写真で幕末・明治の長崎にタイムトラベル【写真発祥地の原風景 長崎】開催
2018年3月6日(火) 〜 2018年5月6日(日)
- 日本の写真発祥の地の一つである長崎にフォーカス
- 写真だけではなく古地図や絵画・工芸作品なども展示
- 幕末・明治の「長崎」を感じ取れる
東京都写真美術館では、古い写真に関する新たなシリーズである「写真発祥地の原風景」を開催する。このシリーズでは、日本の写真発祥地と言われる 3 都市にフォーカスし、 初期写真(※)を核に幕末・明治の日本を展示室に再構築。第一段となる今回は、「明治150年」を記念し、長崎学に造詣の深い姫野順一博士(長崎外国語大学特任教授/長崎大学名誉 教授)監修のもと、写真を中心としたオリジナル作品のほか、古地図や絵画・工芸作品など、ジャンルや時代を超えて、幕末・明治の「長崎」を展示室に再構築する。
※初期写真(Early Photograph)とは、古写真のなかでも特に19 世紀の写真をさす。
初期写真を紹介する展覧会の新シリーズ
東京都写真美術館は、日本における写真文化のセンターとして、初期写真に焦点を当てる展覧会を毎年 3 月から 5 月に開催している。これまで 10 年以上にわたり、初期写真に関する日本全国の公開機関への調査研究をまとめた「夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史」展を隔年で開催し、「フェリーチェ・ ベアトの東洋」(2012年)や「下岡蓮杖」(2014年)などの個展も開催。
新章となる今回のシリーズは、「写真発祥地」に焦点を当て、日本の写真文化発展の源流を考察するとともに、初期写真の記録性に着目。写真の伝来から、普及が早ければ早いほど、その土地の写真は多く残されているが、写真発祥地では、近世から近代の日本の姿を克明に記録した写真が大量に制作された。長い歴史のなかで、何度も繰り返し撮影された被写体としての「長崎」を、写真を通して多角的に捉えることで、土地の空間構造や時代感覚を掴むことができる。現代の私たちが決して訪ねることが出来ない、幕末・明治の長崎にタイムトラベルをする臨場感を、集積された初期写真・資料等から楽しめる。
「写真発祥地の 原風景」はシリーズとして展開し、今後「北海道編」、「東京編」を開催予定。
ここに注目!
明治150 年
150年前に大政奉還が行われ、日本は西洋的近代国家へと向かう。開国期に渡来した写真技術は、近代化の歴史を視覚イメージとして記録し、現在にその日本の姿を伝えている。また、今回の展示は内閣官房が主唱する「明治150年」を記念するとともに、長崎大学附属図書館の幕末・明治期日本の写真データベース公開20周年を記念し、長崎大学と共同で開催する。
“異域” 長崎
江戸時代、長崎は、西洋と東洋の文化が交差融合し、独自の文化が発達する特殊な地として、日本国内からも留学(遊学)先として栄えた。ピエール・ロシエ (1829-1886)や、フェリーチェ・ベアト(1834-1909)などの外国人写真師が海外から訪れ、招聘オランダ人医師A.F.ボードイン(1820-1885)もピントグラスの前に立ち、長崎滞在中に数々の写真を残した。さらに、写真開祖と呼ばれる上野彦馬(1838-1904)・幸馬(1841-1896)をはじめ、内田九一(1844-1875)、為政虎三(1871-1948)などの日本人写真師が長崎を拠点に制作を行い、 写真文化を普及した。
写真は「物」
写真は写されたイメージだけに注目が集まりがちてだが、写真の大きさや、それを支える台紙、写真帖の様式には、当時の情報を伝える重要な手がかりが多く残されている。今回の展示では立体的な展示により、「物」としての写真を感じられるしつらえで紹介する。
幕末⇔2018
2階ロビーでは、今回の出品作、フェリーチェ・ベアトが1864年に撮影した《長崎のパノラマ》と、2018年現在の長崎風景を比較できる撮影コーナーを特設。150年以上の歳月を隔てた時間旅行の記念に、自由に撮影を楽しめる。
展示詳細
出品点数
計306点(第一章 64点 / 第二章 45点 / 第三章 55点 / 第四章 142点、展示替あり)
出品作家・作品
写真:ピエール・ロシエ、フェリーチェ・ベアト、ライムント・フォン・シュティルフリート、 A. F.ボードイン、上野彦馬、内田九一、薛信二郎、竹下佳治、清河武安、為政虎三 ほか
写真器材:ウェブスター スライディングボックスカメラ、スライディングボックス ステレオカメラ、 携帯暗室 ほか
絵画、版画:司馬江漢、川原慶賀、磯野文斎 ほか
刊本:フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト、ヨハネス・ポンペ・ファン・メールデルフォールト、
川本幸民ほか
地図:《肥州長崎図》長崎大学附属図書館、《大浦居留地図》長崎大学附属図書館 経済学部分館 ほか
関連事業
長崎をめぐる初期写真シンポジウム―オリジナルとデジタルアーカイブ
日時:2018年4月7日(土) 14:30 〜17:30(14:00 開場)
幕末・明治の初期写真における長崎、長崎における初期写真の歴史、また、デジタルアーカイブの可能性 を踏まえたこれらの活用について研究者の視点から発表いただくとともに、将来にわたる初期写真の活用をオリジナルとデジタルアーカイブの両面から討議する。
登壇者:高橋則英(日本大学藝術学部写真学科教授)、天野圭吾(写真研究家) 、姫野順一(長崎外国語大学外国語学部国際現代英語学科教授・長崎大学名誉教授)、下田研一(長崎大学附属図書館情報管理課情報管理班長)、北本朝展(国立情報学研究所コンテンツ科学研究系 准教授)
会場:東京都写真美術館 1 階ホール
定員:190 名
※当日10時より1階ホール受付にて整理券を配布。番号順入場、自由席。
古典技法ワークショップ:コロディオン湿板制作デモンストレーション
日時:2018年4月14日(土) 14:00 〜16:30
コロディオン湿板の制作プロセスを見学することで、当時の写真技術を知る絶好の機会て。終了後に、4月28日(土)開催のコロディオン湿板制作ワークショップ(有料・デモ参加者対象)の申し込みも受付ける。詳しくはホームページを参照。
会場:東京都写真美術館 1 階スタジオ
定員:50 名、入場無料、先着順
※事業はやむを得ない事情で変更する場合もあり。
展覧会担当学芸員によるギャラリートーク
会期中の第2・第4金曜日、4月29日、5月3日、5月5日の14:00より担当学芸員による展示解説を実施。展覧会チケット(当日印)を持参のうえ、自由に参加可能。
Gallery Talk in English
日時:2018年3月16日(金) 14:00 〜/4月20日(金) 18:00 〜
アリス・ゴーデンカー氏による英語解説を行う。展覧会チケット(当日印)を持参のうえ、自由に参加可能。
巡回情報
本展は、長崎県歴史文化博物館(2018 年 5 月 22 日―6 月 24 日)に巡回を予定。
展覧会図録
『写真発祥地の原風景 長崎』
執筆:河野学(長崎大学長)、姫野順一(長崎外国語大学特任教授/長崎大学名誉教授)、天野圭悟(写真研究家)、三井圭司(東京都写真美術館学芸員)
発行:東京都写真美術館
価格:2,000円(税込)A4判、全 196 頁、和英併記
開催概要
写真発祥地の原風景 長崎
Geneses of Photography in Japan: Nagasaki
会期:2018年3月6日(火) 〜 5月6日(日)
※4月9日(月)に展示替えを実施
前期 3月6日 〜 4月8日/後期 4月10日 〜 5月6日
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館/国立大学法人長崎大学/読売新聞社/美術館連絡協議会
協賛:ライオン/大日本印刷/損保ジャパン日本興亜/日本テレビ放送網/ 東京都写真美術館支援会員
協力:長崎県/長崎県観光連盟/長崎市/長崎歴史文化博物館
後援:オランダ王国大使館
会場:東京都写真美術館 2 階展示室(東京都目黒区三田 1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
開館時間:10:00〜18:00(木・金は 20:00まで)
休館日:毎週月曜日 ただし、4月30日(月・振)、5月1日(火)は開館
観覧料:一般 700(560)円、学生 600(480)円、中高生・65 歳以上 500(400)円
※( )は20名以上の団体料金
※小学生以下および都内在住・在学の中学生、障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料
※第3水曜日は65歳以上無料
ホリデー編集部からのコメント
幕末・明治の初期の写真展示から、長崎そして、写真の歴史も振り返ることができる貴重な機会!モダンな長崎の文化から幕末・明治のロマンを感じられるかも!?
開催場所
イベント情報
写真発祥地の原風景 長崎
開催期間
2018年3月6日(火) 〜 5月6日(日)
開館時間
10:00〜18:00(木・金は 20:00 まで)
料金
一般 700(560)円、学生 600(480)円、中高生・65 歳以上 500(400)円
問い合わせ先
TEL 03-3280-0099
オフィシャルサイト
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