猪熊を代表する二つのモチーフの作品展示『猪熊弦一郎展 風景、顔』開催
2018年7月14日(土) 〜 2018年9月30日(日)
- 「顔」は最愛の妻を亡くした後に描き始めた作品
- 「Landscape」はニューヨークを拠点としていた時に生まれた独自の抽象画
- 本人がいつも大切にしていた「絵として美しい」作品の数々を展示
猪熊弦一郎(1902−1993)は70年に及ぶ画業のなかでも、主に1970年代前半に発表した「Landscape」と題した抽象画と、「顔」をシンプルに描いた晩年の作品がよく知られている。いずれも自身が考える、より良い作品を絶えず求め続けた猪熊が、その時の自分だけに描ける絵画としてつかんだものだった。「Landscape」は、1955年の渡米をきっかけに具象画を脱した猪熊が、ニューヨークを拠点としていた約20年の間に得たテーマである「都市」から生まれた独自の抽象画として描いたもの、「顔」は、85歳で最愛の妻、文子を亡くした後に描き始め、画業の最後に具象も抽象も区別のない境地に至るきっかけとなった作品だ。
本展ではこの二つの作品群を中心に、20代から折りに触れて描いた「風景」と「顔」の作品を出品する。晩年に「もう私の頭の中には抽象も具象もそんな言葉はありえない。」*と言葉を残した猪熊。いつも変わらず大切にしていた「絵として美しい」ものを描くために余分なものをどんどん省きつつ、何ものにもとらわれずに描くようになっていった道程を、猪熊を代表する二つのモチーフを通して楽しむことができる。
*『猪熊弦一郎の世界展』(株式会社三越、1990年)
猪熊弦一郎 プロフィール
1902年 香川県高松市生まれ。少年時代を香川県で過ごす。
1921年 旧制丸亀中学校(現 香川県立丸亀高等学校)卒業。
1922年 東京美術学校(現 東京藝術大学)に進学。藤島武二教室で学ぶ。
1926年 帝国美術院第7回美術展覧会に初入選。以後、第10回、第14回で特選となるなど、1934年まで主に帝展を舞台に活躍する。
1936年 志を同じくする伊勢正義、内田巖、小磯良平、佐藤敬、三田康、中西利雄、脇田和、鈴木誠と新制作派協会(現 新制作協会)を結成。以後、発表の舞台とする。
1938年 フランスに遊学(1940年まで)。アンリ・マティスに学ぶ。
1948年 『小説新潮』の表紙絵を描く(1987年まで)。
1950年 三越の包装紙「華ひらく」をデザインする。
1951年 国鉄上野駅(現 JR東日本上野駅)の大壁画《自由》を制作。
1955年 再度パリでの勉学を目指し日本を発つが、途中滞在したニューヨークに惹かれそのまま留まることとし、約20年間同地で制作する。
1973年 日本に一時帰国中、病に倒れる。
1975年 ニューヨークのアトリエを引き払う。その後、冬の間をハワイで、その他の季節は東京で制作するようになる。
1989年 丸亀市へ作品1000点を寄贈。
1991年 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館開館。
1992年 所有するすべての作品などを丸亀市に寄贈する趣旨の文書提出。以降、順次丸亀市猪熊弦一郎現代美術館に搬入。
1993年 東京にて死去。90歳。
ホリデー編集部からのコメント
絵の鑑賞を楽しむのはもちろん、建物も素敵です。是非行ってみたいです!
開催場所
イベント情報
「猪熊弦一郎展 風景、顔」
会期
2018年7月14日(土) 〜 9月30日(日) *会期中無休
開催時間
10:00〜18:00(入館は17:30まで)
料金
◎観覧料
一般950円(760円)、大学生650円(520円)、高校生以下または18歳未満・丸亀市在住の65歳以上・各種障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
*同時開催常設展「美術館は心の病院 猪熊弦一郎とMIMOCA」観覧料を含む
*( )内は20名以上の団体料金
*8月18日(土)、19日(日)は1階ゲートプラザにて「まるがめ婆娑羅まつり」開催のため観覧無料(当日は展示室内に音が響く場合があります)
主催者
丸亀市、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団