入り口入ってすぐ左手にハシビロコウの小屋があって、私は何事も順番通りに進むことを良しとしている性格のため、他のお客が一目散に猫や犬へ向かう中、ハシビロコウの小屋へ歩いて行くこととした。妻は呆れていたが、そういう夫なのだから仕方ないともう悟っている。ハシビロコウはまさにいぶし銀。あの鋭い眼光は一体虚空の何を見つめているのか。何を考えているのだろう。一番良かったのは猫好きによる猫好きのための猫のショーだった。みんなが「猫にショーが出来るわけがない」と考えている中、健気に芸をこなす猫達によって会場内に湧き上がる不思議な仲間意識。最高。
那須どうぶつ王国は思いの外広大だった。少し離れた小さなホテルを予約してあり、体を休めることにする。緑が美しい山間に建てられているペンションのようなプチホテル。掛け流しの天然温泉(露天に近い)を貸し切りに出来た。我が家庭は夫婦旅行で貸し切り風呂が貸し切れても一人きり風呂なので逆に非常に贅沢な気分である。とにかく料理が超美味い。
いわゆる坂である。
訪れたのがシーズンオフだったからなのか、平日だったからなのか分からないが、人が多くなく、アヒルボートが佇む姿はゴーイングメリー号が涙を流している姿を連想させた。あまり時間がなかったため見回れなかったのだが、落ち着いてみるべき美しい場所だとは思った。
日本三大瀑布の一つだと言う。とにかく立派な滝である。たぶんだけど中禅寺湖と繋がっているのだと思う。修学旅行生がたくさんいて写真を撮っていた。もうあの頃には戻れないと思うとなぜだか滝の音も遠く感じた。滝を下から眺めるためにエレベータに乗ると地下へ潜っていく感覚で非常にワクワクしたが、壁面にあった供養碑――自殺者のためのものだろうか?――を見たら背中が冷やっとした。
会社で「日光東照宮へ行ってきたんですよ!」と言ったら関東出身者は皆一様に「修学旅行で行ったけど覚えてない」と寂しいことを言った。私は静岡出身なので初めての感動を今覚えている。日光東照宮は徳川家康のお墓だと言う。確か静岡にある久能山東照宮も徳川家康のお墓だった気がするから、歴史的経緯があると思うので詳しくは分からないが、流石の家康様だと思う。全体的に色使いが鬼気迫っていて美しい。どうもそれぞれの見所ごとに限定のお守りが売っていて、御本社でしか買えないというお香のお守りを手に入れた。見る角度で表情が変わるいう眠り猫は、この日ずっと寝ていたらしく表情の変化は見られなかった。
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