その温泉は驚きに満ちている。最北の湯治場・豊富温泉がすごい
北海道その温泉は驚きに満ちている。最北の湯治場・豊富温泉がすごい
旅に必要なのは驚きではないでしょうか。そこでしか体験できないことに価値があります。その意味で北海道のてっぺんにある豊富温泉のインパクトがすごかった。うわさには聞いていましたが、行ってみてびっくりするのはその匂い。灯油のような粘土のようなラードのような燃料臭と濃い化粧水のようなぬるっとした湯触り。その湯上りは全身に馬油を塗ったようで上がったあとも肌がつるつるしてきます。マジで効きそうですが実際に医学的にもアトピーや乾癬に大いなる効果があるらしく、20代30代の若者が道内各地をはじめ全国から湯治にやってくるそう。湯治客のためのコンシェルジュなどを備えていて、同じ悩みで湯治に来た人たちのSNSでの横のつながりを促す仕組みも整えていて感動しました。従来の湯治場のイメージを遥かに越える殿堂入りのインパクト。最北の湯治場、ぜひおすすめです。
豊富温泉の開湯は大正14年。石油の試掘を行っているところで地下960mの地点から天然ガスと共に43℃のお湯が噴出したことからはじまったそうです。実際に温泉街に行くと外からでもうっすらと油のにおいがしてきます。温泉街には温泉ホテルもあり湯治専用の宿泊施設もあり、裏山には大きなスキー場が広がります。今回行ったのはその中心にある豊富温泉ふれあいセンター。地元の方はもちろん湯治専用の温泉施設にもなっています。
入り口は普通
入り口ははっきりいって普通ですが、外からでも独特の匂いがしています。期待が高まります。
効能解説の張り紙!
効果は抜群で最高に効きますということが書いてありました。さらに期待が高まります。
湯治用と一般用に分かれてる!
湯治療養目的と通常の温泉の入浴と浴場が分かれています。どちらに行っても成分が濃そうです。
お湯に油が!
浴場の扉を開けるとさらに強い石油臭がしてきます。温泉にも油分が浮いています。こんなのみたことない!
なんとも言えない湯触り
浴場はいたって普通のつくりですが、その湯触りと匂いが他との違いを主張しています。これは行かないとわからない。
ミライノトウジ
浴室に貼ってありました。アトピーや乾癬に悩みのある若い世代の湯治が多いそうです。同じ悩みを抱えた同士で仲間を作り、楽しみながら湯治をする新しいスタイルの提案。それが「ミライノトウジ」です。SNSでつながれるような設計をしています。すげえ
コンシェルジュデスク
2階にはコンシェルジュデスクがありました。湯治・宿泊相談のほか、レンタカー・レンタサイクルの手配、住むところと仕事情報までも相談できるそう。至れり尽くせりです。
食事処
1Fロビーには食堂があります。おいしそうな匂いがずっとしていました。
今回紹介された宿が中頓別町の道の駅ピンネシリにあるコテージです。豊富温泉からはクルマで1時間強の距離ですが、ここがもう本当に最高でした。村上春樹の「羊をめぐる冒険」に出てくる別荘のような静かなコテージ。周囲は深く柔らかい雪に包まれていてとにかく静かです。中の広さも申し分なく、コンロも食器も洗濯機も完備していてとにかく暖かい。これで一棟8,000円(4名まで)ってとにかくすごいクオリティです。これまで体験したことのない冬の夜を過ごせること間違いなしです。
冬の森の静寂
コテージとコテージの間が適度に離れていてとにかく静かです。雪が深々と降り続いているのにまったく音がない。すべてが雪に吸い込まれています。
静謐な時間
この場所にいると時間の感覚を忘れてしまいます。ここではTVはNG。
長い夜
冬の中頓別は6時半にもなれば感覚的には10時半のように静かです、店はやっていないし誰も外にいない。でもそれが最高なのです。特別な夜でした。