清顕とバッタナディド殿下と語らい
バッタナディド殿下が清顕にワット・ポー寺院の写真を見せながら、
「すべての神聖なものは夢や思ひ出と同じ要素からから成立ち、時間や空間によってわれわれと隔てられているものが、現前としていることの奇蹟だからです。しかもそれら三つは、いづれも手で触れることができない点でも共通しています。(省略)事物にはすべて神聖なものが具わっているのに、われわれの指で触れるから、それらは汚濁になってしまふ。指で触れるものをけがし、しかも自分のなかには、神聖なものをになりうる素質を持っているんですから」
との話の中で、清顕は、誰にも告げたことのない夢日記の話を語っている。