
“キング・オブ・深夜バス”で福岡へ
福岡“キング・オブ・深夜バス”で福岡へ
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の舞台として注目を集めている福岡。 彼の地と東京の間を14時間かけて走破する夜行高速バスがあります。 その名は“キング・オブ・深夜バス”はかた号。 国内最長クラスの運行距離を誇るこのバスに乗りたくて、6月末に福岡ヘ行きました。 利用したのが平日だったので幸いにも閑散料金で利用できましたが、繁忙料金になると一気に値が上がります。 しかし、あくまでも“バス旅”を楽しむことが目的なら納得できる料金かと思えます。 LCCが成田と福岡を5000円で結ぶ今、決してコスパの高い交通機関とはいえないのですが。 にもかかわらず利用者が絶えないのは、単なる交通機関ではないからでしょう。 暗闇の中、長距離を走り続ける“ロマン”を乗客は買っているのかも知れません。
-
まずは大河ドラマ「軍師官兵衛」で盛り上がっている?はずの福岡城跡へ。 しかし福岡城は息子の長政(大河だと松坂桃李ですね)が築城したので、あまり官兵衛は関係ありませんが。 「福岡」という名は黒田家発祥の地播磨(兵庫県南部一帯)にあった縁起のいい地名を、引用して命名したのが由来。 なので昔からある古い港町は「博多」、城下町は「福岡」と、もとは那珂川を境にした別々の町でした。 でも明治維新後に双方が合併して「福岡市」に。 市名決定までには相当な紆余曲折があったそう。 議会で投票を行った結果は同票で、福岡出身の議長の裁定で「福岡市」に決まったそうです。
-
平和台野球場記念モニュメント
地下鉄で天神駅から隣の赤坂駅で下車すると、福岡高裁の前に出ます。 そこに「平和台野球場記念モニュメント」なる記念碑が立っています。 この地に1997年まで存在した平和台球場の証です。 モニュメントの横にある上之橋御門を通って城跡へ向かいます。 上之橋御門は福岡城三の丸につながる公式の御門で、江戸に近いから“上”の橋なのだそう。 御門は「虎口構え」で、算木積みの石垣は高さ約10メートルとのことです。
-
福岡城むかし探訪館
上之橋を渡ると目の前には金網に囲まれた広い原っぱ。 先のモニュメントにあった平和台球場の跡地です。 その右側に立っている平屋で長方体の建物が「福岡城むかし探訪館」。 古地図や再現模型などを通して、福岡城を体感できます。 観光案内や休憩施設も併設しているので、お休み処としても利用できます。 なお、城内にある観光案内施設はここだけです。
-
野球場の跡は平安時代の迎賓館跡でもあった
「福岡城むかし探訪館」の向かい側に広がる平和台球場の跡。 平和台球場は戦後間もない1949年にオープン。 1987年のスタンド改築工事中、平安時代の迎賓館「鴻臚館」の遺跡が出土して大騒ぎに。 1993年に福岡ドームが完成して平和台球場は役割を終え、1997年に閉鎖。 ここに約半世紀に及ぶ歴史に幕が降ろされたのでした。
-
鴻臚館跡展示館
平和台の跡地は北側と南側に分けて調査が行われ、まだ終わっていない北側には入れません。 一方、調査の終了した南半分…球場でいうと外野のフィールドと観客席の部分には昼間に限って立ち入ることができます。 跡地南側には「鴻臚館跡展示館」があり、出土品を展示しています。 また、発掘された遺跡の上に覆屋を建て、礎石などの遺構を発見時の姿で保存、公開中。 入場は無料です。
-
二の丸門から石段を登って東二の丸跡へ
鴻臚館跡展示館の隣で大きく口を開けているのが二の丸門。 石段を登ると東二の丸跡で、現在ではサッカー場が広がってます。 一面に桜が生い茂り、シーズンには花見客で賑わうことでしょう。 でも、大河ドラマの恩恵を受けることもなく観光客の数は疎ら。 平日の夕方なのを差し引いても寂し過ぎです。 東二の丸跡から石垣に挟まれたクランク状の道を通って石段を登ると本丸御門跡に出ます。
-
鬼門封じのために建てられた「祈念櫓」
本丸御門跡からヘアピンカーブ状の道を通り、石垣に挟まれた石段を登ると、正面に小さな櫓が姿を現します。 「祈念櫓」といって、本丸東北方向に当たる鬼門を封じる祈念を行うために建立されたものです。 棟札によると万延元(1860)年3月起工、同年10月竣工。 大正中期に北九州市八幡東区の大正寺へ移築されましたが、1984年に戻ってきました。 でも、元の大きさに比べるとかなり小さくなっていたそうです。
-
独特な形状をした天守台入口「鉄御門跡」
祈念櫓から本丸御殿跡を通り抜けて天守台へ。 その入口には独特な形状をした「鉄(くろがね)御門跡」が残っています。 幅が狭いのは敵の侵入を防ぐため。 しかも石垣の上に張り巡らされた櫓や塀から攻撃できるようになっていたそうです。 鉄御門跡の先にある埋(うずめ)門跡もまた、やはり狭き門。 天守への道は何重もの防御システムで護られていたわけです。
-
武骨な黒田福岡城に客寄せパンダ的な復元天守閣は似合わない
複雑に入り組んだ道を抜け大天守台跡へ。天守閣の建物は残されていません。 というか最初から天守閣は建造されていなかったというのが定説。 でも最近、天守閣の存在を示唆する古文書が発見されたそう。 創建当初は天守閣も建設されたけど、後に取り壊されたのでは? そんな説が台頭し、天守閣の存否をめぐる議論が沸騰しているとか。 でも観光客目当てに中途半端な復元天守閣を建てるのだけは勘弁して欲しいところです。
-
唯一の国指定重要文化財「多聞櫓」
大天守台跡の裾を時計回りにグルリと回り込み南西の端へ。 ここには福岡城内に残る唯一の国指定重要文化財、多聞櫓があります。 でも公開は午後5時まで。 タッチの差で見学することができませんでした。
-
今なお美しい石垣と灌木のコントラストを堪能
多聞櫓から桐ノ木坂門を抜け、城郭の西側を通って下之橋御門方面へ。 今なお美しく保たれている石垣と手前の灌木が絶妙のコントラストを描いています。 石垣が尽きると松ノ木坂門への入口に出ます。 この一帯は三の丸で家老職の屋敷群があったところ。 現在ここにあるのは平和台陸上競技場。 陸上競技の練習に勤しむ中学生たちの歓声が響いていました。
-
「酒は飲め飲め~飲むならば~」母里太兵衛の屋敷門
競技場と道を挟んだ向かい側に立っているのが県指定文化財、旧母里太兵衛邸長屋門。 大河で太兵衛役は速水もこみちが演じてます。 太兵衛の屋敷は現在の天神二丁目、福岡天神センタービルの場所にありました。 太兵衛といえば黒田節でおなじみ。 大酒を飲めるか福島正則と賭けをし、勝って名槍を召し上げたという故事に由来します。 その槍「日本号」は現在、福岡市博物館に所蔵されています。
-
下之橋御門と伝潮見櫓
母里太兵衛の長屋門から明治通り方面へ向かうと、福岡城に架かるもうひとつの橋、下之橋に出ます。 上之橋と同様に下之橋御門が構え、横には伝潮見櫓が立っています。 下之橋御門は平成12(2000)年8月に不審火で半焼したものの、同20(2008)年11月に復元。 焼失前は平屋造りでしたが、美しい二層の城門である現在の姿が幕末まで存在した本来の姿だと言われています。
-
-
「はかた号」は新宿高速バスターミナルと西鉄天神バスセンターを結んでいます。 途中、小倉、砂津、黒崎、博多バスセンターに降車のため停車。 また、静岡県の日本平パーキングエリアと山口県の佐波川サービスエリアで休憩のため停車します。 東京発は21時発で、翌日11時20分ごろ到着。 福岡発は19時発で、翌朝9時半ごろの到着です。 天神バスセンターは福岡市の繁華街の中心に位置する交通の要衝。 西鉄福岡駅、福岡三越と「ソラリアターミナル」を構成しています。 天神には岩田屋や大丸などの百貨店や、ソラリアプラザ、パルコ、ビブレなどのファッションビルが立ち並んでいます。
-
旅立ちは新宿高速バスセンター
はかた号のシートは「プレミアム/ビジネス/エコノミー」の3クラス。 そのうち2階最前部に4席しかないプレミアムを利用します。 座席は大型で幅広くリクライニングも深く倒れ、ほぼ真横に。 手元には小型モニターが設置され、映画が視聴可能。 コンセントも設置されスマホやタブレット、ノートPCが充電OK。 Wi-Fiも利用可能と謳っていますが残念ながら接続できませんでした。
-
車内に4席しかないプレミアムシート
座席には毛布とスリッパが備えてあり、出発前にはアメニティグッズ(タオル/耳栓/アイマスク)が配られます。 深夜0時前に最初の休憩停車で、出発後に車内は就寝モードへ。 車内照明が落とされ、座席がカーテンで覆われます。 ちなみにサービスエリアやパーキングエリアでアルコール類は販売されていません。 ご所望の方は乗車前に調達しておかれることをお勧めします。
-
天神は福岡市のハートランド
翌朝8時過ぎ、車内は通常モードに戻り、簡易朝食の配布。 8時30分前に2度目の休憩停車の後、バスは九州へ。 小倉駅と博多バスセンターに立ち寄り、11時45分ごろ天神バスセンターに到着。 長いようでアッという間の14時間半、苦痛じゃなかったのはプレミアムシートだったからでしょうか。
-
個室を備えた新型車両が投入されます
西鉄は10月21日、はかた号に12月18日から個室を備えた新型車両を導入すると発表しました。 また、席数を減らしてビジネスやエコノミーも余裕をもたせるそうです。 個室は4室で室内には専用タブレットや空気清浄機を配置。 シートは本革製でマッサージやヒーター、送風機能を完備。 運賃は現行より若干値上がりの予定。 ですが、深夜の暗闇を高速で移動する旅好きが存在する限り、はかた号は不滅でしょう。
-
-
14時間に及ぶバス旅の汗を流し、疲れを癒やすために訪れたのはラーメンでおなじみ長浜にある「天然温泉 天神ゆの華」。 浴場は1階と2階に分かれ、奇数日と偶数日で男湯と女湯が入れ替わるシステム。この日は偶数日で男湯は1階でした。 屋内にはサウナやジェットバス、ミストサウナ、電気風呂など。 屋外には想像していたより大きかった露天風呂や、壺湯など。 天然温泉を謳ってますが効能は…よく分かりません。 鈍感なので「普通のお湯じゃないな~」程度しか感じませんでした。 石鹸、ボディーソープ、シャンプー、リンスなどは無料。 タオル、歯ブラシ、ひげ剃りなどは有料。 有料でアカスリやマッサージのサービスもあります。
-
流しそうめんの元祖は…指宿の「唐船峡そうめん」
健康ランドのような大広間の休憩室はありませんが、食堂はあります。 メニューに期間限定「唐船峡そうめん」を発見。 唐船峡とは鹿児島県指宿市にある「流しそうめん発祥の地」。 素麺にしては強いコシと仄かに漂う独特の風味が特徴。 薬味の梅干や生姜、山葵とともにツルツルすすれば、これがなかなかの美味。 あまり耳にしたことのない「唐船峡そうめん」、めっけもんでした。
-
-
野球の試合はなかったのですが、せっかく福岡まで来たのでヤフオク!ドームを見物に行ってみました。 ヤフオク!ドーム、言うまでもなく福岡ソフトバンクホークスの本拠地スタジアムです。 地下鉄唐人町駅で下車し、目の前を流れる川の左側、ホークスとうじん通りを海の方角へと向かいます。 駅から歩くこと15分ほどで、黄金色に輝くヤフオク!ドームが姿を見せます。 地下鉄だと少々歩かされますが、博多駅や天神からバスが頻繁に運行されているので、こちらを使うのも手です。
-
ショッピング街「ホークスタウンモール」
ドームの前に広がるショッピング街「ホークスタウンモール」を通ってヤフオク!ドームへ。 今日は野球の試合もイベントもないので、人通りが少なく閑散としてます。 ここにはHKT48劇場もあるのですが、その前には十数人程度のファンがタムロしている程度です。
-
野球もイベントもないヤフオク!ドームは逆にデートに最適!?
モールを抜けてヤフオク!ドームの前へ。 試合やイベントのある日なら人混みであふれ返っているであろうはずのコンコースにも、ほとんど人影がありません。 博多駅からも天神からも唐人町からも遠く、しかも主要な公共交通機関は鉄道ではなくバス。 試合やイベントのない日は、なかなか客が集まりにくいんですかね?
-
ライブハウス「Zepp Fukuoka」って、どこですか?
その時、背後から若い女性に声を掛けられました。 「すいません、ゼップフクオカってどこか分かりますか?」 その質問にはゼップというより絶句。 目の前にある建物を指差すも、まだ分からない様子。 「ほら、その目の前にあるグレーの建物」 「あー!分かりましたぁ!ありがとうございます!」 そう言うや否や一目散に駆け出して行きました。 開演時間が迫り、相当焦ってたんでしょうか。 これぞまさに「灯台下暗し」!
-
福岡ソフトバンクホークス オフィシャル野球観戦居酒屋「鷹正」
ドームの外周を半時計回りにブラブラします。 5番ゲート左隣には福岡ソフトバンクホークスのオフィシャル野球観戦居酒屋「鷹正」。 外からはもちろんドーム内からもアクセスできます。 まさにオフィシャルならではですね。 でも営業日はヤフオク!ドームで試合やコンサート、イベントが開催される日のみ。 なので当日はお休みでした…残念!
-
福岡ソフトバンクホークス オフィシャル守護仏「鷹観世音大菩薩」
ドームの外周を半分ほど過ぎ、海側の突き当りまで来たところに仏像が立っているのが見えました。 横に立つ標柱には「鷹観世音大菩薩」と記されています。 ホークスの守護神(仏?)との由。 菩薩様の背中には鷹の翼が広がり、その背後には九州を象った装飾。 この神仏頼みは「神様仏様稲尾様」以来の福岡の伝統なんでしょうかね?
-
ヒルトン福岡シーホーク
ドームの隣にはヒルトン福岡シーホーク。 最初はダイエー系列の「シーホークホテル&リゾート」として開業。 ダイエーが傾くとJALホテルズへ委ねられ、名称は「JALリゾートシーホークホテル福岡」に。 そしてJALも傾くとヒルトンに委ねられ「ヒルトン福岡シーホーク」になった次第。 博多や天神からは遠いのでビジネスで使うには少し不便ですが。 でもリゾートホテルで仕事しようと割り切れば結構楽しいホテルかも。
-
-
平成23(2011)年、九州新幹線の全線開業に併せてリニューアルして以来、初めて博多駅を訪れたのですが。 いやはや、以前とは全く別の駅と化しておりました。 地下街には有為な時間を過ごせそうな一杯飲み屋や立ち飲み屋が散見されのですが、残念なことにどこもここも満席! 駅は旅人のモノなんだから地元民は馴染みの店に行けよ! と独りごちつつ、駅を出て酒場を求め駅前を漂います。 これといった店に出くわさないまま彷徨うこと数十分、ようやくたどり着いたのが駅前の朝日ビル地下にあった居酒屋「石蔵」でした。 悪く言うと、チェーン店。 良く言うと、チェーン店臭さを感じさせない博多ならではの呑み屋です。
-
博多駅前のビル地下に潜む居酒屋
店先にあった「とくとくセット」…生ビール+焼酎2杯+料理3品で1900円…に惹かれて入店。 入り口が大きく開かれていたので気楽に入れ、カウンター席には誰もいなかったので窮屈な思いをすることもなく。 まずは突き出しの枝豆をアテに生ビールで乾いた喉を潤します。 「焼酎はどれにしますか?」 芋、それもお湯割りを選択。 続いて料理3品が次々と運ばれてきました。 芝海老のフライ、明太子の玉子焼き巻き、刺身。
-
一度食べてみたかった「おきゅうと」
焼酎が底を突いたので、おかわりを注文。 一緒に博多の郷土料理「おきゅうと」を頼んでみました。 「おきゅうと」とは海藻を加工した寒天のような食材。 福岡以外では全く見かない食材ですが、逆に福岡では朝食のお供に欠かせない一品とのこと。 以前から一度は食べて見たかった料理です。 初めての味わいは…味があるような、ないような。 どちらかといえば味そのものより食感を楽しむ食材のように思えました。
-
焼酎を青汁で割った「えみ割り」…美味いか不味いかは、あなた次第!
いやー、さすが博多! 酒が止まりませんよ! 更にグラスが空いて焼酎のお替わりを頼もうかと思ったその時! テーブルの立て札が目に止まりました。 そこにあったのは「えみ割り」 …焼酎の青汁割りです。 人生これまで様々な「割り」を喰らってきましたが、さすがに青汁で割った焼酎を飲んだことは皆無。 これも旅の醍醐味とばかりに「えみ割り」を注文してみました。
-
「えみ割り」と「酢もつ」の相性や如何に!?
一口飲んでみると、美味いのやら不味いのやら…よく分かりません。 でも、青汁の粉末があれば家庭でも普通に作れるわけだし。 合わせる料理次第では焼酎を美味しく飲める手段としてアリなのでは? ここで博多名物「酢もつ」も一緒にオーダー。 「酢もつ」とは新鮮なモツを茹でて細切りにし、刻み葱とポン酢で和えた料理。 博多ではどこの居酒屋にもあるありふれたメニューらしいのですが、あまり他では見かけませんね。
-