ポーラ美術館（神奈川県・箱根町）は、4月23日(木) 〜 11月3日(火・祝)まで、「モネとマティス―もうひとつの楽園」展を開催する。印象派の画家クロード・モネ（1840～1926）とフォーヴィスム*のアンリ・マティス（1869～1954）という、対照的なこのふたりに焦点をあてた初の展覧会だ。
　
19世紀から20世紀にかけて、急速な近代化や度重なる戦争などの混乱した社会状況のなか、「ここではないどこか」への憧れが、文学や美術のなかに表れる。庭や室内の空間を自らの思うままに構成したモネとマティスは、このような時代状況を反映し現実世界のなかに「楽園」を創り出した点で、深く通じ合う芸術家といえるだろう。

モネ・コレクションで著名なマルモッタン・モネ美術館や、マティスの生まれ故郷であるル・カトー=カンブレジのマティス美術館をはじめ国内外31ヵ所から集結したモネとマティスの名品約90点により、ふたりがいかにして「楽園」を創りあげ、作品へと昇華させたかを検証する。

*フォーヴィスム：マティスらの作品の強烈な色彩と荒々しい筆致が「フォーヴ（野獣）」と評されたことに由来する美術の動向。

みどころ

印象派の画家モネとフォーヴィスムの画家マティス。対照的な2人に焦点をあてた初の展覧会。

絵画制作の上での理想的な環境という「楽園」を追い求めたモネとマティス。舞台装置を設えるように、自身の描きたい空間をまずは現実の世界に創りあげたうえで、絵画に描いている。ふたりにとっての「楽園」であるアトリエや庭を、描かれた作品とともに紹介し、対照的な2人の画家に共通する作品制作の背景に迫る。

国内外のモネとマティスの名品約90点が箱根に集結。

モネ・コレクションで著名なマルモッタン・モネ美術館や、マティスの生まれ故郷であるル・カトー＝カンブレジのマティス美術館からの大型作品の借用も実現。海外10ヵ所から約20点、国内21ヵ所から約30点の名品を借用し、当館収蔵のモネ作品19点、マティス作品8点と合わせて約90点を展覧する。

2020年はモネの生誕180周年。この記念年に、モネの代表作「睡蓮」シリーズ11点を展示

モネがジヴェルニーの敷地に造りあげた庭は、描きたいモティーフを理想的な状態にコントロールできる楽園だった。そのこだわりは近くの川から水を引き、池をつくったほど。時間と労力をかけて現実に築いた「楽園」をもとに描いた「睡蓮」の連作を、初期から最晩年にいたるまで11点展覧する。

日本で約10年ぶりにマティスの大規模展を開催

日本国内のコレクションが少なく、まとめて見られる機会の少ないマティス。「自分の絵のなかに完全な調和を作り上げたという感じを持つまで続ける」と語ったマティスの創作へのこだわりを、油彩画30点をはじめ、挿絵本、タペストリーなど幅広いジャンルの作品からひもとく。

開催概要

【会期】2020年4月23日(木) 〜 2020年11月3日(火・祝)※会期中無休

【出品点数】約90点　(会期中に展示替えあり)

【後援】在日フランス大使館／アンスティチュ・フランセ日本

【開館時間】9:00〜17:00（最終入館は16:30）

【所在地】神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285

【TEL】0460-84-2111