宗教建築で異国の雰囲気を味わう
ニコライ堂(東京復活大聖堂教会)
JR御茶ノ水駅近くにある「ニコライ堂」は、日本にロシア正教を伝道した聖ニコライによって建設が進められたことから、その名で呼ばれています。ドーム型の屋根に白い壁という異国情緒あふれる外観が特徴的な教会です。1962年には国の重要文化財に指定されました。
聖堂内には大きなシャンデリアがあり、祭壇には金色の装飾が施され、壁の聖像画も見事で、荘厳な雰囲気を醸し出しています。
東京カテドラル聖マリア大聖堂
文京区関口の「ホテル椿山荘東京」そばにある「東京カテドラル聖マリア大聖堂」は、1899(明治32)年に建てられた当時は木造ゴシック様式の聖堂でしたが、1945(昭和20)年の東京大空襲によって焼失しました。
現在の建物は、東京都庁も設計した建築家の丹下健三氏によるもので、1964(昭和39)年に建てられたモダンな外観が特徴的です。聖堂内もコンクリート打ちっぱなしの壁で、大きなオルガンが設置されています。
敷地の一角には、フランス人のドマンジエル神父によって1911(明治44)年に建てられたという「ルルドの洞窟」があります。フランスとスペインの国境にあるピレネー山脈の麓にあるルルドは、聖母マリアが現れ、いくつもの奇跡が起こったといわれるキリスト教の聖地で、洞窟の泉の水を飲めば、病が治るともいわれています。
ルルドの洞窟を忠実に再現していて、東京にいながらにして、フランスの聖地ルルドを訪れたような気分に浸ることができます。
東京ジャーミイ・トルコ文化センター
代々木上原にある「東京ジャーミイ」は、日本最大級のイスラム教のモスク(礼拝場)です。ロシア革命によってロシアから避難してきたイスラム教徒のタタール人によって1938年に建てられました。その後、老朽化によって建物は一度取り壊されましたが、2000年に再建されました。
オスマン・トルコ様式を踏まえつつ現代的な部分も取り入れ建設されていて、外観はもちろん館内でもイスラムの雰囲気を感じられます。一般の方の見学も可能ですが、女性はストールやスカーフで顔を覆う、男女とも露出を避けた服装など、イスラム教のルールに合わせた服装で訪れましょう。
イスラム教で食べることが許されているハラール食材、スイーツ、トルコの雑貨、アクセサリーなどを販売する「東京ジャーミイハラールマーケット」、イスラム教やイスラム圏の歴史、料理など様々なイスラムに関する本を取りそろえた「ジャーミイの本屋さん」も併設されていて、トルコをはじめとするイスラム文化に触れることもできます。
築地本願寺
銀座からもほど近い築地でもひときわ目を引く「築地本願寺」は、インドの古代仏教建築を模した外観がエキゾチックな雰囲気の浄土真宗のお寺です。外観はもちろんですが、その内部もシャンデリアやドイツ製のパイプオルガン、ステンドグラスの窓を配置するなど、仏教建築とは思えないほど、多様な文化を取り入れています。
併設の「築地本願寺カフェTsumugi」では、仏教や浄土真宗にちなんだ朝食やランチ、オリジナルのブレンドティーやスイーツなどを味わうことができます。中でも「18品の朝ごはん」が人気です。
歴史的な建物で異国の雰囲気を味わう
迎賓館赤坂離宮
「迎賓館赤坂離宮」は、1909年に東宮御所として建てられたもので、日本政府の2つの迎賓館の1つです。本館はネオ・バロック様式の宮殿で、きらびやかな門や広大な石畳の前庭を合わせて眺めると、まるでヨーロッパの宮殿を訪れたような雰囲気を味わうことができます。
建築当時の日本の建築、美術、工芸界の総力を結集していて、外観はもちろん館内も絢爛豪華。真紅のカーペットに大理石の柱、大きなシャンデリア、美しい天井画など、見どころもたくさんです。使用されている時以外は見学も可能です。本館は当日受付での見学もできます。
小笠原伯爵邸(おがさわらはくしゃくてい)
新宿駅から車で約10分、都営大江戸線「若松河田」駅から歩いて1分ほどの閑静な街並みの中にある「小笠原伯爵邸」は、クリーム色の壁にエメラルド色の瓦が特徴的なスパニッシュ様式の建物です。窓には鉄格子の装飾が施され、建物でロの字型に囲まれた中庭などもあり、スペインの雰囲気をふんだんに取り入れています。
旧小倉藩主だった小笠原家第30代当主の小笠原長幹(ながよし)伯爵の本邸として1927(昭和2)年に建てられたもので、豊富な海外経験を持つ伯爵のモダンな生活ぶりや芸術への造詣の深さが邸宅の内外に反映されています。
現在はモダンなスペインレストランとなっています。外観は無料で見学可能です(貸切等で見学できない場合もあります)。邸内を見たいのであれば、レストランを利用しましょう。
旧岩崎邸庭園
「上野恩賜公園」の南に位置する「旧岩崎邸庭園」は、1896(明治29)年、三菱財閥初代・岩崎彌太郎の長男である三菱第3代社長・久彌(ひさや)の本邸として建てられたもので、約15,000坪もの広大な庭園に20棟もの建物が並んでいました。
現在は約5,000坪と当時の3分の1になりましたが、やはり広大で、緑豊かです。洋館と撞球(どうきゅう)室(ビリヤード場)、和館の3棟が残されていて、国の重要文化財にも指定されています。
洋館は、鹿鳴館を手がけたことで有名なイギリス人建築家ジョサイア・コンドルによる設計です。17世紀のイギリス・ジャコビアン様式の見事な装飾のほか、イギリス・ルネサンス様式、イスラム風のモチーフなども取り入れられています。南側にある柱が並ぶコロニアル様式のベランダも見事です。
洋館から少し離れた別棟の撞球室(ビリヤード場)もコンドルによる設計で、こちらはスイスの山小屋風の木造建築です。洋館とは地下道でつながっています。
旧古河庭園
北区にある「旧古河庭園」は、かつて明治時代の政治家・陸奥宗光の邸宅だったもので、次男が古河家の養子となったことから、古河家の所有となりました。現在は「公益財団法人 大谷美術館」が管理しています。
北側の小高い丘にある洋館は、素朴で重厚な外観が特徴的で、スコットランド建築やイギリスの別荘建築を思わせます。旧岩崎邸庭園洋館やニコライ堂も手がけたジョサイア・コンドルによる設計で、彼の最晩年の作です。
斜面にある西洋庭園もコンドルによるもので、左右対称の幾何学模様のフランス式庭園と石段や水盤などを使い立体的なイタリア式庭園の調和が美しい庭園です。春と秋には植栽されたバラが咲き誇り、洋館の雰囲気を一層引き立てます。
敷地の低地部分には日本庭園や滝、茶室などがあります。洋と和の2つの雰囲気を1つの場所で感じられるスポットです。
街全体で異国の雰囲気を味わう
新大久保コリアンタウン
JR山手線「新大久保」駅東側は、日本でも最大のコリアンタウンです。ハングル文字の看板が並び、日本にいながら韓国旅行気分を味わえます。K-POPグッズ専門店が集結していることからK-POPの聖地とも呼ばれています。
また、サムギョプサルやビビンバをはじめとする本場韓国の味が堪能できるレストランや屋台もひしめき合っていて、リーズナブルなものから高級なものまで、様々な価格帯、ジャンルの韓国料理が楽しめます。韓国料理の食材や調味料などを販売する商店街もあります。
インスタ映え抜群と人気の韓国スイーツが味わえるカフェなども立ち並び、さらには韓国コスメのショップやエステサロンまで、と様々な韓国文化を楽しみながら観光することができます。
イスラム横丁
コリアンタウンとして有名な新大久保ですが、駅の西側は中国、タイ、ベトナム、ネパールなどアジアの国々のお店が並び、東側とはまた違った雰囲気となっています。なかでもイスラム圏の人々が多く集まるエリアは、通称「イスラム横丁」と呼ばれています。
エスニック料理店が多く立ち並ぶほか、他ではなかなか手に入らないスパイスを販売する専門店、イスラム教のルールで食べることが許されているハラール食材を扱うスーパーなどもあります。
国際色豊かで、散策するだけでも異国を訪れた気分にひたれること間違いなしです。コリアンタウンと合わせて、新大久保駅界隈で様々な異国の文化に触れてみてください。
汐留イタリア街
ウォータフロントの近代的な高層ビルが立ち並ぶエリアというイメージの汐留ですが、再開発の際には、広大な敷地を11の街区に分けて街づくりが行われました。JRの線路と第一京浜(国道15号)に挟まれた5区の西街区は、建物や街並みのデザイン、店舗構成においてイタリアを共通テーマとしていることから、「イタリア街」と呼ばれています。
個性的でおしゃれな街並みをゆっくりと散策しながら、イタリアのグルメやショッピングを楽しんでください。
ラ・ヴィータ自由が丘
おしゃれなショップが集まっている人気エリアの自由が丘にあって、水の都ベネチアの街並みを再現しているのが「ラ・ヴィータ自由が丘」です。運河にはゴンドラが浮かび、レンガ造りの洋館、石畳の風景は、まさに異国の雰囲気でフォトジェニックです。ゆっくりと散策や写真撮影を楽しみましょう。
商業・公共施設で異国の雰囲気を味わう
アメ横センタービル地下食品街
JR上野駅で降りると、線路沿いには生鮮食品からファッション、化粧品、ジュエリーなど様々な種類のお店が約500mにわたって立ち並ぶ「上野アメ横商店街」があります。そんな商店街の中心に建つ「アメ横センタービル」にはいろんな専門店が所狭しと入っています。
なかでも地下食品街は、中国をはじめ東南アジアの食材や調味料、スパイスを販売するお店が集まっています。肉や魚介類など新鮮な食材もあり、普段のスーパーなどではなかなか見ることができない珍しい食材も販売されています。店員もお客さんも日本人以外の人が多いことから、さまざまな言語が飛び交い、まるでアジアのマーケットを訪れたような気分を味わえます。
高輪プリンセスガルテン
JR品川駅高輪口から歩いて約6分の「高輪プリンセスガルテン」は、中世ヨーロッパの街並みを思わせる石畳、趣のある洋館、19世紀ウィーンの雰囲気を持つコンサートホールなど、都心にいながらヨーロッパにいる雰囲気が味わえるスポットです。夜はライトアップされ、昼間とはまた違う雰囲気が楽しめます。
アンスティチュ・フランセ東京(旧東京日仏学院)
JR飯田橋駅から歩いて7分ほどの「アンスティチュ・フランセ東京(旧東京日仏学院)」は、フランス政府公式のフランス語学校です。1952年開校という歴史を持ち、日仏友好の架け橋となってきました。
建物はル・コルビュジエ門下の建築家である坂倉準三氏による設計で、二重らせん構造の塔を配するなどモダンな建物でした。現在、既存棟は改修が行われ、新棟の建設が行われています(2021年まで)。
フランス語の講座はもちろん、フランス関係の文化人やアーティストによる講演会やイベントなどが行われていて、東京にいながらフランス文化に触れられるスポットです。