能です。ただ、カンボジアの雨季は暑く日中の気温が40度近くになることもあるので、途中で休憩を取るなど、余裕を持った観光プランを立てましょう。
カンボジアの治安はどうですか?注意が必要なことはありますか?
カンボジアを初めて訪れる際、治安が気になる人も多いでしょう。ポル・ポト政権による暗黒時代や地雷問題など、カンボジアに危険なイメージを持つ人もいるかもしれませんが、現在のカンボジアの治安は、とても安定しています。
特に、カンボジアを旅行する人の多くが滞在するプノンペンとシェムリアップの両都市は、基本的に治安は安定しています。
しかしながら、他の東南アジア諸国と同様、ストリートチルドレンをはじめ路上生活者も少なからずいます。特にプノンペンでは、急激な経済成長によって貧富の格差が広がっているため、街中でストリートチルドレンを目にすることもあるでしょう。
カンボジアに限ったことではありませんが、旅行の際は、スリ、窃盗、置き引きには十分注意が必要です。特にお金を持っている観光客はターゲットになりやすいので、多額の現金を持ち歩いたり、かばんの口を開けっぱなしにしたりするのは厳禁です。
また、人ごみに長時間滞在しない、レストランで食事の際もカバンは自分の目の届く場所に置く、など、ご自身で注意をして行動しましょう。