江戸切子とは
江戸切子とは、ガラスの表面に切り込みを入れて紋様を作り出す技法のこと。江戸切子が日本で生まれたのは江戸時代の後期で、当時ビードロ屋を営んでいた加賀屋久兵衛が、金剛砂（こんごうしゃ）という鉱物でガラスの表面に細工をしたのが始まりです。
その後、明治時代になるとヨーロッパのガラス工芸技法が日本に導入され、街中では美しい切子細工の食器などが販売されるようになりました。さらに大正時代から昭和時代にかけて江戸切子の技術は急速に発展し、今では国の伝統工芸品として認定されています。
江戸切子が長年愛される理由といえば、ガラスの上に刻まれた細やかな紋様で、その緻密さは職人だからこそ成せる技だと言えるでしょう。江戸時代の江戸切子は無色透明のものだけでしたが、今では色鮮やかでお洒落な作品が多く生み出されています。切り込みの溝を使って光を屈折させたり、曇りガラスが光を薄めたりなど、江戸切子の魅力は光の当たる場所でよくわかるのが特徴です。
切り込みの手法は、「麻の葉文」や「菊繋ぎ文」、「笹の葉文」など様々で、それぞれの作品で違った趣があります。昔は江戸切子といえば食器として使われることがほとんどでしたが、今ではアクセサリーやインテリアなど幅広い用途で使われるようになりました。大切な人へのプレゼントはもちろん、自分用に購入する人も少なくないので、お気に入りの作品をぜひ選んでみてください。
江戸切子作りを体験！
今回体験したお店
今回は「グラスファクトリー創吉」で切り子作りを体験してきました。「グラスファクトリー創吉」は、グラス＆バー用品の専門店。東京メトロ銀座線・浅草駅4番出口から徒歩1分という好アクセス。
店内には数多くの江戸切子やガラス製品が陳列・販売されていました。体験したあとに店舗でじっくり吟味してグラスを購入して帰るのもおすすめです。
実際に体験してみた！
まず始めに自分の好きなグラスの形やデザインを選びます。追加でお金がかかりますが、色の入ったグラスを選ぶこともできます。種類が多く、たくさん悩んだ末、今回は透明なロックグラスを選びました。
グラスを選ぶと「割り出し」という作業に移ります。模様を油性ペンでグラスに描いていきます。自分の作りたい模様を伝えると型を渡してくれます。その型に沿って描くこともできますし、フリーハンドで描いても大丈夫です。
割り出しを終えると、「粗摺り（あらずり）」という作業に移ります。高速に回転するダイヤモンドのホイールに割り出し線を合わせて前後にグラスを動かして削っていきます。この時の力の入れ具合で削りの深さを調節します。手前側にあるスポンジに触れてしまうと水がはねてしまうので触らないように気をつけましょう。
底の模様を削り終えた時の写真です。することは単純ですが、なかなかまっすぐに削ることができなかったり、太さの調整が難しかったです。模様は主に縦と横の線で構成されています。ななめの線は技術が求められるため、初めて経験する方は挑戦を控えるのが無難です。
その後、側面も同じように割り出し、粗摺りの作業を行い、講師の方に磨いてもらうと完成です！完成後は照明を使って模様を浮かびだしながら写真を撮影することができます。
体験の所要時間は約90分程度。1人でも気軽に参加することができますよ。
よくある質問Q＆A
事前予約は必要ですか？
基本的には事前予約が必要ですが、工房によっては枠に空きがある場合は当日でも受け入れてくれることがあります。そのためまずは電話で確認してみるようにしましょう。
注意点はありますか？
江戸切子作り体験は特に危険な作業を伴わないため、改めて注意することはありません。ただ、髪が長い場合は作業の邪魔になることがあるので、束ねるためのゴムを持参するようお願いしている工房もあります。
また江戸切子作り体験に限ったことではないですが、時間に遅れたりキャンセルしたりする場合は一報を入れること、体験時間の5分前には来館しておくことなど、一般的な配慮を忘れないようにしましょう。
体験時間はどのくらいですか？
体験時間はそれぞれの工房によって異なりますが、1〜2時間程度に設定しているところが多いです。削り作業だけでなく磨き作業まで体験できる工房では、体験時間を3時間程度に設定しているところもあります。製造工程の最初から最後まで体験してみたい方は、本格的な体験コースに参加してみると良いでしょう。
