ばるばる下北沢
東京ばるばる下北沢
音楽や演劇の聖地として、サブカル大学生からどうやって生活してるのかよくわからん爺さんまで多くの人々に愛される街、下北沢。 大学の帰りに学友となんの気なしに寄ったところ、なにやら駅で気になるイベントがやっている。 それが今回紹介する「ばるばる下北沢」だ。 前売り500円、当日700円でリストバンドを購入すると、イベント参加店舗でつまみと酒を安く嗜むことができるという。むろん、チャージ料はとられない。 そう、三度の飯より酒とつまみを愛する俺のような人間、いやザリガニのためにあるイベントなのである。 以下のURLに次回開催のリンクを貼っておく。次回のつまみのテーマは、チーズと激辛らしい。気になった者は、いちど行ってみるといいだろう。いや、行くべきだ。 https://barbar.love-shimokitazawa.jp/
一杯目はハイボール。「まずはビール」などという決まりきった慣例はおれには通用しない。ハイボールを愛しハイボールに愛されたザリガニ。それが俺だ。そしてなんかもうメニューの名前とかは完全に忘れたがサクサクしたエビが二頭。写真では伝わりにくいだろうが、彼らは揚げられ、サクサクしている。なんというサクサク! そう、俺たちは頭から食ったのだった……それが彼らエビたちに対する礼儀であると、その時は強く思ったのだ。メメント・モリ。乾杯。 ドリンク一杯とエビ二頭、これで千円である。
ARENA 下北沢。つまみだけでなくメインディッシュも食いたいと思ったらここに行くといい。 俺たちは腹が減っていた。「腹が減ったら何か食え。」というのが俺の家に代々伝わる家訓である。「カレーなどを食うと特によい。」 だから俺たちはカレーを食った。シンプルだ。シンプルなのはいいことだ。カレーと白米を口に運ぶ。うまい。とにかくうまい。スパイスの風味が心地よい辛さと共に口の中全体へ広がってゆく。最高だ。 店の天井は開閉式のガラス張りになっており、解放感がある。よく分からんがなぜかサンドバッグもぶら下がっている。酒とカレーと冬の星空。ベテルギウスとシリウスが、数百後年先で俺たちに微笑みかけていた。
店内はどこかパリのキャフェのような雰囲気を漂わせており、壁には外国のポスターやレコードがかかっている。下北沢でデートをするならば、ここを選んでもいいだろう。 問題のつまみは、ラムのソーセージである。赤ワインと共に食すのがいいだろう。なぜならうまいから。それ以上のゴタクは必要ない。 ラムと聞くとその独特の臭みを警戒する者もいるだろうが、心配する必要はない。それらはむしろ旨味へと転生し、この長細く光沢を放つ料理のなかへ凝縮されている。 肉の汁どもが口の中で溶けてゆく。つづいて地平線の向こうからスパイスがやって来て、俺の舌をやさしく刺激する。心の底から、世界への感謝の念が湧いてくるひと時であった。
さいごに
おれはあの時から、何度かこのイベントに足を運んでいる。 したがって今回の記事は、何度か行った店の総まとめであり、もしこれを読んでいるあなたがばるばる下北沢に行ったとしても、完全に同じものを食すことができる保証はない。 しかしこれだけは言える。酒とつまみが安く嗜むことができるのは、いつだって素晴らしいことだと。