
京都妙心寺~小豆粥を味わい、障壁画を見る~
京都京都妙心寺~小豆粥を味わい、障壁画を見る~
京都の禅寺、花園にある臨済宗妙心寺派大本山、妙心寺へ。 重厚な伽藍が立ち並ぶ、歴史ある大寺院です。 まわりには白壁をめぐらせた46もの塔頭寺院が並んでいます。 公開されている寺院はわずかなので、観光地としてはちょっと地味な印象かもしれません。 でもそんなお寺の中に、驚くべき障壁画が秘蔵されているのです…! ではその”素晴らしい障壁画”に出会うには…?時々特別公開のチャンスがあります。 ”2019年京の冬の旅”キャンペーンでは、普段公開されていない妙心寺塔頭寺院が3つも公開されました。 公開されたのは、狩野山楽&山雪の絢爛豪華な障壁画で知られる”天球院”、春日局の菩提寺で海北友雪のダイナミックな龍の障壁画で知られる”麟祥院”、さまざまな絵師の作品を見ることのできる”龍泉菴”です。 特別公開と一緒に、普段から公開されている妙心寺本坊、退蔵院、桂春院も拝観しました。 それぞれのお寺で、素晴らしい絵画作品に出会うことができて、心に残る旅となりました。 また1月31日まで東林院で開催された”小豆粥で初春を祝う会”もご紹介します。
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妙心寺の塔頭、東林院は普段公開されているお寺ではありません。 非公開のお寺でありながら、オススメする理由は…? このお寺では、禅寺ならではの精進料理が味わえること…! 「小豆粥で初春を祝う会」「沙羅の花を愛でる会」など数々のイベントの時、お寺を拝観して精進料理をいただくことができます。 また予約制で精進料理作り体験もあり、土日祝日は精進ランチもあり、泊まれるお寺としても知られています。 今回、毎年1月15日から31日まで開催される「小豆粥で初春を祝う会」に参加しました。まずその様子を…。
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広い境内、迷子になりそう…!
妙心寺の境内は広い。境内に入ってから東林院にたどり着くまでに、時間がかかりました。迷子になりそうでした。11時から受付開始です。受付を済ませると本堂に案内されました。
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本堂で梅茶と祝い菓子を
お庭を眺めていると、梅茶と祝い菓子が運ばれてきました。「松の雪」と名付けられた上生菓子、干し柿、昆布、みかん、くわいチップスなど、「一年間健康で過ごせますように」の願いを込めた縁起物が並んでいます。
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さば(生飯・施食)体験
食事の前に「さば(生飯・施食)」の説明がありました。禅寺では自分の食事を少量取り出して、小鳥や小動物のために庭に供える習わしがあるそうです。小豆粥をちょっとだけ、お供え用に差し出しました。
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小豆粥と精進料理
小豆粥は焼いたお餅が入っているお粥。お膳には美しく盛り付けられた精進料理も並んでいました。昆布を揚げたもの、大根と厚揚げの煮物、つやつやの黒豆もシンプルながら、おいしかったです。
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水琴窟の音色を
千両の庭を眺めながらの食事の後は、お寺の拝観です。建物を取り囲むように枯山水の庭園が広がり、お庭の片隅には水琴窟も…。ちろちろ微かな、そして心地よい水音が聞こえてきました。
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殿様の”床の間付きのトイレ”
東林院は秀吉&家康に仕えた山名豊国公が開基です。豊国公の使った”床の間付きのトイレ”がありました。現在できるのは覗き見だけです。でもトイレを覗き見するのは女子のすることではないかな~。
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妙心寺本坊は通年公開です。1342年、花園上皇が離宮を下賜して禅寺となりました。建物は応仁の乱で焼失。その後、江戸初期に再建されています。 拝観を申し込むと説明付きで「法堂」「明智風呂」を見て回ることができました。大方丈の障壁画とお庭は自由拝観です。 その後、案内されて3つの見どころ、「法堂の龍」「黄鐘調の鐘」「浴室」の拝観しました。 「黄鐘調の鐘」の初代は現在、引退して法堂の片隅に展示されています。NHKの「ゆく年くる年」でも紹介された音色はCDに録音されています。ここで聞かせてもらえました。
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圧倒されます…!天井の龍
天井を見上げると巨大な龍の絵がダイナミックに描かれています。狩野派のスーパースター、狩野探幽の筆によるものです。法堂のいろいろな場所から眺めると、下り龍になったり昇り龍になったり…。
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大方丈にも探幽の絵が…!
実は大方丈にも探幽の絵があるのですが、惜しいことにかなり傷んでいます。建物の前には、松と白砂、苔だけのシンプルな庭が広がっています。いかにも禅寺らしい、静寂を感じるスポットです。
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光秀は入っていなかった…!「明智風呂」
妙心寺の浴室は明智光秀の叔父、蜜宗和尚が光秀の菩提を弔うために創建したもので、「明智風呂」と呼ばれています。なのでこの浴室、光秀さんは入っていません。サウナ風呂のようなものでした。
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天球院は非公開寺院ですが、時々特別公開されることがあります。 今回、「京の冬の旅」の特別公開で拝観しました。 江戸初期、姫路城主である池田輝政の妹、天久院が生前に自分の菩提寺として創建したお寺です。 ”驚くべき障壁画の傑作”があるのはこのお寺です。 江戸時代初期の作品、狩野山楽&山雪の筆による障壁画に注目を…!美術史上に輝く、絢爛豪華な素晴らしい作品です。 …といっても、ホンモノは博物館に預けられ、お寺にあるものはほとんどが複製です。ホンモノか複製かは、専門家やマニアさんしか見分けられないほどよくできたものだそうです。もちろん、私も違いがワカリマセンでした。
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キャンペーンポスターの障壁画
方丈を埋め尽くす金色に輝く障壁画…!狩野山楽、山雪の傑作です。トラの絵にヒョウが混ざっています。当時の絵師はトラやヒョウの実物を見たことがないので、ヒョウを「メスのトラ」と勘違いしたのではないかと説明がありました。
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お庭を眺めてクールダウン
障壁画に圧倒された後、ふとお庭に目を向けると、シンプルなお庭が広がっていました。お寺を創建した天久院さんは泥棒や化け猫を退治した伝説の残る、勇ましい女性だったことを思い出しました。
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天久院さんの好みかな…?
禅寺の方丈にきらびやかな障壁画。鳥の図や草花の図など、絢爛豪華な障壁画に圧倒されました。天久院さんの好みだったのでしょうか。時代を反映しているのでしょうか…。
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地中から球を掘り出した…!
このお寺を建築している時、地中を掘っていたら球が現れたとか…。それでお寺の名前を、天久院さんの「久」を「球」に変えて「天球院」にしたと伝えられています。
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麟祥院は徳川三代将軍家光が、乳母である春日局の冥福を祈るために建立したお寺として知られています。 非公開ですが、時々特別公開されることがあります。 今回、「京の冬の旅」の特別公開で拝観しました。 こちらにも”驚くべき障壁画”があります。 江戸初期に描かれた巨大な龍の水墨画は必見です。 春日局が徳川家光から拝領した椿の屏風や、後水尾天皇から下賜された仙洞御所の建物をリメイクした御霊屋も公開されました。 御霊屋の中には春日局の像が祀られていました。 春日局というと”大奥で権力を振るった怖いオバサン”のイメージがありますが、やさしく上品な笑顔が印象に残りました。
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龍のカップル(?)の障壁画
方丈は海北友雪の「雲龍図」などの水墨画の襖絵があります。オスとメスの巨大な龍が描かれていて、圧倒されます。どちらがオスでどちらがメスか…?詳しい説明がありました。 春日局は若いころ、絵師、海北友松の世話になったそうです。後に恩返しとして、友松の息子、友雪を将軍家の御用絵師に推挙したと伝えられています。
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春日局の御霊屋
仙洞御所の釣殿を御霊屋にあらためたもの。建物細部の装飾がこまやかです。天蓋はギヤマンビーズ製の繊細なもの。当時はとてもオシャレなもので、春日局に相応しい装飾だったようですね。
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龍泉菴も非公開ですが、時々特別公開されることがあります。今回、「京の冬の旅」の特別公開で拝観しました。 このお寺では、桃山時代から現代まで、さまざまな絵師の手がけた絵を見ることができました。 方丈の障壁画は、100面あり、日本の自然を題材にした由里本出氏の作品です。平成11年、開祖500年遠忌を記念して制作されたそうです。特別公開時に公開されるほとんどのお寺は建物内の撮影禁止でしたが、この障壁画だけOKでした。 その他、桃山時代に活躍した絵師、長谷川等伯の猿の絵も…。残念ながら複製でした。 ここにも江戸時代の狩野派スーパースター、狩野探幽の墨絵がありました。ちなみに探幽の絵は撮影禁止です。
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現代の障壁画も…!
最近、京都のお寺では新しい作品がどんどん登場しています。桃山、江戸時代の障壁画とは随分違った雰囲気です。現代の作品に出会うのは、私にとって楽しみの一つになりました。
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方丈の建物は塔頭寺院中、最大
龍泉菴の建物は江戸時代前期に建てられた随分規模の大きいものです。 方丈の建物も46ある塔頭寺院の中で最大のものだそうです。建物を美しいお庭が取り囲んでいます。
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退蔵院は通年公開です。 見どころは方丈庭園「元信の庭」と中根金作氏作庭の「余香苑」です。ここはしだれ桜の咲くころが特におすすめです。 このお寺には如拙筆の「瓢鮎図」があります。 この作品は水墨画史上に残る傑作…! 室町時代の代表的な作品として教科書でもおなじみの絵です。 …ですが、お寺に展示されているのは複製でした。
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余香苑、冬景色
造園家、中根金作氏によって設計され、昭和40年に完成したお庭です。瓢鮎図にちなんで「ひょうたん池」もあります。ではこの池に鯰がいるかな…?
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陰陽の庭
方丈を囲む「元信の庭」の他にも、枯山水の庭園がありました。陰陽の庭と呼ばれ、砂の色を変えています。物事や人の心の二面性を伝えているとか…。
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桂春院は通年公開です。江戸時代に建てられ、江戸時代に作られた庭園と茶室「既白庵」がよく知られています。(茶室は非公開) 方丈には狩野山雪の襖絵があります。山雪の傑作は、妙心寺の天球院にありましたが、このお寺にも「松と三日月」のきらびやかな襖絵があります。ほのかな照明の中に浮かび上がる金碧の松の図は、心に残るものがありました。
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清浄の庭
桂春院のお庭は、方丈の建物を囲むようにしてあり、「真如の庭」「清浄の庭」「思惟の庭」と名付けられています。「清浄の庭」は小さなスペースながら、滝の響きを感じさせる枯山水庭園でした。
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侘びの庭
書院の前の庭は「侘びの庭」と呼ばれています。書院の背後には茶室、既白庵もあります。昔、修行第一だった妙心寺は、茶道をたしなむことを禁じていました。そのため、樹木で遮って茶室を目立たないようにしています。
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大雄院は非公開寺院ですが、最近では春と秋の観光シーズンに公開され、ガイド付きで柴田是真の襖絵を見ることができます。 江戸時代末期から明治時代に活躍した絵師、柴田是真ので若いころの絵、72面が公開されます。 またこのお寺の御朱印が人気です。ただしいつでもOKではなく、毎月授与日が定められています。確認してからお出かけ下さい。
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特別公開に注目を…!
最近、春と秋の観光シーズンに公開されているこのお寺に注目を…!柴田是真の襖絵の他、新しく描かれた襖絵、そしてお庭と見どころがいっぱい。新緑の季節、お庭は輝くように美しいです。
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大雄院襖絵プロジェクト
柴田是真の描いた明治宮殿、花の丸図(戦火で焼失)を襖絵として復活させるプロジェクトが登場しています。残された是真の下絵をもとに、現代の宮絵師さんの手によって新しい襖絵が生まれています。
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期間限定の御朱印が人気です
非公開の時期なのに人の出入りが多いお寺だなぁと思ったら、門のところに「本日御朱印授与日です。」の張り紙がありました。絵入りでカワイイです。こんな素敵なご朱印、マニアはきっと喜びますね…!
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春光院は非公開寺院ですが、時々予約制の座禅体験などで公開されています。寺宝の鐘で知られています。 この鐘は元南蛮寺にあったもの。イエスの略字と十字架模様がある珍しいものです。ホンモノを見ることはできませんが、玄関の案内プレートで紹介されています。 ちょっと面白いのは、このお寺は外国人向けの座禅体験をやっていること。入り口には英語での案内がありました。 また、”同性婚の結婚式”ができるお寺として話題になっています。 このお寺にも狩野派の障壁画があります。2019年8月4日まで夜間の特別公開がありました。
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南蛮寺の鐘
玄関の案内プレートで南蛮寺の鐘が紹介されていました。裏に1577の銘があります。これは南蛮寺ができた翌年だそうです。特別公開される時にホンモノを見ることができるかも…!
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妙心寺の花園会館の一階にある和風レストランです。 今回、「京の冬の旅」キャンペーンで、特別公開寺院を回るスタンプラリーがありました。 特別公開スポットではスタンプを押してもらえ、3つスタンプを集めると、接待場所でお抹茶とお菓子、珈琲などで”ちょっと一服”のサービスがあります。 その”ちょっと一服”の接待場所の一つが、”花ごころ”でした。 スタンプが3つ集まったので、お抹茶とお菓子をいただきました。
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「京の冬の旅」スタンプラリー
いつも3つぐらいお寺を拝観してから、「あっ、スタンプラリーがあった…!」と思い出しては後悔…。今回は忘れず一つ目のお寺からスタンプをもらいました。接待場所も事前リサーチ…!
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