意外と近い宮島と錦帯橋(きんたいきょう)
錦帯橋は、山口県最東部の岩国市にあります。そして、広島県廿日市市(はつかいちし)の瀬戸内海に浮かぶ宮島は、世界遺産「厳島神社」もあり、広島を訪れたら外せない大人気の観光スポットです。
県が違うと遠いイメージを持つかもしれませんが、岩国市と廿日市市は隣接しています。しかも、錦帯橋の最寄駅である「岩国駅」から宮島の最寄駅である「宮島口駅」までは、JR山陽本線普通列車に乗って、たった25分ほどで移動することができるのです。
「広島駅」から「宮島口駅」までの所要時間が約30分なので、そう考えると意外と近いということがイメージできるのではないでしょうか。車でも途中、高速道路を利用して、錦帯橋と宮島口桟橋の間を約50分ほどで移動できます。
また原爆ドーム近くにある「広島バスセンター」からは直通の高速バスが利用でき、1時間ほどで到着します。朝から日中にかけては1時間に2本程度運行されていますので、使い勝手も良いです。広島を訪れたら、ぜひ錦帯橋も合わせた旅のプランを立ててみましょう。
宮島から錦帯橋までの経路
宮島→フェリー(約10分)→宮島口桟橋→徒歩(約5分)→宮島口駅→JR山陽本線普通(約25分)→岩国駅→路線バス(約20分)→錦帯橋
広島駅から錦帯橋までの経路
JR広島駅→新幹線こだま(約14分)→JR新岩国駅→市営バス(約10分)→錦帯橋
JR広島駅→JR山陽本線(約50分)→JR岩国駅→市営バス(約20分)→錦帯橋
広島バスセンターから錦帯橋までの経路
広島バスセンター→高速バス(約60分)→錦帯橋 バス停
※乗車する時間帯により乗車時間は前後します
錦帯橋とは
何度も復活!錦帯橋の歴史
岩国市を流れる清流・錦川に架かる五連のアーチを描いた「錦帯橋」は、長さ193.3m幅5m、石積みの土台に、巻金とかすがいを使い、木と木を組み合わせて造り上げられています。「日本三名橋」の1つにも数えられ、国の名勝にも指定されている美しい橋です。
その歴史は、江戸時代にさかのぼります。関ヶ原の戦いの後、吉川(きっかわ)家が毛利藩の岩国領としてこの地を治めました。山の上に岩国城を築き、ふもとには城下町を整備していったのです。
錦川は、川幅が約200mもあり、広い流域を持っています。そのため、増水するとその水流の激しさはすさまじく、橋を架けても流失することを繰り返していました。流されない橋の建設は、領主や町に暮らす人々の悲願でもありました。
そして、3代目領主吉川広嘉(ひろよし)が中国西湖に架かるアーチ橋の絵にヒントを得て、1673年に初代錦帯橋を完成させました。わずか8ヵ月後の大洪水で流失してしまいましたが、これによって更なる研究を進め、翌年、再び橋を完成させたのです。
その後、約3世紀に渡って2代目錦帯橋はその姿を留めましたが、1950年、岩国を直撃した台風によって、1950年に石積みの橋台も含め全て破壊されてしまいました。しかしながら、翌1951年から1953年の再建工事で見事に復元されました。これが現在の4代目錦帯橋です。
再建から約50年後の2001年から2004年にかけては、木造部分の劣化したところを架け替える「平成の架け替え」が行われました。その後もたびたび台風や豪雨の被害を受けながらも、今もなお美しい姿を保っています。
錦帯橋とともに季節の景色を楽しむ
約300年前のままの迫力ある姿を今も見せてくれる錦帯橋は、歩いて渡ることができます。周りの自然も豊かで、春には桜、初夏の新緑、夏の鵜飼や花火大会、秋の紅葉といった四季折々の景色に錦帯橋が美しく映えます。橋の上から、また周辺を散策しながら、その景色を楽しみましょう。
3月下旬から5月下旬、8月上旬から1月中旬の期間には、夜の22時までライトアップも行われています。ちなみに錦帯橋は24時間入橋できます。営業終了時間は季節で変わりますが、料金所に人がいない時間でも、設置されている夜間料金箱に料金を入れればいいので、昼間とはまた違う幻想的な夜の錦帯橋もぜひ楽しんでください。
錦帯橋と一緒に観光したい岩国の観光スポット
錦帯橋を訪れたら、周辺を散策しながらの観光もおすすめです。錦帯橋周辺には他にも観光スポットがあり、一部のスポットからは、錦帯橋を遠くから眺めることもできます。間近に見る姿も迫力がありますが、少し離れて橋の全景を眺めるのもいいですよ。
錦帯橋、ロープウェー、岩国城の3ヵ所を回るならお得なセット券も販売されています。せっかく岩国まで来たのならどれも訪れたい場所です。時間に余裕がある方はセット券を買って周辺を観光しましょう。
他にも見逃せない観光スポットがいくつもあります。錦帯橋から歩いて訪れることができる観光スポットをご紹介します。
岩国城
1608年、初代岩国領主の吉川広家(きっかわひろいえ)によって、眼下に錦川が流れる標高約200mの城山の山頂に築かれた「岩国城」は、錦帯橋からも山の上の天守が見えます。
3層4階の桃山風南蛮造りの山城でしたが、築城後わずか7年で徳川幕府の一国一城制によって取り壊されました。現在の天守は、1962年にもともとあった場所から東側に約50m位置をずらして復元されたものです。旧天守閣の石垣は修復保存されていて、当時の石積み技術をうかがい知ることができます。
内部では武具や甲冑のほか、錦帯橋の精密模型などが展示されていて、不定期で企画展なども開催されています。また、天守閣4階は展望台になっていて、錦帯橋や吉香公園、岩国市内をはじめ、瀬戸内海の島々や宮島まで一望できます。
岩国城ロープウエー
岩国城へ行くのであれば「岩国城ロープウエー」を利用しましょう。吉香公園前の山麓駅から城山の尾根にある山頂駅までは約3分です。ゴンドラ内では音声ガイドによる岩国の歴史の紹介もされています。
山頂駅前には、時を告げるときに人形が動き音が流れるからくり時計塔や休憩所、展望台などもあります。山頂駅から天守までは歩いて約5分ほどです。
吉香(きっこう)公園
錦帯橋を渡ってすぐのところにある「吉香公園」は、旧山口県立岩国高等学校の跡地に造られた広大な公園です。旧校舎は「岩国高校記念館」として保存されています。また、中央には大噴水があり、定期的に水が大きく連なったアーチを描きます。芝生や木陰、ベンチなどもあり、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
花の名所としても有名で、梅、桜、ツツジ、あじさいなど季節ごとの花々が楽しめます。4月下旬には「吉香牡丹園」で約500株のボタンの花が咲き誇り、6月下旬には「吉香花菖蒲園」で紫、赤、ピンクなど約140種11万本もの美しい花菖蒲が見頃をむかえます。
岩国シロヘビの館
岩国は、全身が白く輝き、ルビーのように赤い目を持つ、美しくて神秘的な「シロヘビ」が多く生息している土地と言われています。昔から「神の使い」として、開運や金運のご利益があるとされ、崇められてきました。
岩国城ロープウエー山麓駅近くの「岩国シロヘビの館」では、岩国のシロヘビの歴史を知ることができる古文書などの資料の紹介や、楽しくシロヘビのことが学べる体験展示やクイズゲームコーナーなどがあります。
また、生きたシロヘビも実際に見ることができます。写真撮影もできますので、ぜひ記念に珍しいシロヘビの姿を写真に撮ってみましょう。売店にはシロヘビにちなんだ金運アップのオリジナルグッズなども販売されています。
岩国市観光交流所「本家 松がね」
錦帯橋の南側には、碁盤の目のように整備された通りに、昔ながらの町家の面影が残る「岩国七町」と呼ばれる界隈があります。その1つ「玖珂町」にある、岩国市観光交流所「本家 松がね」は、1850年ごろに建てられた商家を保存利用しています。
江戸時代には、鬢(びん)付け油「松金油」の製造販売で栄えた「松金屋」でした。松金油は吉川氏が諸大名への贈り物としても使っていたことから、当時、岩国の名産品として全国に知られていたそうです。
昭和初期には醤油製造業を営んだ「國安家住宅」となり、2000年には有形文化財に登録されました。そして、2017年に観光客と地元の人たちとの交流の場として岩国市観光交流所「本家 松がね」がオープンしたのです。ご当地グルメの「岩国寿司」をはじめ岩国の特産品の試食ができるほか、教室や各種イベントなどを随時開催しています。
橋の駅 錦帯橋「展望市場」
錦帯橋から歩いて1分の「錦帯橋バスセンター」にある橋の駅 錦帯橋「展望市場」は、岩国や山口の特産品や地酒などがたくさんそろっています。またお茶処では錦帯橋を眺めながら、特産品の蓮根を使った料理や岩国寿司、和スイーツやいろんな種類のお茶が味わえます。
観光途中の休憩に立ち寄って、おみやげ選びも楽しみましょう。
岩国国際観光ホテル
錦帯橋から歩いて3分という近さの「岩国国際観光ホテル」は、岩国唯一の「錦帯橋温泉」を有するホテルです。宿泊はもちろんですが、日帰り温泉や食事も楽しめます。露天風呂からは錦帯橋や岩国城が一望できるので、温泉でリラックスしながら絶景を楽しんでください。
温泉の後は、岩国の食材や郷土のグルメを織り交ぜたオリジナル懐石や、本格四川料理などをホテルのレストランで味わうのもいいですね。