文房堂 ~明治創業 老舗画材専門店~
明治から変わらない、美術と雑貨で溢れた異国情緒な世界
靖国通りから神田すずらん通り商店街に入って、少し進むと左手に見えてくるレトロな外観の大きな建物が、1887年(明治20年)に創業された老舗画材専門店の文房堂(ぶんぽうどう)です。なんと外観は創業時のままで、明治初期の文明開化によって西洋の文化が多く取り込まれた当時にタイムスリップしたかのように感じます。
文房堂は、当時海外からの輸入でしか手に入らなかった油絵具を、日本で初めて開発・販売したことで知られています。文房堂の油絵具でしか出せない色を求めてお店に足を運ぶ人が多いそうです。
お店のコンセプトは「身近にアート」。美術に携わる人はもちろん、これから始めてみたいという人や学校で使うような普通の美術道具を探している人まで、様々な人に美術に触れてもらいたい、という気持ちが込められています。
地下1階から2階までは、画材・文具・雑貨・額縁・ポストカードなどが所狭しと並んでいます。その時々の季節やイベントに合わせた雑貨が揃っており、筆者が訪れた11月上旬にはかわいいクリスマス雑貨が並んでいました。美術に携わらない人でも雑貨を見ているだけで存分に楽しむことができます。オシャレな雑貨も豊富にあるので、家族や友人へのちょっとしたプレゼントを探すのもオススメです。
また、店内を見渡すとネコの雑貨が多いことに気がつきます。副店長の鍋田明子さんに理由を尋ねてみたところ、「神保町にはネコが多いから」「スタッフにネコ好きが多いから」「文房堂のある千代田区はネコの殺傷率が0%だから」など諸説あるとのことでした。
3階ではカフェが営業しており、4階は現代美術を中心とした企画展や貸しスペースのギャラリー。5階と7階では、全70講座の美術系アートスクールが開講されており、3か月に1回参加者を募っています。経験者はもちろん初心者の方も参加可能なので、美術に興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか。
【アートスクール講座一覧】
http://www.bumpodo.co.jp/school/
〈文房堂〉
住所:〒101-0051 東京都千代田区神田神保町 1丁目 21-1
アクセス:神保町駅から徒歩4分、御茶ノ水駅から徒歩7分
営業時間:10:00〜18:30 年中無休
インスタグラム:https://www.instagram.com/bumpodo/
富士レコード社 ~思い出のアナログレコード~
昭和から受け継がれた心に染みるレコードの音に耳を傾ける
神保町駅A-3出口を出て、目の前の通りの向かい側にある、神田古書センター9階の中古レコード専門店が富士レコード社です。
昭和5年(1930年)創業で、現在日本で最も古いと言われているレコード店であり、まさに老舗中の老舗。扱うのは創業当時から現在に至るまでアナログレコード一筋で、お店の中にはアナログレコードが所狭しと並んでいます。洋楽クラシックをはじめ、歌謡曲、流行歌、純邦楽、さらに定番のロック・ジャズなど、オールジャンルの品揃えで、さらに、手巻き蓄音機やSP盤の在庫など、珍しい商品までも取り扱っています。
もし聴いてみたいレコードがあれば、アナログレコードに詳しいベテランの店員さんが実際に蓄音機で再生してくれます。訪れた際には、小説「銭形平次捕物控」の作者である野村胡堂さんがかつて所有していたという手巻き蓄音機を使って、レコードを再生していただきました。生で聴いた蓄音機の音は、普段聴くデジタルのものとは違った当時の機械ならではの味のある音がしました。今回お話を伺った富士レコード社の販売課長の佐藤満弘さんは、「その時代に作られた音楽は、その時代の機械を使って再生したほうが良い」とおっしゃっており、実際に再生していただいた音楽を聞いてみて納得しました。
アナログレコードを聴いてみたいという方や掘り出しもののレコードに出会いたいという方は、ぜひ一度富士レコード社を訪れてみてはいかがでしょうか。そこまで興味がない方でも、蓄音機に針を落とす瞬間のあの緊張感にきっと魅了されるはずです。
〈富士レコード社〉
住所:〒101-0051 千代田区神田神保町2-3 古書センター9階
アクセス:神保町駅から徒歩1分、御茶ノ水駅から徒歩10分
営業時間:10:00〜19:00 年中無休
Twitter: https://twitter.com/fuji_record
さぼうる ~昭和創業、老舗名喫茶~
深く味わおう!60年以上も愛される不思議な老舗喫茶店
昭和30年の創業以来、地元の人たちから愛され続けてきた喫茶店が「さぼうる」です。神保町駅から徒歩ですぐの場所にあり、趣きのある木々で覆われた山小屋風の外観や看板、そして扉脇の赤電話が目印です。
入り口には、大きなトーテムポールや沢山の植木、赤いレトロなダイヤル式の電話が置いてあり、喫茶店では珍しい不思議な雰囲気の外観であまるでジブリ映画に出てきそうな味のあるお店です。
さぼうるは喫茶店ですが、コーヒーなどのドリンクのほか、サンドイッチやピザトーストといった軽食も提供されています。
さぼうるの目玉であるこちらのクリームソーダ(750円)は、定番の緑を始め赤や黄色など6種類の中から選択できるのが魅力。色とりどりのクリームソーダは写真映えも抜群です。ぜひ、全色制覇を目指して注文してみてはいかがでしょうか?
さぼうるのすぐ隣にある姉妹店さぼうる2は、より料理のメニューが充実しています。食事がしたい時はさぼうる2へ訪れて名物の山盛りスパゲティを頬張り、ゆっくりしたい時はさぼうる1を訪れてコーヒーやクリームソーダを味わうなど、それぞれを使い分けている方が多いようです。
〈さぼうる、さぼうる2〉
住所:東京都千代田区神田神保町1-11
アクセス:神保町駅から徒歩0分、御茶ノ水駅から徒歩6分
営業時間:11:00〜17:00
日曜日は定休日
公式インスタグラム:https://sabor-jimbocho.business.site/
magnif(マグニフ) ~雑誌バックナンバーのお洒落な古書店~
振り返ろう!今ではもう手に入らない世界のバックナンバー
神保町駅近くの多くの古書店が建ち並ぶ通りにあるこちらは、雑誌の古本を主に扱ってい古書店 magnif(マグニフ)です。ファッション誌を中心にセレクトしており、海外雑誌や書籍、写真集などが数多く並んでいます。
例えば、有名ファッション誌「VOGUE」は、本国アメリカ以外に、フランス、イタリア、イギリスと、様々な国で発行されたバックナンバーが並んでいます。読み比べてみると、面白い発見がありそうです。
他にもアメリカの若者文化にまつわるものや、昔の日本の暮らしをめぐるもの、トラディショナルファッションものなど多種多様なアートやスタイルをそれぞれの時代の雑誌から感じることができます。現在も本屋さんやコンビニでよく目にする「anan」や「暮しの手帖」も、1950年代まで遡ることができ、まるで違う雑誌かのように感じます。
また、ここでは一点物のビンテージステッカーやピンバッジも手に入れることができるので、コレクションしてみたりパソコンやスーツケースに貼り付けたりして楽しむのも良いですね。
magnif店主の中武康法さんにインタビューをできたので、一部ご紹介します。
Q.お店のこだわりは何ですか?
A.国やジャンルをこだわらないところが、こだわりです。
Q.雑誌バックナンバーの魅力は何ですか?
A.古くても新しいように感じるところです。広告なども含めた"時代"がありのまま詰め込まれており、古い雑誌を紐解けば、ただ懐かしいだけでなく、むしろ新鮮で刺激的です。
Q.おすすめの雑誌はありますか?
A.「i-D」というパンクっぽい雑誌と「暮しの手帖」です。暮しの手帖は、広告ページに辛辣なことを書いていたりと面白いです。
中武さんは御茶ノ水にキャンパスを構えている明治大学のOBとのことで、学生時代に神保町の古本屋でアルバイトをしたのをきっかけに、今のお店を持つようになったそうです。神保町は何気なく散策しているだけでも五感を刺激されるようなお店に出会えるので、中武さんのように何か素敵なきっかけがあるかもしれませんね。
〈magnif〉
住所:〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1丁目17
アクセス:神保町駅から徒歩2分、御茶ノ水駅から徒歩8分
営業時間 :11:00〜18:30、不定休
インスタグラム:https://instagram.com/magnif_zinebocho?igshid=1dcuxwoavmuf0
(元)鶴谷洋服店 ~現代風レトロ雑貨~
洋服屋から心機一転、個性的で昔懐かしい雑貨屋さん
神保町エリアに数多くある雑貨屋の中でもひときわ輝いているのがここ(元)鶴谷洋服店です。さぼうるやラドリオといった老舗喫茶店が軒を連ねる場所にあるこちらは昭和レトロな雑貨を主に販売しています。4畳程の小さなスペースにびっしりと並べられているレトロな雑貨はどれも普段の生活では見かけないものばかり。一昔前のおもちゃやアクセサリーが並ぶ店内の雰囲気は、その時代のことを知らなくてもどこか懐かしく子供心がくすぐられます。
ここで(元)鶴谷洋服店の特徴を5つご紹介します。
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お店の名前にある(元)の意味
初めて訪れた際に気になるのが、この(元)という文字の意味です。元々は鶴谷洋服店という名で戦前から3代にわたり洋服の仕立て屋さんを営んでおり、3代目の鶴谷光明さんが2015年に亡くなった後に、現在のオーナーである洋子さんが伯父であった光明さんの意思を継ぎ、店名に(元)を付け加えて雑貨屋として再開したそうです。お店や仕立て道具は当時のまま引き継がれているため、洋服店の名残があり時代を感じることができます。テーラーという男性向けの店を女性も立ち寄れるスポットにしたい、というのがコンセプトになっています。 -
特徴的な営業時間
お店の営業時間が、金、土、日曜日の14時から18時までと限定的なので注意が必要です。お店に足を運ぶ際には、TwitterやInstagramなどの公式SNSでチェックしてから訪れることをおすすめします。 -
充実のオンラインサービス
(元)鶴谷洋服店は公式のInstagramやTwitterで新着の商品情報を発信するほかにも、公式のオンラインショップを開設しています。店頭にある商品から、オンライン限定商品まで多くの商品を扱っているので是非チェックしてみてください!公式オンラインショップはこちらから
<(元)鶴谷洋服店>
住所:千代田区神田神保町1-3
アクセス:都営新宿線神保町駅「A7」出口から徒歩1分
営業時間:金・土日祝日14:00〜18:00
竹尾 見本帖本店 ~買える紙の美術館~
触ってみよう!「紙」の専門店で新たな発見を
ここ見本帖本店(みほんちょうほんてん)は、紙の専門商社株式会社竹尾のショールーム兼ショップです。紙の美術館のようにグラデーションに並んだ300銘柄(2700種類)の紙の中から自分の気に入ったものを選び購入することが出来ます。
1階はショップになっており、竹尾のファインペーパーの魅力に触れることが出来ます。ファインぺーパーとは、独特なテクスチャーや豊富な色数等、紙そのものが持つ魅力を最大限に活かすように作られた紙です。
まず店内に入ると、紙がグラデーションに並べられたテーブルがあります。
色・質感から紙を探したい場合は、実際に手に取り、気に入った紙の検索カードを抜いて、カウンタースタッフに持っていきます。お店を訪れた際にも、一つ一つ手に取って色や質感を見ていたお客さんがたくさんいらっしゃいました。
希望する銘柄や風合いが決まっている場合は、店内3か所に設置されているミニサンプルから選び、注文書に記入をして、カウンタースタッフに持っていきます。
用途から紙を探したい場合は、スタッフに相談することで、適切な紙を提案してもらえます。
壁面はすべてシェルフになっており、中にはA4サイズの紙が収められています。
その他、ウェブストアでは、名刺や封筒等をイージーオーダーで注文することもできます。詳しくは、こちらのウェブサイトをご覧ください。
こちらでは、竹尾の紙を使用したオリジナルステーショナリーブランド「Dressco(ドレスコ)」の商品も販売されています。「テクスチャーや色合いの豊かな紙を、もっと身近に感じていただきたい」という想いから誕生したブランドで、アイテムについている孔雀のロゴマークは、ブランドのコンセプトである「魅せるプロダクト」を表現しています。
Dressco の商品は、先程ご紹介したウェブサイトから購入することもできます。
さらに2階では、紙選びや印刷加工の相性についてのアドバイスをしてもらえたり、紙とデザインをさまざまな角度から特集する展示会が不定期で開催されています。
2,700種もの色から自分のお気に入りを探し出すのはなんだかワクワクしますね。心惹かれた紙で大切な人にカードを送ってみてはいかがでしょうか?
〈竹尾 見本帖本店〉
住所:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-18-3
アクセス:神保町駅から徒歩8分、御茶ノ水駅から徒歩15分
営業時間:10:00〜18:00
定休日 土日祝日
ホームページ:https://www.takeo.co.jp/
ウェブストア:https://takeopaper.com
super labo store ~新しい写真集の在り方~
海外から御茶ノ水・神保町に集結、新スタイルの写真集ストア
2019年にオープンしたばかりの写真のショールーム「スーパーラボ ストア トーキョー」では、ここでしか見られない海外・日本の有名写真家たちの作品が美しく展示されています。
スーパーラボは、海外でも著名な創業12年目の出版社であり、店内にセレクトされた作品は1つ1つに作り手のこだわりが詰まっています。
ディレクターのホウキヤスノリさんは、「写真集はマーケティングの方程式がないジャンルだ」とおっしゃっていました。いつ、どのように売れていくかが予想できない中、スーパーラボは表紙・素材・余白・ページの使い方をそれぞれの作品に合わせており、アーティストの魅力をより引き出し、世界中でどこにも負けないクオリティを作り出しています。ラボの外観に青いネオンで書かれたの英文には「カメラは、あなたの目で人生を見るためのライセンスだ。本能や欲望に従え!それは、あなたが誰であるかを教えてくれるだろう」と写真家の心得が書かれています。この文字の写真を撮るために海外から訪れる人もいるのだとか。
ここでは、写真家のトークショーやイベントも定期的に開催されています。写真を見て、実際にその作品を撮影した写真家から話を聞くことで、作品の奥深さや見方が更に広がります。お気に入りの写真家を見つけぜひトークショーへ足を運んでみてください。
〈SUPER LABO STORE TOKYO〉
住所:東京都千代田区神田猿楽町11-4-11
アクセス:神保町駅から徒歩5分、御茶ノ水駅から徒歩8分
営業時間:水曜日~日曜日、祭日 12:00〜18:00
休業日 月曜日、火曜日
インスタグラム:https://www.instagram.com/superlabo/
公式サイト:https://www.superlabostoretokyo.com/
大三萬年堂HANARE ~老舗から誕生した新しい和菓子~
老舗和菓子屋が令和に和カフェをニューオープン
江戸中期から360年続く老舗和菓子屋「大三萬年堂」の13代目安原伶香さんがプロデュースし、2019年6月にオープンした和カフェ『大三萬年堂HANARE』。 日本と西洋の文化を掛け合わせた和洋折衷、温故知新をテーマとした新しい御菓子を手掛けています。
老若男女問わず楽しめるよう健康に配慮した商品を取り扱っており、米粉や発酵食品、豆乳クリームなど1つ1つの素材にこだわったメニューがたくさんあります。中でも看板商品「どらぱん」は、大三萬年堂が手掛ける秘伝の粒あんと乳成分フリーの豆乳クリームがもちもちの米粉パンにサンドされています。
和マカロンは、ハイアットリージェンシー東京内にある日本料理「佳香」とコラボレーションしたオリジナル商品です。
5種類セット 1,620円(税込)
- 大三萬年堂 秘伝あんこ×バター
- たまり醤油×キャラメル
- 酒粕×ホワイトチョコレート
- しそ×ラズベリー
- 白あん×柚子
和と洋の意外な組み合わせを堪能できる和マカロンセットは、見た目の可愛さはもちろん、お土産や3時のおやつにぴったりです。
定番のスイーツが贅沢に盛られたプレートを大勢で一緒に味わいたい方は、ぜひ予約してみてはいかがでしょうか?素敵な時間になること間違いなしです。
ランチタイム(11:00〜14:30)は、「美味しく食べて、健康に過ごす」をコンセプトに栄養満点のお食事をいただくこともできます。
HANAREの気まぐれ御膳
お魚料理と自家製厚焼き玉子がメインの和定食。副菜・小鉢・お味噌汁の具材も週替わりになっています。御膳の他にも「贅沢豚汁と炊き込み結び」や「さっぱりおろしの鶏ももみぞれ煮」など1,000円前後の価格で頂くことが出来ます。お菓子だけでなく、お食事にも和洋折衷を感じられますね。
大三萬年堂HANAREは見た目もかわいく、ヘルシーで美味しいスイーツとお食事といった、まさに女性の夢が叶えられたお店と言えます。お土産や引き出物にも最適なスイーツが目白押しなので、ぜひ一度立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
〈大三萬年堂HANARE〉
住所:〒101‐0063 東京都千代田区神田淡路町2丁目2-105ワテラスアネックス105
アクセス:御茶ノ水駅から徒歩3分、神保町駅から徒歩15分
営業時間:11:00〜21:00 不定休
ホームページ:d3hanare.tokyo/
インスタグラム:https://www.instagram.com/daisan_hanare/
まとめ
東京の神保町・御茶ノ水での”時空散歩”はいかがでしたでしょうか?昔懐かしいレトロな世界から、新しい現代の世界へとまるで時空を超えて散歩しているような気分になりますね。どこのお店も魅力的なことはもちろん、インタビューに対応してくださったお店の方々がとても暖かく、こだわりをもってお店を営んでいることが伝わってきました。
神保町・御茶ノ水には、これ以外にもまだまだ素敵なお店がたくさんあります。今回ご紹介したお店を巡りつつ、新たな発見を求めて散策してるのもおすすめです。
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