異質で孤高な存在感。一度は行くべし。原爆ドームと平和記念資料館
広島異質で孤高な存在感。一度は行くべし。原爆ドームと平和記念資料館
はじめて広島を訪れました。厳島神社や尾道、鞆の浦の史跡のほか、お好み焼きに牡蠣と良質なコンテンツが勢ぞろいの広島。旅をするにはもってこいの場所です。中でも一度訪れてみたかったのが原爆ドームと平和記念資料館。歴史的に重要な出来事があった場所には磁力のようなものがあるような気がします。原爆ドームではその圧倒的なリアルに言葉を失いました。異質で孤高。生きるとか死ぬとか人生とか、そういうことを自然と考えさせる場所って日本にたくさんあるわけではありません。どんな感情でいたらいいのだろうと思わされる存在感です。訪れる人それぞれが辿ってきた時間と向き合うことのできる圧倒的な体験、まさに日本最強のダークツーリズム、原爆ドームに一度は行くべしです。
原爆ドームは川に面した場所にあって周囲は木々が繁っています。破壊された姿は壮絶そのもの。テレビや写真でみているよりも強烈です。物凄く理不尽な力で吹き飛ばされたんだということがリアルに伝わってきます。異質で孤高な存在感は半端なく、対称的に傍の木々の緑が色濃く映えています。緑の匂いと海の匂いが入り交じり、しばしの間立ち尽くしてしまいます。川沿いの遊歩道は整備されて石畳になっていますが、遺骨が多すぎて拾いきれずそのまま川の底や遊歩道の石畳の下に眠っているということを聞きました。
元は広島の文化拠点
この建物は「広島県産業奨励館」として当初は美術展などが開催される文化拠点だったそうです。その後戦争が長引く中で土木事務所などの役所の事務所になっていったとのこと。
木々の緑が対称的
とても緑が深いところです。夏は蝉の鳴く声がすごいんだろうなと感じました。
ささかやかに潮の薫りが
海は遠いと思っていましたが、川沿いを歩いているとささやかに海の潮の薫りがしてきます。
原爆ドームの川向いに平和記念公園が広がっています。とても緑が濃く気持ちのよい場所です。慰霊碑のあいだから原爆ドームがまっすぐに見えます。すぐ近くには火がたなびいていて静謐な空気に包まれています。国籍、年齢、性別を問わないたくさんの方々が祈りを捧げていました。敷地内には原爆で亡くなった方の遺骨が眠る場所があります。
折り鶴と原爆の子の像
公園内にはあちらこちらに色鮮やかな折り鶴のモニュメントがあり平和のシンボルになっています。当時2歳で被曝した女の子が9年後に白血病と診断され、回復を願い折り鶴を折りながら闘病生活を送ったそうですが、祈り届かず亡くなったことがきっかけになったようです。像の下には全国各地から送られた折り鶴が飾られていました。
平和の灯
慰霊碑の傍にともしびがあります。原爆ドーム、灯、慰霊碑、平和記念資料館が一直線に並んだ設計になっています。静謐な空気です。
原爆供養塔
原爆投下によって亡くなった身元不明の遺骨が納められているそうです。たくさんの方が手を合わせていました。
連休中に訪れたこともありますが、年齢性別国籍問わず、大勢の来訪者でごったがえしていました。ここの展示はすさまじいの一言です。言葉を失います。メッセージは単純明快で「もうこういうのはやめにしよう」という一点のみ。圧倒的なリアリティの前では何を言っても空虚。この場所は右左問わず偏った政治思想の道具に使われてはいけないなと思わされました。