香港グルメの代表格“飲茶”
香港ならではの食習慣といえば“飲茶”。中国茶を楽しみながら点心を食べる、伝統的な習慣のことです。活気のある飲茶の時間を楽しみたいなら、昔ながらのスタイルの“ワゴン式飲茶”がおすすめ。点心が入ったアツアツの蒸籠をのせたワゴンが、客席から客席へと、店の中を巡回します。そのワゴンを呼び寄せて、自分が食べたい点心を卓上に移動させます。
指をさせば蒸籠の中身を見せてくれるので、言葉が通じなくても大丈夫。香港の点心を代表するエビ蒸し餃子のほか、動物の形をした点心など、いろいろな種類を味わってみて。
香港らしさを存分に味わえる乗り物たち
トラム
香港島の北側を東西に走る「トラム」は、街中を軽やかに走るカラフルな路面電車。珍しいダブルデッカー(2階建て)で、世界でも香港とイギリスにしか残っていない貴重なもの。香港のトラムは2021年、“現役の2階建てトラムの最大車両数”として、ギネスワールドレコードにも認定されています。
庶民の足として活躍し、下町の懐かしい風景が広がる上環や高層ビルが立ち並ぶ中環など、車窓から香港を体感できます。貸し切り用のパーティートラムや、現役で走る車両の中では一番古い120号トラムなど、なかなかお目にかかれない車両も。
決して乗り心地がよいとはいえませんが、レトロな雰囲気と、車体スレスレを通り過ぎる車や人の波を感じられて、臨場感満点です。2階の一番前の席が特等席。停留所は200~300m置きにあり、街歩きにも便利です。
スター・フェリー
ヴィクトリア・ハーバーを横断するアイコニックな船「スター・フェリー」は、尖沙咀~中環、尖沙咀~灣仔の2つの路線を就航。所要時間は約9分で、移動手段としてはもちろん、プチクルーズ気分が味わえる香港ならではの乗り物です。毎晩8時に開催される光のショー「シンフォニー・オブ・ライツ」を船上から鑑賞できる2時間のクルーズなど、観光用のツアーも展開しています。
オープン・トップバス/アクア・ルナ
2階建てで屋根のない「オープントップ・バス」は、風を感じながら市内を走る観光バス。香港島・九龍半島それぞれを走るルートがあります。赤い帆が印象的なジャンク船(中国式帆船)「アクア・ルナ」に乗って、観光ツアーに出かけるのも香港らしさを存分に味わえます。いずれも街の夜景が楽しめる、夜の時間帯がおすすめ。
100万ドルの夜景
香港島の最高地点、ヴィクトリア・ピーク(標高552m)。その山道入り口にあるピーク・タワーは、一番人気の夜景の名所で、観光客に人気のスポットです。
ピーク・トラムの山頂(The Peak)駅から直結する複合ビル「ピーク・タワー」には、展望台「スカイ・テラス」があります。香港を象徴する風景を堪能でき、見晴らしのよい昼間や、刻々と空が変化する夕景も見応えがあります。展望台にはカメラマンが常駐しているので、記念撮影をしてもらうのもおすすめです。
毎日20時からは、13分間の光のショー「シンフォニー・オブ・ライツ」が開催されています。“世界で最も長い期間継続されている大規模な光と音のショー”として、ギネスワールドレコードにも認定されています。ヴィクトリ・ハーバーを挟んで、香港島側と九龍側の両サイドにある約40棟の高層ビルや建物に設置されたサーチライトからサーチライトが放たれ、イルミネーションが点滅します。
おすすめの鑑賞スポットは、尖沙咀プロムナード。ヴィクトリア・ハーバーに面して、香港島側を180度見渡せる遊歩道です。香港文化センター前にある観景台にはベンチがあり、座って鑑賞できます。このエリアでは、音楽に合わせてショーを楽しめるので、臨場感満点です。
香港ディズニーランド・リゾート
2005年オープンの、世界で五番目のディズニーランド・リゾート。風水の要素を取り入れた園内や、旧正月の時期のイベントにチャイナ服のキャラクターが現れるのは、香港ならでは!
香港中心部から離れたランタオ島にあり、欣澳(Sunny Bay)駅から、専用のMTRリゾートラインでアクセスできます。また、2021年に建て替えを終えたばかりの城「奇妙夢想城堡(Castle of Magical Dreams)」(キャッスル・オブ・マジカル・ドリームス)は、13のディズニーのプリンセスとクイーンの物語からインスピレーションを受けたデザインです。7つのテーマランドには、100を超えるアトラクション、エンターテインメントがあります。
風水の本場で、開運スポットを巡る
風水的に優れた立地や、“気”を呼び込む建築など、風水思想を大切にする香港には、運気が上がるとされるパワースポットが点在します。
パワースポット「黄大仙祠」は、香港で一番有名な道教寺院で、極彩色の装飾が美しい本堂や占いブースが観光客にも人気。祭られている「黄大仙」は、砂を薬にする術を得たという、神格化された医術者のこと。古くから病気治療にご利益があるとされてきましたが、近年は願掛けや占いが現実となるとして、人気となっています。
文武両道の神様が祭られた、香港最古の寺院「文武廟(Man Mo Temple)」は、天井から下がる渦巻き型の線香と、その煙が充満する光景で知られています。こうした線香の多くは、学問の神様である文昌帝に、受験生やその親族が合格祈願で奉納したもの。奉納した渦巻き線香は、数日かけて燃え尽き、その時に願いが成就するといわれています。このほか、武の神・関羽も祭られています。
ホテルで優雅に、アフタヌーンティー
イギリス統治時代が長かった香港では、本格的なアフタヌーンティーが体験できます。パティシエ自慢のスイーツと、厳選されたお茶で、優雅な午後のひとときを楽しんでみて。
香港内の主要なホテルで展開していますが、伝統を守り続ける名所といえば、香港ペニンシュラ・ホテル内にあるラウンジ「ロビー」。格式、優雅な内装、人気ともに香港のトップに君臨しています。クラシックな空間で、伝統的な銀の三段トレーのアフタヌーンティーを体験できます。長らく予約不可・ウォークインのみでしたが、コロナ禍にWEB予約システムが開始されました。旅程が決まったら、早めに予約を入れて!
ナイトスポット
24時間エキサイティングな街・香港。夜景観賞の後は、深夜営業するスタイリッシュなバーで飲んで、ナイトスポットを満喫してはいかが?
香港を代表するナイトスポット「ランカイフォン(蘭桂坊/Lan Kwai Fung)」は、中環駅から5分ほど坂を上ったところにあるエリア。欧米人向けのバーがひしめき、ハロウィンや大晦日などは、交通規制をするほど賑わいます。
九龍側のナイトスポット「ナッツフォード・テラス(諾士佛台/Knutsford Terrace)」は、歩行者専用の広めの路地に、おしゃれなバーやレストランが並んでいる尖沙咀の名所。通路沿いのテラスにオープンエアの席が設けられ、気軽に立ち寄って1杯を楽しめます。
漢方コスメ&スパ
ラグジュアリーなホテルのスパは、混沌とした香港のオアシス。中国医療のほか、風水や五行などの思想、漢方や翡翠などを取り入れた香港ならではのメニューも展開しています。至れり尽くせりの癒しの時間を、ぜひ旅程に組み込んでみてはいかが?
中国医学がベースのメニューを取り入れているのは、マンダリン・オリエンタル内の「マンダリン・スパ」。メニュー内容は、要望にあわせてカスタマイズ可能で、施術前には、サウナやハイドロバスを備えた併設の施設「ヒート&ウォーター・エクスペリエンス」を自由に利用できるのも魅力。
香港随一の規模を誇るのは、中環にある「スパ・アット・フォーシーズンズ」。アジアの伝統技法に最新のハイドロテラピー(水療法)を融合したメニューを提案しています。スパ利用者は、滞在中にサウナやジャグジーなどのウォーター施設「ヴァイタリティ・ラウンジ」を使えます。
ミシュランから路地裏まで、香港グルメを堪能
中国文化と西洋文化をミックスした、独自の文化を築いてきた香港。食文化も、ローカルフードから、世界各国の料理まで、さまざまな料理体験ができます。
香港には“おいしいものを食べながら、食によって健康を維持し、病気も治す”という「医食同源」という考え方が根付いています。“疲労回復には漢方スープ”といった人々の知恵が、食生活に浸透しています。
香港人が大好きな火鍋は、ヘルシーフードの代表格。漢方や自然素材のエキスがたっぷりと溶け出したスープは身体を温め、滋味豊かな具材は美肌や体調回復のもとになります。また、2種類のスープを選んで、仕切りのある鍋に入れる「鴛鴦鍋(インヨンフォーウォ)」も定番です。
数え切れないほど甜品店がひしめく香港は、デザートの種類も豊富。フルーツを使ったものから伝統的なものまで、医食同源の精神のもとに、元気に、キレイになれるものが数多くあります。
マンゴー果肉をふんだんに使った「マンゴープリン」や、必食スイーツの「エッグタルト」は、日本人にも食べやすい一品。苦味があり、シロップをかけて食べる漢方デザート「亀ゼリー」や、ほんのり甘い豆腐デザート「豆腐花」など、おいしくて身体によいグルメを楽しんでみて。
そのほか、広東料理の本場・香港で、フカヒレや海鮮をぜいたくに使った広東料理を味わうもよし、「チャーチャンテン」と呼ばれる庶民的な飲食店で、相席しながらローカルグルメを楽しむもよし!ミシュランから路地裏まで、ハイ&ローを楽しめるのが、香港の魅力です。
日帰りマカオ
香港から、船でたったの1時間。特別行政区のマカオや中国本土の華南地方は、香港から日帰りで行ける旅先です。アジアの中のヨーロッパと言われるマカオに少し足を伸ばして、ポルトガルの異国情緒漂う街も楽しんでみてはいかが?
香港からマカオへのアクセス方法は、2種類。尖沙咀のチャイナ・フェリー・ターミナル、または上環の香港-マカオ・フェリー・ターミナルから、毎日運航しています。所要時間は約55~80分。
マカオ半島では、マカオ・フェリー・ターミナルか、タイパ島のタイパ・フェリー・ターミナルに発着します。また、全長50kmの港珠澳大橋が、2018年10月にオープンしました。香港国際空港の横にある、橋がかかっている香港口岸から、マカオ、珠海まで約40分で行くことができます。
移動時間に加えて、それぞれの出入国手続きにも時間がかかるので、香港とマカオを両方楽しみなら、3泊4日以上の旅程をおすすめします。