
日本最強の“アート・ディストリクト”上野の山で芸術に没頭!
東京日本最強の“アート・ディストリクト”上野の山で芸術に没頭!
上野と聞けばアメ横とかバイク街とか、やたらゴミゴミした街並みを思い起こしますが。 でも目線を少し上に向ければ、そこには緑あふれる広大な森が広がります。 ゴミゴミした商店街から一変、ここ上野恩賜公園は東京最強の“カルチャーエリア”なのです。 ゴールデンウィークは軒を連ねる博物館や美術館に日参して“芸術漬け”になってみませんか?
西郷隆盛像でおなじみの上野恩賜公園。 明治維新まで徳川家の菩提寺、寛永寺の境内でした。 幕末には徳川家に忠義を誓う彰義隊が立てこもり、新政府軍と激戦を繰り広げた場所でもあります。 戦闘で荒廃した上野の山に明治政府は病院を建てるつもりでした。 しかしオランダ人医師ボードワンが公園にすることを提案。 それが受け入れられ、上野恩賜公園として整備されました。
西郷像の直下にある真新しいビルです。 店名の3153は、もちろん「さいごーさん」に由来。 テナントは1階のコンビニを除き、地下2階から地上3階まですべて飲食店です。 ここには昔「上野百貨店」という古~いビルがありました。 中でも2階の巨大大衆食堂「聚楽台」は昭和のテイストがプンプンで堪らなく好きな空間だったのですが。 老朽化のため残念ながら「3153」に建て替えられたのです。
L'UENO
地下にビアホールの銀座ライオン、2階に焼肉の叙々苑、3階に洋食の上野精養軒と、各フロアに老舗が入居しています。 そんな中で異彩を放っているのが1階のフードコート「L'UENO」。 ロッテリアがプロデュースする店で、ハンバーガーのほかパスタ、うどん、パンなどの店があります。
「UENO3153」の右隣にある真新しいビル。 地下1階から3階まで、すべてテナントは飲食系です。 かつてここには「上野百貨店」に輪をかけて古びた「上野松竹デパート」が立ってました。 名の通り松竹の映画館が入ったビルでしたが、デパートと呼べるほどの売り場もなく、むしろ囲碁センターのほうが幅を利かせていたほど。 その松竹デパートも老朽化で残念ながら取り壊され、跡を継いだのが「さくらテラス」なのです。
フジサンケイグループ3大「…の森美術館」のひとつ。 ちなみに他の2つは「箱根彫刻の森美術館」と「美ヶ原高原美術館」。 ただし上野の森美術館を運営しているのはフジサンケイグループではなく、公益財団法人日本美術協会です。 日本美術協会の前身は1879(明治12)年に設立された美術団体「龍池会」。 1883(明治16)年に有栖川宮が総裁に就任して以来、皇室との関係が深く、現在は常陸宮が総裁に就いています。
常設展のない珍しい美術館
前身は日本美術協会の美術展示館。 1972(昭和47)年に設備を一新し、上野の森美術館としてリニューアルオープンしました。 こうした歴史的経緯から常設展示を行わず企画展が中心です。
太田道灌の江戸城築城500年を記念し、1961(昭和36)年に開館したクラシック音楽の殿堂。 大ホールと小ホールがあり、大ホールではオーケストラをはじめオペラやバレエなどのコンサートが。 小ホールではソリストや室内楽のコンサートが主に開催されています。
東京は世界一のクラシック音楽都市!?
ここが出来るまで、東京にクラシック音楽専門のコンサートホールはありませんでした。 それが今やサントリーホールやオーチャードホール、新国立劇場/東京オペラシティや東京芸術劇場などが林立。 大規模クラシック音楽専用ホールの密集度合は、パリやニューヨークを凌駕しているそうですよ。
数多ある国立美術館の中で唯一、西洋美術全般を対象とした美術館。 印象派の絵画やロダンの彫刻を中心とした「松方コレクション」がフランス政府から寄贈返還されたのを機に、1959(昭和34)年に誕生しました。 ル・コルビュジエ設計による本館(1959年)と、前川國男設計による新館(1979年)・企画展示館(1994年)の3館から構成されています。 常設展は「松方コレクション」を中心としたフランス美術コレクションをメインに、本館と新館で通年開催。 企画展示館では欧米の美術館などから借用した作品を中心とした特別展が年1回、新聞社などとの共催展を年2回程度開催しています。
ル・コルビュジエ設計の本館は世界文化遺産の候補
本館はル・コルビュジエが日本で設計した唯一の建造物。 彼の建築作品は世界各地に約70件ほど現存しているのですが。 それらの中から本館を含めた代表的な作品をフランス政府が一括して世界遺産に推薦しました。 もし世界遺産に認定されれば東京では初となります。
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“かはく”の愛称でもおなじみの国立科学博物館。 1877(明治10)年創立という歴史を持つ、国立で唯一の総合科学博物館。 そのコレクションは400万点を超えるそうな。 ここ上野本館には「日本列島の自然と私たち」がテーマの日本館と、「地球生命史と人類」がテーマの地球館があります。
日本館は南翼と北翼それぞれ3フロアずつ分かれてます
日本館は南翼と北翼それぞれ3フロアずつ分かれてます。 なにぶん展示内容が膨大なので見学に時間がかかります。 そこで、かはく自身がオススメしているのは、館内をコンパクトに見て回れる次の60分コースです。 南翼3階「日本列島の素顔」 ▽ 北翼3階「日本列島の生い立ち」 ▽ 南翼2階「生き物たちの日本列島」 ▽ 北翼2階「日本人と自然」 ▽ 南翼1階「自然をみる技」
地球館は地下3階から地上3階まで6フロアで構成されてます
地球館では次の内容で常設展を開催しています。 地下3階「宇宙・物質・法則」 地下2階「地球環境の変動と生物の進化」 地下1階「地球環境の変動と生物の進化」 地上1階「地球の多様な生き物たち」 地上2階「科学と技術の歩み」 地上3階「大地を駆ける生命/たんけん広場ー発見の森」 現在、大規模改装中なので閲覧が一部または全面的に制限されています。
“とーはく”の愛称でもおなじみの東京国立博物館。 日本はおろか世界でも屈指の規模とコレクションを誇る国立唯一の総合博物館です。 本館/平成館/東洋館/法隆寺宝物館/表慶館/黒田記念館の6つの展示館と、付帯する諸施設から構成されます。 すべてを1日で見て回るのは、まず不可能なボリュームですよ。
本館
現在の本館は1938(昭和13)年、昭和天皇の即位を記念して建てられた2代目。 初代はジョサイア・コンドルの設計で、1882(明治15)年に開館。 でも1923(大正12)年の関東大震災で被災、再建されたものです。 2001(平成13)年、重要文化財に指定された現本館では主に日本の美術、工芸、歴史資料などが展示されてます。
平成館
1999(平成11)年に皇太子殿下ご成婚を記念して開館。 1階は考古展示室、2階は特別展の専用展示室になってます。 なお、考古展示室は工事のため残念ながら閉室中です。
東洋館
谷口吉郎の設計で1968(昭和43)年に開館、2013(平成25)年に新装オープンしました。 中国、朝鮮半島、東南アジア、西域、インド、エジプトなど、主に東洋の美術品や工芸品、考古遺物を展示。 また、別棟にはホテルオークラが運営するレストラン「ゆりの木」が入店してるので、見学の途中お腹が空いても安心です!
法隆寺宝物館
1964(昭和39)年、法隆寺の献納宝物を保存・展示する建物として開館。 しかし作品保存上の制約が大きく展示が著しく制限されていたので、1999(平成11)年に現在の新宝物館が開館しました。 ここにも1階にホテルオークラの運営するレストラン「ガーデンテラス」があります。 なお、今年5月20日から来年3月14日まで長期休館に入るので、見るなら今のうちですよ!
表慶館
1909(明治42)年、当時の皇太子殿下…後の大正天皇のご成婚を記念して建てられた、日本初の本格的な美術館。 1978(昭和53)年、明治末期の洋風建築を代表する建物として重要文化財に指定されました。 ここでは主に特別展や企画展が開催されています。
黒田記念館
明治〜大正期の洋画家・黒田清輝の遺産と作品が国に寄贈されたことを契機に建てられた美術館。 最初は1931(昭和3)年、帝国美術院付属美術研究所として開所したそうです。 遺族から寄贈された遺作の油彩画約130点、デッサン約170点、写生帖などを所蔵・展示しています。 また、1階には上島珈琲店が入居しているので、喫茶・軽食がとれます。
前身の東京美術学校付属図書館がルーツ。 戦後に東京音楽学校と統合して東京芸術大学となった後。 1970(昭和45)年に芸術資料部門が独立して芸術資料館に。 増え続ける所蔵品と老朽化する施設を前に1998(平成10)年、現在の大学美術館に生まれ変わりました。 教育と制作が並存する芸術大学の美術館という特質もあって、とても実験的な企画展示が行われています。
1890(明治23)年に創建された、日本最古の木造洋式音楽ホールです。 1984(昭和59)年、さすがに老朽化のため解体され、芸大の手を離れて台東区の管理下へ。 1987(昭和62)年、建物は上野公園内の現在地に移築され、一般に公開。 翌年、国の重要文化財に指定されました。 なお現在は保存修理工事のため休館中で2018(平成30)年度にリニューアルオープンの予定。 今のところ、柵の外側から建物を眺める他なさそうです。
1926(大正15)年に日本初の公立美術館として誕生しました。 ここでは秋に院展(日本美術院)、二科展(二科会)、文展(文部省美術展覧会)が開催されていました。 これが「芸術の秋」の由来になったそうです。 1960年代、施設の老朽化と狭隘化に伴い現在の新館に建て替えられます。 1995(平成7)年に開館した東京都現代美術館に現代美術のコレクションが移管。 2007(平成19)年には六本木に国立新美術館が開館し、日展や二科展などが会場を移します。 現在、報道機関との企画共催による展覧会が中心になってます。
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最後に紹介するのは日本最古の動物園、上野動物園です。 そのルーツは1882(明治15)年、農商務省が上野公園に開設した博物館の付属施設でした。 1886(明治19)年に宮内省へ管轄が移り、外国王室から献上された動物が展示されるように。 1924(大正13)年には皇太子殿下(後の昭和天皇)ご成婚を記念して東京市に下賜されました。 なので正式名称は「恩賜上野動物園」といいます。 もちろん名物はジャイアントパンダですが、1957(昭和32)年に開業した日本初のモノレールも見逃せません。