文化財に泊まって歴史とワインに酔う。おじさま好みの中伊豆旅。
静岡文化財に泊まって歴史とワインに酔う。おじさま好みの中伊豆旅。
東京からの客人も多い伊豆。東京からの便が良く、観光スポットが充実した東伊豆も良いですが、静岡県民の私が断然お勧めしたいのは中伊豆エリア。はっきり言って交通の便が悪いです。だからこそ、川の流れの音とともに静寂の山中に佇む風情が中伊豆の魅力。【すべての客室が】国の有形文化財に指定されている宿に宿泊しつつ、この地区に縁の深い北条家と運慶の激動の時代の軌跡を尋ね、プレミアムワインが試飲できる穴場ワイナリーを巡る非常に文化的な週末プラン。かなりうんちく的なため、紹介も長いのですがご容赦を。。
15室しか客室がなく、その全てが国の登録有形文化財に指定されている宿。明治時代に金を採掘していた足立三敏氏が、都会から金山に訪れる裕福な人たちが都会の猥雑さを洗い流すための場所として建てた宿。山奥の贅を凝らした宿が口コミで話題となり、文人墨客が集う場所に。
素晴らしい建築技術は気高き職人さんたちの恩返し。
明治時代に創業した落合楼は昭和八年に大改装。時は世界恐慌、職に乏しくなってしまった職人さんたちの働く場づくりの意味もあったそうです。今で言うところの公共事業。この素晴らしい建築の意匠は、不況の時代に仕事を作ったご主人への恩に違いない。
見えないところがすごいんです。
落合楼の中でもひときわ職人技が凝らされているのがこちらの紫壇の間という宴会場。床の間があるのですが、木が反ってしまわないようにここに設置する前に30年も反っては削って寝かせてを繰り返したものを使っているのだとか・・・
スティーブジョブズの名言にありましたね。
紫壇の間の障子なのですが、これだけ広い間口が広いと上の梁が沈んできてしまう。それを防ぐために障子の格子の目のピッチが細かく太くする必要があって、見た目が威圧的になってしまう。その威圧感を緩和するために格子が一本一本面取りしてありました・・。そういえばかのスティーブジョブズも言っていました。MacはPCの中の基盤が美しいのだそうです。
突然現れる洗練された建物。建築家、栗生明氏が設計したこちらは函南の山あいにある仏像専門の美術館。「仏像?」と侮るなかれ。もともと北条家にゆかりの深いこの地に遺された実慶をはじめとした仏像を里の方たちが代々お堂に保存してきた。これを里の方たちの協力でこの美術館に展示して広く観光客にも解放しようというまちぐるみの試みの集大成。
仏像ってこんなに美しかったんですね。
とにかく照明のデザインが素晴らしい。館内の壁は黒くそしてそこに綿密に計算された照明により浮かび上がる仏像たち。これはもう、またしても筆舌に尽くしがたいです。
息子を想う父の哀しみ。
中でもひときわ肌感の美しい阿弥陀三尊像。源頼朝の舅であった北条時政が、石橋山合戦で戦死した息子宗時のために、慶派の仏師・実慶に造像させたものだそうです。悲しみを背負ったものの美しさです。
見るだけも良し。でも歴史を知るともっと楽しくなりますから。
仏像を作るのには必ず理由があったのです。資料展示室でその理由を知ると楽しさが100倍くらいになります。
仏様のおしり!
普通のお堂にあっては絶対に拝見できない仏像の背中側も拝見する事ができます。
北条時政のお墓のある高野山真言宗の寺院なのですが、こちらはにはかの有名な仏師、運慶の数少ない真作の一つである阿弥陀如来坐像がいらっしゃいます。国宝です。普通にお堂にいてびっくりします。
数少ない、運慶30代の真作と出会えます。
運慶がこの阿弥陀如来像を作った前年、技術を磨くのにお世話になっていた東大寺興福寺が平家により焼き討ちにあっています。大変な悲しみを胸に制作に打ち込んだのだそうです。なるほど、確かにこれはたくましい東北の武士の姿なのですね・・・。
シダックス社長のワイン好きが高じて作ってしまったらしいワイナリー。ワイナリーとしてというよりは、海外のプレミアワインがコレクションされるワインセラーガイドツアーがしびれます。一度は飲んでみたい高級ワインがグラスで試飲できるコーナーもありワイン好きにはたまらない穴場です。
志太社長の時価総額1億円とも言われるワインセラー。
志太社長はオーパス・ワンの大ファンだそうで、コレクションが半端ないのです。1979年の誕生年から毎年全部揃っていて、壁一面オーパスワン。ガイドツアーに参加して必ず見ましょう。
あ!ロマネコンティも。
あります。1本100万円くらいだそうです。
すばらしい!オーパス・ワンが試飲できます。
高級なこのワインをグラスで試飲させてもらえます。有料ですがグラスで飲めるなんて、嬉しい。穴場スポット。
だからおじさまたちの群れが・・
できています 笑