どぜう鍋とは
「どぜう(どじょう)鍋」とは、江戸時代に生まれた東京の郷土料理のこと。鍋の中にギュウギュウに敷き詰められたどじょうや、その上に大盛りに乗せられたネギなど、一見すると鍋料理とは思えないようなインパクトの強い見た目をしています。
どじょうといえば臭味が強いイメージがありますが、どぜう鍋の場合は大盛りのネギと濃厚な出汁がどじょう本来の臭みを抜いてくれるため、泥臭さを感じずに味わえるのが魅力です。調味料をつけずそのままでも食べられますが、より強い風味を味わいたい方はお好みで山椒や一味をかけてみるのも良いでしょう。
また、夏の定番グルメといえばウナギが有名ですが、実はどじょうも古くから夏の風物詩として知られる食材の1つです。ウナギと比べて値段が安いことから、どぜう鍋はリーズナブルに夏らしさを感じられる料理として親しまれてきました。
さらに、どじょうにはミネラルやカルシウム、ビタミンなど豊富な栄養が含まれているため、夏バテ対策に効果があるとも言われています。そのため体調が優れない方や少し疲れ気味の方は、身体の調子を整えるためにどぜう鍋を味わってみるのもおすすめです。
どぜう鍋の3つの種類
どぜう鍋には3つの種類があり、それぞれで調理方法が異なります。お店によっては提供していないタイプのものもあるので、気になる方は事前にお店のメニューを確認しておくようにしましょう。
丸鍋
丸鍋の「丸」は「丸ごと」を意味しており、どじょうが丸ごと鍋に投入されていることを指しています。お店によって細かな違いはありますが、丸鍋は生きたどじょうを鍋にそのまま入れ、骨が柔らかくなるまで煮るのが特徴です。どぜう鍋のなかでも最もスタンダードな調理方法となるため、初めてどぜう鍋を食べる方はまずは丸鍋を注文するのが良いでしょう。
ぬき鍋
ぬき鍋とは「骨ぬき鍋」とも呼ばれ、丸鍋と違い事前にどじょうの骨が抜かれているのが特徴です。鍋の中には、どじょうと一緒にゴボウが煮込まれています。事前にどじょうの頭が切り落とされ背骨が開かれており、丸鍋よりも見た目のインパクトが小さいため、小さなお子様でも安心して味わえるでしょう。
柳川鍋
柳川鍋は、鍋でどじょうとゴボウを煮たものを最後に卵でとじる料理です。ふんわりとした卵とじが、どぜう鍋の風味をよりまろやかにしてくれます。どじょうの生臭さが気になる方や、すでに丸鍋やぬき鍋を食べたことがある方は、優しい味わいの柳川鍋を注文してみてはいかがでしょうか。
実際に食べてみた!
今回行ったお店は「駒形どぜう本店」
浅草駅から歩いて約5分のところにあります。1801年創業の老舗で、代表的な「どぜうなべ」を求め多くの人で賑わいます。店内には、昔ながらの風情がある御座敷とテーブル席が用意されています。お店の大人気メニューは、醤油と味噌のシンプルな味付けでどじょうを丸ごと煮た「丸鍋」ですが、「柳川鍋」もいただくことができます。
コメント
今回はお店の一押し、丸鍋の「どぜうなべ」を注文しました。円形の平鍋一面に敷き詰められたどじょうが、グツグツといい音をたてて登場。たっぷりとネギを乗せ、お好みで薬味をかけたら食べ頃です。甘めのタレがよく染み込んでいて、ホロホロの身がとても美味しかったです。臭みもなく骨も気にならずに食べられるので、お子様にもおすすめです。ぜひ東京の下町名物でもある「どぜうなべ」を堪能してみてください。