ルーブル美術館の全8部門が誇る豊かなコレクションの多様性を生かしたこの展覧会は、古代メソポタミアから19世紀ヨーロッパに至るまで描かれ、掘り出された多種多様な肖像作品を紹介するものだ。高名な傑作、極めて貴重ながらあまり知られていない作品、これを機に収蔵庫から運び出され修復された作品が入り混じり、一堂に会する。これら全ての作品を通して、肖像表現を規定する様々なコードがどの様に生まれ、地理的、歴史的、社会的な広がりの中でどのように生き永らえ、どのような変容を遂げたのかを理解することが出来る。

「肖像芸術」の特質と魅力をひもとく本格的な展覧会

肖像は最も長い歴史を持つ芸能ジャンルであると言える。この展示では3000年以上も前の古代メソポタミア彫像やエジプトのマスクから19世紀ヨーロッパの絵画・彫像まで、極めて広範囲にわたる時代・地域の作品を対象としながら、肖像が担ってきた社会的な役割や表現上の特質を浮き彫りにする。身近でもあり奥深い肖像の魅力に迫る本格的な展覧会だ。

肖像の傑作およそ110点が一堂に

ルーブル美術館全8部門が総力をあげた展覧会。各部門を代表する肖像の傑作およそ110点を一気に堪能出来る、極めて貴重な機会となる。

肖像画の至宝「美しきナーニ」

16世紀ヴェネチア派の巨匠ヴェロネーゼによる「美しきナーニ」は、ルーブル美術館が所蔵する数々のルネサンス肖像画の中でも、最高傑作の一つとして名高い作品だ。この至高の肖像画はなんとこの展覧会で27年ぶりの来日を果たす。

時の権力者ナポレオンの肖像

この展覧会では歴代のフランス国王やマリー＝アントワネットなど歴史を彩った時の権力者たちの肖像が一堂に会する。中でも大きな見どころとなるのが、フランス皇帝として名を馳せたナポレオンのコーナーだ。将軍時代を経て、皇帝として最高権力を持ちながらも、追放先の孤島で孤独な最後を迎えることになったナポレオン。その激動の人生を、アントワーヌ＝ジャン・グロの傑作「アルコレ橋のボナパルト」をはじめとする5点の作品でたどる。