食品サンプルとは
食品サンプルとは、飲食店の店頭に置いてある「食品模型」のことで、「料理模型」や「食品レプリカ」と呼ばれることもあります。今では多くの飲食店に置かれていることから、ほとんどの人は1度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
食品サンプルの目的は、来店前のお客さんに商品を視覚的に説明することです。たとえ日本語メニューが読めない外国人でも、食品サンプルを見ることで、どんな料理がどのくらいの量で提供されるのかを簡単に理解できます。
食品サンプルは「本物の料理に忠実であること」が重視されるため、誰でも簡単に作れるというわけではありません。専門の職人がお店の料理を見たうえで、できるだけ本物に近づけるよう意識しながら作ります。
食品サンプルのクオリティは年々向上しており、昔はロウを使っていましたが、現在では樹脂を使って作ることがほとんど。樹脂を使うことで形状や色、盛り付けの再現度を高めるだけでなく、気温や湿度に左右されず長持ちする作品が完成します。
食品サンプルの歴史
食品サンプルが生まれたのは大正時代ですが、実際に事業化されたのは昭和に入ってからです。「いわさきグループ」の創業者である岩崎瀧三(いわさきたきぞう)によって事業化され、現在では多くの飲食店で利用されるようになりました。彼が初めて作った食品サンプルがオムライスで、当時は今ほどクオリティが高くなかったものの、本物と見違えるほどの完成度の高さだったと言われています。
そこから地道に改良を続け、百貨店の食堂の流行とともに食品サンプルは全国へ流通。1970年代頃には、今までの「ロウ」を使う手法から、「樹脂」へと変更し、完成度は格段に上がることとなりました。外食産業が盛んな日本にとって、飲食店の魅力を一瞬で伝えることができる食品サンプルは今や欠かせない存在だと言えるでしょう。
食品サンプル作り体験!
今回体験したお店
今回は「元祖食品サンプル屋 合羽橋店(別館)」で体験してきました!食品サンプル作りの元祖「いわさき屋」の流れを汲む食品サンプル専門店です。
元祖食品サンプル屋は合羽橋店の他に東京スカイツリータウン・ソラマチ店、横浜赤レンガ倉庫店の3店舗を展開しています。ネットショップも展開しているので、気になった商品を自宅から購入することもできます。
食品サンプル作り体験は合羽橋店と東京スカイツリータウン・ソラマチ店にて実施。それぞれ作れるものが異なるので、予約する際には作る内容を確認しましょう。
実際に体験してみた!
まず始めに、作り方の動画を視聴します。動画を見たら、早速体験スタート!今回は天ぷらとレタスの食品サンプル作り体験を予約したので、天ぷらにする具材を選びました。たくさんある具材の中から、エビとピーマンをチョイス。
期間限定でしか作れない食品サンプルなどもあるようですので、季節が変わるごとに体験してみても楽しそうです。
具材を決めたらいよいよ作り始めます。講師の方に補助していただいてロウをお湯の中へ流していきます。お湯の温度は一般的なお風呂の温度なので熱くはありません。食材の色や形に合わせてロウの量や入れ方を調整して、本物に近づけていきます。ロウはお湯から取り出した後、水につけて形を固定します。
ロウを使ったこちらのやり方は、30年以上前の昔ながらのスタイル。今は型取りをして、樹脂で作る方法が一般的となっています。
ちなみにこのロウは火をつけても燃えないので、ご注意ください。
完成した食品サンプルがこちら。うまい具合にエビに衣がついていて、本物のおそばなどの上にのっていたら、気づかないで食べてしまう気がしますね。レタスはカットするかどうかを選ぶことができ、断面を見せたいという方はカットをお願いしましょう。
簡単かつ短時間で行うことができる体験なので、次の予定まで少し時間があるという方や子供連れの方にはぴったりの体験だと感じました!
よくある質問Q&A
事前予約は必要ですか?
基本的には事前予約が必要です。ただし、お店によっては予約無しで受け入れてくれることもあるので、まずは電話で確認してみることをおすすめします。食品サンプル作り体験は複数人まとめて行うことが多いので、キャンセルや遅刻などの場合は早めに連絡するようにしましょう。
どんな服装がよいですか?
特に服装に指定はありません。ただし作業中はお湯をよく使うことになるので、腕まくりしやすい服装がおすすめです。時計やアクセサリーはつけていても大丈夫ですが、邪魔になる可能性もあるので、外してバッグなどにしまっておくと良いでしょう。
体験時間はどのくらいですか?
製作するメニューによって体験時間は変わります。たとえば野菜や果物などの簡単な食材だけであれば、1つ作り終わるのに15分程度で済むことも。一方、カレーライスや丼料理など少し複雑な料理では、製作時間に1時間以上かかることもあります。体験時間については製作所のサイトに掲載されていることが多いので、あらかじめ確認しておきましょう。
どんなメニューを作れますか?
それぞれの製作所によってメニューは異なりますが、簡単なものでいえばレタスや天ぷらなど、少し複雑なものでいえばラーメンやパフェ、定食セットなどがあります。多くの体験コースでは初心者でも作れるように準備されているので、難易度についてはあまり心配する必要はないでしょう。