しまなみ海道を全力で楽しむならサイクリングで
瀬戸内海に浮かぶ6つの島々を7つの橋で結び、広島県尾道市から四国の愛媛県今治市まで行くことができる「しまなみ海道」は、「西瀬戸自動車道」の愛称です。自動車道だけでなく、サイクリングロード(全長約70km)もあります。
アメリカCNNの「世界で最もすばらしい7大サイクリングコース」にも選ばれ、サイクリストの聖地として世界が認めるサイクリングロードなので、ドライブで観光するのもよいのですが、せっかくなら自転車に乗って、しまなみ海道を全力で楽しみましょう。
世界中からサイクリストが集まることから色々と整備されており、サイクリング初心者でも挑戦しやすいのも魅力です。
サイクリングルートは無数にある!?
しまなみ海道のサイクリングルートは、尾道から今治まで渡り切るルートが王道です。ルートは「ブルーラインルート」、「特に人気の観光名所を回りながら行くルート」、「全ての観光スポットを回るルート」など、無数にあるので、思い思いのサイクリングが楽しめます。
ブルーラインは、推奨ルートが一目で分かるように車道の左側にひかれた青いラインのことです。この表示に従って進めば、JR尾道駅からJR今治駅まで、初心者でも迷わず安心してサイクリングが楽しめます。
しまなみ海道を走破する時間がない方や、体力的に自信がないという方は、いくつかの島を訪れて途中で引き返すルートや、どれか1つの島までフェリーで行って、島内をサイクリングしながら巡るのもおすすめです。
ブルーラインルート以外のHoliday編集部おすすめルート
王道のブルーラインルート以外でしまなみ海道を楽しみたい人に特におすすめなのが、次の3つのルートです。
多々羅(たたら)大橋前からスタートするルート
生口島(いくちじま)と大三島(おおみしま)とを結ぶ「多々羅大橋」は、完成当時は世界最大の斜張橋(しゃちょうきょう)で、美しさも追求して建設されました。この橋がちょうど広島県と愛媛県の境となりますので、ぜひ渡ってほしいおすすめの橋です。
尾道側の生口島から橋を渡ると大三島側の橋のたもとには「道の駅 多々羅しまなみ公園」があります。目の前に広がる瀬戸内海と美しい多々羅大橋を一望できるビューポイントとして人気です。公園内には「サイクリストの聖地」記念碑もあります。多々羅大橋と記念碑をバックに記念撮影を楽しんでもいいですね。
生口島1周ルート
島内にアートが点在する生口島は、まさに「島ごと美術館」です。サイクリングで島内を1周しながらアート鑑賞を楽しめることもとあり、サイクリストにも人気の島です。北側には美しいサンセットビーチやグルメが堪能できる商店街。南側は比較的平坦な道が多いので、自転車で走りやすく、島ののどかな風景を眺めながらのサイクリングが楽しめます。
大三島と伯方島(はかたじま)を楽しむルート
しまなみ海道にある島の中でも最大の島である大三島は、武具や甲冑などの国宝を多く有し、愛媛県最古の神社でもある「大山祇(おおやまづみ)神社」があることから、「神の島」「国宝の島」とも呼ばれてきました。島内には5つの美術館や藤棚で有名な「大三島藤公園」など観光スポットが多く点在し、サイクリングしながら観光も楽しめます。
また大三島橋を渡った先は「塩の島」と呼ばれる伯方島です。大三島橋は328mと他の橋と比べるとそれほど長くはないので、2つの島をまとめて楽しむのがおすすめ。神社はもちろん、美術館やグルメなど、バラエティー豊かな観光スポットをめぐりつつ、サイクリングを楽しめる、初心者にもおすすめのルートです。
尾道⇔向島(むこうじま)間はフェリーを使おう
しまなみ海道のスタート・ゴール地点である「尾道」と、尾道水道を挟んで向かい合っている「向島」の間は、「新尾道大橋」と「尾道大橋」という2つの大橋で結ばれています。しかし新尾道大橋は自転車歩行者道が未整備。尾道大橋は道幅が狭く交通量も多いことから自転車での走行は危険を伴います。
よって尾道と向島の間は、サイクリングではなくフェリーを使うのがおすすめ。フェリーは約5〜10分間隔で頻繁に運航しているので便利です。所要時間は5分ほどと短いですが、船に乗りながら尾道水道を行き交う他の船の様子を眺めると、どこかノスタルジックで旅気分を盛り上げてくれます。フェリー代金は110円(大人100円+自転車10円)で、フェリー内で支払います。
しまなみ海道自転車通行料金は!?
しまなみ海道の島々を結ぶ橋を渡る際には、高速道路に併設されているサイクリングロードを通行することになります。自転車での通行料金がいくらか気になるところですが、実は2014(平成26)年7月から2022(令和4)年3月末までの期間限定で無料となっています(原付は除く)。
本来の通行料金は50〜200円。愛媛県・広島県などが減収の一部を負担しています。無料期間をうまく利用して、しまなみ海道のサイクリングを楽しむのもいいですね。
「せとうちサイクルーズPASS」を使いこなそう!
「しまなみ海道の全てを自転車で走破するのは不安」でも「離島も訪れたい」という方には「せとうちサイクルーズPASS」がおすすめです。「サイクルーズ」とは「サイクリング×クルージング」のこと。サイクリングとクルージングを一緒に楽めるPASSの提示で、対象航路の乗船料が割引になったり、提携するお店や施設で特典を受けることができます。発行日より3日間有効で、港や観光案内所で無料で発行してもらえます。
瀬戸内の島々を結ぶフェリーには、自転車を乗せることができるものも数多くあります。フェリー上手に使いこなして、サイクリングの旅を更に満喫しましょう。
しまなみ海道サイクリングをするなら島に宿泊しよう
しまなみ海道サイクリングで時間に余裕があるのであれば、島に宿泊するのがおすすめ。しまなみ海道には、サイクリストに優しい宿泊施設が多くあります。島ならではの民宿やゲストハウスから、スタイリッシュでおしゃれな最新の宿泊施設まで幅広くあるので、自分好みのお宿を探してみましょう。
宿泊するなら大三島がおすすめ
宿泊するのであれば、しまなみ海道のちょうど中間地点にあたり、観光スポットも多い大三島は特におすすめです。宿泊もできるサイクリング総合施設「WAKKA」や、サイクリスト向けホテル「IKIDANE HOSTEL & CAFE SHIMANAMI」もあります。
短時間で旅をしたい人や絶景を堪能するなら、しまなみ海道ドライブをしよう
サイクリストの聖地であるしまなみ海道ですが、短時間で旅をしたいのであればドライブ旅行にしましょう。観光スポットを厳選すれば、半日〜 1日で巡ることができます。
また、海と自然豊かな瀬戸内の島々には、絶景スポットがたくさんありますが、高台や山にあるスポットも多く、自転車では体力的に厳しい場合も多いです。絶景を思う存分楽しみたい旅行であれば、サイクリングにこだわらず、車での移動を検討しましょう!
公共交通機関でのしまなみ街道横断はハードルが高い
しまなみ海道で使える公共交通機関には、フェリーと高速バスがあります。ただし、バスステーションによっては、乗車しかできなかったり、乗り降りの制限があるところもあります。
また、バスステーションとレンタサイクルステーションの位置が離れていたり、フェリーも島をスキップしているものが多いため、島々を観光しながら公共交通機関のみでしまなみ街道を横断するのは不便が多いようです。
特定の島のみを観光する場合や、しまなみ海道を往復する時に行きか帰りだけを公共交通機関で移動する、という風に上手に使うといいでしょう。
島のグルメは見逃せない
瀬戸内海の豊かな自然に囲まれたしまなみ海道は、グルメの宝庫といっても過言ではありません。島々を訪れたらぜひグルメスポットを訪れて、その味を堪能しましょう。
海鮮丼やタコ、穴子、高級魚のマハタなど海の幸を使った料理はもちろん、レモンなどの柑橘類や塩をはじめとする特産品を使ったスイーツも見逃せません。更には、「いんおこ」とも呼ばれる因島お好み焼き、今治の焼豚玉子飯といったソウルフードまで、バラエティー豊かです。
おすすめのグルメスポット
村上海賊のことを知ろう
瀬戸内の島々では、かつて日本最大の海賊と言われた「村上海賊」が活躍していました。しまなみ海道内には「村上海賊」にちなんだスポットも点在しています。これらのスポットを巡り、その歴史に思いを馳せてみるのもいいですね。
生口島でアートに触れよう
生口島は「島ごと美術館」ということで、海沿いに17のアート作品が点在しています。アーティスト自ら設置場所を選び、その場所にあった作品を作ったそうです。周りの景色とともに、楽器や風、海などをイメージした現代アート作品鑑賞を楽しみましょう。
大三島では美術館巡りをしよう
大三島も「アートの島」で、島内には、5つもの美術館があります。島内では通常価格よりお得に美術館巡りが楽しめる「大三島アートめぐりチケット」が販売されており、気軽にアートを楽しむことができます。
3館チケットと5館チケットの2種類あり、各美術館の窓口で販売されています。なお、全ての美術館で月曜日が休館日なのでお気をつけください(祝日の場合は翌日休館)。
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3館チケット
【対象施設】
ところミュージアム大三島
伊東豊雄建築ミュージアム
岩田健母と子のミュージアム
【販売価格】
一般 1,000円(通常1,460円)
学生 500円(通常740円)
※有効期限は購入日より1年間です。
※他の割引との併用はできません。 -
5館チケット
【対象施設】
村上三島記念館(今治市上浦歴史民俗資料館)
大三島美術館
ところミュージアム大三島
伊東豊雄建築ミュージアム
岩田健母と子のミュージアム
【販売価格】
一般 1,500円(通常2,500円)
学生 750円(通常1,260円)
※有効期限は購入日より1年間です。
※他の割引との併用はできません。
大三島の甘崎城跡で海割れが見られたら幸運の持ち主
大三島には島をまるごと城郭にした「甘崎城(あまざきじょう)跡」という日本でも唯一の海城(うみじろ)があります。普段は沖合い160mに浮かぶ小さな島ですが、年に数回ほど、潮の満ち引きが大きい時に海が割れ、岸から島まで歩いて渡ることができます。
いつでも見られる現象ではないので、もし見ることができれば幸運だと言えるでしょう。その時には、ぜひ歩いて島を訪れる体験を楽しんでください。城跡の海底にも石垣などが残されており、こちらも潮が引くと姿を現します。
しまなみ海道の旅の最後は、せとうちディスカバリーフライトを楽しもう
しまなみ海道を陸から堪能した後は、空から見下ろす旅を満喫してはいかがでしょう。尾道の「せとうちSEAPLANES」は、水陸両用機でのフライト体験を提供しています。
複数あるフライトコースのうち、「せとうちディスカバリーフライト(しまなみコース)」では、「オノミチフローティングポート」を発着点に、尾道水道、因島大橋、生口島(サンセットビーチ)、多々羅大橋上空をフライトします(※天候によってコースの一部変更あり)。約30分のフライトで、瀬戸内の美しい島々を一望する絶景が堪能できます。