自然研究路1号路ってどんなところ?
自然研究路1号路は、薬王院への表参道ともなっている、高尾山の登山道の中で最もメジャーなコース。1号路というからには、他にも複数のコースがあります。
- 自然研究路2号路( 霞台ループコース )
- 自然研究路3号路( かつら林コース )
- 自然研究路4号路( 吊り橋コース )
- 自然研究路5号路( 山頂ループコース )
- 自然研究路6号路( びわ滝コース )
- 稲荷山コース( 見晴らし尾根コース )
- 高尾山・陣馬山コース
それぞれのコースにはテーマが設けられています。1号路は「高尾山の自然と歴史」。気軽に自然と親しみながら、高尾山開山から続く歴史を感じられます。
山頂までの所要時間は約1時間50分、下りは1時間30分ほど。清滝駅向かって右手からスタートし、約3.8kmの道のりが、標高599mの山頂まで続いています。
麓から中腹まではケーブルカーやリフトを使ってショートカットも可能。その場合、中腹から山頂までは上り約1時間、下り約50分で行くことができます。
道中には飲食店や休憩スペースが多数あるほか、薬王院までは道が舗装されているので歩きやすく、登山初心者や家族連れにおすすめのコースです。
基本情報
【登山ルート】高尾山自然研究路1号路
【閉山期間】なし
自然研究路1号路の見どころ
展望台で景色の変化を楽しむ
金比羅台
麓から1号路をスタートしてしばらく登っていくと、いろは坂のようなつづら折りの坂があります。そこから脇道に入ったところにあるのが、金比羅台です。
金比羅台は中腹より標高の低い場所にある展望台ですが、侮ってはいけません。八王子市街や、都心のビル群、東京スカイツリーに、条件が良ければ筑波山まで遠望できます。
霞台展望台
中腹にある霞台展望台は、ケーブルカー「高尾山駅」から徒歩約2分。ケーブルカーやリフトを使えば、登山しなくても行ける手軽さもあって、多くの人々が訪れる展望台です。
金比羅台と同じく、都心や横浜などが見渡せますが、何といっても一押しは夜景!
とはいえ、夜の登山はかなりハードルが高いですよね。暗くて足元も悪く、大手を振っておすすめはできません。
そこで夜景を楽しむのにおすすめの時期が、中腹のビアガーデン「高尾山ビアマウント」の開催されている6月中旬から10月中旬。この時期はケーブルカーやリフトの運行時間が、夜間に延長されるので、霞台展望台からの「100万ドルの夜景」とも呼ばれる絶景をゆっくり満喫できます。
山頂展望台
高尾山にある3つの展望台の中でも、やはり山頂からの景色は特別です。山頂展望台からは、山梨方面に連なる丹沢の山々、そしてその奥には日本最高峰・富士山を望む絶景が広がっています。
高尾山から眺める富士山の眺めの美しさには定評があり、メディアでも良く取り上げられていますよね。
いつでも美しい富士山ですが、1年の中でも冬至前後の数日しか見られない絶景が「ダイヤモンド富士」。これは富士山の山頂部分に太陽が沈んでいき、山と重なり合う瞬間、太陽がまるでダイヤモンドのように輝く現象です。ロマンティックな景色をカップルで楽しむのもおすすめです。
このダイヤモンド富士の期間は、ケーブルカーの運行時間が延長されます。足元が暗くなるので、懐中電灯を持参した上、中腹からはケーブルカーで下山しましょう。
【期間】毎年12月冬至前後
【見ごろ】16:00〜16:15ごろ
中腹エリア
ケーブルカーやリフトの発着駅のある中腹は、楽しい施設が揃う高尾山のメインエリアでもあります。さまざまな目的で高尾山へ訪れる人が、この中腹に集います。
- 登山の休憩がてら立ち寄る
- 薬王院参拝の休憩がてら立ち寄る
- ビアガーデンや霞台展望台など、観光目的で訪れる
そんな中腹の注目スポットがこちら!
高尾山ビアマウント
高尾山ビアマウントは、言わずと知れた高尾山のビアガーデン。毎年6月中旬から10月中旬の期間限定で開催されます。
2時間制の食べ放題&飲み放題のプランとなっていて、和洋中のお料理、ビールをはじめとする酒類・ソフトドリンクがよりどりみどり。
座席は800席の用意があり、雰囲気の異なる3つのスペースで、ビールとともに東京が一望できる絶景や非日常感を満喫できます。
夏はビールと歓声で、暑さを吹き飛ばしましょう!
【施設名】高尾山ビアマウント
【営業時間】13:00〜21:00
【定休日】期間中無休、雨天開催(台風などは除く)
【料金】2時間制
男性:3,900円
女性:3,700円
さる園・野草園
高尾山には、現在も野生のニホンザルが暮らしています。この「さる園」で飼育されているのは、約60頭のニホンザル。かわいい赤ちゃん猿からボス猿まで、群れとなって暮らす姿が見られます。
さる園に併設されている「野草園」では、広い敷地内に約300種類の野草が楽しめます。野草は自然な状態で見られるよう工夫されていて、イングリッシュガーデンのような形で園内を散策可。園内にある、「憩の館」はバードウォッチングにも最適です。
野草園では、各種野草の販売も行われています。季節によってラインナップにも変化が。気になる方はチェックしてみてください。
【施設名】さる園・野草園
【営業時間】
- 3月~4月:10:00〜16:30
- 5月~11月:9:30〜16:30
- 12月~2月:9:30〜16:00
【料金】
- 大人(中学生以上):430円
- 小人(3歳以上):210円
※その他、各種割引あり
道を楽しむ
自然研究路1号路は、道自体がまるでアトラクション。
他のコースは自然的要素が強いですが、1号路は薬王院の参道でもあります。中腹を過ぎると見えてくる「浄心門」という山門から先には、道の両脇に朱色の燈籠が並ぶ、趣のある光景が続きます。秋には紅葉が道を彩り、一層美しい光景に!
このように人の手が加わり、自然と文化が融合した雰囲気も魅力です。
たこ杉・開運ひっぱり蛸
登山道に突如現れる、ユニークな形をした巨木。高さ37m、樹齢450年といわれる「たこ杉」です。
たこ杉には古くから残る言い伝えがあります。昔、薬王院の参道を整備するために、道に伸びていたたこ杉の根を切ろうとしたところ、ぐにゃっと根が曲がり難を逃れたのだとか。そのことから、たこ杉には道を切り開く「開運」のご利益があると言われるようになりました。
現在、保護の観点からたこ杉には直接触れられませんが、隣にある「開運ひっぱりだこ」の頭をなでることで、運を引き寄せられるそうです。道行く人々になでられ続けるひっぱりだこの頭はいつもピカピカ。いかにもパワーを秘めていそうです。
個人的にはたこ杉の根に穴が開いているのが、たこ壺のように思えてなりません。いずれにしても「たこ」を想起させる、縁起の良い杉です。
男坂・女坂
中腹と薬王院の間にある、道が2つに分かれているところ。ここが男坂と女坂の別れ道です。坂の下から向かって左が男坂、右が女坂で、どちらの道を進んでも同じ道に合流します。
男坂は108段の石段が続く坂です。石段を上るごとに、1つずつ煩悩が消えていくそう。一方、女坂はなだらかな坂道になっているので、体力に自信のない方や、お子様連れの方におすすめです。
高尾山歴史探訪
薬王院と共に栄えてきた高尾山には、歴史スポットがたくさんあります。その一部をここでご紹介します。
仏舎利塔
先ほどご紹介した男坂と女坂を登っていくと、2つの坂が合流するポイントがあります。そこからさらに上へと行ける道があり、進んでいくと小さな広場が。
観音様や飯綱大権現(いづなだいごんげん)の石像とと共に、広場に佇む白い塔が「仏舎利塔」です。
仏舎利とはお釈迦様の遺骨のことで、1931年に、タイ国王室より友好の証として贈られました。のちの1956年に高さ18mにも及ぶ、現在の形の仏舎利塔が建てられ、塔内に仏舎利が奉安されているそうです。
高尾山薬王院
正式名称は「高尾山薬王院有喜寺(たかおさんやくおういんゆうきじ)」といい、744年、奈良時代に行基(ぎょうき)によって開山された歴史ある寺院です。宗派は真言宗智山派で、関東三大本山の1つがここ薬王院なんです。
ここで祀られているのは、薬師如来と飯縄権現(いづなごんげん)。そして飯縄権現の随身としてお仕えする存在なのが「天狗」です。天狗は除災開運・災厄消除・招福万来などのご利益をもたらしてくれると伝えられています。
そんな薬王院では参拝のほか、次のようなことができます。
- 御朱印、お守り、縁起物
- 体験修行(要予約)
- 精進料理(要予約)
その昔、苦行の末に霊気を宿した山伏の姿が、天狗と重ねられたそうです。修行を体験することで、天狗の存在を身近に感じられるかもしれません。
天狗の腰掛杉
薬王院の少し手前の杉並木の中に、しめ縄がかけられた立派な杉が見えてきます。高尾山に語り継がれる「天狗」が、この杉に腰かけて参拝客を見守っているという伝わることから「天狗の腰掛杉」と呼ばれています。
天狗の腰掛杉の樹齢は700年!見上げれば天狗が見えてきそうな雰囲気漂うスポットです。
高尾山と合わせて観光におすすめ
高尾山と合わせて観光におすすめの人気スポットには、高尾山口駅から徒歩約1分のところにある高尾山トリックアート美術館や日帰り温泉の京王高尾山温泉 極楽湯、高尾山口駅から徒歩約5分の高尾599ミュージアムなどがあります。
高尾山トリックアート美術館
高尾山トリックアート美術館は高尾山口駅から徒歩約1分の位置にあり、高尾山からもケーブルカーを使って約50分ほどで着きます。
国内最大級の、トリックアートの粋を結集しての面白さが体感できる美術館です。「あたかも本物が存在するが如く」をテーマに創造されたトリックアートは、見る人と画家との戦いでもあります。
人間には物を正しく判断しようとする本能があります。と同時に、人間には思い込みや先入観があるため、目に写った事を脳が誤って判断することから起きる視覚のズレ、つまり「錯覚」が起こってしまうのです。この「錯覚」と「現実」との一瞬のズレ、その心もようを楽しむことが、「トリックアート」の最大の醍醐味ではないでしょうか?
だまし絵をもとに創造されたトリックアートで「だまされる快感」を体感できるでしょう。今までの既成概念を捨ててトライしてみてください、きっと新たな発見が待っています。
また、フォトスポットしても人気で、友達や家族がシロナガスクジラを担いでいたり、暗くて深い亀裂の上を飛び越えたり、お腹を空かせたゴリラに食べ物をあげたりしている写真など仲間同士で盛り上がれます。インスタ映えも確実です!
京王高尾山温泉 極楽湯
京王高尾山温泉 極楽湯は高尾山口駅から徒歩約1分の位置にあり、高尾山からもケーブルカーを使って約50分ほどで着きます。
高尾山の麓にある、日帰り温泉です。高尾山観光の目玉になっているスポットで、高尾山のハイキングの後にリラックス、リフレッシュするのはもちろんのこと、この温泉目当てに都心から訪れる利用者も多く、新宿駅からのアクセスも抜群です。
思いついて手ぶらで来ちゃったという人でも問題なし、フェイスタオルを販売(バスタオルはレンタル)しています。荷物が多い登山客用に、大型のロッカーも多く設置している使い勝手のよさも人気の理由です。2階は脱衣所とお風呂のエリアになっており、ゆったりとした空間のなかで温泉を楽しめます。
男女用に分かれているスパエリアにそれぞれ7種類のお風呂とサウナがあります。人気は「天然温泉 露天岩風呂」で、地下約1,000mからこんこんと湧き出る大地の恵みはアルカリ性のやさしいお湯です。じっくり浸かりたい人には「ぬる湯」(約41℃)、熱いお湯が好きな人には約43℃の「あつ湯」の2種類が用意されています。
まるで森林浴をしているかのような木の香りが清々しい「檜風呂」はシルキーな気泡を身体にまとったような感覚になり、美肌効果もありそうです。お風呂からあがったら、お食事処でビールで乾杯もよし、名物のとろろそばに舌鼓をうつもよし。ちょっと仮眠したいときは、横になってくつろげる畳の間「うたた寝処」、歩きすぎて足がパンパンに張ってしまった!という人には「ほぐし処」で至福のマッサージ、とお風呂以外の施設も充実しています。身も心もリフレッシュして、リラックス間違いなし。高尾山散策のシメはココで決まり!
高尾599ミュージアム
高尾599ミュージアムは高尾山口駅から徒歩約5分の位置にあり、高尾山からもケーブルカーを使って約50分ほどで着きます。
「高尾599ミュージアム」は、山頂に向かう前に立ち寄れる便利なスポットで、高尾山の動植物について学べる自然ミュージアムです。子どもから大人まで幅広い世代が、高尾山の豊かな動物や植物の生態を楽しく学べ、登山者はさまざまな情報を得られます。
高尾山の魅力、未来、情報、広場としての共有の場です。登山者には、季節の見どころ、登山の心得やルートの紹介、通行止め等の緊急情報などを発信しています。
ハイライトは映像展示のNature Wall。 プロジェクションマッピングされた背景に剥製の動物が並び、四季折々の森の動物が見られます。また、メインホールにある展示室のNature Collectionでは、野生の花々や昆虫の標本を見られ、子ども向けの体験学習ができます。
その他、木の温もりが落ち着く「599CAFE」、オリジナルグッズがそろう「599SHOP」、くつろぎの芝生広場「599GARDEN」などがあります。
599mの高尾山は、決して高い山ではありません。しかし、懐の深い、存在感の大きな山です。豊かな生態系や歴史をはじめ、ここでしか出会えない魅力が詰まっています。
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