北欧の陶芸家リサ・ラーソン（1931-）が作るコケティッシュな動物や素朴で温かみのある表情豊かな作品は、本国スウェーデンのみならず日本をはじめとする世界各国で人気を博している。リサ・ラーソンは、陶磁器メーカー、グスタフスベリ社での26年間の在籍中に約320種もの作品を制作し、同国を代表する人気作家となった。その後、活躍の幅を海外にも広げ、80歳を過ぎた今もなお創作を続けている。本展では、2016年にスウェーデンのロェースカ美術工芸博物館で開催された個展をもとに初期から近年までの代表作約130点をテーマ別に展示し、さらに作家本人が所蔵するユニークピースや、夫で画家のグンナル・ラーソンの絵画作品等も加えた全約190点でその制作活動の全貌を紹介する。

回顧展パート

初期から現代までの代表作を、リサを象徴するテーマごとに展示

回顧展パートは、2016年にスウェーデンのロェースカ美術工芸博物館で開催された回顧展「リサ・ラーソンの作陶60年」をもとに構成されている。作品を年代順に展示するのではなく、「鳥」や「イヌ」、「姉妹」や「男と女」といったテーマごとに分類することで、リサの関心や作陶の特徴をみることができる。《ネコのミア（大きな動物園シリーズ）》や「ABC少女シリーズ」など、リサを代表する作品も勢ぞろいだ。

コンテンポラリーパート

ユニークピースを中心に、芸術家としてのリサの知られざる一面を紹介

コンテンポラリーパートは、リサ本人が所蔵するユニークピースを中心に展示。展示構成は、息子のティアス・ラーソンが担当した。ユニークピースは量産を目的とせず制作された世界で一点の作品のこと。日本ではネコやはりねずみのキャラクターで広く知られるリサですが、86歳となった現在もなお芸術家、陶芸家として精力的に作品制作に取り組んでる。ユーモラスな造形や、人間の繊細な感情の動きを感じさせる作品群に、新たなリサの魅力をみることができる。併せて、画家である夫のグンナル・ラーソンの作品もある。リサは、グンナルが自身の制作に大きな影響を与えていると繰り返し語っている。また、本展では長女ヨハンナ・ラーソンのニットによる作品も展示。互いに尊敬し合い高め合う芸術一家の魅力を紹介する。

リサ・ラーソン Lisa Larson

1931　スウェーデン南部スモーランド地方ハールンダに生まれる。
1949　スロイドフォレーニング学校（現HDKヨーテボリデザイン工芸大学）進学。
1952　グンナル・ラーソンと結婚。
1954　スティグ・リンドベリのスカウトを受け、グスタフスベリ社に入社。
1970　大阪万博視察のため初来日。濱田庄司をはじめとした日本の陶芸家と交流。
1980　グスタフスベリ社を退職し、フリーランスとして活動を開始。
1992　かつての同僚らと共にケラミークステューディオン社を設立。自身の作品の複刻や、新作の制作に取り組む。
2008　娘ヨハンナとの共同制作によりネコのイラスト「マイキー」が誕生。
2014　日本にて「リサ・ラーソン展」開催。全国7ヶ所に巡回する。
2016　ロェースカ美術工芸博物館（スウェーデン・ヨーテボリ）にて回顧展「リサ・ラーソンの作陶60年」開催。