博多屋台街ってどんなところ?
現代ではほとんど見ることがなくなった「屋台」。しかし、博多屋台の件数は124軒で、全国の屋台の約40%をを占め、日本最大級の屋台街と言えます。そして一大観光スポットとして多くの観光客が訪れ、賑わっています。ではなぜこんなにも博多には屋台が多いのでしょうか。
屋台は江戸時代が発祥だという説があります。というのも、参勤交代で江戸にやって来た地方武士にとって大きな負担だったのが食事を作ること。その需要を察知した商人が、そば、握り寿司、天ぷらといった簡単に提供できる食物を路上で販売したのが屋台の原型だったと言われています。
もともと様々な場所に密かに根付いていた屋台の文化ですが、活躍したのは戦時中です。物資や食料などに厳しい統制が統制が行われ思うように食料が手に入らなかった時代、闇市を屋台で開く人々が増加していきました。しかし衛生面や路上の無断使用、美観などの問題から厚生省や地方自治体による厳しい規制が敷かれ徐々に衰退していきました。
そんな中で博多だけは屋台経営者らが結集して組合を作り、屋台存続にむけて行政に交渉を続けました。こうした活動が実り、1955(昭和30)年には許可制で営業できるようになったのです。その後も屋台営業に関する食品衛生法や道路交通法など法定が追加されていき、現在の屋台営業の規格になっていきました。
屋台の件数は1970(昭和45)年頃がピークで400軒以上あったそうです。厳しい法定を守りながら今もあり続ける博多屋台だからこそ安心して飲食出来るし、人気があるのです。
見どころ
地元の方と楽しくお話しできる
非日常の空間で個性的な飲食を楽しめるのが魅力な屋台ですが、その大きな特徴はやはり、お客さん同士、またお店スタッフとの「距離が近い」こと。実際の距離も近いのですが、博多の人は心の距離も近いです。ふらりと屋台に入ると目の前の大将や店員さん、隣のお客さん、誰かしらが必ず話しかけてくれます。
地元の方から観光客まで様々な方と人情溢れるコミュニケーションがとれることが博多屋台の醍醐味。遠慮せず積極的にお話ししましょう。おすすめの屋台や明日から行く観光スポットの裏情報まで教えてくれるかもしれません。福岡観光をする際は初日に勇気を出して博多屋台を訪れてみては?
はしごで色々なグルメを楽しめる
博多屋台の定番メニューといえばとんこつラーメン、おでん、焼き鳥、餃子。回転の良い博多屋台はすぐに安くて美味しいおつまみが出てくるのではしご酒に向いているのも魅力の1つ。
例えばラーメンはどこも500円前後、おでんも150円前後。コンビニ価格で提供しているお店がほとんど。福岡らしい明太子卵焼きや、焼きラーメンなどもあり、観光客が楽しめるようになっています。
また、最近では欧風スタイルやジビエ料理の店などおしゃれなお店が新登場していて注目を集めています。特に今人気なのは屋台なのに本格的なカクテルが飲めるお店。屋台は汚いしおじさんが行くものだというイメージがある方も多いかもしれませんが、女性でも気軽に入れるお店が増えているんです。
3つのエリアでそれぞれの魅力を味わえる
【中洲エリア】
中洲の屋台街はなんとも言えない独特の雰囲気が味わえるのが特徴的。中洲エリアは、冷泉公園から更に南西方面に向かい、その名の通り中洲の一帯のことを言い、ネオンの明るい夜の街で、にぎやかな屋台街になっています。那珂川沿いに立ち並ぶ屋台が、中洲のネオンと川沿いの景色によってアジアならではの幻想的な雰囲気を醸し出しています。洋食や天ぷらなど博多らしい逸品以外にもディープな屋台グルメを楽しめます。
屋台バーえびちゃん
なんと、屋台なのに本格的な美味しいカクテルが飲めるというお店です。屋台といえどもカクテルは一流。その日取り揃えているフルーツから好みのカクテルを作ってくれます。量もたっぷりで飲みごたえ抜群です。
風来けん坊
明るいママと3代目の健太さんが切り盛りする親子二人三脚の屋台。大根おろしをベースにしたタレで食べる炭火焼の牛タンが人気のメニューなのですが、くじらの鉄板焼きなどひと味変わったメニューもあります。
【天神エリア】
警固公園や警固神社などがある「天神エリア」。少し東には天神南駅があり、博多の繁華街の1つでもあります。昼間も人の多い地区ですが、夜に屋台が出始めると、その屋台を目当てに人々が集まってきます。渡辺通り沿いにいっせいに屋台が立ち並び、九州一の繁華街にふさわしい圧巻ぶり。サラリーマンや若者など多くの人たちに親しまれています。
まみちゃん
紅白のなんともめでたそうな暖簾が特徴の屋台。陽気なおばちゃんと寡黙なお兄さんの2人組で営むお店です。雑誌やガイドブックに度々取り上げられるような有名店ではありませんが、その安さと美味しさ、人柄の良さで地元の方を中心に人気のある穴場店です。
特に人気のメニューは牛タンステーキ。この盛りの良さで900円は驚きです。また、塊のタンを大きめにカットし、そのまま網焼きにしてくれて、スライスした後も目の前でバーナーで炙ったりしてくれるので見ているだけでも楽しいのも魅力的です。もちろん、柔らかくて程よい塩味のタンは厚切りで美味しくて地元の方が虜になるのもうなづけます。
また、「博多屋台で一番美味しい」と称される餃子も必食すべき逸品。ひと口サイズのミニ餃子なのですが、カリカリとした薄皮の中にジューシーな肉汁がたっぷりと閉じ込められています。
また、柚子胡椒が入った少し珍しいタレに付けて食べるとさっぱりして違った味を楽しめます。6個入り1皿で400円とリーズナブルなのもありがたいポイント。食べている間にお店の人と仲良くなると、お店の人と一緒に暖簾の前で記念撮影をするのが鉄板。まみちゃんでは、思い出に残る屋台巡りができるかもしれません。
ふぐちゃん亭
日本初のふぐ料理屋台として2017年4月にオープンした、比較的新しい屋台です。店主さんは長浜魚市場で腕を磨いてきた経歴を持つふぐ職人。食品会社やカフェを経営した後、この店を開いたそうです。福岡が下関に次いで2番目に大きなふぐ市場であるため、屋台で勝負するならだれもやったことのないふぐで勝負しようと思い、この屋台を開いたそうです。
店で扱うのはとらふぐ、まふぐ、なしふぐ、しろさばふぐ、ひがんふぐ。あぶって、揚げて、煮込んでと、約20種類の多彩なふぐ料理を提供しています。その中でもふぐの天ぷらはぷりっぷりの身がサクフワの薄衣に包まれていてなんとも言えない絶品さ。
また、このふぐの天ぷらが乗っかったふぐ天うどんはふぐちゃん亭の看板メニュー。日高昆布を使用し、濃いめにとったお出汁が上品で、博多屋台はしご酒のシメの逸品として人気を博しています。
【長浜エリア】
「福岡市中央卸売鮮魚市場」からやや南が、長浜屋台ラーメンの発祥の地たる長浜エリアです。現在はもっぱら天神エリアと中洲エリアが屋台の中心地域となりましたが、このエリアこそが本来の屋台の形に近い地域と言えるのかもしれません。本場の屋台で味わう細麺と白濁とんこつスープのラーメンは絶品です。
長浜とん吉
正統派の長浜ラーメンをいただくことができます。紅ショウガの彩りと、今にも香りが伝わってきそうな、たっぷりのゴマが食欲をそそります。豚骨ラーメン特有のくさみが少なく、比較的あっさりと食べられるため、豚骨ラーメン初心者でも食べやすい人気メニューです。
博多屋台と合わせて観光におすすめ
博多屋台と合わせて観光におすすめの人気スポットには、天神駅から徒歩3分のところにある警固神社や「お櫛田さん」の愛称の櫛田神社、大濠公園駅からすぐの大濠公園などがあります。
警固神社(けごじんじゃ)
警固神社は天神駅から徒歩3分の位置にあり、博多屋台からも徒歩約15分ほどで着きます。
商都福岡の中心、天神。公園と連なる緑の中に樹齢300年余りの大楠に守られ、御鎮座390年余年のたたずまいがあります。
祭神は「神直日命(かんなおびのかみ)」・「大直日命(おおなびのかみ)」・「八十禍津日神(やそまがつひのかみ)」です。警固の地名は鴻臚館近くに置かれた大宰府の防衛施設「警固所」から由来したものです。
古くから厄除け厄払いに効果があると言われており、合格祈願や恋愛成就などの祈願でも親しまれている神社です。参拝の後は、境内にある足湯に浸かってみたり、隣接する警固公園でゆったりくつろぐことができます。
櫛田神社(くしだじんじゃ)
櫛田神社は中洲川端駅から徒歩8分の位置にあり、博多屋台からも徒歩約10分ほどで着きます。
博多の総鎮守として、「お櫛田さん」の愛称で広く市民から親しまれている神社です。博多祇園山笠が奉納されており、飾り山笠が一年中展示されています。祭神は正殿に大幡主命(櫛田宮)・左殿に天照皇大神(大神宮)・右殿に素戔鳴尊(祇園宮)の三神で拝殿には3つの鈴が並んでいます。
この櫛田神社は伊勢松坂の櫛田神社を勧進したものだと考えられ、天正15年(1587年)の豊臣秀吉が博多復興にあたり、現在の社殿の建立寄進がなされました。
毎年7月に行われる、博多祇園山笠は、博多の夏の風物詩です。地元の人々はもちろん、観光客も大勢訪れます。櫛田神社の飾り山笠は常設展示されていますが、毎年7月1日に作り替えられます。国重要無形民俗文化財です。
また、境内には、樹齢千年とも言われ、長寿延命のシンボルとされる御神木「櫛田の銀杏」が葉を繁らせています。
大濠公園
大濠公園は大濠公園駅からすぐの位置にあり、博多屋台からも電車を使って約30分ほどで着きます。
黒田長政が福岡城築城の際、当時博多湾の入江の一部だったこの地域(草ヶ江と呼ばれていた)を埋め、福岡城の外濠(大堀)として城の護りとしたのがその名の由来です。
その後、福岡県が造園を着工し、1929(昭和4)年に開園したのが現在の大濠公園です。日本でも有数の水景公園で、夏には花火大会の会場としても知られ、県民の憩いの場として広く親しまれています。
池の周辺約2キロメートルの周遊道、野鳥の森、児童遊園、能楽堂、日本庭園、および4つの橋で結ばれた中の島や浮見堂、ボートハウス等を配し休養、娯楽や体育の向上に利用されています。
2017年2月より中の島のライトアップを開始。ライティングは様々な色やパターンに数分ごとに変化し、季節やイベントに合わせたライトアップなど、年間を通して楽しめます。
住吉神社
遥か昔から氏子たちに親しまれてきた住吉神社。博多駅から歩いて約10分です。全国に約2,000社ある住吉神社の始源と考えられ、開運除災・航海安全・船舶守護の神として崇拝されてきました。
現在は、大阪・下関と共に「日本三大住吉」の一社に数えられています。本殿は国指定重要文化財となっています。恒例となっている「横綱奉納土俵入り」は、日本相撲協会の公式行事として毎年九州場所前に開催されます。
川端通商店街
およそ400mのアーケードに約130店舗が軒を連ねる商店街。川端中央商店街と上川端商店街の2つからなります。衣料品、飲食店、専門店などが毎日営業しています。5月の博多どんたく、7月の博多祇園山笠には、より一層盛り上がりを見せます。
「川端ぜんざい広場」では、かつて「日本一、甘いぜんざい」と言われた、名物の川端ぜんざいが味わえます。(週末限定)
おすすめ屋台3選
屋台まみちゃん
オリジナルメニューは約50種類と豊富に揃っています。なかでもオススメは「チャイニーズナポリ」。うどん麺に季節の野菜を入れ、ベースのケチャップに、数種類のスパイスを効かせたナポリタンです。天神駅から徒歩2分の立地も便利。“まみちゃん”の愛称で親しまれる女将さんの笑顔に包まれるアットホームな屋台です。
やまちゃん
天神・親富考の人気店「やまちゃん」の中洲店。牛たんの塩焼き、串焼きなどお酒のつまみにピッタリのメニューが並ぶ屋台。シメはもちろん、長浜豚骨ラーメン。じっくり時間をかけ、コクがあるのにさっぱりと臭みのない豚骨スープが自慢です。
小金ちゃん
焼きラーメンで有名な人気屋台。焼きラーメンを求めて県内外から訪れ、オープン前から行列ができるほどです。特に混み合う時間帯は、30分、40分待ちが当たり前。「めんたい玉子焼き」もおすすめです。
アクセス情報
中洲
- 地下鉄空港線「中洲川端駅」から約15分
天神
- 地下鉄空港線「天神駅」から約5分
長浜
- 地下鉄空港線「赤坂駅」から約5分
よくある質問Q&A
お手洗いはどうすればいいの?
たいていの場合近くに公衆トイレがあります。ですが、何度もトイレに行きたくなるほど長居をするのは禁物です。用を足したくなったら帰りどきだと思いましょう。
お得な利用の仕方は?
「博多屋台きっぷ」は1枚1,100円のチケットでドリンク一杯と一品出してくれます。協賛店や販売場所に関してはHPを確認しましょう。
博多屋台きっぷ
利用しやすい時間帯は?
21時以降は2軒目として屋台に立ち寄る人が増えるので、ビギナーさんは18〜21時がおすすめです。
雨の日も営業しているの?
雨の程度にもよりますが、大雨の場合営業していない場合があります。
刺身などの生ものはありますか?
衛星管理上の問題で屋台での生ものの提供は禁止されています。
基本情報
【駐車場】
無し
※近隣のコインパーキングを利用
【割引チケット情報】
[博多屋台きっぷ] http://npoidea.com/yataichiket/
【問い合わせ先】
公式HP無し
※参照:[福岡市HP] http://www.city.fukuoka.lg.jp/shisei/jigyou-torikumi/yatai/sesaku.html
Holidayユーザーによるおすすめプラン
あわせて読みたい観光コラム
[article:id:385]
エリアからおすすめプランを探す
福岡人気エリアから観光に関するおでかけプランを紹介します。自分に合った観光プランを見つけて素敵な休日を過ごしてください!