西条・酒蔵通りとは
西条・酒蔵通りとは、広島県東広島市に位置する酒造施設が集まったエリアです。日本三大銘醸地の1つで、お酒造りに適した気候と豊富な地下水により、大正から昭和にかけて酒造りの街として繁栄を遂げました。今でも西条駅周辺では7つの蔵元がお酒を造り続けており、全国から多くの観光客が蔵めぐりとはしご酒を目当てに訪れます。
西条・酒蔵通りに訪れた際に、まず注目してほしいのが日本らしさが感じられる街並です。赤瓦の屋根や黒塗りの格子を見ていると、明治時代の日本へタイムスリップしたかのような気分を味わえます。
また、「なまこ壁」という白壁も西条・酒蔵通りの名物の1つです。当時の人は、「白壁の下部にある×マークがなまこに似ている」と感じたらしく、それが由来でなまこ壁と呼ばれるようになりました。
通りを歩いていると、レトロな煙突がいくつもあることに気づくはず。この赤い煙突たちは、酒米を蒸す際に使われます。レンガでできた煙突は安芸津町産で全部で12本あり、すべて見つけられるか探してみるのも面白いかもしれません。また、夜間ライトアップされるので、昼間とは違った雰囲気が楽しめます。
さらに、地面に少し注目してみると、カラフルな絵が描かれたマンホールが見つかります。写真のマンホールは酒蔵の風景がモチーフ。別の場所ではまた違ったデザインのマンホールがあるので、興味がある方はぜひ足元も気にしてみてください。
そのほかにも酒蔵をイメージして作られた西条駅や、以前は芝居小屋の入り口として使われていた「くぐり門」がある観光案内所など、 西条・酒蔵通りには見どころスポットがたくさんあります。これから西条・酒蔵通りへ訪れる予定の方は、あらかじめどんなスポットがあるのか調べておくと、現地ではより一層楽しめるでしょう。
はしご酒と蔵めぐりができる
西条・酒蔵通りに訪れたら、はしご酒と蔵めぐりをぜひ体験してみてください。ほとんどの酒蔵では無料で試飲サービスを行っているので、お酒が好きな方はきっと楽しめるはずです。お酒が苦手だという方でも、歴史ある酒蔵をただ巡るだけでも十分に楽しめるでしょう。
それぞれの酒蔵の歴史やお酒について詳しく知りたい方は、観光案内所でガイドの派遣をお願いするのもおすすめです。ガイドには無料と有料の2つがあり、お酒の知識がない方にもわかるよう説明してくれます。
また、酒蔵だけでなく「酒蔵横丁」もぜひ足を運んでほしいスポットの1つです。酒蔵横丁には地元のお酒を提供する飲食店が集まっているので、はしご酒だけでは物足りないという方はぜひ覗いてみてください。
酒造紹介
賀茂泉(かもいずみ)酒造
賀茂泉酒造では、米と米麹だけで仕込んだ丁寧な純米酒を造っています。賀茂泉酒造のお酒は、杜氏(とうじ)という酒造りの職人集団から伝承されており深い味わいが特徴的です。酒蔵に隣接する形で洋館カフェ「酒泉館」が営業しており、ここではお酒の飲み比べをしたり、お酒を使ったスイーツを堪能したりできます。甘い物が好きな方はぜひ足を運んでみてください。
賀茂鶴(かもつる)酒造
明治から続く賀茂鶴酒造は、創業当初から最先端の精米技術を取り入れるなどの革新的な取り組みを行ってきた酒造です。賀茂鶴のお酒造りの技術は日本でも広く認められており、全国新酒鑑評会などで毎年多くの賞を獲得しています。一般の人が見学できる「見学室直売所」には、賀茂鶴の歴史が知れるビデオ上映や写真映えする展示コーナーがあります。お土産コーナーでは、ここでしか購入できない蔵元限定のお酒も並んでいます。
西條鶴(さいじょうつる)醸造
レトロな外観の西條鶴醸造は、明治時代の雰囲気がたっぷり感じられる酒造です。西條鶴醸造では、名水「天保井水」で造ったお酒が過去にモンド・セレクション金賞・最高金賞を連続受賞するといった偉業を果たしています。水にこだわりがある西條鶴醸造のお酒は、口に入れた瞬間に今までのお酒とは違う特別感を味わえるのが魅力でしょう。
福美人(ふくびじん)酒造
福美人酒造は「西条酒造学校」とも呼ばれ、当初は酒造職人のための教育養成施設として使われていた場所です。現在は酒造として一般開放していますが、昔は全国から多くの職人たちが酒造りについて学びに訪れました。福美人酒造で提供されるお酒は品質の高さに定評があり、特に名前の「美人」にもある通り柔らかく優しい味わいが魅力です。
白牡丹(はくぼたん)酒造
白牡丹酒造は、創業からすでに300年以上経つ歴史の長い酒造です。広島県内でも指折りの老舗酒造のため、まずは歴史を感じさせる古びた建物に注目してみて欲しいと思います。白牡丹酒造のお酒は数々の著名人から愛され、文豪の夏目漱石や版画家の棟方志功もよく嗜んでいたほど。酒造内は博物館のようで、昔の酒造りに使われていた樽やカメ、道具などが展示されています。
山陽鶴(さんようつる)酒造
1912年に創業した山陽鶴酒造では、「甘味・酸味・辛味・苦味・渋味」5つの味すべてが融合したお酒を造っています。清酒本来の味を感じたいのなら、山陽鶴酒造へ足を運んでみるのが良いでしょう。こちらの蔵の1部を改装した「くぼまち割烹 しんすけ」では、日本酒はもちろん刺身や鍋など高級感のある和食を味わえます。西条・酒蔵通りでランチ場所を探している方は、ぜひ利用してみてください。
亀齢(きれい)酒造
「亀齢」という演技の良い名前の亀齢酒造は、飲めば亀のように長生きできるお酒造りを目指しています。お酒は少し辛めなので、スッキリとした味が好きな方はきっと気に入るでしょう。酒造には万年亀舎(まねきや)という直売所が併設されており、ここでは酒を使ったグルメ商品が多数販売されているのでお土産を購入する際におすすめです。
はしご酒と蔵めぐりに行ってみた!
実際に蔵めぐり・はしご酒をしてみたので、そちらの様子を写真とともにお伝えしていきます。今回蔵めぐりとはしご酒をしたのは、「賀茂泉酒造(酒泉館)」「福美人酒造」「西條鶴醸造」の3つです。
賀茂泉酒造(酒泉館)
まず訪れたのが、JR西条駅からは徒歩8分ほどの距離にある賀茂泉酒造(酒泉館)です。お酒の飲み比べは、酒蔵ではなく隣の酒泉館で行われています。
酒泉館は、施設内に図書館があるのが少しユニークなポイントです。「お酒の図書館」では日本酒に関連する書籍が並べられています。興味がある方はぜひ訪れてみてください。
酒泉館では、5種類のお酒を飲み比べできます。丁寧に醸された賀茂泉酒造の純米酒は、まろやかな味をしているので辛口が苦手な方に特におすすめです。
この飲み比べのほかにも、酒泉館では酒まんじゅうや酒フルーツケーキ、酒泉館限定酒を味わえます。喫茶店のまったりした雰囲気の中、少し休憩をしたい方は酒泉館で憩いのひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
福美人酒造
次に訪れたのが、福美人酒造です。かつて「酒造学校」と呼ばれただけあり、建物に学校らしさが残っているのが印象的でした。また、すぐ隣には大きな赤レンガの煙突が立っており、そちらも見応えがあるのでぜひ注目してみてください。
酒蔵の中は、資料展示室になっています。歴代内閣総理大臣の色紙や醸造用器具などが展示されているので、試飲の前に少し見てみるのもきっと楽しいでしょう。また、地下から汲んだ仕込み水も流れており、こちらは実際に飲むことが可能です。
福美人酒造では、写真の4種類のお酒を試飲しました。その中でも「純米吟醸」はするどい味が印象的で、福美人酒造を代表する銘柄として確かな品質の高さが感じられました。
飲み比べをした後は、気になる銘柄のお酒をお土産探しをするのも良いでしょう。福美人酒造限定商品もあるので、旅の記念に購入してみては。
西條鶴醸造
最後に向かったのが西條鶴醸造です。天保の時代から続く歴史ある酒蔵ということもあり、入り口からすでに趣を感じられます。
西條鶴醸造は、今まで訪れた明るい雰囲気の酒造とは違い、落ち着いたトーンの酒造です。入り口すぐの場所にはパネルが展示されており、今まで培ってきたお酒造りの歴史や技術が紹介されています。
西條鶴のお酒は「天保井水」という名水が使われていることもあり、通常のお酒よりも高級感が感じられました。モンド・セレクション金賞・最高金賞を受賞したお酒は、西条・酒蔵通りではしご酒をするなら絶対に抑えておくべきだと言えます。
ほかの酒蔵同様に、西條鶴でもお酒が販売されています。西條鶴を代表とする「神髄」を始めとした高品質のお酒が用意されているので、ぜひ試飲を楽しんだ後はショップにも寄ってみてください。
注意点とマナー
営業日・営業時間
酒蔵によって営業日・営業時間が異なります。通常の休祝日以外にも、「酒まつり」の翌日は休みをとる酒蔵が多いので、お目当てのスポットがある場合は事前によく確認しておくようにしましょう。
ガイドの予約
毎月10日のみ、地元スタッフが予約なしでガイドをしてくれます。10日以外の日に訪れる場合は予約が必要で、さらにガイドは有料となってしまうため注意してください。予約受付をするためには、東広島市観光協会西条駅前案内所に直接電話する必要があります。
マナー
西条・酒蔵通りでははしご酒が人気で、日によっては酒蔵が混雑する可能性があります。そのため、1つの酒蔵で何度も試飲をしないこと、周囲の人の邪魔にならないよう気をつけることなど、必要最低限のマナーを守るようにしましょう。
よくある質問Q&A
西条・酒蔵通りを見て回るのに、どのくらいの所要時間が必要ですか?
1時間もあれば一通り見て回ることは可能です。ただし、蔵めぐりや食事をする場合はそれなりに時間がかかるので、最低でも2時間ほど確保しておいたほうが十分に楽しめるでしょう。
周辺に観光スポットはありますか?
国の史跡として認定されている「三ッ城古墳」や、日本で3番目に広いキャンパスを持つ「広島大学」があります。
酒まつりはいつ開催されていますか?
例年、10月の第2日曜日とその前日に開催されています。
蔵めぐりとはしご酒以外の見どころはありますか?
西条駅周辺では、東広島市の名物「美酒鍋」を味わえる飲食店がたくさんあります。美酒鍋は、季節の食材をお酒、塩、こしょうで味付けしたシンプルな料理として人気を集めているので、ぜひランチやディナーで味わってみてください。美酒鍋を提供している飲食店は西条駅周辺だけで10店舗以上あり、予約が必要なお店もあるので事前に連絡しておくようにしましょう。
西条・酒蔵通りの基本情報
【アクセス】JR山陽本線西条駅からすぐ
【駐車場】周辺に有り
【住所】広島県東広島市西条本町
【営業時間】酒蔵によって異なるため公式サイトを要確認
【問い合わせ先】東広島市観光情報サイト