松山鮓(まつやまずし)とは
松山鮓とは、ちらし寿司のような見た目をした愛媛の郷土料理です。別名「もぶりずし」と呼ばれ、「混ぜる」を意味する愛媛の方言「もぶる」が由来となっています。ご飯には瀬戸内海の小魚(エソやトラハゼなど)で出汁をとった酢が混ぜられており、通常の酢飯と比べて全体的に味付けが甘めな点が特徴です。
この酢飯に刻みアナゴや季節の食材を混ぜ込み、最後にタコやエビ、錦糸卵などで華やかに飾り付けをしたら完成。色とりどりの食材や豪華な魚介類で構成されていることから、愛媛ではお祝い事や訪問客へのもてなしなどの特別な場でよく提供されています。
松山鮓はお店によって食材に違いがあり、たとえば高級寿司屋ではトッピングにウニや車エビを使って豪華に仕上げることも少なくありません。一方で居酒屋では、お酒に合う肴を具材として使う傾向にあります。
また、大衆向けの食堂ではじゃこ天やシメサバがトッピングとして使われるなど、一般的な飲食店よりも値段がリーズナブルになっているのが嬉しいポイント。お店によって使用される食材やメニューの価格帯に大きな差があるので、愛媛で松山鮓を味わいたい方は事前に複数のお店を調べておくと良いでしょう。
松山鮓の物語
華やかな見た目と豪華な具材に定評がある松山鮓は、歴史的偉人に愛された料理としても有名です。特に松山の俳人である正岡子規の大好物だったことはよく知られており、彼の作品のなかには松山鮓にまつわるものが数多くあります。
明治時代、文豪の夏目漱石が正岡子規の家に立ち寄った際、松山鮓が提供されて大変喜んだというのは有名なエピソートでしょう。その時の様子は、司馬遼太郎の「坂の上の雲」という作品のなかでも取り上げられています。
また、後に夏目漱石が松山を訪れた際も、一番に「松山鮓」を所望(しょもう)したというほどの好物に。愛媛で松山鮓を味わう際は、こういったエピソードを思い出してみると面白いかもしれませんね。
実際に食べてみた!
今回行ったお店は「すし丸本店」
大街道駅から徒歩約3分のところにあるお寿司屋です。瀬戸内海や宇和海の新鮮な魚介を使ったお寿司や郷土料理などを頂くことができ、「松山鮓」はもちろん、「鯛そうめん」や「宝楽焼き」も提供。1948(昭和23)年に創業して以来、松山の味として地元の方はもちろん多くの観光客に親しまれています。店内はテーブル席だけではなくカウンター席もあるので、1人でも気軽に立ち寄ることができます。
コメント
ちらし寿司の上には、海老や鯛、サバなどの魚介類や錦糸卵やたけのこ、紅ショウガが乗っていてとても華やかな見た目。口に入れると全ての具材がバランスよく味わえ、最後に酢飯のツンとした香りが鼻から抜けます。酢飯にもこだわりがあり、瀬戸内の小魚でとった出汁を合わせて作っているそう。具材と酢飯がマッチしていて、とっても美味しかったです。