ポーラミュージアムアネックスでは、京都を拠点に国内外で活躍する写真家八木夕菜の展覧会「NOWHERE」を2018年6月15日(金)から7月8日(日)まで開催する。

展覧会について

八木夕菜はニューヨーク・パーソンズ美術大学建築学部を卒業し、建築デザインの仕事に携わった後、2010年から本格的にアーティスト活動を開始。2016年にはKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭にてポートフォリオ・レビューでのハッセルブラッド賞を受賞するほどの実力のある若手アーティストだ。
　自身の心的風景を建築的コンセプチュアルな思考から、写真自体を多次元的視点で構成される環境芸術作品に展開し、感覚と概念に裏打ちされた詩的な写真芸術を作り出している。その作品は、写真をただパネルや額に入れて壁に展示するにとどまらず、展示空間を建築的に構成するかのように、床に置いたり、透明のアクリルの立体を通して視ることで再構成される写真など、写真の持つ様々な表情や見え方を提案し、作品を通じて「視る」という行為の自由さに気づかせてくれる。
　本展覧会では新作を含む約30点を展示予定。「NOWHERE / NOW HERE」どこにもないようで、いま目の前に在る感覚に浸ることのできる展覧会だ。

作家メッセージ

世界は未知なるもので溢れている。

私たちが視ているものは何なのか。
今、経験している世界は、私たちが観ている世界と同じだろうか。

私たちがある思い込みから解放されるとき
思いがけない新しい世界が拓けることがある。

わたしにとって写真は、
私が「いま・ここ」”NOW HERE”に存在した証。

平面である写真を三次元の空間に構成すると、
二次元と三次元との狭間で視覚と知覚が揺さぶられ、
私たちは、生きてきた時間の中で無意識に固めてきた概念
思い込みが解き放たれることに気づく。

そうして、”NOW HERE”の集合体は実在を越え、”NOWHERE”となる。

アーティスト・写真家八木夕菜

作家プロフィール

YUNA YAGI / 八木夕菜（やぎゆうな）
アーティスト・写真家1980年神戸市生まれ。京都、カナダ、金沢、ニューヨーク、ベルリンでの生活を経て、現在は京都を拠点に国内外で活動する。2004年ニューヨーク・パーソンズ美術大学建築学部卒業。坂茂建築設計ニューヨーク支社を経て、ベルリンへ移る。2010年京都に拠点を移し、アーティストとして本格的な活動を開始。2016年KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭にてポートフォリオ・レビューにてハッセルブラッド賞受賞。2016年フランスのPolka Magazine #34“Chanque photo a son histoire”にて日本人若手写真家として作品が掲載される。2016年フランスPARIS PHOTOに並行し、Roche Bobois主催八木夕菜個展開催。
　2017年フランス・パリで開催される写真フェア“FOTOFEVER”では招待作家として作品を展示。近年では、世界を旅して撮影した建築写真をアクリルブロックにとじ込めた立体作品郡「ひとつになる世界」や、写真に幾何学のアルゴリズムを施し、水を用いたインスタレーション「崩れゆく世界」、日本の葬祭場から日本人の死生観を考察し、空間インスタレーションで表現した「祈りの空間」などを発表。