鯛そうめんとは
「鯛そうめん」とは、鯛とそうめんが融合した愛媛の郷土料理のこと。愛媛以外には岡山や広島でもよく食べられており、調理方法や味付けに地域差はほとんど見られません。愛媛の特に宇和島の場合、「ふくめん」という色鮮やかなこんにゃく料理とセットになっていることが多く、この点がほかの地域にはない独自の特徴だと言えます。
鯛そうめんが県外客からも注目を集める理由は、豪快で派手な見た目にあると言っても過言ではありません。波打つように盛り付けられたそうめんの上に、鯛を丸ごと一匹乗せる斬新さは、ほかの郷土料理には見られない鯛そうめんならではの面白さだと言えるでしょう。
そうめんと鯛の周りには錦糸卵やシイタケ、ネギ、おろし生姜などが添えられ、鯛そうめんの見た目をより華やかに仕上げています。カラフルな見た目だけでなく味付けにも定評があり、甘辛く煮付けられた鯛はさっぱりとしたそうめんとの相性が抜群です。
また、鯛そうめんには通常の白いそうめんが使われるのが一般的ですが、松山市では「五色そうめん」という白・赤・緑・黄・茶のカラフルな麺が使われることも珍しくありません。興味がある方は、松山の五色そうめんを取り扱っているお店へ足を運んでみるのも良いでしょう。
お食い初めや結婚式など特別な場で出されることが多い鯛そうめんですが、愛媛市内には気軽に注文できる飲食店がいくつかあるので、愛媛旅行の際はぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
鯛そうめんに込められた特別な意味
愛媛の人々にとって鯛そうめんは、ただの郷土料理ではなく縁起物としての意味合いも込められています。平安~室町時代、当時の人々がそうめんの流れる様子を見て「天の川のようだ」と感じたことをきっかけに、7月7日にそうめんを食べると無病息災の利益があるという一説があります。
さらにその後、細くて長いそうめんの形を「幸せが細く長く続く」と意味づけし、祝いの場で重宝されるなど徐々にそうめんは縁起物として扱われるように。そのそうめんに、「めでたい食材」として有名な鯛を加えることで、鯛そうめんは人々の間で特別な料理として普及するようになりました。
そのため現在でも、愛媛で鯛そうめんを味わう観光客のなかには、無病息災や夫婦和合のご利益を祈願している方が少なくないと言われています。
実際に食べてみた!
今回行ったお店は「郷土料理 五志喜(ごしき) 本店」
松山市駅から歩いて約10分ほどの場所にある「郷土料理 五志喜 本店」。江戸時代創業の老舗で、愛媛の郷土料理を堪能できます。店内は130席ほどありますが、ランチタイムには行列ができるほど人気です。事前に予約をしておくと、待ち時間が短縮できるのでおすすめです。
コメント
大きな器の中に、鯛の姿焼きが丸々と入った鯛そうめん。こちらのお店では五色そうめんが使われており、見た目も華やかです。薬味の緑が差し色としていい味を出していて、思わず見惚れてしまいました。そうめんに付けるおつゆにも、鯛の煮汁が使われているそうで、見た目以外にも鯛の存在感が感じられます。麺もモチモチしていて喉越しが抜群なうえ、しっかりと食べ応えがありました。