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世界遺産「糺の森」でイロイロと考えてみる夕涼み

世界遺産「糺の森」でイロイロと考えてみる夕涼み

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世界遺産「糺の森」でイロイロと考えてみる夕涼み

「そうだ、京都行こう」でおなじみのJR東海キャンペーンCM。 今夏の舞台に選ばれたのは下鴨神社と、その周囲を取り巻く「糺[ただす]の森」でした。 京都の夏といえば鴨川の岸に連綿と連なる納涼床が名物。 ですがここ糺の森もまた、昔は納涼の名所だったそうです。 水の流れに恵まれた糺の森は蒸し暑い夏でも涼しく、京の都人たちから愛されてきました。 江戸時代には初夏の到来とともに団子や心太[ところてん]、真桑瓜[まくわうり]などを売る茶店が立ち並んだそう。 都人たちは涼しげな木陰に毛氈を敷き、日の出から日没まで、花見ならぬ「納涼[すずしみ]」を楽しんでいたとか。 とはいえ江戸時代に比べると現在の糺の森はかなり狭くなり、今では屋台が林立することもありません。 ですが、木漏れ日がこぼれる森の中、涼しげなせせらぎの音色をBGMに散策しながら、往時の雰囲気を想像してみるのも格好の“避暑”かもしれません。

  • 鴨川と高野川の合流点に位置する糺の森は、川が運んだ土砂の堆積した洲の上にあります。 なので「糺」という地名は「只洲[ただす]」「蓼洲[たです]」に由来するのだとか。 また、室町時代の書物「諸社根元記」には「浮島[うきしま]の里、直澄[ただす]」と記録されていて、これもまた「糺」の語源のひとつと考えられているそう。 主祭神の賀茂建角身命はこの森で人々からの訴えを聞き、それぞれに審判を下したという伝説があります。 ちなみに「糺」という字には「偽りを正す」という意味があるので、いつしか「只洲」「直澄」が「糺」となり、「偽りを正す神の坐す森」という信仰が集まることになったのだそうです。

    • ここは世界文化遺産です

      ここは世界文化遺産です

      平成6(1994)年「古都京都の文化財」として日本で5番目の世界遺産に登録されました。 糺の森の面積は約3万6000坪(約11万9000平方メートル)、東京ドームの約2.5倍に相当します。 ここには紀元前3世紀ごろの原生林を構成していたのと同じ植生…欅、榎、椋木といった広葉樹を中心に、樹齢600年から200年ほどの樹木が約600本も自生しています。

    • 瀬見の小川

      瀬見の小川

      表参道の左側を流れる細いせせらぎ。 でも、川と呼べるほどの水量はありません。 それもそのはず、現在の流路は世界遺産登録されたのを機に復元されたもの。 それまで川筋はあっても水は流れてなかったそうですよ。 ちなみに以前の川筋ができたのは元禄7(1694)年、賀茂祭の儀式用に馬場が整備された時だそうです。

    • 泉川

      泉川

      表参道をはさんで瀬見の小川の反対側を流れる川で、こちらは結構な水量が流れています。 糺の森がもっと広大だった時代には、森の中を川が幾筋も流れていたそうな。 せせらぎの涼しげな音色を耳にしながら賞味する心太や真桑瓜の味は、いかばかりだったでしょう。 コンビニに行けばソコソコ美味いスイーツが簡単に手に入る現代ですが、心の贅沢という点では江戸時代に軍配が上がるようですね。

  • 正式な名称は「賀茂御祖[かもみおや]神社」といい、上賀茂神社(賀茂別雷神社)と合わせて「賀茂社」と総称されることもあります。 創建時期は不明ですが、崇神天皇7年(紀元前90年)に修造の記録があるので、それ以前と考えられています。 794年の平安遷都で京都に都が移ると、朝廷から手篤く護持されるようになりました。 主祭神は賀茂族を率いて初めて京都盆地に移住したという賀茂建角身命[かもたけつぬみのみこと]と、娘の玉依姫命です。

    • 神様は「八咫烏」

      神様は「八咫烏」

      賀茂建角身命は八咫烏[やたがらす]の生まれ変わりと伝わっています。 八咫烏とはサッカー日本代表のエンブレムにあしらわれている三本足のカラスのことですね。 八咫烏は熊野の森で神武天皇の先導役を務めたことから「お導き」の神様として崇められています。 方除、厄除け、試験合格、交通、旅行、操業の安全などに御利益があります。

    • 葵祭のヒロイン「斎王代」が禊を行う御手洗池

      葵祭のヒロイン「斎王代」が禊を行う御手洗池

      葵祭では毎年「今年の斎王代は誰?」と話題になります。 斎王代は葵祭の主役みたいなもので、京都にゆかりのある、和装に慣れた未婚の一般女性から選ばれます。 この御手洗池で斎王代は禊を行い、その姿はテレビのニュースに乗って全国に報道されます。 御手洗池は糺の森の奥、下鴨神社本殿の東側に静かにたたずんでいます。

  • 表参道の入口を入って左手にある摂社です。 祭神の玉依姫命は縁結びに始まり女性の心身にまつわる神秘的な作用を司る神。 それだけに女性からは「美人の神さま」として篤く信仰されています。 ここの絵馬は円盤に取っ手を付けた、まるで卓球のラケットのような一風変わった形状をしています。 この手鏡の形をした絵馬は「鏡絵馬」と呼ばれ、女性の“美”に対する願いを叶えてくれるそうです。 まずは円盤の表面に描かれた女性の顔に、いつも当人が使っている化粧品でメイク。 そして裏側に願いを書き入れ、奉納するという次第です。

    • 鴨長明の「方丈庵」は今でいうキャンピングカーみたいなもの!?

      鴨長明の「方丈庵」は今でいうキャンピングカーみたいなもの!?

      鴨長明は河合神社の神官の家に生まれました。 幼少時から学才を発揮し、未来は前途洋々…のはずでしたが。 身内の妨害に遭って神官の後継者争いから脱落。 すると長明は突然、一切を投げ捨て隠棲してしまいました。 洛外に結んだ方一丈の草庵で綴ったのが、古典の授業で習う随筆「方丈記」。 境内に展示されているのは草庵のレプリカです。 組み立て式で簡単に折り畳め、大八車に積めばどこへでも移動できたそうです。

  • 境内にある「相生社」は京都でも指折りの出会い系パワースポット。 その象徴とも言えるのが近くに生えている「連理の賢木」です。 2本の木が途中から1本に結ばれている御神木で、京の七不思議に数えられているほど。 それぐらい人と人とを結びつけるパワーが強烈だってことですかね。

  • 南口鳥居前から境内に入る少し手前にある、まだオープンから4年強という真新しい茶店。 それまでは境内に休憩所がなかったので、下鴨神社が自ら建てたものです。 完全な商業飲食施設でもなければ、簡素なだけの休憩所でもない。 開放感のある店内は、まさに「糺の森の夕涼み」を現代に甦らせた趣があります。 ここの名物は約140年ぶりの復活という「申餅[さるもち]」と、神職が祭礼中に禊で飲む「まめ豆茶」という黒豆茶です。 ちなみに餅は申餅だけで、もうひとつの名物みたらし団子は置いてません。

    • 申餅とまめ豆茶はセットでの注文がオススメ

      申餅は氏子の和菓子店宝泉堂特製で、ここでしか賞味できません。 外皮は小豆の茹で汁で「はねず色」という薄いエンジ色に彩色され、中には大粒の小豆がゴロゴロ。 小ぶりで甘さ控えめという昔ながらの和菓子です。 まめ豆茶は煎った黒豆にお湯を注いだもの。 最初は透明なお湯が暫くすると「はねず色」に変わってきます。 麦茶みたいな味わいで、飲み干した後の黒豆は茶さじですくい、赤穂産の塩を付けて食べます。

  • 下鴨神社は「みたらし団子」発祥の地です。 ルーツは先に紹介した御手洗川や御手洗池。 土用になると水底から清水がブクブク湧き出るといい、その水泡を象ったのがみたらし団子なのだそうです。 ここは境内を西参道から出て、下鴨本通を少し北へ行ったところにあるお店。 観光地にありがちな仰々しい大店ではなく、小ぶりな店構えは元祖の名に相応しく、清しさを感じさせます。 下鴨神社のみたらし団子は、焼いた小白玉5個を貫いた串が3本、それに餡がかけてあります。 団子は滋賀県産の上新粉で作った白玉を串に刺して焼き、餡は醬油に葛粉と黒糖を加えたもの。 皿には木匙が添えられ、餡を余すところなく賞味できます。

    • 味そのものより特異な形状が表現する形而上的な意味合いこそ真の味わいなのかも知れない

      味そのものより特異な形状が表現する形而上的な意味合いこそ真の味わいなのかも知れない

      一串に刺した団子5個のうち、先端のひとつが他の団子と離してあるのが特徴。 これは人間の頭部と四肢を抽象的に表現しているのだとか。 しかも内一串の“頭部”団子には、爪楊枝がブッスリ突き刺さってます。 その姿が余りにもグロテスクで、どこか“京都の深い闇”みたいな、なんとも言えない恐怖感が胸の内に湧いてきそうです。

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  • 最後に食事のできるスポットを押さえておきましょう。 さるやから裏道を通って下鴨本通に出たところにある老舗のレストラン。 三代目のシェフが作るメニューはハンバーグや海老フライ、ビーフシチューなど正統派の洋食。 1週間かけて煮詰めるというデミグラスソースや、機械を使わず手作業で作るマヨネーズやドレッシング、パン粉まで手づくりというこだわりぶりです。

    • 値段は総じて高めですが相応の価値はあるかも?

      ランチとディナー、昼夜に分かれて営業しています。 ランチでも1000円以上するので値段は総じて高め。 高いか安いか、その価値は食べた人の判断によるかも。 店内は3人掛けのテーブルがメイン。 相席はないので混雑時は待たされるかも知れません。 逆に4人以上で利用の場合は事前に予約を入れて下さいとのことです。

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